浦和地方裁判所 平成6年(ワ)894号 判決 1998年3月30日
東京都板橋区板橋一丁目二四番三号
原告
株式会社北電子
右代表者代表取締役
小林昭子
右訴訟代理人弁護士
薄井昭
右輔佐人弁理士
田辺徹
浦和市白幡六丁目一四番一五号
被告
東京出版機械株式会社
右代表者代表取締役
篠嵜守明
右訴訟代理人弁護士
荒木秀一
右輔佐人弁理士
鈴江武彦
同
河井将次
同
増田政義
同
野河信久
主文
一 被告は、別紙一第一物件目録、別紙二第二物件目録、別紙三第三物件目録各記載の物件を製造し、販売してはならない。
二 訴訟費用は、被告の負担とする。
事実及び理由
第一 請求
主文同旨
第二 事案の概要等
一 事案の概要
本件は、印刷物の製本における乱丁監視装置の特許権を有する原告が、被告の製造、販売している別紙一第一物件目録記載の物件(以下「イ号物件」という。)、別紙二第二物件目録記載の物件(以下「ロ号物件」という。)及び別紙三第三物件目録記載の物件(以下「ハ号物件」という。)は、いずれも右特許権の技術的範囲に属するものであり、被告が右各物件を製造、販売する行為は右特許権を侵害すると主張して、被告に対し、右各物件の製造、販売の差止めを求めた事案である。
二 原告の特許権(争いがない)
原告は、次の特許権を有している(以下「本件特許権」といい、その発明を「本件特許発明」という。)。
1 特許番号 第一八〇五一三一号
2 発明の名称 乱丁監視装置
3 出願日 昭和五七年一一月二九日
4 出願公告日 平成五年二月五日(特公平五-九七三四号)
5 登録日 平成五年一一月二六日
6 特許請求の範囲 (末尾添付の特許公報(以下「本件公告公報」という。)参照)
「丁合機の折丁積台に多数の折丁を積んで、折丁積台に設けた印刷面監視センサーの発光素子から発光した光を折丁積台上の最下の折丁の印刷面に当て、その印刷面からの反射光を印刷面監視センサーの受光素子で受けて電気量に変換する構成にし、外部からの光を遮断する材料で印刷面監視センサーのフレームを形成し、監視する折丁の印刷面に対向する側の前記フレームの一面に一つの広い開口を設け、その開口に対応させてプリントボードを固定し、前記プリントボードに前記開口の範囲内で前記受光素子を所定の間隔に数多く配置し、前記受光素子に対応させて発光素子を前記開口の範囲に数多く配置し、しかも複数の発光素子からの反射光を互いにオーバーラップさせた形で受光し、かつ、一つの発光素子からの反射光を複数の受光素子で受光するように各受光素子からほぼ等しい距離に複数の発光素子を配置し、さらに前記プリントボード、前記受光素子及び前記発光素子をすべて前記フレーム内に固定し、最下の折丁が折丁積台上に載置された状態で前記開口だけを介して発光及び受光を行う構成にしたことを特徴とする乱丁監視装置。」
三 本件特許発明の構成要件及び効果(争いがない)
1 構成要件
本件特許発明の構成要件は次のとおりである。
A 丁合機の折丁積台に多数の折丁を積んで、折丁積台に設けた印刷面監視センサーの発光素子から発光した光を折丁積台上の最下の折丁の印刷面に当て、その印刷面からの反射光を印刷面監視センサーの受光素子で受けて電気量に変換する構成にし、
B 外部からの光を遮断する材料で印刷面監視センサーのフレームを形成し、
C 監視する折丁の印刷面に対向する側の前記フレームの一面に一つの広い開口を設け、
D その開口に対応させてプリントボードを固定し、
E 前記プリントボードに前記開口の範囲内で前記受光素子を所定の間隔に数多く配置し、
F 前記受光素子に対応させて発光素子を前記開口の範囲に数多く配置し、
G しかも複数の発光素子からの反射光を互いにオーバーラップさせた形で受光し、かつ、一つの発光素子からの反射光を複数の受光素子で受光するように各受光素子からほぼ等しい距離に複数の発光素子を配置し、
H さらに前記プリントボード、前記受光素子及び前記発光素子をフレーム内に固定をし、
I 最下の折丁が折丁積台上の載置された状態で前記開口だけを介して発光及び受光を行う構成にしたことを特徴とする乱丁監視装置。
2 本件特許発明の効果
(一) プリントボード、受光素子及び発光素子が全てフレーム内に固定されていて、最下の折丁が折丁積台上に載置された状態でフレームの一つの開口だけを介して発光及び受光を行うように構成し、しかも、そのフレームを外部からの光を遮断する材料で形成しているので、特に受光素子に対する遮光効果が良好であり、明るい場所でも高精度の検出が可能である。
(二) さらに、一つの広い開口の範囲内に数多く設けられた発光素子からの反射光を互いにオーバーラップさせた形で受光するように受光素子をその一つの開口の範囲内に数多くプリントボードに配置しており、しかも、一つの発光素子から出た光が折丁の印刷面で反射された後、反射光が複数の受光素子で受光されるように各受光素子からほぼ等しい距離に複数の発光素子を配置したので、折丁の印刷面が左右方向、前後方向、高さ方向等にずれても、折丁印刷内容の異同判別に必要とされる高精度の検出が可能である。
四 本件特許権の補正(争いがない)
本件特許権は、数次にわたる手続補正の末に成立したものであるが、その過程で、平成四年七月二二日提出の手続補正書により、出願の際に添付された明細書及び図面(以下「出願当初の明細書」「出願当初の図面」という。別紙特許願記載のとおりのものである。)に補正が加えられ、本件特許権の構成要件Gのうち、「 一つの発光素子からの反射光を複数の受光素子で受光するように各受光素子からほぼ等しい距離に複数の発光素子を配置し」との部分が加入された。
五 被告物件
被告は、別紙一第一物件目録記載のイ号物件、別紙二第二物件目録記載のロ号物件及び別紙三第三物件目録記載のハ号物件を製造、販売している(乙第二二及び第二三号証、弁論の全趣旨)。
1 イ号物件
イ号物件の構成要件を、別紙一第一物件目録添付図面に記載された符号を用いて、本件特許発明の構成要件AないしIに対比して要約すると、次のとおりになる。
A 丁合機の折丁積台1に多数の折丁2を積んで、折丁積台1に設けた印刷面監視センサー3の発光素子4から発光した光を折丁積台1上の最下の折丁2の印刷面に当て、その印刷面からの反射光を印刷面監視センサー3の受光素子5で受けて電気量に変換する構成にし、
B 外部からの光を遮断する材料で印刷面監視センサー3のフレーム6を形成し、
C 監視する折丁2の印刷面に対応する側の前記フレーム6の一面に一つの広い開口8を設け、
D その開口8に対応させてプリントボード7を固定し、
E 前記プリントボード7に前記開口8の範囲内で前記受光素子5を所定の間隔に数多く配置し、
F 前記受光素子5に対応させて発光素子4を前記開口8の範囲に数多く配置し、
G しかも複数の発光素子4からの反射光を互いにオーバーラップさせた形で受光し、かつ、一つの発光素子4からの反射光を複数の受光素子5で受光するように各受光素子5からほぼ等しい距離に複数の発光素子4を配置し、
H さらに、前記プリントボード7、前記受光素子5及び前記発光素子4を全て前記フレーム6内に固定し、
I 最下の折丁2が折丁積台1上に載置された状態で前記開口8だけを介して発光及び受光を行う構成にした乱丁監視装置。
2 ロ号物件
ロ号物件の構成要件を、別紙二第二物件目録添付図面に記載された符号を用いて、本件特許発明の構成要件AないしIに対比して要約すると、次のとおりになる。
A 丁合機の折丁積台1に多数の折丁2を積んで、折丁積台1に設けた印刷面監視センサー3の発光素子4から発光した光を折丁積台1上の最下の折丁2の印刷面に当て、その印刷面からの反射光を印刷面監視センサー3の受光素子5で受けて電気量に変換する構成にし、
B 外部からの光を遮断する材料で印刷面監視センサー3のフレーム6を形成し、
C 監視する折丁2の印刷面に対向する側の前記フレーム6の一面に一つの広い開口8を設け、
D その開口8に対応させてプリントボード7を固定し、
E 前記プリントボード7に前記開口8の範囲内で前記受光素子5を所定の間隔に数多く配置し、
F 前記受光素子5に対応させて発光素子4を前記開口8の範囲に数多く配置し、
G しかも複数の発光素子4からの反射光を互いにオーバーラップさせた形で受光し、かつ、一つの発光素子4からの反射光を複数の受光素子5で受光するように各受光素子5からほぼ等しい距離に複数の発光素子4を配置し、
H 更に、前記プリントボード7、前記受光素子5及び前記発光素子4を全て前記フレーム6内に固定し、
I 最下の折丁2が折丁積台1上に載置された状態で前記開口8だけを介して発光及び受光を行う構成にした乱丁監視装置。
3 ハ号物件
ハ号物件の構成要件を、別紙三第三物件目録添付図面に記載された符号を用いて、本件特許発明の構成要件AないしIに対比して要約すると、次のとおりになる。
A 丁合機の折丁積台1に多数の折丁2を積んで、折丁積台1に設けた印刷面監視センサー3の発光素子4から発光した光を折丁積台1上の最下の折丁2の印刷面に当て、その印刷面からの反射光を印刷面監視センサー3の受光素子5で受けて電気量に変換する構成にし、
B 外部からの光を遮断する材料で印刷面監視センサー3のフレーム6を形成し、
C 監視する折丁2の印刷面に対向する側の前記フレーム6の一面に一つの広い開口8を設け、
D その開口8に対応させてプリントボード7を固定し、
E 前記プリントボード7に前記開口8の範囲内で前記受光素子5を所定の間隔に数多く配置し、
F 前記受光素子5に対応させて発光素子4を前記開口8の範囲に数多く配置し、
G しかも複数の発光素子4からの反射光を互いにオーバーラップさせた形で受光し、かつ、一つの発光素子4からの反射光を複数の受光素子5で受光するように各受光素子5からほぼ等しい距離に複数の発光素子4を配置し、
H 更に前記プリントボード7、前記受光素子5及び前記発光素子4を全て前記フレーム6内に固定し、
I 最下の折丁2が折丁積台1上に載置された状態で前記開口8だけを介して発光及び受光を行う構成にした乱丁監視装置。
六 本件の争点
1 本件訴訟は、浦和地方裁判所平成五年(ワ)第六六九号特許権侵害差止請求事件との関係において、二重起訴に当たり不適法であるか。
2 本件特許権は、その出願公告決定の謄本送達前である平成四年七月二二日に提出された手続補正書によってした補正が、明細書の要旨を変更したものとして、平成五年法律第二六号による改正前の特許法四〇条により、同日に特許出願したものとみなされるか。
また、仮に右の補正が要旨の変更に当たるとした場合に、被告は本件特許権について、先使用による通常実施権を有するか。
七 被告の主張
1 争点1について
(一) 原告は、被告に対し、浦和地方裁判所に特許権侵害差止を求める訴えを提起し、右訴訟は同裁判所に係属している(当庁平成五年(ワ)第六六九号特許権侵害差止請求事件、以下「前訴」という。)にもかかわらず、さらに、本訴を提起したところ、両訴で主張される特許発明は実質的に同一であり、また、差止の対象とされている物件も同一であるから、両訴は訴訟物が同一であるというべきである。したがって、本訴は二重起訴にあたり、民事訴訟法一四二条により不適法である。
