浦和地方裁判所 平成6年(ワ)2210号 判決 1996年10月25日
原告
小島好郎
右訴訟代理人弁護士
鷹取謙治
被告
明治生命保険相互会社
右代表者代表取締役
波多健治郎
右訴訟代理人弁護士
田邊雅延
同
金野志保
同
佐藤道雄
同
関澤潤
同
市野澤要治
主文
一 原告の請求をいずれも棄却する。
二 訴訟費用は、原告の負担とする。
事実及び理由
第一 請求
被告は、原告に対し、金四四〇〇万五六一七円及びこれに対する平成五年一一月一〇日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
第二 事案の概要
本件は、被告の変額保険に加入した原告が、被告に対し、主位的には、違法な勧誘行為により同保険に加入させた、予備的には、違法に同保険の解約を妨害した、として各不法行為による損害賠償を求めた事案である。
一 前提事実(争いがある点は、各項末尾掲記の証拠により認定した。)
1 原告は、明治四五年三月九日生まれの男性であり、平成二年当時も、自ら創業し、大宮市内の繁華街に時計・貴金属店「三晃堂」という店舗を構える株式会社三晃堂時計店の代表取締役であった。
2 原告は、平成二年六月初め、三晃堂の右店舗において、取引銀行である三菱銀行大宮支店の支店長代理青柳の訪問を受け、同行した被告大宮南営業所長の石川彰(以下「石川」という。)を紹介された。
3 原告は、同年一〇日ころ、右店舗において、石川から、一時払いの保険料を三菱銀行から借り入れて加入すれば相続税対策にもなるとして、終身型一時払変額生命保険(以下「変額保険」という。)の加入を勧められ、乗り気になった。
4 原告は、その数日後、前記店舗において、石川に対して、被保険者を原告として保険金額一億円で右変額保険に加入する意思を明らかにし、同月二四日、大宮市内の原告の自宅で診査医の和田真一郎の診査を受け、診査終了後、石川が持参していた生命保険契約申込書に署名、押印し、同人に交付した(乙二、証人石川彰)。
5 被告は、右診査結果を検討し、同年七月中頃には、原告の右変額保険加入を承諾してもよいと決定して、これを原告にも伝えたが、その後原告の銀行借入が手間取ったり、原告が同年八月から九月にかけて慢性腎不全で入院したりしたため、契約成立に至らないまま、時が経過した(甲二四、原告本人、証人石川彰)。
6 石川は、前記契約申込書の有効期間が経過してしまったので、同年一〇月二五日ころ、前記店舗を訪れ、原告から再度、被保険者を原告とする生命保険契約申込書に署名、押印を得た(乙一、証人石川彰)。
7 原告は、同月三〇日、三菱銀行大宮支店から、金利は年8.9パーセント、最終返済期限は平成二二年一〇月二六日、利息は毎月二六日払い、との約定により金八三〇〇万円を借入れ、同日、そのうち七八三五万五四〇〇円を保険料として被告指定口座に振り込み、これにより、同年一一月一日付けをもって、原告、被告間に基本保険金・一億円、被保険者・原告とする変額保険契約(以下「本件契約」という。)が成立した(甲一〇、乙一四)。
8 その後、原告は毎月六一万円余の借入利息返済を続けていたが、平成三年一〇月一五日、石川を呼び、本件契約による変額保険の状況説明を求めたところ、借入金とこれまでの支払利息が八七七〇万円になるのに対し、右時点での変額保険の解約返戻金は七六九八万円にしかならず、一〇七二万円の赤字になると説明された。しかし、さらに、石川から、死亡保険金については相続人一人当たり五〇〇万円が非課税となり、借入金が負債となるので相続税の節税効果があり、借入金の金利も今後低下することが予定されるとして、本件契約を継続することを勧められ、原告は、これを継続することにした(甲一二、一三、二二、乙一四)。
9 原告は、平成五年一一月九日、本件契約を解約し、被告から解約返戻金として五三四一万六八四九円を受領したが、右解約時までの前記借入金に対する利息支払額は一八三二万六二六〇円であった(甲一五、一八)。
