浦和地方裁判所川越支部 昭和32年(わ)113号 判決 1958年1月31日
被告人 内山昭作
主文
被告人を懲役壱年参月に処する。
未決勾留日数中六十日を右本刑に算入する。
押収のやなぎ刃庖丁一挺(昭和三十二年(押)第一九号)はこれを没収する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は
(一)昭和三十二年八月二十一日頃埼玉県川越市新田町一四四八番地の七「レストランホンダ」こと誉田唯雄方およびその附近道路上において業務その他正当の理由がなく刃渡約二四・五糎のやなぎ刃庖丁(昭和三十二年(押)第一九号)と称するあいくちに類似する刃物一挺を携帯し
(二)昭和二十四年十一月頃から昭和三十一年一月頃までの間十回に亘り暴行罪又は傷害罪により処罰されたことのある暴行の常習者であるが昭和三十二年八月二十日頃の午後十時半頃同市野田町二六四番地飲食店「当り屋」こと黒田ナヲ方店内において客の鎌田栄(当二十六歳)が女中の小笠原君子に言葉をかけたのに憤慨し手拳で右鎌田の下腹部を一回突きかつその襟首をつかんで店外に引きずり出そうとする等の暴行を加え
(三)同年同月二十五日頃の午前零時頃同市西小仙波町四二七番地特殊飲食店「武蔵野」前道路上において女のことで杉本貞夫外数名の者と喧嘩をなし所携の前示やなぎ刃庖丁を振り廻して斬りつける態度を示しもつて兇器を示しその生命又は身体に危害を加うべきことをもつて同人等を脅迫し
(四)同年十二月四日頃の午後七時半頃同市松江町四九六番地飲食店「安兵衛」こと植木房子方店内において河合伸子(当二十七歳)の冷淡な態度に憤慨し靴ばきのまま同女の胸腹部等を一、二回蹴りつけ手拳でその顔面を一回殴りつける等の暴行を加え因つて同女の顔面胸部左前腕部等に治療二週間を要する打撲傷を負わせ
(五)同年同月八日午後九時過頃同番地飲食店「清川」こと原田はま枝方店内において前同様の動機で右河合伸子の頸部をつかんで店外へ引きずり出す等の暴行を加え因つて同女の頸部に治療十日を要する圧痕皮下皮内出血の傷害を負わせ
たものである。
(証拠の標目)(略)
(適条)
銃砲刀剣類等所持取締令第二十七条第十五条(判示(一))
(以下略)
(裁判官 土方一義)