(二) 本件特許発明と前訴特許発明の同一性
(1) 二つの特許発明の同一性については、両特許発明を比較した場合に、一方が他方に単なる慣用手段を付加又は削除をしたものであるときは、両者は同一であると解すべきである。
原告は、前訴特許発明はセンサー自体の発明であり、本件特許発明は乱丁監視装置についての発明であると主張する。しかし、本件特許権の構成要件は、原告が前訴において差止請求の根拠として主張している特許権(特許番号一七四五〇四九号、昭和五八年一二月一二日特許出願、特公平四-三〇五二二号、平成五年一一月二六日登録。以下「前訴特許権」といい、その特許発明を「前訴特許発明」という。)の構成要件に、「丁合機の折丁積台に多数の折丁を積んで、折丁積台に設けた印刷面監視センサーの発光素子から発光した光を折丁積台上の最下の折丁の印刷面に当て」との記載及び「最下の折丁が折丁積台上に載置された状態で」との記載を付加し、他方、センサー部分の受光素子の配置につき「直線に沿って配置」という部分を削除したにすぎないものであり、その余の部分は同一である。
(2) そして、前訴特許発明のようなセンサーを本件特許発明のような乱丁監視装置に設置することは、本件特許発明の出願当時には、当業者に自明な事項であって、これは単なる慣用手段にすぎなかったものである。換言すれば、本件特許発明は前訴特許発明のセンサーを単なる慣用手段である丁合機の折丁積台に設けただけのものであって、このことは、次の事実からも明らかである。
<1> 原告は、本件特許発明の出願日より以前である昭和五六年九月一七日に公開された、自らの特許出願にかかる特開昭五八-四八八三四号公開特許公報において、紙面監視センサーは乱丁監視装置に多く使用されていると説明し、さらに続けて、紙面監視センサーは、乱丁監視装置に使用されている場合は、第一A図及び第一B図に示されているように、丁合機の折丁積台3に設置され、折丁1の最下段の紙面を監視すると述べている。なお、この第一A図及び第一B図は、本件特許権の出願当初の図面第一三図及び第一四図と全く同一である。
<2> 本件特許発明の出願日より以前の昭和五六年五月一日に特許出願公開された乱丁監視装置の公開特許公報には、センサーが丁合機の折丁積台に設けられ、最下の紙面を監視する装置が開示されている。右公開特許公報には、「第1図において、符号1は折丁の紙面の情報を検出するセンサーであり、光源ランプより投射された光が紙面より反射したものを受光素子により、アナログ電気量に変換されるように作られており、丁合機の折丁積台(以下枠という)に取り付けられ、積まれている折丁の一番下の紙面を監視する。」と説明されている。
<3> 原告は、本件特許発明の特許出願前に既に製本における丁合ミス検出装置を製造し、市場において販売しており、このことは業界紙や新聞にも登載されている。
(3) そもそも前訴特許発明のセンサーは、印刷面の異同を判別するために開発された特殊なものであり、丁合機の折丁積台に組合わせて初めて使用できるものであり、本件特許発明は、前訴特許発明に慣用手段に止まる丁合機、折丁積台との結合を付加したものにすぎない。要するに、本件特許発明は、前訴特許発明のセンサーをネジで折丁積台に固定したものにすぎず、右センサー以外の部分については、何ら新鮮な構成も、センサーとの新規な結合性も示されていない。
以上のとおり、両発明が開示している技術的思想は同一であり、一方の発明が他方の発明の自明の使用行為であって、両発明は同一の発明である。したがって、これらの同一発明に二つの特許が成立したことは、重大かつ明白な誤りである。
2 争点2について
(一) 特許請求の範囲の補正と要旨の変更
(1) 本件特許発明は、一つの発光素子からの反射光を複数の受光素子で受光するように各受光素子からほぼ等しい距離に複数の発光素子を配置することが必須の構成要件とされている。この部分は、平成四年七月二二日に提出された手続補正書による明細書の補正により追加されたものであって、出願当初の明細書又は図面に記載されていたのは、受光素子の両側の等しい位置にそれぞれ発光素子を対にして配置することのみであり、右要件は記載されておらず、また、出願当初の明細書又は図面から自明な事項でもない。
(2) 出願当初の明細書には、特許請求の範囲として、「発光素子から発光した光を印刷面に当て、その反射光を受光素子で受けて電気量に変換して印刷面を監視するための印刷面監視センサーにおいて、複数の受光素子を所定の間隔で固定し、それらの受光素子の各々の両側の等しい距離にそれぞれ発光素子を対にして配置し、被測定面の印刷面から発光素子及び受光素子までの距離の変化に起因する反射光量の変化を補正する構成にしたことを特徴とする印刷面監視センサー。」と記載されていた。また、本件特許発明の目的は、発光素子及び受光素子と被測定面との距離に少し変化が生じても光量の変化を補正することができる印刷面監視センサーを提供することにあり、右記の特許請求の範囲にあるように、受光素子の各々の両側の等しい距離にそれぞれ発光素子を対にして配置することによってこの目的が達成されるとされていた。
このことは、出願当初の明細書に、このセンサーにおける光量の変化の補正について、別紙四参考図Aを第一一図として添付したうえ、「受光素子18の両側の等しい位置に対をなして発光素子21が配置されているため、レンズプレート13の表面近く(例えばAレベルやBレベルの高さの位置)では第11図(A)及び(B)に示すような光の反射状態となるのである。このような状況であると、二つの発光素子21からの発光が互いに補完し合い、レンズプレート13の表面近くでは、少しぐらい高さ位置に変化が生じても、受光素子18への反射光量に実質的な相違が見られない。」と記載されていたことに示されている。そして、ここでいう二つの発光素子が、受光素子18の両側の等しい位置に対をなして配置された発光素子であることは、出願当初の明細書又は図面の記載から明らかである。
(3) この点、出願当初の明細書又は図面に示されているセンサーでも、受光素子の両側の等しい位置に対をなして配置された発光素子からの反射光は、対をなす発光素子の間に配置された受光素子に受光されるとともに、それ以外の受光素子、たとえば、隣接した別の受光素子に向けても反射される可能性はあり、その限りでは、出願当初の明細書又は図面に、一つの発光素子からの反射光を複数の受光素子で受光することが示されていたといえなくもない。
しかし、出願当初の明細書又は図面には、その際に各受光素子からほぼ等しい距離に複数の発光素子を配置することは何も記載されておらず、このことは、出願当初の明細書に例示されている、受光素子の視野を一五ミリメートル、受光素子の間隔を互いに一〇ミリメートルとする配置状態を前提にして検討しても明らかである。別紙五参考図Bは、受光素子をA、A'、受光素子の両側に配置した発光素子をB、B'、各受光素子の視野を実線で、各発光素子で発光された光が反射される範囲を破線で示したものであるが、これに基いて説明すると、一つの発光素子B'から発光される反射光が別の発光素子Bの反射光と補完し合い、複数(二つ)の受光素子A、A'で受光される(別紙五参考図B斜線部分)ことになるが、この場合、B'A'間の距離は、B'A間の距離と大きく相違し、ほぼ等しい距離ではないから、各受光素子A、A'からほぼ等しい距離に複数の受光素子B、B'を配置していないことは明らかである。結局、一つの発光素子B'から発光される反射光が発光素子Bからの反射光と補完し合い、複数(二つ)の受光素子A、A'で受光される状態では、各発光素子からほぼ等しい距離に複数の受光素子を配置することができないことになる。
そのほか、受光素子と発光素子の位置関係を示した記載はなく、したがって、出願当初の明細書又は図面には、一つの発光素子からの反射光を複数の受光素子で受光するように各受光素子からほぼ等しい距離に複数の発光素子を配置することについては記載がなかったことになる。
(4) そして、特許された本件特許発明の明細書では、特許請求の範囲に記載された「一つの発光素子からの反射光を複数の受光素子で受光する」との点を説明するために、出願当初の明細書又は図面にない新しい説明又は図面が次々と追加された。これを、本件公告公報の記載について指摘すれば、<1>「1つの発光素子から出た光が折丁の印刷面で反射された後、反射光が複数の受光素子で受光されるように」(四欄三五行目ないし三七行目)、<2>「……受光素子18の視野が印刷面上で直径15mmであるとき、その直径15mmの視野内に反射光が到来するように第五図に示すように6個の発光素子……を設けた場合」(八欄三九行目ないし四四行目)、<3>「三個の受光素子18a~18cと6個の発光素子21a~21fが全て便宜上示したプリントボード20表面上の視野Sに入る」(九欄一二行目から一五行目)、<4>しかも1つの発光素子(たとえば21b)からの光が印刷面で反射した後複数の受光素子(たとえば18a、18b、18c)で受光される」(九欄一八行目から二一行目)<5>第一五図などである。
これらの記載は、出願当初の明細書又は図面にはなく、本件特許発明の特許請求の範囲に記載されるに至った「1つの発光素子からの反射光を複数の受光素子で受光する」ことを補充的に説明するものとして積極的に加入されたものである。
(5) このように、本件特許発明が出願当初の明細書又は図面の要旨を変更して特許されるに至ったことは明らかである。
したがって、これが追加された本件特許発明は、平成五年法律第二六号による改正前の特許法四〇条の規定により、その補正について手続補正書を提出したとき、すなわち、平成四年七月二二日に出願されたものとみなされる。
(三) 被告の先使用
被告は、この繰り下がった本件特許権の出願日である平成四年七月二二日以前から、本件特許発明に相当する乱丁監視装置(印刷面の異同検出装置)の付いた自動高速丁合機を製造販売していた。したがって、被告は、本件特許権について先使用による通常実施権を有し、その実施は、本件特許権を侵害するものではない。
八 原告の主張
1 争点1について
(一) 特許を付与し、明細書若しくは図面の訂正を認め、又は特許を無効にする等の処分は行政処分であって、その判断は特許庁の専権に属し、たとえ特許権に無効事由があっても、特許庁において無効の審決が確定しない限り効力を有するのが原則である。したがって、特許処分自体に重大な瑕疵があり、かつその瑕疵の存在が外観上明白である等の特別の場合を除き、裁判所が特許侵害訴訟において、特許付与手続の当否及び効力の有無を判断することは許されない。
ところが、被告の二重起訴の主張は、実質的には、裁判所に対し、本訴の先決問題として、本件特許発明と前訴特許発明が同一の発明であり、本件特許発明が無効であるとの判断を求めるものである。
