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浦和地方裁判所 昭和63年(わ)423号 判決 1988年9月13日

本店の所在地

埼玉県久喜市東二丁目一七番一七号

有限会社アルプス楽器店

右代表者取締役

襟川勝二

本籍

埼玉県久喜市南一丁目四五六番地

住居

同市東二丁目一七番一七号

会社役員

襟川勝二

昭和一一年一〇月二二日生

右の者らに対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官葛西和民出席のうえ審理して、次のとおり判決する。

主文

被告人有限会社アルプス楽器店を罰金一三〇〇万円に、被告人襟川勝二を懲役一〇月にそれぞれ処する。

被告人襟川勝二に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人有限会社アルプス楽器店は、埼玉県久喜市東二丁目一七番一七号に本店を置き、音楽教室の経営、楽器の販売等を営業目的とする資本金一〇〇万円の有限会社であり、被告人襟川勝二は、被告人会社の取締役として、被告会社の業務全般を統括しているものであるが、被告人襟川は、被告人会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、音楽教室の収入、中古楽器の売上げ並びに楽器の月賦販売利息相当額の収入等をそれぞれ一部除外するなどの不正な方法により所得を秘匿した上

第一  昭和五八年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が三、七二一万七、二三九円であったにもかかわらず、同五九年二月二八日、同県春日部市大字粕壁五、四三五番地の一所在の所轄春日部税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が六三八万〇、四六六円で(別紙1参照)、これに対する法人税額が一九〇万三、〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により被告人会社の同事業年度における正規の法人税額一、四六六万〇、一〇〇円との差額一、二七五万七、一〇〇円を免れ

第二  昭和五九年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が三、八八一万五、七〇〇円であったにもかかわらず、同六〇年二月二七日、前記春日部税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が四〇〇万六、八四七円で(別紙2参照)、これに対する法人税額が一二二万二、九〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により被告人会社の同事業年度における正規の法人税額一、五八〇万四、〇〇〇円との差額一、四五八万一、一〇〇円を免れ

第三  昭和六〇年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が五、八〇六万六、八六三円であったにもかかわらず、同六一年二月二七日、前記春日部税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一、二八四万五、二七六円で(別紙3参照)、これに対する法人税額が四五六万四、二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により被告人会社の同事業年度における正規の法人税額二、四一四万四、九〇〇円との差額一、九五八万〇、七〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

一  登記官田中淳一作成の登記簿謄本

一  被告人襟川の当公判廷における供述

一  被告人襟川の検察官に対する各供述調書

一  収税官吏の被告人襟川に対する各質問てん末書

一  襟川八千代の検察官に対する供述調書

一  収税官吏の襟川八千代に対する各質問てん末書

一  収税官吏の麦倉清一、小宮健作に対する各質問てん末書

一  春日部税務署長赤石好市作成の証明書

一  収税官吏作成の各調査書

(法令の適用)

判示各所為は、各事業年度ごとに法人税法一五九条一項(被告人会社については、さらに同法一六四条一項)に該当するところ、被告人会社については情状により同法一五九条二項を適用し、被告人襟川については所定刑中懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、被告人会社については同法四八条二項により合算した金額の犯意内において罰金一三〇〇万円に、被告人襟川については同法四七条本文、一〇条により犯情最も重いと認める判示第三の罪の刑に法定の加重をした刑期範囲内において懲役一〇月にそれぞれ処し、被告人襟川に対し同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予することとする。

よって主文のとおり判決する。

(裁判官 杉山忠雄)

別紙1 修正損益計算書

有限会社 アルプス楽器店

自 昭和58年1月1日

至 昭和58年12月31日

No.1

<省略>

別紙2 修正損益計算書

有限会社 アルプス楽器店

自 昭和59年1月1日

至 昭和59年12月31日

No.2

<省略>

別紙3 修正損益計算書

有限会社 アルプス楽器店

自 昭和60年1月1日

至 昭和60年12月31日

No.3

<省略>

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