大判例

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浦和地方裁判所 昭和44年(わ)697号 判決

被告会社

本店所在地

埼玉県鴻巣市本町一丁目五番二十二号

株式会社 黒沢薬局

右代表者代表取締役

黒沢覚太郎

被告人

本籍

埼玉県鴻巣市本町一丁目二千八百五十四番地

住居

前同市本町一丁目五番二十二号

会社役員

黒沢覚太郎

大正七年十一月十九日生

宣告の日

昭和四十七年三月四日

裁判所

浦和地方裁判所

裁判官

宮脇辰雄

検察官

北島敬介

罪名

法人税法違反

判決主文

被告人黒沢覚太郎を徴役五月に処する。

但しこの裁判確定の日から弐年間右刑の執行を猶予する。

被告会社を罰金五百萬円に処する。

罪となるべき事実の要旨

被告会社は埼玉県鴻巣市本町一丁目五番二十二号に本店を設け各種医薬品、工業薬品、試薬品の仕入販売、各種農薬、化粧品、衛生材料、肥料の仕入販売等を営業目的とする資本金六十万円の株式会社であり、被告人は当時右会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括していたものであるが、被告人は被告会社の業務に関し法人税を逋脱しようと企て

第一、昭和四十年十二月一日から同四十一年十一月三十日迄の事業年度に於て、被告会社の所得金額は二千八百十三万七千三百九十四円で、これに対する法人税額は九百九十一万六千五百円であるにもかかわらず、同会社の売上の一部を正規帳簿から脱漏除外する等の方法によって得た資金を架空名義等で預け入れる等不正の方法によりその所得の一部を故意に隠匿した上、昭和四十二年一月二十八日、埼玉県大宮市所在の所轄大宮税務署において、同署長に対し、同事業年度における同会社の法人税確定申告をするにあたり、その所得金額は、四百四万五千三百八十四円、これに対する法人税額は百二十四万三千五百六十円である旨過少に記載した虚偽の法人税額の確定申告書を提出しよって不正の行為によりその差額八百六十七万二千九百円の法人税を逋脱し

第二、昭和四十一年十二月一日から、同四十二年十一月三十日迄の事業年度に於て、被告会社の所得金額は二千七百五十一万六千百一円で、これに対する法人税額は九百三十八万四千五百円であるにもかかわらず、前記第一と同様の方法によりその所得の一部を故意に隠匿した上、昭和四十三年一月三十一日前記大宮税務署において同署長に対し、同事業年度における同会社の法人税確定申告をするにあたり、その所得金額は、三百九十五万六千六百六十二円これに対する法人税額は百十三万八千五百円である旨過少に記載した虚偽の法人税額の確定申告書を提出し、よって不正の行為により、その差額八百二十四万六千円の法人税を逋脱し

第三、昭和四十二年十二月一日から同四十三年十一月三十日迄の事業年度に於て被告会社の所得金額は三千二百四十三万二百九十六円で、これに対する法人税額は千百八万六千三百円であるにもかかわらず、前記第一と同様の方法により、その所得の一部を故意に隠匿した上、昭和四十四年一月三十一日、前記大宮税務署において同署長に対し、同事業年度における同会社の法人税確定申告をするにあたり、その所得金額は八百八十三万三千二百五十四円、これに対する法人税額は二百八十二万七千三百円である旨過少に記載した虚偽の法人税額の確定申告書を提出し、よって不正の行為によりその差額八百二十五万九千円の法人税を逋脱し

たものである。

適用した罰条

法に照すに、判示各所為は、法人税法第百五十九条第一項、罰金等臨時措置法第二条に該当するが、所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上は刑法第四十五条前段の併合罪であるから同法第四十七条本文、第十条により最も重き判示第一の罪につき定めた刑に法定の加重をした刑期範囲内で処断すべく、右被告人の判示各所為は被告会社の業務に関してなされたものであるから法人税法第百六十四条第一項に従い、同法第百五十九条第一項を適用し所定刑中罰金刑を選択し、以上は刑法第四十五条前段の併合罪であるから同法第四十八条を適用してその合算額の範囲内で処断すべきところ、情状について考えてみるに本件は判示の通り売上金の一部を正規帳簿から除外し、架空名義の銀行預金の蓄積という手段で所得を秘匿して合計金二千五百十七万円余の脱税をしたことは情状決して軽いとはいえない。併し乍ら反面被告人はこれ迄前科もないこと、本件に関し、脱税の本税、加算税、延滞税等合計九千五百八十二万円余を納入していること、これらの事情を考慮して被告人を懲役五月に処し、情状に因り刑法第二十五条第一項を適用してこの裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予し、被告会社に対し罰金五百万円に処することとし、訴訟費用につき刑事訴訟法第一八一条第一項但書を適用してこれを被告人及び被告会社に負担させないこととする。

昭和四十七年三月二十一日

裁判所書記官 細田親保

(裁判官 宮脇辰雄)

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