よって、本訴が前訴との関係で二重起訴に当たり不適法であるとする被告の主張は失当である。
(二)(1) 本件特許発明の特有の構成
前訴特許発明と本件特許発明は、特許請求の範囲の末尾が相違するだけでなく、発明の構成要素についても相違しており、実質的な差異が存在する。前訴特許発明の対象はセンサー自体であるのに対し、本件特許発明の対象は、その構成要件-に示されているように、発明の対象が乱丁監視装置である。
本件特許発明は、前訴特許発明のセンサーを丁合機の折丁積台に特別の形で、すなわち、本件特許発明の構成要件A及びIに示すように、センサーを丁合機の折丁積台に積まれた多数の折丁のうち最下のものに光を当てるように配置し、最下の折丁が折丁積台上に載置された状態で前記開口だけを介して発光及び受光を行う構成にした形で配置したものである。
特許庁の実務において常にこの種の発明が単一性の要件を満たすと判断されてきたわけではないが、このような発明は互いに別の発明として運用されてきた。それゆえ、前訴特許発明と本件特許発明は、別異の特許発明である。
(2) 前訴特許発明の汎用性について
前訴特許権の特許公告公報には二つの図示例が示されているが、いずれも汎用性のあるセンサーであって、折丁積台に専用のものではない。例えば、前訴特許発明の特許公告公報の第三図では、センサーの両端の図示が省略されており、文中に「フレーム11は全長を一体に構成して、プリントボード20は小さなユニットを複数組合わせると、汎用性が増す。」(四欄三三行目から三五行目)と明記されているように、センサーを特定の長さのものに限定せず、ユニットの個数を適当に選ぶことによってセンサーの長さを調節して「汎用性」を増すということを明確に認識していた。ちなみに、前訴特許発明のセンサーは、折丁積台のない新聞紙面検査装置にも使用された実績がある。
2 争点2について
(一) 要旨の変更
出願公告の決定謄本送達前の補正については、出願当初の明細書又は図面に記載した事項の範囲内であれば特許請求の範囲をどのように増減又は変更しても要旨を変更しないものとみなされる(平成五年法律第二六号改正前特許法四一条)。そして、右にいう出願当初の明細書又は図面に記載した事項の範囲内とは、これらの記載から自明の事項を含むものと解釈されている。つまり、補正後の特許請求の範囲に記載された技術的事項が出願当初の明細書又は図面に直接記載した事項又はそれらから自明な事項の範囲内であればよい。
したがって、出願公告決定謄本送達前の補正が要旨変更になるか否かの判断の基準となるものは、出願当初の明細書又は図面に記載されていたかどうか、また、これらの記載から自明の事項に当たるかどうかである。
(二) 本件特許発明の特許請求の範囲のうち、「且つ、1つの発光素子からの反射光を複数の受光素子で受光するように各受光素子からほぼ等しい距離に複数の発光素子を配置し」という構成要件は、次に述べるとおり、出願当初の明細書又は図面に記載されていた事項であるか、これらの記載から自明の事項である。
(1) 出願当初の明細書又は図面には、「プリントボード20の中央部には複数の受光素子18が一定の間隔で一列に固定してある。……これらの受光素子18はその視野の直径15mmとしたら互いに10mmの距離毎に配置できる。」「それらの受光素子18の各々の両側の等しい距離にそれぞれ発光素子21を対にして配置する。」と記載されている。
別紙六参考図Cは、出願当初の図面第五図の主要部を複写して右数値を当てはめ、<1>印刷面上の直径一五ミリメートルの視野を示す円、<2>プリントボード20上の直径三〇ミリメートルの範囲を示す円、<3>六個の発光素子21を特定するための引出し線と、参考符号21a、21b、21c、21d、21e、21f、<4>三個の受光素子18を特定するための引出し線と、参考符号18a、18b、18cを記入したものであり、補正により追加された本件公告公報第一五図に酷似している。
この別紙六参考図Cには、受光素子18aを中心として、印刷面上の直径一五ミリメートルの視野を示す円と、プリントボード20上の直径三〇ミリメートルの範囲を示す円が同心に記載され、また、受光素子18aの左右両隣に一〇ミリメートル離れて二個の受光素子18b、18cが一列上に配置されている。そして、受光素子18aからほぼ等しい位置に発光素子21b、21eが、受光素子18bからほぼ等しい位置に発光素子21a、21dが、また、受光素子18cからほぼ等しい位置に発光素子21c、21fが配置されている。
したがって、「各受光素子からほぼ等しい距離に複数の受光素子を配置し」という構成要件は、出願当初の明細書及び図面に記載されていた事項である。
(2) この別紙六参考図Cにおいては、受光素子18(例えば18a、18b、18c)が一列に一〇ミリメートルの距離毎に配置され、それらの上下ほぼ等しい距離に配置された発光素子21(例えば21aないし21f)の各々が、その周辺に光を当てる役割を果たしている。出願当初の明細又は図面の第五図及び第一一図(C)の図示例では、受光素子18aと発光素子21aないし21fが、所定の形態で共通のプリントボード20上の同一平面上に配置されており、途中に光を遮るものが全く存在しないので、必然的に、少なくとも六個の発光素子21aないし21fからの反射光がそれらの中心に位置する受光素子18aに到来する。同様に、受光素子18b、18cについても、それぞれ、その上下方向及び斜め方向の合計六個の発光素子からの反射光が到来する。
以上のことを、特定の発光素子21bを中心にして考察すると、一個の発光素子の反射光が、三つの受光素子18a、18b、18cで受光されることになる。このことは、21b以外の発光素子についても同様である。
このように、「且つ、一つの発光素子からの反射光を複数の受光素子で受光するように」という構成要件は、出願当初の明細書又は図面に記載されていた事項である。
(3) 別紙四参考図Aは、出願当初の図面第一一図と同一であるが、出願当初の明細書には、「第一一図は発光素子21から発行された光が印刷面により反射されて受光素子18に至る機構を簡単に説明するための図である。」と記載されている。そして、前記のとおり、出願当初の図面において、別紙四参考図Aに示されている一個の発光素子18aに対して、左斜め方向に21a及び21fがほぼ等しい位置に一つの対をなして配置され、また、右斜め方向において二個の発光素子21c及び21dが同様にほぼ等しい位置に対をなして配置され、さらに、受光素子18aの上下方向において二つの発光素子21b及び21eがほぼ等しい位置に一つの対をなして配置されていることが記載されているのであるから、受光素子18aから等しい位置に配置されていて別紙四参考図A(C)図の関係が成立するのは上下一対の発光素子21b及び21eのみでなく、右斜め方向、左斜め方向の一対の発光素子についても同様に、二個の発光素子からの発光が補完し合うという作用効果を奏する。
なお、出願当初の明細書には「第一一図は発光素子21から発光された光が印刷面より反射されて受光素子18に至る機構を簡単に説明するための図である。」と記載されているのであって、受光素子aの上下方向に配置した二個の発光素子に限定されていない。
(4) さらに、本件特許発明は、出願当初の明細書に「発光素子18は一列配置ではなく、その他の配置態様(例えば千鳥足状)にすることもできる。」と記載され、また「一つの受光素子18とその両側の発光素子21とを一組として、多数の組が一列状・千鳥足状その他の態様で配置されているのである。」と記載されているとおり、受光素子を一列に配置した実施例に限定されていない。別紙七参考図Dは、このような出願当初の明細書又は図面の記載に基づいて作成したもので、複数の受光素子18を千鳥足状に配置した配置構造の一例として、一個の受光素子18の上下の等しい距離に一対(二個)の受光素子21を配置して一組とし、そのような複数の組を千鳥足状の形態で配置したものである。このような配置態様によれば、一個の発光素子21cからの反射光は、少なくとも三個の受光素子18a、18c、18dで受光されることになる。これは、内側の二列に配置された他の発光素子21b、21cその他にも当てはまる。
したがって、複数の受光素子を千鳥足状の配置した態様に関しても、「一つの発光素子からの反射光を複数の受光素子で受光するように」各受光素子からほぼ等しい距離に複数の発光素子を配置する構成は、出願当初の明細書または図面に記載されていた事項から自明の事項である。
第三 争点に対する判断
一 争点1について
1 特許権は、行政処分である設定の登録(特許法六六条)により発生するものであり、特許を無効とすべき審決が確定したときは初めから存在しなかったものとみなされる(特許法一二五条本文)。そして、右審決の確定するまでは、右特許権は、設定の登録に明白かつ重大な瑕疵のない限り、適法かつ有効に存続するものである。
2 本件は、平成五年一一月二六日に登録された特許権に基づく訴訟であり、他方、前訴は、同年三月二五日に登録された特許権に基づく訴訟であるから、右両特許権は、全く別個の行政処分に基づいて発生した権利である。それ故、仮に本件特許発明が前訴特許発明に慣用手段を付加したにすぎないとしても、これによって本件特許権と前訴特許権が同一のものになる訳ではなく、本訴と前訴は、ともに特許権侵害差止訴訟であっても、全く別個の特許権に基づくものであるから、その訴訟物が別個であることは明らかである。したがって、本訴と前訴が二重起訴に当たるとの被告の主張は、その余の点を判断するまでもなく、失当である。
二 争点2について
1 乙第五号証によれば、出願当初の明細書及び図面は別紙特許願のとおりであり、明細書には次のとおり記載され、別紙参考図Aが第一一図として、別紙参考図Eが第五図として添付されていたことが認められる。
(一) 「本発明の要旨とするところは、発光素子から発光した光を印刷面に当て、その反射光を受光素子で受けて電気量に変換して印刷面を監視するための印刷面監視センサーにおいて、複数の受光素子を所定の間隔で固定し、それらの受光素子の各々の両側の等しい距離にそれぞれ受光素子を対にして配置し、被測定面の印刷面から発光素子及び受光素子迄までの距離の変化に起因する反射光量の変化を補正する構成にしたことを特徴とする印刷面監視センサーにある。」(三頁九行目ないし一九行目)
(二) 「プリントボード20の中央部には複数の受光素子18が一定の間隔で一列に固定してある。例えば、文庫版(A6)の場合、これらの受光素子18はその視野の直径を15mmとしたら互いに10mmの距離毎に配置できる。(五頁二〇行目ないし六頁五行目)
(三) 「また、受光素子18は一列配置ではなく、その他の配置態様(例えば千鳥足状)にすることもできる。」(六頁一四行目ないし一六行目)
(四) 「それらの受光素子18の各々の両側の等しい距離にそれぞれ発光素子21を対にして配置する。」(七頁二行目ないし四行目)
