甲府地方裁判所 昭和48年(わ)290号 判決 1974年10月18日
本店所在地
山梨県韮崎市円野町上円井二、一三九番地
株式会社内藤ハウス
右代表者代表取締役
内藤重郎
本籍
山梨県韮崎市円野町上円井一、一〇〇番地
住居
右同
会社役員
内藤重郎
昭和四年一月三日生
右の者らに対する法人税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官増井戸一郎出席のうえ審理をして、次のとおり判決する。
主文
被告人株式会社内藤ハウスを罰金六、〇〇〇、〇〇〇円に、被告人内藤重郎を懲役六月にそれぞれ処する。
被告人内藤重郎に対し、この裁判の確定した日から三年間、右刑の執行を猶予する。
訴訟費用は、被告人両名の連帯負担とする。
理由
(事実)
被告人株式会社内藤ハウスは、山梨県韮崎市円野町上円井三、一三九番地に本店を置き、プレハブ建物の製造、販売などの事業を営むもの、被告人内藤重郎は、同会社の代表取締役として、その業務全般を統括しているものであるが、同被告人は、同会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、
第一、昭和四四年八月一日から同四五年七月三一日までの事業年度において、所得金額が七三、〇六一、六八二円で、これに対する法人税額が二六、一三三、九〇〇円であるのにかかわらず、公表経理上売上げの一部を計上せず、期末たな卸商品の一部を除外する等の行為により所得を秘匿したうえ、昭和四五年九月三〇日山梨県甲府市丸の内一丁目一一番六号所在甲府税務署において、同税務署長に対し、所得金額が四三、一三三、四八五円でこれに対する法人税額は一五、一四〇、四〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて不正の行為により右事業年度の法人税額一〇、九九三、五〇〇円を免れ
第二、昭和四五年八月一日から同四六年七月三一日までの事業年度において、所得金額が一〇六、三六四、九七〇円で、これに対する法人税額が三八、〇六一、三〇〇円であるのにかかわらず、公表整理上架空仕入れを計上し、売上げを除外する等の行為により所得を秘匿したうえ、昭和四六年九月三〇日前記甲府税務署において、同税務署長に対し、所得金額が六五、五九七、二七〇円でこれに対する法人税額は二三、〇八四、七〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて不正の行為により右事業年度の法人税額一四、九七六、六〇〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目)
一、被告人内藤重郎の当公判廷における供述
一、被告人内藤重郎の検察官に対する供述調書
一、被告人内藤重郎の大蔵事務官に対する供述調書(質問てん末書)三通
一、跡部盛子、堤正弘、秦静弥の検察官に対する各供述調書
一、跡部盛子(五通)、堤正弘、深沢清高、小沢指兎馬の大蔵事務官に対する各供述調書(質問てん末書)
一、大蔵事務官戸田徳松作成の脱税額計算書二通
一、大蔵事務官作成のたな卸調査書
一、秦静弥作成の上申書(売上除外及び売掛金について)
一、大蔵事務官作成の未納事業税調書
一、小沢司作成の証明書(普通預金)
一、内藤重郎作成の上申書(簿外現金出納帳の入出金状況について)
一、大蔵事務官作成の簿外現金出納帳入金状況調査書
一、大蔵事務官作成の簿外現金出納帳出金状況調査書
一、内藤重郎作成の上申書(従業員給与等の内訳について)
一、小沢司作成の上申書(内藤ハウスとの取引について)
一、内藤重郎作成の上申書(現金の払戻金の使途について)
一、大蔵事務官作成の預金払戻(解約)金使途調査書
一、内藤重郎作成の上申書(支払手数料の支払先について)
一、大蔵事務官作成の売上除外等調査書
一、押収してある総勘定元帳一綴(昭和四九年押第三号の1)、金銭出納帳一冊(同号の4)、仮決算資料綴一綴(同号の5)、別関係書類綴一綴(同号の6)、財務諸表綴一綴(同号の7)、棚卸残表一綴(同号の8)、在庫表一綴(同号の9)、別口請求関係綴一綴(同号の10)、別口関係内訳表一綴(同号の11)、ハウス受注票二綴(同号の12)、契約書一綴(同号の13)、領収証用紙綴一冊(同号の14)、納品書用紙一冊(同号の15)、振替伝票一綴(同号の17)、売上帳一綴(同号の18)、法人税決議書一綴(同号の19)、仕入帳一冊(同号の20)、減価償却費一覧表(同号の21)
一、大蔵事務官作成の脱税額計算書説明資料(昭和四五年七月期分)(第一の事実)
一、大蔵事務官作成の架空建方労務費調査書(右同)
一、鈴木俊夫作成の上申書(右同)
一、売上帳一綴(自四四・八・一 至四五・七・三一)(昭和四九年押第三号の2)(右同)
一、篠沢義夫の大蔵事務官に対する供述調書(質問てん末書)(第二の事実)
一、大蔵事務官作成の脱税額計算書説明資料(昭和四六年七月期分)(右同)
一、大蔵事務官作成の架空仕入等調査書(右同)
一、大蔵事務官作成の銀行預金等調査書(右同)
一、大蔵事務官作成の減価償却超過等調査書(右同)
一、大蔵事務官作成の支払手数料および寄付金調査書(右同)
一、大蔵事務官作成の架空建物調書(右同)
一、売上帳一綴(自四五・八・一 至四六・七・三一)(昭和四九年押第三号の3)(右同)
(適条)
被告人株式会社内藤ハウスの判示各所為は法人税法一六四条一項、一五九条一項に、被告人内藤重郎の判示各所為は同法一五九条一項に、それぞれ該当するところ、被告人内藤重郎については所定刑中懲役刑を選択し、被告人両名の以上各罪は刑法四五条前設の併合罪であるから被告人株式会社内藤ハウスについては同法四八条二項により各罪所定の罰金の合算額の範囲内で、被告人内藤重郎については同法四七条本文、一〇条により犯情の重い第二の罪の刑に法廷の加重をした刑期範囲内で、被告人株式会社内藤ハウスを罰金六、〇〇〇、〇〇〇円に、被告人内藤重郎を懲役六月に、それぞれ処し、被告人内藤重郎に対しては情状により同法二五条一項一号を適用して、この裁判の確定した日から三年間右刑の執行を猶予し、訴訟費用は刑事訴訟法一八一条一項本文、一八二条により被告人両名に連帯して負担させることとする。
よつて、主文のとおり判決する。
(裁判官 篠原幾馬)
右は謄本である。
昭和四九年一一月八日
甲府地方裁判所刑事部
裁判所書記官 清水盛久