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浦和地方裁判所 昭和47年(ワ)811号・昭48年(ワ)141号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【判旨】

四そこで、土地改良法に基づき、従前の土地に関して一時利用地の指定および換地処分がなされた場合に、所有権の取得時効の要件として、右従前の土地、一時利用地、換地に対する各占有を通算できるかどうかを検討することとする。

土地改良法は、前記改正の前後を通じ、所有権その他の本権に基づく従前の土地の使用収益権能については、一時利用地の指定により、従前の土地に対するのと同一の条件のもとに、一時利用地にこれを行使できる旨を定め、同時に、右指定後においては、従前の土地について所有権その他の本権を有する者は、従前の土地に対する使用収益権を停止される旨規定している(前記改正前の土地改良法五一条、現行同法五三条の五)。これは本権に基づく従前の土地に対する利用関係を保護することを目的とし、従前の土地に対する使用収益権能を同質性を保つたまま、一時利用地に設定承継させようとするものにほかならない。ところで、一方、取得時効の要件としての占有は、単に占有という事実状態そのものにとどまるものではなく、取得時効の制度が、一定期間存続した占有という事実状態を保護し、これを観念的な権利関係にまで高めようとする制度である以上、終局的には占有の基礎となる所有権その他の本権そのものの取得を目ざすものであり、それが事実状態であるというだけで観念的な本権と全く切り離して考えることはできないものである。そしてまた、我が民法が一八七条において、占有者の交替による占有の承継を認めていることは、占有そのものを単に事実状態としてのみとらえているのではなく、観念的な要素を含む一面のあることを認めているものといえる。したがつて、取得時効の要件としての占有についても、従前の土地を占有していた者が、一時利用地の指定にともない、一時利用地の占有を開始し、従前の土地と一時利用地との間に占有の態様に変化がない場合には、その間の占有承継を認めるのが相当であり、またこのことは、一時利用地と換地との間の占有の承継についても、同様に解すべきものであつて、取得時効に関するかぎり、従前の土地、一時利用地、換地を通じ順次占有が承継された場合には、その間の占有期間を通算すべきものと考えるのが相当である。

五本件についてみるに、前記三で認定したとおり、被告は昭和三五年一一月一日以降、一時利用地の指定までは本件従前の土地を、一時利用地の指定後、換地処分がなされるまでは一時利用地である砂田一九八三番の土地を、更に換地処分後、少くとも昭和四六年ころまでは本件土地を、それぞれ本件従前の土地または本件土地を所有する意思をもつて、平穏、公然に占有を継続し、かつ、右占有のはじめにおいて善意、無過失であつたことが認められるので、昭和四五年一一月一日、時効期間の満了にともない、被告は遡及的に本件従前の土地の所有権を取得したことになり、その結果、換地処分の効果として本件従前の土地に対する換地として、本件土地の所有権を時効取得したものと認めるのが相当である。

(柿沼久 雨宮則夫 吉田恭弘)

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