(五) 「一つの受光素子18とその両側の発光素子21とを一組として、多数の組が一列状、千鳥足状その他の態様で配置されているのである。」(七頁一三行目ないし一六行目)
(六) 「第11図は発光素子21から発光された光が印刷面より反射されて受光素子18に至る機構を簡単に説明するための図である。印刷面が第11図(C)に示すようにAレベルにあるときは、第11図(A)に示すような明るさとなり、第11図(C)のBレベルに印刷面が存在するときには、第11図(B)に示すような明るさとなる。内側の斜線の円形部分L、R、Cが強い光の部分で、外側のL'、R'、C'が弱い光の部分を示す。左右の円L、R、L'、R'が発光素子に対応するもので、真中の円C、C'が受光素子に対応するものである。
受光素子18の両側の等しい位置に対をなして発光素子21が配置されているため、レンズプレート13の表面近く(例えばAレベルやBレベルの高さ位置)では第11図(A)及び(B)に示すような光の反射状態となるのである。・・・・・・・このような状況であると、2つの発光素子21からの発光が互いに補完し合いレンズプレート13の表面近くでは、少しぐらい高さ位置に変化が生じても、受光素子18への反射光量に実質的な相違は認められない。」(一一頁四行目ないし一二頁一行目)
(七) 「さらに、同一レベルでの左右・前後のズレに関しても、相当な許容度を持たせる効果がある、例えば、受光素子18の視野が直径15mmであるとき、通常の印刷物であれば、多少のズレが生じても、確実な判別ができる。」(一三頁一行目ないし五行目)
2 そこで、出願当初の明細書又は図面に、本件特許発明の構成要件の一つである「一つの発光素子からの反射光を複数の受光素子で受光するように各受光素子からほぼ等しい距離に複数の発光素子を配置し」との構成が記載されていたということができるか、あるいは、最初の明細書又は図面の記載から当業者にとって自明の事項ということができるかを検討する。
(一) まず、乙第五号証(出願当初の明細書及び図面)第五図(別紙八参考図E)、第七図、第八図、第一一図(別紙四参考図A)及び第一一図の説明である前記1(五)の記載によれば、発光素子からの光の照射範囲は、所定の立体角度に限定され、一つのスポット状の強い光と一つのスポット状の弱い光部分を有すること、また、それぞれの組の発光素子は、発光素子からのスポット状の光が印刷面で反射してそれぞれの組の受光素子に入射するように、全て内側の受光素子に向かって傾斜していることが認められる。そうすると、各受光素子で受光する光の主たる成分は、その上下に対にして設置された発光素子の、スポット状の強い光が紙面で反射したものであるということができる。すなわち、別紙六参考図Cに示す符号によれば、受光素子18aに入射する光の主要な成分は、発光素子21b及び21eからのスポット状の強い光の反射光であると認められる。
しかし、同じく乙五号証によれば、右に述べたうちの発光素子から発光されるスポット状の弱い光は、その照射範囲が、スポット状の強い光よりも広がるものであると認められるから、各受光素子に入射するスポット状の弱い光は、その上下に対にして設置された発光素子から発光されたものだけではなく、その隣接する受光素子の上下に設置された発光素子から発光したものが紙面に反射したものも入射すると認められる。この光は、もともとその光量が少ないものである上に、これは光軸中心から離れるほど弱くなるスポット状の拡散光の円周の一部分のみであって、光長路も長くなるから、微弱なものとなるということができるが、右のとおり受光素子に対して入射するものである。これを、別紙六参考図Cに記載された符号で説明すると、発光素子21a、21c、21d、21fからのスポット状の弱い光は、印刷紙面で反射され、受光素子18aに入射する。
そうすると、一つの受光素子に入射する光は、その上下に配置された二つの発光素子からのもののみならず、隣接する他の組の発光素子からのものも、出願当初の明細書又は図面に明示的な記載はないが、付随的に微弱に発生しうる物理現象として記載されていたものということができ、また、これらの光が受光素子に対して等距離に配置された発光素子から発光されたものであるときに、受光素子の上下に配置された発光素子からの光の相互の関係と同様の仕組みで補完的な作用を持つことは、当業者にとって自明な技術的事項であるということができる。
(二) 本件特許の特許請求の範囲における「複数の発光素子からの反射光を互いにオーバーラップさせた形で受光し、かつ、一つの発光素子からの反射光を複数の受光素子で受光するように各受光素子からほぼ等しい距離に複数の発光素子を配置し」との記載からすれば、発光素子と受光素子の配置関係については、一つの受光素子に対してほぼ等しい距離に複数の発光素子が配置されること、及び一つの発光素子から発光される光が複数の受光素子で受光される位置に配置にすることは必要とされているが、一つの発光素子に対して複数の受光素子が等しい距離に配置されることまで必要であると表現していると解することはできない。
そこで、このような配置構成が出願当初の明細書又は図面に記載されていたか、あるいはこれらから自明な事項ということができるかを検討すると、乙第五号証によれば、出願当初の明細書には、発光素子間の配列についての具体的記載はないと認められるから、右明細書には、受光素子に対して斜め方向に対をなす発光素子と受光素子の距離が常に等しくなることの記載もないといわざるを得ない。
しかし、出願当初の明細書には、前記のように、受光素子18の両側の等しい位置に対をなす発光素子21が配置されること、複数の受光素子18が一定の間隔で一列に固定してあることが記載されており、また、乙第五号証によれば、出願当初の図面第二図及び第五図において、各受光素子が一定の間隔で一列に固定してあるのみならず、各発光素子も一定の間隔で一列に固定して配置されて記載されていることが認められるから、これら事実に基づけば、受光素子のみならず、発光素子もほぼ一定の間隔で一列に配置されることは、出願当初の明細書又は図面に記載されていた事項というべきである。
そうすると、受光素子に対して斜め方向の両側に配置されている各発光素子二組についても、それぞれ各受光素子からほぼ等しい距離に配置されていることは、出願当初の明細書及び図面の記載から当業者にとって自明な技術的事項であるということができる。
4 したがって、「一つの発光素子からの反射光を複数の受光素子で受光するように各受光素子からほぼ等しい距離に複数の発光素子を配置」するという構成は、出願当初の明細書又は図面から自明の事項であるということができるから、平成四年七月二二日の手続補正書によって、本件特許請求の範囲にこれを加えたことをもって、要旨の変更に当たるとすることはできない。
三 被告がイ号ないし八号物件を製造販売していることは、前記第二の五のとおりであり、そして、本件特許権の構成要件と、イ号ないし八号物件の構成を比較すれば、イ号ないし八号物件が、本件特許権の技術的範囲に属することは明らかである。
四 よって、本訴請求は理由があるからこれを認容することとし、訴訟費用の負担につき、民事訴訟法六一条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 大喜多啓光 裁判官 小島浩 裁判官 水上周)
<19>日本国特許庁(JP) <11>特許出願公告
<12>特許公報(B2) 平5-9734
<51>Int.Cl.G 01 N 21/89 B 41 F 33/14 G 07 D 7/00 議別記号 A G E 庁内整理番号 2107-2J 7119-2C 8111-3E <24><44>公告 平成5年(1993)2月5日
<54>発明の名称 乱丁監視装置
審判 平3-21662 <21>特願 昭57-207744 <65>公開 昭59-99237
<22>出願 昭57(1982)11月29日 <43>昭59(1984)6月7日
<72>発明者 須貝治夫 東京都保谷市北町2-9-4
<71>出願人 株式会社 北電子 東京都北区岩渕町28-6
代理人 弁理士 田辺徹
審判の合議体 審判長 吉村宗治 審判官 井村照雄 審判官 阿部寛
<56>参考文献 特開 昭53-39797(JP、A) 特開 昭50-150485(JP、A)
実開 昭48-98067(JP、U) 特公 昭40-3598(JP、B)
<57>特許請求の範囲
1 丁合機の折丁積台に多数の折丁を積んで、折丁積台に設けた印刷面監視センサーの発光素子から発光した光を折丁積台上の最下の折丁の印刷面に当て、その印刷面からの反射光を印刷面監視センサーの受光素子で受けて電気量に変換する構成にし、外部からの光を遮断する材料で印刷面監視センサーのフレームを形成し、監視する折丁の印刷面に対向する側の前記フレームの一面に1つの広い開口を設け、その開口に対応させてプリントボードを固定し、前記プリントボードに前記開口の範囲内で前記受光素子を所定の間隔に数多く配置し、前記受光素子に対応させて発光素子を前記開口の範囲に数多く配置し、しかも複数の発光素子からの反射光を互いにオーパーラツブさせた形受光しかつ1つの発光素子からの反射光を複数の受光素子で受光するように各受光素子からほぼ等しい距離に複数の発光素子を配置し、さらに前記プリントボード、前記受光素子及び前記発光素子をすべて前記フレーム内に固定し、最下の折丁が折丁積台上に載置された状態で前記開口だけを介して発光及び受光を行う構成にしたことを特徴とする乱丁監視装置。
発明の詳細な説明
[産業上の利用分野]
本発明は折丁を監視するための印刷面監視センサーを備えた乱丁監視装置に関するものである。
[従来の技術]
従来から使用されている印刷面監視センサーは、発光素子から被測定紙面に光を照射し、その反射光又は透過光の光量を受光素子により電気量に変換するものである。
たとえば、特開昭53-39797号公報は検出器を所定間隔毎に連続して数多く配置した紙幣等の真偽識別方式を示している。投光器と受光素子との間に紙幣を挿入して、投光器からの光を紙幣に透過させ、そのように透過された光を受光素子で受光する。
特公昭40-3598号公報は、長尺板材の連続的表面法を示している。この従来例では、1つの光源と1つの光線検知器を設け、一本の光線ピームを走査させている。
実開昭48-98067号考案は、検出器を遮光部材内に設置して受光素子に対する遮光効果を良好にして検出精度を高める光電検出装置を示している。被検出体の通過経路を挟んで、一方の側に受光器を設け、他方の側に蛋光灯を設けており、光透過方式を採用している。
