浦和地方裁判所 昭和50年(わ)284号 判決 1976年7月14日
本籍
埼玉県春日部市大字内牧一、九三七番地
住居
同県同市大字内牧一、五〇二番地
会社役員
内田俊雄
大正九年一二月一四日生
本店所在地
埼玉県春日部市大字粕壁五、一四一番地
名称
有限会社 豊不動産
代表者
代表取締役 内田俊雄
右内田俊雄に対する所得税法違反、法人税法違反、有限会社豊不動産に対する法人税法違反各被告事件について、当裁判所は検察官中山博善出席のうえ審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人内田俊雄を懲役一〇月及び罰金六〇〇万円に、
被告人有限会社豊不動産を罰金九〇〇万円に処する。
被告人内田俊雄に対し、この裁判確定の日から三年間その懲役刑の執行を猶予する。
被告人内田俊雄においてその罰金を完納することができないときは、金一万円を一日に換算した期間同被告人を労役場に留置する。
理由
(罪となるべき事実)
第一 被告人内田俊雄は、埼玉県春日部市大字内牧一、五〇二番地に居住し、同市大字粕壁五、一四一番地に事務所を置き、豊不動産の商号を使用して不動産の売買および仲介業を営んでいたものであるが、所得税を免れようと企て、昭和四六年中における実際総所得金額が五七、一一万八、〇八七円で、これに対する所得税額は三一、一二万一、六〇〇円であるのにかかわらず、不動産の売買取引を第三者名義で行なうなどの方法により、営業売上金額の一部を除外し、同売上原価を過大計上するなどの行為により所得を秘匿したうえ、同四七年三月一四日、同市大字粕壁字浜川戸五、四三五番地の一春日部税務署において、同税務署長に対し、総所得金額が一、三二八万五、六九九円で、これに対する所得税額は四三九万四、一〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、確定申告期限である同月一五日を徒過し、もつて不正の行為により右年分の所得税額二、六七二万七、五〇〇円を免れた。
第二 被告会社有限会社豊不動産は、埼玉県春日部市大字粕壁五、一四一番地に本店を置き、不動産の売買および仲介等を事業目的とする資本金五〇〇万円の有限会社、被告人内田俊雄は、被告会社の代表取締役として、その業務全般を統括しているものであるところ、被告人内田俊雄は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、昭和四六年一二月一四日から翌四七年一〇月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一億三、九五三万〇、八〇〇円で、これに対する正当法人税額は五、一〇三万六、六〇〇円であるのにかかわらず、不動産の売買取引の一部を内田俊雄個人名義で行ない、これを被告会社の仕入帳および売上帳等に登載しないなどの行為により、所得を秘匿したうえ、同四七年一二月二七日、同市大字粕壁字浜川戸五、四三五番地の一春日部税務署において、同税務署長に対し、所得金額が三、〇五二万八、八三一円で、これに対する法人税額は一、〇九七万八、四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、確定申告期限である翌四八年一月四日を徒過し、もつて不正の行為により右事業年度の法人税額四、〇〇五万八、二〇〇円を免れたものである。
(証拠の標目)
判示各事実につき
一、被告人内田俊雄の当公判廷における供述
一、第四回公判調書中の被告人内田俊雄の供述部分
一、被告人内田俊雄の検察官に対する昭和五〇年三月四日付供述調書
一、御屋敷幸衛、長張久市、横山博義、豊田敬蔵(二通)、中田保治、内田利重の検察官に対する各供述調書