10 変額保険は、その保険料を、他の保険種類とは区別した特別勘定により、主として株式、公社債等を対象に運用するもので、死亡時の保障機能は有する(死亡保険金として基本保険金額は保証される。)が、保険金、解約返戻金は運用実績により増減するため、契約者も投資リスクを負う点で、従来の定額保険とは異なる性格を持つものであり、大蔵省の認可を得て昭和六一年一〇月一日から販売開始された(乙四)。
二 主な争点
1 被告は、説明義務に違反する等の違法な勧誘行為により原告に本件契約を締結させたとして、不法行為責任を負うかどうか(主位的請求関連)。
(原告の主張)
(一) 変額保険は、これまでの定額生命保険とは異なり、株式等への投資で運用される危険な保険であるから、その加入勧誘に当たっては、その危険性につき十分に説明すべきであり、特に、保険契約予定者が高齢で理解力にも問題がある場合には、特に慎重に説明すべきである。
(二) それなのに、被告の勧誘担当者石川は、当時七八歳で高齢な原告に対し、相続税対策になると強調するだけで、株式投資等により運用されることによる危険性につき何ら説明しなかったばかりではなく、「一切自分にまかせればよい、絶対に損はさせない。」と言って勧誘したのであり、このため、原告は、よもや生命保険の加入で損をすることはないと思って、本件契約の締結に応じたのである。なお、年8.9パーセントもの金利の借入金で保険料を支払えば、四年も経てば相続税対策としての利点もなくなるのに、石川は、不当にもその利点だけを強調したものである。
(三) 石川による右勧誘行為は、前記説明義務に反して違法であり、この勧誘行為により原告に本件契約を締結させ損害を被らせたのであるから、被告は不法行為としてその損害を賠償すべき義務がある。
(被告の主張)
(一) 変額保険は、顧客のニーズの多様化を背景として、安定性よりも収益性を重視する保険商品として開発され、大蔵省の認可を得て販売開始されたものであり、株式中心に収益性を追求する運用を行うことから投資的要素も備えている。そして、このような運用の成果やリスクは、共に契約者が自己責任を負うべきものである。
(二) しかも、本件においては、石川は、平成二年六月一〇日に、原告に対し、変額保険のパンフレット(乙四)と原告に関する保険設計書を交付し、これを示しながら変額保険の特色につき説明した。すなわち、右パンフレットには、特別勘定の資産運用により保険金額が変動すること、運用対象は株式等であること、経済情勢や運用如何によっては投資リスクを負うことが記載され、さらに、運用実績が九パーセント、4.5パーセント、〇パーセントの各場合の、経過年ごとの各保険金額、返戻金額が表示されていた。また、設計書には、原告の一時払保険料額と運用実績が九パーセント、4.5パーセント、〇パーセントの各場合の、各保険金額、返戻金額が表示され、パンフレットと同様のリスクの説明も記載されていた。そして、石川は、主として右設計書を用い、変額保険の保険料が一般の保険とは別勘定で運用され、その投資対象は株式が中心となり、その運用実績によって保険金が上下することを説明し、さらに、設計書の実績例表のとおりそれぞれの運用実績に応じ、経過年ごとの保険金、返戻金がどのような額になるかも説明した。
(三) 原告は、パンフレットも設計書も交付されず、口頭の説明だけで勧誘されたと主張するが、銀行借入により七八〇〇万円もの保険料を支払って加入する保険につき、口頭説明だけで、加入することは考えられない。また、右(二)のような説明をした石川が、絶対に迷惑をかけないから安心しろというような発言をするわけがないし、原告が変額保険であることも知らずに加入することもありえない。