特開昭50-150485号公報は、印刷紙の上方にその幅方向に並設され紙幅を検出する複数個の印刷検出ヘツドと、印刷紙の長さを判定する信号に送るタイミングセンサと、前記印刷検出ヘツドに接続され紙破れ信号を発信する装置を備えた紙破れ検出装置を示している。各印刷検出ヘツドは受光器とそれに対応する2個の投光器を備えている。このような紙破れ検出装置にあつては、印刷紙の紙幅内の検出ヘツドの1部のものによつて紙なしを検出したとき、紙破れ表示器により1部に紙破れが有ることを判定する。紙幅内の検出ヘツドの半数以上が紙なしを検出したときは、印刷中止器によつて印刷を中止する。したがつて、印刷中に、印刷紙が破れたり、印刷シリンダに巻きついて排出されないことを検出表示し、それにより、不良印刷を発見して印刷紙の破損を未然に防ぐことが出来る。
[発明が解決しようとする課題]
しかし、このような従来の紙破れ検出装置によつては、折丁の印刷面の印刷内容の異同判別のように高い精度を要する検出は行えない。紙が破れた部分では反射光がゼロであるため、受光器で受ける受光量が明確に段階的に変化するが、折丁の場合は印刷内容の異同があるだけなので受光量がそのように明確な形で変化しない。また、紙破れならば、紙にズレが生じても、どれか1つの受光器で紙破れ(つまり受光量の差)を検出すればよいが、折丁の判別では位置ズレは誤認を起こすことにつなかる。
しかも、投光器と受光器に対して特別な遮光構造を採用していないと、とくに検出装置が非常に明るい場所に設置される場合は、投光器から印刷面を経てきた反射光と投光器以外からきた他の光とが混在してしまい、検出精度が低下してしまう。
また、透過方式の従来装置は折丁の印刷面の判別には使用できない。多数の折丁を積台に積んで最下の折丁を検出する必要があるが、積台上の各折丁に光を透過することは実際上不可能である。
本発明の目的は、上記のような従来技術の欠陥を解消して、発光及び受光の際に他の光が過度に混入しないようにし、かつ折丁の印刷面がいろいろな方向にずれても正確に検出できる乱丁監視装置を提供することにある。
[課題を解決するための手段]
本発明の要旨とするところは、丁合機の折丁積台に多数の折丁を積んで、折丁積台に設けた印刷面監視センサーの発光素子から発光した光を折丁積台上の最下の折丁の印刷面に当て、その印刷面からの反射光を印刷面監視センサーの受光素子で受けて電気量に変換する構成にして、外部からの光を遮断する材料で印刷面監視センサーのフレームを形成し、監視する折丁の印刷面に対向する側の前記フレームの一面に1つの広い開口を設け、その開口に対応させてプリントボードを固定し、前記プリントボードに前記開口の範囲内で前記受光素子を所定の間隔に数多く配置し、前記受光素子に対応させて発光素子を前記開口の範囲に数多く配置し、しかも複数の発光素子からの反射光を互いにオーパーラツブさせた形で受光しかつ1つの発光素子からの反射光を複数の受光素子で受光するように各受光素子からほぼ等しい距離に複数の発光素子を配置し、さらに前記プリントポード、前記受光素子及び前記発光素子をすべて前記フレーム内に固定し、最下の折丁が折丁積台上に載置された状態で前記開口だけを介して発光及び受光を行う構成にしたことを特徴とする乱丁監視装置にある。
[発明の効果]
以上のように構成された乱丁監視装置によると、プリントボード、受光素子及び発光素子がすべてフレーム内に固定されていて、最下の折丁が折丁積台上に載置された状態でフレームの1つの開口だけを介して発光及び受光を行うように構成し、しかも、そのフレームを外部からの光を遮断する材料で形成しているので、とくに受光素子に対する遮光効果が良好であり、明るい場所でも高精度の検出が可能である。
さらに、1つの広い開口の範囲内に数多く設けた発光素子からの反射光を互いにオーパーラツブさせた形で受光するように受光素子をその1つの開口の範囲内に数多くプリントボードに配置しており、しかも、1つの発光素子から出た光が折丁の印刷面で反射された後、反射光が複数の受光素子で受光されるように各受光素子からほぼ等しい距離に複数の発光素子を配置したので、折丁の印刷面が左右方向、前後方向、高さ方向等にずれても、折丁印刷内容の異同判別に必要とされる高精度の検出が可能である。
[実施例]
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施例について説明する。
本発明による乱丁監視装置においては、印刷面監視センサー10が、フレーム11、ホルダー12、レンズブレート13、サポート14、サポート15、ペース16、サポート17、セパレータ8、受光素子18、発光素子21、プリントポード20等を備えている。
フレーム11は第2図によく示されているように全体がほぼチヤンネル形状に構成されており、監視する折丁の印刷面に対向する側の中央上方部に1つの大きな矩形状の開口11aが形成されている。フレーム11は外部からの光を遮断する材料で作る。例えば、フレーム11はアルミニウムに黒色アルマイト加工を施して作るのが望ましい。
ホルダー12はフレーム11をその内部に収容するような形状になつている。ホルダー12はフレームとは逆向きのチヤンネル形状をしており、フレーム11内をその長手方向に摺動可能に装着するようになつている。ホルダー12の上縁には内側に向つた折片12aが形成してある。ホルダー12の一端には上方に向つた折片12bが形成してある。
レンズブレート13はフレーム11の開口11aに装着する。レンズブレート13は棒状のレンズとプレートが一体になつていて、透明アクリルで製造し、鏡面仕上にするのが望ましい。もちろん、レンズブレート13はレンズとプレートを別体にしてもよいし、一方を省略してもよい。レンズブレート13の巾はフレーム11と同じ巾にしてホルダー12の上緑の折片12aによりフレーム11と一体的に保持するようになつている。
サポート14及び15はそれぞれペース16にプリントボード20を挟んで、ネジ19により固定してある。
プリントボード20は、通常の電気回路基板が採用できる。プリントボード20の中央部には複数の受光素子18が一定の間隔で一列に連続して固定してある。例えば、文庫版(A6)の場合、これらの受光素子18はその視野の直径を15mmとしたら互いに10mmの距離毎に配置する。そのような連続した配置にすれば、通常のA6版の折丁であれば、受光素子18全体の視野内についてほぼ正確な監視が可能となる。それよりも狭い間隔で連続して受光素子を配置することもできるが、その場合は不必要にコスト高になる可能性もある。もちろん、監視する折丁の印刷面の種類によつて、監視ミスあるいは判別ミスの生じる確率は変化するものであり、一概に断定することはできない。
また、受光素子18は一列配置でなく、その他の配置態様(例えば千鳥足状)にすることもできる。
受光素子18は各種のホトダイオード、例えばシーメンス社製のホトダイオードAFTIO01Wを採用することができる。このホトダイオードはフラツト形式であり、設置容積を最小限にできるというメリツトがある。
それらの受光素子18の各々の、たとえば両側の等しい距離に、それぞれ発光素子21を対にして配置する。発光素子21は発光ダイオードで構成することができ、設置スペースを節約するために小型の発光ダイオードにするのが望ましい。図示例では、プリントボード20に穴20aを形成し、そこに発光素子21を少し埋め込んだ形で固定している。もちろん、発光素子は他の態様で設置してもよい。
発光素子21は緑色の光を発光するようにすると、検出できる印刷面の色が多くなり、実用的メリツトが増える。これだと、黄色に少し弱いだけである。
本発明者等の実験によれば、第5図のように6個の発光素子及び1個の受光素子を組にして一列に連続して配置すれば、約90パーセントの確率で折丁の印刷面の異別を判定できることがわかつた。
プリントボード20の端部には前述の組とは違う一組の受光素子18’及び発光素子21’が外部からの光を遮断する形で固定されている。サポート14がコの字型に形成されていて、そのサポート14とプリントボード20とフレーム11の両側とが四角い空間23を形成している。そのため空間23には外部から光が入つて来ない。この組の受光素子18’及び発光素子21’はその空間23に配置されているのである。
プリントボード20の他方の端部側にはコネクタ24が固定してある。コネクタ24は多数の端子25をコネクタ基体26で固定した形になつており、全体がプリントボード20の端部に固着されている。1つのサポート17はそのコネクタ本体26に固定されている。
コネクタ24とサポート15との間では、発光輝度調整用の抵抗27がプリントボード20に固定されている。
プリントボード20には必要な電気配線が設けられており、受光素子18、18’、発光素子21、21’、抵抗27等がコネクタ24の端子25にそれぞれしかるべく電気的に接続されている。
空間23内の受光素子18’及び発光素子21’は温度補償機能を奏する。これらの受光素子18’及び発光素子21’は外部からの光の影響を全く受けず、周囲の温度変化のみに影響される。そのため、これらの受光素子18’及び発光素子21’は他の組の受光素子18及び発光素子21に対して温度センサーとして機能するのである。すなわち他の組の受光素子18の温度による特性の変化をこの組の受光素子18’及び発光素子21’(温度センサー)により補償または補正を行えるのである。
第10図はそのような温度補償の機能を概念的に示している。発光素子コントローラー29の制御のもとに発光素子21’から光を発光し、それを温度補償用の被測定物30に当てる。その反射光を受光素子18’で受けて、コントローラー31に送る。そのコントローラー31からの情報を補償情報として他の組の発光素子21に適用する発光素子コントローラー32に送る。その際、投光量を制御してもよいし、電気的増幅量を制御してもよい。この発光素子コントローラー32の制のもとに発光素子21を発光させて、その光を監視すべき折丁の印刷面に投光し、被測定物たる折丁の印刷面33で光を反射させる。その反射光を受光素子18で受けて、それを増幅器40に送り、判定装置すなわちコンピユータ35へ送るのである。
そのような印刷面の判別のための判定装置35は、例えば特開昭55-30668号に開示されている判定装置で行うことができる。もちろん、その他の判定装置を使つて印刷面の判別を行つてもよい。
なお、被測定物30は白色の紙をサポート14の内面に張り付けて構成することができる。
第11図は発光素子21から発光された光が折丁の印刷面により反射されて受光素子18に至る機構を簡単に説明するための図である。印刷面が第11図Cに示すようにAのレペルにあるときは、第11図Aに示すような明るさとなり、第11図(C)のBレペルに印刷面が存在するときには、第11図Bに示すような明るさとなる。内側の斜線の円形部分L、R、Cが強い光の部分で、外側の円形部分L’、R’、C’が弱い光の部分を示す。左右の円L、R、L’、R’が発光素子に対応するもので、真中の円C、C’が受光素子に対応するものである。
