大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

浦和地方裁判所 昭和48年(わ)777号 判決 1976年2月04日

本店所在地

埼玉県春日部市中央一丁目五番五号

商号

東栄不動産株式会社

右代表取締役

高橋水雄

本籍ならびに住居

埼玉県越谷市大字上間久里八七六番地の三

会社役員

高橋水雄

昭和一〇年四月三〇日生

右両名に対する各法人税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官伊藤実出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人東栄不動産株式会社を罰金八〇〇万円に、被告人高橋水雄を懲役一〇月に、各処する。

本裁判確定の日から被告人高橋水雄に対し、三年間右刑の執行を猶予する。

訴訟費用は被告人両名の連帯負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社東栄不動産株式会社は、埼玉県春日部市中央一丁目五番地五号(当時同市大字備後六九番地)に本店を置き、不動産売買等を事業目的とする資本金八〇〇万円の株式会社、被告人高橋水雄は、被告会社の代表取締役として、その業務全般を統括しているものであるところ、被告人高橋水雄は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上げの一部を除外し、架空仕入を計上するなどの行為により、所得の一部を秘匿したうえ

第一  昭和四四年九月一日から同四五年八月三一日までの事業年度において、被告会社の実際所得金額が一六、四一〇、七五五円で、これに対する法人税額は五、七六八、一〇〇円であるのにかかわらず、同四五年一〇月三一日、春日部市大字粕壁字浜川戸五、四三五番地の一春日部税務署において、同税務署長に対し、所得金額が四、七二七、四〇二円で、これに対する法人税額は、一、四七四、六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により右事業年度の法人税額四、二九三、五〇〇円を免れ

第二  昭和四五年九月一日から同四六年八月三一日までの事業年度において、被告会社の実際所得金額が八六、九一七、三〇一円で、これに対する法人税額は三一、六七九、四〇〇円であるのにかかわらず、同四六年一一月一日、前記春日部税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一〇、一〇六、六九七円で、これに対する法人税額は三、四五一、四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により右事業年度の法人税額二八、二二八、〇〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

一、被告人(兼被告人会社代表者、以下単に被告人という)高橋水雄の当公判廷における供述

一、被告人高橋水雄の検察官に対する各供述調書

一、被告人高橋水雄作成の上申書

一、証人菱沼松次、同菱沼桂造、同上原文雄の当公判廷における各供述

一、高橋コウ、高木好郎、服部春吉、金井嘉男、大矢絹子、菱沼イク、鈴木敬治、星野実、沢田良夫、仁平享、関順造、小林克生の検察官に対する各供述調書

一、沢田良夫(二通)、沢田四郎吉、川添正、荒蒔春弥の大蔵事務官に対する各答申書

一、春日部税務署長作成の証明書二通

一、大蔵事務官作成の

1  不動産取引内訳調査書

2  補充調査事項一覧表

3  北欧売上明細表

4  同一物件売買(コロガシ)調査表

5  経費元帳(二冊)

一、押収にかかる売渡契約書二綴(昭和四九年押第一八〇号の一、二)譲渡担保設定契約書一綴(同号の三)、土地売買契約書一綴(同号の四)

(法令の適用)

被告人東栄不動産株式会社の判示第一、第二の各所為はいずれも法人税法一五九条一項、一六四条一項に該当するが、以上は刑法四五条前段の併合罪なので同法四八条二項により各罪所定の罰金の合算額の範囲内で同被告人を罰金八〇〇万円に処することとし、被告人高橋水雄の判示第一、第二の各所為はいずれも法人税法一五九条一項に該当するので、所定刑中各懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪なので、同法四七条本文、一〇条により犯情重い判示第二の罪の刑に法定の加重をし、所定刑期の範囲内で同被告人を懲役一〇月に処し、情状により同法二五条一項を適用して同被告人に対し、本裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予することとし、訴訟費用は刑事訴訟法一八一条一項本文、一八二条により被告人両名に連帯して負担させる。

よつて、主文のとおり判決する。

(裁判官 中野保昭)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例