(四) そして、原告は、当時七八歳と高齢ではあったが、自ら創業した株式会社三晃堂時計店の代表取締役として、毎日出社して実権を掌握していたのであり、石川の前記説明を理解する能力に欠けるところはなく、これを理解したはずである。しかも、右説明から保険料支払までには四か月半もの期間があり、原告はこの間に変額保険の内容について十分に検討したはずである。
(五) しかも、原告は、被告が毎年郵送する「ご契約内容のお知らせ」が届いていない平成三年一〇月一五日に、既に石川を呼んで本件契約の現況説明を求めているのであり、しかも、その際、加入までの間に変額保険の要点の説明がなかったと苦情を申し出た事実もないから、このことも、勧誘時に石川が前記説明をし、原告もこれを理解していたことを裏付けるものである。
(六) 以上のとおり、石川は変額保険の主要な点について、十分な説明をしているものであり、説明義務違反はないし、違法な勧誘であったともいえない。
2 被告は、平成三年一〇月一五日、原告が本件契約の解約を申し入れた際、違法にその解約を妨害するという不法行為をしたかどうか(予備的請求関連)。
(原告の主張)
被告の担当者石川は、原告が本件契約を解約しようと思って現況説明を求めたのに対し、本件契約を継続することによる利点は何もないのに、利点を強調して継続を勧め、解約を阻止したものであり、右違法な解約阻止は不法行為に当たる。
(被告の主張)
石川は、原告から求められて、現況説明をし、継続した場合の利点を自らの判断として挙げただけである。その際、原告も本件契約の解約を望んでいたわけではなく、まして、石川がそれを阻止したということはないから、右時点での石川の行為には何らの違法もない。
3 右各不法行為により賠償されるべき損害はどれだけか。
(原告の主張)
(一) 主位的請求分
原告は、本件契約を締結したことにより、一時払保険料七八三五万四〇〇〇円、保険料支払のための借入金に対する支払利息一八五〇万二二七七円、右借入金の担保のための抵当権設定登記費用七七万六五〇〇円の合計九七六三万二七七七円から解約返戻金五三六二万七一六〇円を差し引いた額である四四〇〇万五六一七円に相当する損害を被った。
(二) 予備的請求分
原告は、解約を違法に妨害されたことにより、平成三年一〇月一五日当時の損害一〇七二万円が解約時の平成五年一一月九日には前記四四〇〇万五六一七円と拡大し、その差額三三二八万五六一七円に相当する損害を被った。
三 証拠
本件記録中の書証目録及び証人等目録記載のとおりであるから、これを引用する。
第三 争点に対する判断
一 争点一(勧誘行為の違法性の有無)について
1 証拠(乙四、一二、一四、証人石川彰)によれば、次の各事実が認められる。
(一) 平成二年六月一〇日の変額保険勧誘の際、石川は、予め原告を被保険者として基本保険金額一億円を前提とする変額保険設計書(乙一二号証と同じ定型設計書用紙に記入)を作成し、原告に対し、これと変額保険パンフレット(乙四号証と同じもの)とを交付し、主として設計書を示しながら、保険料は普通の保険とは区別した特別勘定で運用されること、運用の対象は株式が中心になること、その資産運用の実績により保険金額が増減すること、但し、死亡保険金については基本保険金は保証されることを説明し、さらに、同設計書の運用実績例表を見せながら、運用実績が九パーセント、4.5パーセント、〇パーセントの各場合について、各経過年齢ごとに死亡保険金、返戻金が幾らになるかを説明した。
(二) 石川は、その際、原告から株式に投資して大丈夫なのかと質問されたが、戦後の株式は一時的に落ち込んだことはあっても長期的には右肩上がりであり、長期的には安全ではないかとの自己の判断を示した。
2 原告本人は、右勧誘の際、石川は、新しく良い保険であり、絶対損はさせない、相続税対策になると言って勧めただけで、株式中心で運用されるとか、損をすることがあるとかの説明は一切なかった、また、簡単な説明が書かれたワラ半紙を貰っただけで、変額保険パンフレットや設計書を貰ったことはない、変額保険が株式中心に運用されることを知ったのは解約をする少し前である、と供述する。