第1図の例では各受光素子18の両側の等しい位置に対をなして発光素子21が2列に配置されているため、レンズブレート13の表面近く(例えばAレペルやBレペルの高さ位置)では第11図A及びBに示すような光の反射状態となるのである。このような状況であると、各受光素子の上下方向の1つの発光素子においても斜め方向の2対の発光素子においても、2つの発光素子21からの発光が互いに補完し合い、レンズブレート13の表面近くでは、少しぐらい高さ位置に変化が生じても、受光素子18への反射光量に実質的な相違が見られない。
第12図はそのことを図示したものである。縦軸に反射光量のゲインGを示し、横軸にレンズブレート13からの距離Dを示している。レンズブレート13からの距離Dがある一定値に至るまでは、反射光量のゲインGはほぼ一定の状態で維持される。そのため、実質的に同一の折丁の印刷面である限り、第11図に示すAレペルでもBレペルでも、受光素子18が受ける反射光量はほぼ同じになるのである。それゆえ、最下段の折丁の印刷面が高さ方向にわずかにずれても、その高さのずれによる誤差は実質的に無視し得ることになるのである。
さらに、同一レペルでの左右・前後のズレに関しても、相当な許容度を持たせる効果がある。例えば、前述のように10mmの距離毎に配置した受光素子18の視野が印刷面上で直径15mmであるとき、その直径15mmの視野内に反射光が到来するように第5図に示すように6個の発光素子(1つの発光素子の片側に3個、反対側に3個を並べて合計6個)を設けた場合、通常の折丁であれば、多少のズレが生じても、確実な判別ができる。
第15図はそのような発光及び発光の補完関係の説明図である。受光素子18aを基準にして説明すると、その左右両隣りに10mm離れて2個の受光素子18b、18cが直線上に配置されており、それらの各受光素子18a、18b、18cの上下両側に発光素子21a~21f(合計6個)が2列に設けられている。受光素子18aの視野は印刷面上で直径15mmであるので、第11図Cからも明らかなように、プリントポード20の表面では反射光の分だけ倍加されて直径30mm(半径15)となり、3個の受光素子18a~18cと6の発光素子21a~21fがすべて便宜上示したプリントボード20表面上の視野Sの中に入る。そして1個の受光素子18aに対して2個ずつ発光素子21aと21f、21bと21e、21cと21dがそれぞれ対となつて第11~12図に示したような補完関係を持つ。しかも1つの発光素子(たとえば21b)からの光が印刷面で反射した後複数の受光素子(たとえば18a、18b、18c)で受光される。
本発明の乱丁監視装置においては、前述の印刷面監視センサー10を第13図及び第14図に示すように丁合機の折丁積台3に設置して、最下段の折丁11の印刷面を監視するようにできる。その際、最下の折丁11は印刷面監視センサー10により監視を受けた後(場合によつては監視を受けつつ)、万力その他の手段により矢印Aの方向ヘコンベア(図示せず)まで引き出される。
図面の簡単な説明
第1図はこの発明による乱丁監視装置に設ける印刷面監視センサーの好適な一例を示す斜面図である。第2図は第1図に示した印刷面監視センサーの分解図である。第3図は第1図に示した印刷面監視センサーの平面図である。第4図は第1図に示した印刷面監視センサーの側面図であり、その一部を切り欠いて示している。第5図は第4図のW-W線に沿つた断面図である。第6図は第3図のV-V線に沿つた断面図である。第7図は第3図のX-X線に沿つた断面図である。第8図は第3図のY-Y線に沿つた断面図である。第9図は第3図のZ-Z線に沿つた断面図である。第10図は、第1図に示した印刷面監視センサーの温度補償機構の概念を示すための概略図である。第11図は本発明の乱丁監視装置に設ける印刷面監視センサーによる位置ずれ補正機構を示す説明図である。第12図は本発明装置で使用する印刷面監視センサーにおける印刷面の位置ずれとゲインとの関係を示すグラフである。第13図は、この発明の乱丁監視装置の例を示す平面図である。第14図は第13図に示した乱丁監視装置の概略側面図である。第15図は第5図の一部を抜き山して発光及び受光の補完関係を示した説明図である。
11……フレーム、12……ホルダー、13……レンズブレート、14、15、17……サポート、16……ペース、18……受光素子、20……プリントボード、21……発光素子、27……抵抗。
第1図
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第2図
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第3図
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第4図
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第5図
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第6図
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第7図
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第8図
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第9図
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第10図
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第11図
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第12図
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第13図
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第14図
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第15図
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特許願
昭和57年11月29日
特許庁長官 若杉和夫殿
1.発明の名称
印刷面監視センサー
2.発明者
住所 東京都保谷市北町2-9-4
氏名 須貝治夫
3.特許出願人
住所 東京都北区岩渕町28-6
名称 株式会社 北電子
代表者 小林信樹
4.代理人
住所 東京都港区西新橋2-39-8鈴丸ビル
氏名 弁理士(7453)田辺徹
5.添付書類の目録
(1)明細書 1通
(2)図面 1通
(3)願書副本 1通
(4)委任状 1通
同日提出の特許願(1)に添付のものを援用する。
明細書
1.発明の名称
印刷面監視センサー
2.特許請求の範囲
発光素子から発光した光を印刷面に当て、その反射光を受光素子で受けて電気量に変換して印刷面を監視するための印刷面監視センサーにおいて、複数の受光素子を所定の間隔で固定し、それらの受光素子の各々の両側の等しい距離にそれぞれ発光素子を対にして配置し、被測定面の印刷面から発光素子及び受光素子までの距離の変化に起因する反射光量の変化を補正する構成にしたことを特徴とする印刷面監視センサー。
3.発明の詳細な説明
本発明は紙面その他の印刷面を監視するための印刷面監視センサーに関するものである。
従来から使用されている印刷面監視センサー例えば紙面監視センサーは、発光素子から被測定紙面に光を照射し、その反射光の光量を受光素子により電気量に変換するものである。
第13図(A)(B)は、従来のセンサーの概略を示したものである。まず第13図(A)に示すように、発光素子つまりランブ4よりの光は折丁の最下の紙面5で反射し、受光素子6により紙面5の明るさに比例した電気量に変換される。ランプ4から紙面5までの距離L1と紙面5から受光素子6までの距離L2の和(L1+L2)が常に一定でなければ正しい測定は行なえない。しかし、折丁や紙の厚み、紙の歪みや曲り、丁合機の調子等によってL1+L2が変化する場合がある。例えば、矢印×の方向へ△Lだけ変化すると、L1+L2は(L1+△L)+(L2+△L)となり、この2乗に比例して明るさは減少する。第14図参照。その結果、「L1+L2=一定」の関係が維持できず、L1+L2の変化をセンサーは明るさの変化と感じてしまう。また、第13図(B)に示すように、紙面の高さレベルが変化すると、光軸が受光素子6からずれてしまう。そのため、同一紙面を異種紙面と判定してしまう。
本発明の目的は、上記のような従来技術の欠陥を解消して、発光素子及び受光素子と被測定面との距離に少し変化が生じても光量の変化を補正することができる印刷面監視センサーを提供することにある。
本発明の要旨とするところは、発光素子から発光した光を印刷面に当て、その反射光を受光素子で受けて電気量に変換して印刷面を監視するための印刷面監視センサーにおいて、複数の受光素子を所定の間隔で固定し、それらの受光素子の各々の両側の等しい距離にそれぞれ発光素子を対にして配置し、被測定面の印刷面から発光素子及び受光素子までの距離の変化に起因する反射光量の変化を補正する構成にしたことを特徴とする印刷面監視センサーにある。
以上のように構成された印刷面監視センサーによると、印刷面の距離方向のズレの影響を排除し、印刷面の微細な変化でも判別可能となる。紙の厚みや丁合機の上下振動等にかかわりなく、乱丁その他の監視装置を正確に動作させることができ、大きな効果を奏する。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例について説明する。
この発明による印刷面監視センサー10は、フレーム11、ホルダー12、レンズブレート13、サボート14、サポート15、ベース16、サポート17、セパレータ8、受光素子18、発光素子21、プリントボード20等を備えている。
フレーム11は第2図によく示されているように全体がほぼチャンネル形状に構成されており、中央上方部に大きな矩形状の開口11aが形成されている。フレーム11は外部からの光を遮断する材料で作る。例えば、フレーム11はアルミニゥムに黒色アルマイト加工を施して作るのが望ましい。
ホルダー12はフレーム11をその内部に収容するような形状になっている。ホルダー12はフレームとは逆向きのチャンネル形状をしており、フレーム11内をその長手方向に摺動可能に装着するようになっている。ホルダー12の上縁には内側に向った折片12aが形成してある。ホルダー12の一端には上方に向った折片12bが形成してある。
レンズブレート13はフレーム11の開口11aに装着する。レンズブレート13は透明アクリルで製造し、鏡面仕上にするのが望ましい。レンズプレート13の巾はフレーム11と同じ巾にしてホルダー12の上縁の折片12aによりフレーム11と一体的に保持するようになっている。
