大判例

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甲府地方裁判所 昭和26年(行モ)6号 決定

相手方が別紙目録記載の物件について為した買収処分は当事者間の甲府地方裁判所昭和二十六年(行)第五号買収処分取消事件の判決確定に至るまでその執行を停止することを命ずる。

二、理  由

申立人等代理人は主文と同旨の執行停止決定を求めその理由とするところは別紙目録記載の土地は夫々申立人の所有であつて相手方は右土地につき自作農創設特別措置法に因り買収処分を為し申立人等は右処分を違法として取消の訴訟を提起し右訴訟は目下甲府地方裁判所昭和二十六年(行)第五号事件として繋属している。而して申立人等が右訴訟において違法原因として主張する事由は要約すると別紙目録記載の土地を買収して開墾するときは富土山の雪代流出の危険があること、林間採草地を減少する結果緑肥の供給源を失うこと、附近村民の燃料及飼料の供給源を失うこと、及富士国立公園を背景とする観光上の風致を害するという諸点に在る。しかるに相手方は右買収処分を執行する為昭和二十七年十月九日附戒告書に依り申立人井出与五右衛門に対しては同日より六十日以内にその他の申立人に対しては同日より三十日以内に各係争地上の立木を収去すべきことを命令して来た。しかし申立人等の前掲主張からみて本案判決確定前に右立木を伐採せられることは申立人等のみならず国家的見地からみても償うことのできない損害を生じ他方未だ売渡計画も確定していない現在において早急に伐採を強行する必要性も存在しないから申立人等は右買収処分の執行停止を求める為本申立に及んだと謂うのである。

思うに申立人等が別紙目録記載の物件について為した被告の買収処分を違法であると主張する事由の当否は本案訴訟の判決において終局的に判断せらるべき事項であるけれどもその主張自体は被買収物件である山林の立木を伐採することに因て生ずる違法を理由とするものであることは明白である。それならば右本案判決前において右立木の伐採処分を執行するときは申立人等において後日勝訴の判決を得るも償うことのできない損害を蒙ることとなり右損害は必しも金銭的賠償を以ては満足し得ないものと認められ且つ相手方が中村森太郎井出重作渡辺高能以外の申立人等に対しては即に立木伐採の戒告書を発している事実も疎明せられるから右損害を避ける緊急の必要性も亦存するものと認め行政事件訴訟特例法第十条に依り主文のとおり決定する。

(裁判官 杉山孝)

(目録省略)

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