しかし、原告本人が供述するとおり、株式中心で運用され損をすることもあるとの説明がなかったのなら、なぜ、絶対に損はさせないとの発言があったのか不可解であり、また、株式で運用されていることを知らず、保険加入で損をすることはないと思っていたのなら、なぜ、加入の約一年後に石川に現況説明を求めたのか、理解が困難である。そればかりか、銀行借入で調達する七八三五万四〇〇〇円もの大金を保険料とする保険に勧誘するに際し、石川が正規のパンフレットや設計書を交付せずに勧誘行為をし、原告もそれらを交付されないままに加入意思を固めたというのはいかにも不自然なことである。そうであれば、原告本人の前記供述は、これに反する証人石川彰の証言に照らしても、到底、信用することができないといわざるをえない。また、右原告本人の供述と同旨の甲二二号証(原告の陳述書)も、同様に信用することはできず、他に右1の認定を左右するに足りる証拠はない。
3 変額保険は、前提事実10のとおり、従来の生命保険とは異なり、主に株式、公社債を中心に運用され、収益性が期待される一方、投資リスクも負うのであり、しかも、販売開始から日も浅いことからすると、従来の定額保険とは異なって投資リスクを負う保険であることについての理解が必ずしも社会的に浸透していないことが容易に予想されたのであるから、保険会社は、その加入勧誘に当たり、収益性を強調するだけでなく、その投資リスクの存在についても、十分に注意を喚起するに足りる説明をなすべき義務があるというべきであり、特に、契約予定者が高齢等で理解力が問題になる場合には、その理解力に応じた説明をなすべき義務があるというべきである。
4 そこで、前記1で認定した加入勧誘の際の石川の説明内容が、右3のとおりの説明義務に反するかどうかを判断するに、石川は、変額保険の特質とその投資リスクの存在を明記したパンフレット、設計書を交付し、それらに基づき、変額保険による保険料が特別勘定により株式中心で運用され、その運用実績により保険金額が増減するとの変額保険の特色について明確に説明したのであり、原告もそれによる投資リスクの存在を理解したからこそ、株価下落による心配を表明したものであって、これに対する石川の応答も、株価の一般的傾向を自己の判断を交えて説明したものであり、株式で運用しても絶対に安全であると表明したものではないのである。そして、原告は、右勧誘を受けた当時、七八歳と高齢であったとはいえ、三晃堂の代表者として毎日出社してその経営に当たっていたのであり、変額保険の危険性についての理解力が通常人よりも格別に劣っていたとみることもできない。してみれば、石川の右説明内容をもって、右3のとおりの説明義務に反したものということはできない。
なお、右2でみたとおり、原告本人の石川の説明内容に関する供述は、前記1の認定と全く異なるものであるところ、その原因は、その後に当時の記憶が薄れてしまったか、あえて虚偽の供述をしたかによるものと理解されるのであって、右供述は、原告が石川の説明内容を理解することができなかったことを裏付けるものではない。
5 また、原告本人は、本件契約に至るまで妻や子にはまったく相談していないと供述するが、一方、甲二二号証には「保険加入については、妻も子もあまりタッチしておりません。」と多少の関与があったことを窺わせる陳述記載があり、しかも、本件契約成立が遅れた事情につき、原告本人は、保険料相当分を銀行から借り入れるにつき「私だけでは借りられないので、子供のところを回っていたりして時間がかかった。」と供述するのであってみれば、変額保険加入に関し妻子にまったく相談しなかったとの前記供述は、信用することができない。そして、石川による前記説明やパンフレット・設計書の交付から保険料の振込による本件契約成立に至るまでには四か月以上もの期間があることや、そもそも原告の変額保険加入が相続税対策の意味を有したことからすると、原告は、その妻子とも相談して時間をかけてその加入の当否を熟慮したうえ、最終的に本件契約申込みを決断し、保険料を振り込んだものと推認される。