サボート14及び15はそれぞれベース16にプリントボード20を挟んで、ネジ19により固定してある。
プリントボード20は基体の一例であり、通常の電気回路基板が採用できる。プリントボード20の中央部には複数の受光素子18が一定の間隔で一列に固定してある。例えば、文庫版(A6)の場合、これらの受光素子18はその視野の直径を15mmとしたら互いに10mmの距離毎に配置できる。そのような配置にすれば、通常のA6版の印刷物であれば、ほぼ正確な監視が可能となる。それよりも狭い間隔で受光素子を配置することもできるが、その場合は不必要にコスト高になる可能性もある。もちろん、測定する印刷面の種類によって、監視ミスあるいは判別ミスの生じる確率は変化するものであり、一概に断定することはできない。
また、受光素子18は一列配置でなく、その他の配置態様(例えば千鳥足状)にすることもできる。
受光素子18はホトダィォード、例えばシーメンス社製のホトダイオードAFT1001Wを採用することができる。このホトダイオードはフラット形式であり、設置容積を最小限にできるというメリットがある。
それらの受光素子18の各々の両側の等しい距離にそれぞれ発光素子21を対にして配置する。発光素子21は発光ダイオードで構成することができ、設置スペースを節約するために小型の発光ダイオードにするのが望ましい。図示例では、プリントボード20に穴20aを形成し、そこに発光素子21を少し埋め込んだ形で固定している。
発光素子21は緑色にすると、検出できる印刷面の色が多くなり、実用的メリットが増える。黄色に少し弱いだけである。
1つの受光素子18とその両側の発光素子21とを一組として、多数の組が一列状、千鳥足状その他の形態で配置されているのである。
本発明者等の実験によれば、6組の発光素子及び受光素子を一列に配置すれば、約90パーセントの確率で印刷面の異別を判定できることがわかった。10組採用すれは、ほぼ100パーセント近い確率になった。
プリントボード20の端部には前述の組とは違う一組の受光素子18’及び発光素子21’が外部からの光を遮断する形で固定されている。サポート14がコの字型に形成されていて、そのサポート14とプリントボード20とフレーム11の両側とが四角い空間23を形成している。そのため空間23には外部から光が入って来ない。この組の受光素子18’及び発光素子21’はその空間23に配置されているのである。
プリントボード20の他方の端部側にはコネクタ24が固定してある。コネクタ24は多数の端子25をコネクタ基体26で固定した形になっており、全体がプリントボード20の端部に固着されている。1つのサボート17はそのコネクタ本体26に固定されている。
コネクタ24とサポート15との間では、発光輝度調整用の抵抗27がプリントボード20に固定されている。
プリントボード20には必要な電気配線が設けられており、受光素子18、18’、発光素子21、21’、抵抗27等がコネクタ24の端子25にそれぞれしかるべく電気的に接続されている。
空間23内の受光素子18’及び発光素子21’は温度補償機能を奏する。これらの受光素子18’及び発光素子21’は外部からの光の影響を全く受けず、周囲の温度変化のみに影響される。そのため、これらの受光素子18’及び発光素子21’は他の組の受光素子18及び発光素子21に対して温度センサーとして機能するのである。すなわち他の組の受光素子18の温度による特性の変化をこの組の受光素子18’及び発光素子21’(温度センサー)により補償または補正を行うのである。
第10図はそのような温度補償の機能を概念的に示している。発光素子コントローラー29の制御のもとに発光素子21’から光を発光し、それを温度補償用の被測定物30に当てる。その反射光を受光素子18’で受けて、コントローラー31に送る。そのコントローラー31からの情報を補償情報として他の組の発光素子21に適用する発光素子コントローラー32に送る。その際、投光量を制御してもよいし、電気的増幅量を制御してもよい。この発光素子コントローラー32の制御のもとに発光素子21を発光させて、その光を測定すべき印刷面に投光し、被測定物たる印刷物の印刷面33で光を反射させる。その反射光を受光素子18で受けて、それを増幅器40に送り、判定装置すなわちコンピュータ35へ送るのである。
そのような印刷面の判別のための判定装置35は、例えば特願昭54-12246号に開示されている判定装置で行うことができる。もちろん、その他の判定装置を使って印刷面の判別を行ってもよい。
なお、被測定物30は白色の紙をサポート14の内面に張り付けて構成することができる。
第11図は発光素子21から発光された光が印刷面により反射されて受光素子18に至る機構を簡単に説明するための図である。印刷面が第11図(C)に示すようにAのレベルにあるときは、第11図(A)に示すような明るさとなり、第11図(C)のBレベルに印刷面が存在するときには、第11図(B)に示すような明るさとなる。内側の斜線の円形部分L、R、Cが強い光の部分で、外側の円形部分L’、R’、C’が弱い光の部分を示す。左右の円L、R、L’、R’が発光素子に対応するもので、真中の円C、C’が受光素子に対応するものである。
受光素子18の両側の等しい位置に対をなして発光素子21が配置されているため、レンズプレート13の表面近く(例えばAレベルやBレベルの高さ位置)では第11図(A)及び(B)に示すような光の反射状態となるのである。このような状況であると、2つの発光素子21からの発光が互いに補完し合い、レンズプレート13の表面近くでは、少しぐらい高さ位置に変化が生じても、受光素子18への反射光量に実質的な相違が見られない。
第12図はそのことを図示したものである。縦軸に反射光量のゲインGを示し、横軸にレンズプレート13からの距離Dを示している。レンズプレート13からの距離Dがある一定値に至るまでは、反射光量のゲインGはほぼ一定の状態で維持される。そのため、同一の印刷面である限り、第11図に示すAレベルでもBレベルでも、受光素子18が受ける反射光量はほぼ同じになるのである。それゆえ、印刷面が高さ方向にわずかにずれても、その高さのずれによる誤差は実質的に無視し得ることになるのである。
これに反し、第13図に示すような従来の印刷面監視センサーであると、第14図に示すように所定位置からの距離Dがわずかでもずれると、ゲインGは極端に降下してしまう。それゆえ、監視すべき印刷面がわずかでも高さ方向にずれると、監視ミスが多発することになるのである。
さらに、同一レベルでの左右・前後のズレに関しても、相当な許容度を持たせる効果がある。例えば、受光素子18の視野が直径15mmであるとき、通常の印刷物であれば、多少のズレが生じても、確実な判別ができる。
本発明の印刷面監視センサー10を乱丁監視装置に使用する場合には、第15図及び第16図に示すように、丁合機の折丁積台3に設置して、折丁11の最下段の紙面を監視するようにできる。その際、折丁11は印刷面監視センサー10により監視を受けた後(場合によっては監視を受けつつ)、万力その他の手段により矢印Aの方向ヘコンペア(図示せず)まで引き出される。
なお、この発明による印刷面監視センサーは、乱丁監視装置に適用すると最も効果的であるが、そのような実施態様のみに限定されるものではない。
4.図面の簡単な説明
第1図はこの発明による印刷面監視センサーの一例を示す斜面図である。
第2図は第1図に示した印刷面監視センサーの分解図である。
第3図は第1図に示した印刷面監視センサーの平面図である。
第4図は第1図に示した印刷面監視センサーの側面図であり、その一部を切り変えて示している。
第5図は第4図のW-W線に沿った断面図である。
第6図は第3図のV-V線に沿った断面図である。
第7図は第3図のX-X線に沿った断面図である。
第8図は第3図のY-Y線に沿った断面図である。
第9図は第3図のZ-Z線に沿った断面図である。
第10図は、第1図に示した印刷面監視センサーの温度補償機構の考え方を示すための概略図である。
第11図は本発明の印刷面監視センサーによる位置ずれ補正機構を示す説明図である。
第12図は本発明による印刷面監視センサーにおける印刷面の位置ずれとゲインとの関係を示すグラフである。
第13図(A)(B)は従来の印刷面監視センサーを示す概略説明図である。
第14図は第13図に示した従来装置の紙面の位置ずれとゲインとの関係を示すグラフである。
第15図は、この発明の印刷面監視センサーを乱丁監視装置に適用した例を示す平面図である。
第16図は第15図に示した装置の概略側面図である。
11・・・・・フレーム
12・・・・・ホルダー
13・・・・・レンズプレート
14、15、17・・サポート
16・・・・・ベース
18・・・・・受光素子
20・・・・・プリントボード
21・・・・・発光素子
27・・・・・抵抗
40・・・・・増幅器
特許出願人 株式会社 北電子
代理人 弁理士 田辺徹
第1図
<省略>
第2図
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第3図
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第4図
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第5図
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第6図
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第7図
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第8図
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第9図
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第10図
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第11図
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第12図
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第13図
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第14図
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第15図
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第16図
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別紙一 第一物件目録
