浦和地方裁判所 昭和63年(わ)844号 判決 1989年3月14日
本籍
浦和市太田窪二丁目八二四番地
住所
同市岸町一丁目一五番地二一号
建売・不動産業
草野謙治
昭和一一年一〇月五日生
右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官秋山安夫出席のうえ審理して、次のとおり判決する。
主文
一 被告人を懲役一年二月及び罰金八千万円に処する。
一 右罰金を完納することができないときは、金二〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は、浦和市南浦和二丁目三八番六号において、草野工務店の名称を使用し、個人で建売・不動産業を営んでいるものであるが、所得税を免れようと企て、ダミー法人を利用して土地売買価格を圧縮するなどして売上げの一部を除外し、マンションの賃貸料収入を除外するなどの方法によりその所得の一部を秘匿した上、昭和六一年分の総所得金額が五億二五八八万一四八五円(別紙(一)修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、同六二年三月一一日、同市常磐四丁目一一番一九号所在の所轄浦和税務署において、同税務署長に対し、同六一年分の総所得金額が二八九〇万六五二〇円で、これに対する所得税額が一四六一万六二〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同年分の正規の所得税額三億七八七一万三六〇〇円と右申告税額との差額三億六四〇九万七四〇〇円(別紙(二)脱税額計算書参照)を免れたものである。
(証拠の標目)
一 被告人の当公判廷における供述
一 被告人の検察官に対する各供述調書
一 収税官吏の被告人に対する各質問てん末書
一 鬼澤志伸、小坂竜夫、富澤省士、宍戸功一、穐山直治、上田浩一郎、八木沼貞剛の検察官に対する各供述調書
一 収税官吏の鬼澤志伸、森喜一郎、井上武雄、小坂竜夫、宍戸功一、小池義一、大柳晴子、穐山直治、木村正樹、大野友次に対する各質問てん末書
一 収税官吏作成の各調査書
一 浦和税務署長作成の証明書
一 浦和税務署長作成の昭和六三年一〇月二一日付け回答書
一 検察事務官作成の電話録取書
(法令の適用)
被告人の判示所為は、所得税法二三八条一項に該当し、所定の懲役と罰金を併科し、情状により同法二三八条二項を適用し、その所定の刑期及び金額の範囲内で、被告人を懲役一年二月及び罰金八千万円に処し、刑法一八条により右罰金を完納することができないときは、金二〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置することとする。
よって、主文のとおり判決する。
(裁判官 金山薫)
別紙(一)
修正損益計算書
No.1
<省略>
No.2
<省略>
別紙(二)
<省略>