6 なお、原告は、腎不全で入院した後であることを知りながら原告の変額保険加入を認めた点でも、被告の勧誘行為が不法行為になるかのごとき主張もするが、被告が右事実を知っていたことを認めるに足りる証拠がないばかりか、仮に知っていたとしても、知りながら加入を勧めたことが不法行為になるとみる余地はない。
7 また、石川は、銀行借入金により保険料を支払って変額保険に加入することが原告の死後の相続税対策になるとして勧誘したところ、原告は、銀行借入金利が高ければ相続税対策としての意義は石川が説明したほどには挙がらないと主張するが、仮にそれが原告の主張するとおりであったとしても、その点を捉えて、石川の勧誘が違法であるというには足りない。
8 以上によれば、変額保険の勧誘に当たり、被告の担当者が説明義務に反し、その勧誘行為に違法があったとはいえない。
9 もっとも、原告は、本件契約を締結し、それを中途解約をしたことにより多額な損失を被ったのであり、その主要な原因は、株式相場の大幅な下落にあるとみられるところ、証人石川彰の証言によれば、被告側も、勧誘に当たりこのような事態まで予測して具体的な説明をしていないことが認められる。したがって、本件契約締結に当たっては、原告、被告とも、株式中心で運用される以上は原理的には投資リスクが存在することを前提としながらも、具体的には株式相場が大幅に下落し、なかなか回復しないというような事態は考えがたく、リスクが現実化する可能性は低いとの共通理解の下に、収益性が強調される中で、話を進めたものとみるべきである。そうであれば、大方の予測に反して、株式相場の大幅下落があり、そのために投資リスクが現実化した際に、被告が保険契約者である原告の自己責任だけを強調するのは不当であり、被告も、積極的に変額保険の加入を申し入れてきたわけでもない老人に、相続税対策になるとして収益面を強調して勧誘した点には反省すべきものがあるというべきである。しかし、右の点を捉えて、被告に道義的責任を超えた法的な不法行為責任を問うことはできないといわざるをえない。
二 争点二(解約妨害の不法行為の成否)について
1 原告が、平成三年一〇月一五日ころ、石川に対し、本件契約にかかる変額保険の現況について説明を求めたことは前判示のとおりであるが、その際、原告が石川に対して本件解約を申し入れたことについては、これを認めるに足りる証拠がない。したがって、被告により原告の解約申入れが妨害されたとの不法行為の主張は、その前提を欠くといわざるをえない。
2 もっとも、証拠(甲一二、一三、二二、乙一四、証人石川彰、原告本人)によれば、原告が右時点で石川を呼んだのは本件契約継続に不安を感じたからであること、原告は、石川から右時点で解約すれば既に一〇七二万円の損失になるとの説明を聞いて、これを継続すべきかどうか迷ったことが認められ、これに対し、石川は継続する利点を挙げて継続を勧め、結局、原告も本件契約を継続することにしたことは前提事実8のとおりである。右の経過からすると、たしかに、原告が右時点で解約申入れを思い止まったについては、石川の説明が影響しているとみることができるが、石川は原告から説明を求められたから自らの判断を示したのであり、その際、石川が継続すべき事情として挙げた点にことさらに虚偽があったことについては何ら主張、立証がないのである。してみれば、原告は、自らの判断で解約申入れを思い止まったというべきであり、被告側が解約を妨害したものとは到底いうことができない。
3 以上のとおりであって、被告が原告の本件契約の解約を妨害したとの不法行為も、認めることはできない。
(裁判長裁判官小林克已 裁判官中野智明 裁判官堀禎男)