一 名称
乱丁防止装置
二 図面の簡単な説明
第一図は丁合機の折丁積台に乱丁防止装置用の印刷面検出センサーを設けた状態を示す平面図、第二図は折丁積台の上に多数の折丁を積んだ状態を見やすくするために部分的に誇張し且つプリントボード上の発光素子や受光素子等を省略して示す、第一図のX-X線に沿った断面図、第三図は、第一図の印刷面検出センサーの発光素子と受光素子の配置構成を示す説明図である。
三 説明
露出上方部の全体がほぼ長方形になるように印刷面検出センサー3が丁合機の折丁積台1にネジ11で固定されている。
その折丁積台1と印刷面検出センサー3の上に多数の折丁2を積んで、折丁積台1に設けた印刷面検出センサー3の発光素子4から発光した光を折丁積台1の最下の折丁2の印刷面に当て、その印刷面からの反射光を印刷面検出センサー3の受光素子5で受けて電気量に変換し、印刷面の異同を検出して、導線12を介してプリントボード7の電気回路に接続された制御装置10により乱丁を監視する。
折丁積台1の一端部には矩形の孔を形成し、そこに印刷面検出センサー3をネジ11で固定する。外部からの光を遮断する材料で印刷面検出センサー3のフレーム6を箱状に形成する。フレーム6は、枠体の底部に底板を接着固定して形成してある。監視する折丁2の印刷面に対向する印刷面側の前記フレーム6の上面に一つの広い長方形の開口8を設け、そこにその開口8の全体をカバーするように透明ガラス板9を固定する。
フレーム6の中にその開口8及び透明ガラス板9に沿ってプリントボード7を固定し、そのプリントボード7上に前記開口8の範囲内で前記受光素子5を一定の間隔毎に数多く(少なくとも三個)第三図の横方向の直線(二本の鎖線で示してある)に沿って配置してプリントボード7の電気回路に接続する。
受光素子5に沿って受光素子5と対になるように前記開口8の範囲内でプリントボード7上に発光素子4が数多く配置してある。
もつと具体的にいえば、一個の受光素子5の前後左右に、それぞれ一個の発光素子4をその受光素子5と所定の距離(縦方向)及び間隔(横方向)をもって配置した一組のセンサー素子を構成している。
互いに隣り合う受光素子5の間の発光素子4は同一の一個で兼ねている。このようなセンサー素子を横方向に六組、二列、それぞれ対応させて配置してセンサーの検出面を形成している。
複数の受光素子5の各々が前後左右の四個の発光素子4から発光された光を受光する。換言すれば、一個の受光素子5に沿って四個の発光素子4が等間隔に配置されている。各受光素子5の両側に二個の発光素子4は受光素子5からほぼ等しい距離に位置している。
しかも、複数の発光素子4からの反射光を互いにオーバーラップさせた形で受光しかつ一つの発光素子4からの反射光を複数の受光素子5で受光するように複数の発光素子4を配置している。そして、複数の受光素子5の各々が複数の発光素子4から発光された光を同時に受光する。
更に、前記プリントボード7、前記受光素子5及び前記発光素子4をすべて透明ガラス板9と前記フレーム6の中に固定し、最下の折丁2が折丁積台1上に載置された状態で前記開口8及び透明ガラス板9だけを介して発光及び受光を行う。前記開口8及び透明ガラス板9以外からは光が受光素子5に到達しないようになっている。
目録(一)
<省略>
別紙二 第二物件目録
一 名称
乱丁防止装置
二 図面の簡単な説明
第一図は丁合機の折丁積台に乱丁防止装置用の印刷面検出センサーを設けた状態を示す平面図、第二図は折丁積台の上に多数の折丁を積んだ状態を見やすくするために部分的に誇張し且つプリントボード上の発光素子や受光素子等を省略して示す、第一図のX-X線に沿った断面図、第三図は、第一図の印刷面検出センサーの発光素子と受光素子の配置構成を示す説明図である。
三 説明
露出上方部の全体がほぼ楕円形になるように印刷面検出センサー3が丁合機の折丁積台1にネジ11で固定されている。
その折丁積台1と印刷面検出センサー3の上に多数の折丁2を積んで、折丁積台1に設けた印刷面検出センサー3の発光素子4から発光した光を折丁積台1上の最下の折丁2の印刷面に当て、その印刷面からの反射光を印刷面検出センサー3の受光素子5で受けて電気量に変換し、印刷面の異同を検出して、導線12を介してプリントボード7の電気回路に接続された制御装置10により乱丁を監視する。
折丁積台1の一端部にほぼ楕円形の孔を形成し、そこに印刷面検出センサー3をネジ11で固定する。外部からの光を遮断する材料で印刷面検出センサー3のフレーム6を箱状に形成する。フレーム6は、枠体の底部に底板を接着固定して形成してある。監視する折丁2の印刷面に対向する印刷面側の前記フレーム6の上面に一つの広い楕円形の開口8を設け、そこにその開口8の全体をカバーするように透明ガラス板9を固定する。
フレーム6の中にその開口8及び透明ガラス板9に沿ってプリントボード7を固定し、そのプリントボード7上に前記開口8の範囲内で前記受光素子5を一定の間隔毎に数多く(少なくとも三個)第三図の横方向の直線(二本の鎖線で示してある)に沿って配置してプリントボード7の電気回路に接続する。
受光素子5に沿って受光素子5と対になるように前記開口8の範囲内でプリントボード上に発光素子4が数多く配置してある。
もっと具体的にいえば、一個の受光素子5の前後左右に、それぞれ一個の発光素子4をその受光素子5と所定の距離(縦方向)及び間隔(横方向)をもって配置した一組のセンサー素子を構成している。
互いに隣り合う受光素子5の間の発光素子4は同一の一個で兼ねたものを使用している。横直線方向に五組、三列、それぞれセンサー素子を対応させて配置してセンサーの検出面を形成している。
且つ複数の受光素子5の各々が前後左右の四個の発光素子4から発光された光を受光する。換言すれば、プリントボード7上に発光素子4が数多く配置してあり、一個の受光素子5に沿って四個の発光素子4が等間隔に配置されている。各受光素子5の両側の二個の発光素子4は受光素子5からほぼ等しい距離に位置している。
しかも、複数の発光素子4からの反射光を互いにオーバーラップさせた形で受光し且つ一つの発光素子4からの反射光を複数の受光素子5で受光するように複数の発光素子4を配置している。そして、複数の受光素子5の各々が複数の発光素子4から発光された光を同時に受光する。
更に、前記プリントボード7、前記受光素子5及び前記発光素子4をすべて透明ガラス板9と前記フレーム6の中に固定し、最下の折丁2が折丁積台1上に載置された状態で前記開口8及び透明ガラス板9だけを介して発光及び受光を行う。前記開口8及び透明ガラス板9以外からは光が受光素子5に到達しないようになっている。
目録(二)
<省略>
別紙三 第三物件目録
一 名称
乱丁防止装置
二 図面の簡単な説明
第一図は丁合機の折丁積台に乱丁防止装置用の印刷面検出センサーを設けた状態を示す平面図、第二図は折丁積台の上に多数の折丁を積んだ状態を見やすくするために部分的に誇張し且つプリントボード上の発光素子や受光素子等を省略して示す、第一図のX-X線に沿った断面図、第三図は、第一図の印刷面検出センサーの発光素子と受光素子の配置構成を示す説明図である。
三 説明
露出上方部の全体がほぼ円形になるように印刷面検出センサー3が各印刷面に対し二個ずつ丁合機の折丁積台1にネジ11で固定されている。
その折丁積台1と印刷面検出センサー3の上に多数の折丁2を積んで、折丁積台1に設けた二個の印刷面検出センサー3の発光素子4から発光した光を折丁積台1上の最下の折丁2の印刷面に当て、その印刷面からの反射光を印刷面検出センサー3の受光素子5で受けて電気量に変換し、印刷面の異同を検出して、導線12を介してプリントボード7の電気回路に接続された制御装置10により乱丁を監視する。
折丁積台1の一端部にほぼ円形の孔を形成し、そこに印刷面検出センサー3をネジ11で固定する。外部からの光を遮断する材料で印刷面検出センサー3のフレーム6を箱状に形成する。フレーム6は、枠体の底部に底板を接着固定して形成してある。監視する折丁2の印刷面に対向する印刷面側の前記フレーム6の上面に一つの広い円形の開口8を設け、その開口8の全体をカバーするように透明ガラス板9を設ける。
フレーム6の中にその開口8及び透明ガラス板9に沿ってプリントボード7を固定し、そのプリントボード7上に前記開口8の範囲内で前記受光素子5を一定の間隔毎に数多く(少なくとも三個)第三図の斜め方向の直線(四本の鎖線で示してある)に沿って配置してプリントボード7の電気回路に接続する。
一個の受光素子5の前後左右にそれぞれ一個の発光素子4をその受光素子5と所定の距離(縦方向)及び間隔(横方向)をもって配置した一組のセンサー素子が構成されている。横方向及び耐え方向において互いに隣り合う受光素子5の間の発光素子4は同一の一個で兼ねている。
六組のセンサー素子でセンサーの検出面を形成している。
複数の受光素子5の各々が前後左右の四個の発光素子4から発光された光を受光する。換言すれば、受光素子5に沿って受光素子5と対になるように前記開口8の範囲内にプリントボード7上に発光素子4が数多く配置してあり、一個の受光素子5に沿って四個の発光素子4が等間隔に配置されている。各受光素子5の両側の二個の発光素子4は受光素子5からほぼ等しい距離に位置している。
しかも、複数の発光素子4からの反射光を互いにオーバーラップさせた形で受光し且つ一つの発光素子4からの反射光を複数の受光素子5で受光するように複数の発光素子4を配置している。そして、複数の受光素子5の各々が複数の発光素子4から発光された光を同時に受光する。
更に、前記プリントボード7、前記受光素子5及び前記発光素子4をすべて透明ガラス板9と前記フレーム6の中に固定し、最下の折丁2が折丁積台1上に載置された状態で前記開口8及び透明ガラス板9だけを介して発光及び受光を行う。前記開口8及び透明ガラス板9以外からは光が受光素子5に到達しないようになっている。
目録(三)
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別紙四 参考図A
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別紙五 参考図B
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別紙六 参考図C
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別紙七 参考図D
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別紙八 参考図E
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特許公報
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