一、白坂直悦、伊藤武、根岸勝治、小川平吉、栗原幸穂、瀬戸喜八、松本義一、新井正一、清水喜哉、佐野喜一、古川四平治、小嶋正吉、中田保治、磯貝繁雄、長谷川登、森田六平、内田実、大熊正治郎、浅子誠一郎、筧田平蔵、斉藤健(但し昭和四八年一二月一三日付)、遠藤梅吉(但し昭和四九年六月一三日付)、関根岩吉、関根利男、岩倉政吉、高橋専仁、矢島剛、関根清一郎、鈴木信夫、山口薫の各答申書
一、橋詰茂悦、田口一郎、中山清子、山田賀勇、金子七十吉、斎藤肇、斎藤正行、桑原金次郎、中山昇に対する各質問てん末書
一、被告人内田俊雄作成の答申書六通
一、被告人内田俊雄に対する質問てん末書五通
判示第一の事実につき
一、加藤茂夫作成の昭和四九年六月六日付証明書
一、被告人内田俊雄の検察官に対する昭和五〇年三月一〇日付、同年一〇月一三日付、同年同月二〇日付各供述調書
一、逸見典之、遠藤清、飯塚正作、中村末吉の検察官に対する各供述調書
一、楢本五一作成の調査書三通
一、佐々木信義、武藤貞二(二通)、佐藤喜一(二通)、小沢正市、新井正一(二通)、石塚浩司、松永健三、杉崎宏、千葉仁也、玉谷睦夫、斎藤健(昭和四八年一二月一八日付のもの二通)、遠藤梅吉(昭和四八年一二月七日付)、横田勝之助、浜野正四郎、田島慶一郎、加藤作次郎、執行正能、利根川智治、前野真一、中村製作、鈴木歳蔵、谷塚利男、浅子誠一郎、深井格三郎、横井清の各答申書
一、長張久市、浪江武雄、大川源治、種村忠吉、島田文枝、新井伊佐美、斎藤正行、上野次郎、竹原昭、鈴木千代太、岩崎守雄、横山博義に対する各質問てん末書
判事第二の事実につき
一、加藤茂夫作成の昭和四九年六月一〇日付証明書
一、被告人内田俊雄の検察官に対する昭和五〇年一一月二一日付供述調書
一、佐藤喜美子、野口丈吉、石塚市郎、上野昇、川口フミカ、平野修治、鈴木啓介、板橋光二、斎藤正行、木村一郎の検察官に対する各供述調書
一、登記宮大塚和信作成の登記簿謄本
一、小松広記作成の調査書五通
一、小松広記外一名作成の調査書
一、小松広記外二名作成の調査書
一、古田利彦外二名、金子一男外二名、近政雄、吉川秀外一名(但し二通)、丸山啓司外二名、内津昌喜外二名、丸山啓司外一名各作成の各調査書
一、木村賢史作成の証明書三通
一、菊地長吉作成の証明書
一、野口保、折原良、竹内武雄、千金楽光治、田中三平、吉沢武、中村和三郎、中田保治、内藤弘吉、山崎十一、岩倉政吉(二通)、田村隆、広瀬清美、広瀬清房、桜井博、内田実、村越勝太郎、佐藤喜一、新井誠一、金子昭四郎、浜田安男、野沢幸男、斎藤一、伊藤七右衛門、梅田富士男、遠藤政吉、新井敏雄、西ノ谷直吉外一名、小坂善工、和井田寛重、立野雄一郎、水越義雄、根岸静、中山文之助、岡田悟郎、秋元一郎、斎藤健(昭和四八年一二月八日付及び昭和四九年七月二〇日付)、執行正能(二通)、佐藤錦司、加藤あい子、清水政雄、前島伸雄、佐々已代治、小島六右エ門、木村寛、植原実、新井誠一、松浦在俊、堀内冨弐保、内田栄策、新井正一、横田勝之助、伊藤善二、新井一雄、田中茂男、福田恭士、斎藤正行、遠藤博、横井清、池田弘、石田洋、柴崎一郎、茂木秀司、小島清吉、金子福蔵、山本貞一郎、田中理、太田健一、駒崎潔、小田一雄、山崎恒英、各務銀明、田辺信明、関根良雄、柿沼正夫、木村保夫、野村幸作(二通)の各答申書
一、川口フミカ、上野親雄に対する各質問てん末書
(法令の適用)
一、判示第一の所為 所得税法二三八条一項
判示第二の所為 法人税法一五九条一項(被告人内田につき)同法一六四条一項、一五九条一項・二項(被告人豊不動産につき)
一、刑種の選択 被告人内田につき、判示第一、第二の各罪につきいずれも懲役刑と罰金刑を併科
一、併合罪の処理 被告人内田につき、刑法四五条前段、四七条本文、一〇条、四八条二項(懲役刑については犯情の重い判示第二の罪の刑に加重する)
一、労役場留置 被告人内田につき刑法一八条
一、刑の執行猶予 被告人内田の懲役刑につき刑法二五条一項
よって主文のとおり判決する。
(裁判官 北野俊光)