浦和地方裁判所 昭和50年(わ)1536号 判決 1976年5月24日
本店所在地
埼玉県川越市大字藤間二一〇番地
名称
特殊鋼管(株)
代表者
代表取締役社長 太田精一郎
本籍
埼玉県川越市宮元町五番地一二
住居
埼玉県所沢市金山町七番六号
会社役員
太田精一郎
明治四一年六月二日生
出席検察官
大山泰造
主文
被告人特殊鋼管(株)を罰金五〇〇万円に、被告人太田精一郎を懲役八月に処する。
被告人太田精一郎に対しこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。
理由
(罪となる事実)
被告人特殊鋼管(株)(以下、被告会社という)は、埼玉県川越市大字藤間二一〇番地に本店を置き、鋼管鋼材の製造ならびに加工販売等を事業目的とする資本金二、〇〇〇万円の株式会社であり、被告人太田精一郎は、昭和三六年の設立以来被告会社の代表取締役社長として、その業務全般を統括しているものであるところ、
第一 被告人太田精一郎は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、材料および不良品等のたな卸を除外し、ステンレス屑および不良品等の売上の一部を除外するなどの行為により、所得の一部を秘匿したうえ、昭和四八年五月一日から翌四九年四月三〇日までの事業年度において、被告会社の実際所得金額が一億一、八九三万一、九〇〇円で、これに対する正規の法人税額は四、二二八万三、九〇〇円であるのにかかわらず、同四九年六月二九日、同市三光町三六番地の一、川越税務署において同署長に対し、所得金額が五、五五三万二、三五七円で、これに対する法人税額は一、八九九万〇、三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出して、翌三〇日の確定申告期限を徒過し、もつて不正の行為により被告会社をして右事業年度の法人税額二、三二九万三、六〇〇円を免れしめる違反行為をし
第二 被告会社は、代表者代表取締役太田精一郎の業務に関する前記不正行為により前記のとおりの法人税を免れたものである。
(証拠)
一、第一回公判調書中、被告人兼被告会社代表者太田精一郎の供述部分
一、同被告人の当公判廷における供述
一、同被告人の検察官(二通)および収税官吏(四通)に対する供述調書
一、同被告人作成の答申書六通
一、太田ヤツ子、太田保、小高清一(以上三名については、引用の収税官吏に対する供述調書を含む)、荒幡芳男の検察官に対する供述調書
一、熊谷幸夫、多次見清治(二通)、藤倉敏司、寺田剛、上田勉、上田トミ子、秋山清雄、小林孫三(二通)、武藤茂章の収税官吏に対する供述調書
一、西沢菊丸、岡沢広馬、張間進士(二通)、白山順福(二通)、太田保、宮崎芳雄、長岡敏夫、秋山清雄の各作成にかかる答申書
一、収税官吏小松広記作成の調査書一〇通
一、収税官吏栖本五一作成の調査書
一、川越税務署長平山孝一作成の昭和五〇年三月二六日付証明書
一、川越税務署長湯本武作成の昭和五一年一月一〇日付証明書
一、被告会社の登記簿謄本
(法令の適用)
被告人太田精一郎の判示所為について
法人税法一五九条一項、七四条一項(懲役選択)
右刑の執行猶予
刑法二五条一項
被告会社の判示所為について
法人税法一六四条一項、一五九条一項、二項、七四条一項
よつて、主文のとおり判決する。
(裁判官 杉山英已)