甲府地方裁判所 昭和52年(わ)229号 判決 1977年12月26日
本店所在地
甲府市伊勢二丁目一二番二二号
株式会社宗家日本印相協会
右代表者代表取締役
坂本尚光
本籍
山梨県中巨摩郡敷島町境四二八番地
住居
甲府市伊勢二丁目一三番一四号
会社役員
坂本尚光
昭和一〇年三月一〇日生
右両名に対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は検察官高橋武三出席のうえ審理して次のとおり判決する。
主文
一、 被告人株式会社日本印相協会を罰金六〇〇万円に、被告人坂本尚光を懲役八月に各処する。
二、 被告人坂本尚光に対し本裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人株式会社宗家日本印相協会は、甲府市伊勢二丁目一二番二二号に本店を置き、印章の製造販売の事業を営むもの、被告人坂本尚光は、同会社の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人坂本尚光は、同会社の業務に関し、法人税を免れるため、いずれも売上げの一部を除外するなどの行為により所得を秘匿した上、
第一、 昭和四八年九月一日から同四九年八月三一日までの事業年度における同会社の所得金額が五八、三七三、一二九円でこれに対する法人税額が二二、五六五、三〇〇円であるのにかかわらず、同四九年一〇月三一日、甲府市丸の内一丁目一一番六号所在甲府税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一、六三四、〇七七円でこれに対する法人税額が三九三、六〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、右事業年度の法人税額二二、一七一、七〇〇円を免れ
第二、 同四九年九月一日から同五〇年八月三一日までの事業年度における同会社の所得金額が五七、一七六、四二四円でこれに対する法人税額が二一、八二八、一〇〇円であるのにかかわらず、同五〇年一〇月三一日、前記甲府税務署において、同税務署長に対し、所得金額が二一、三五三、四六二円でこれに対する法人税額が七、四九八、九〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、右事業年度の法人税額一四、三二九、二〇〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目)
一、 被告人坂本尚光の当公判廷における供述
一、 被告人坂本尚光の検察官に対する供述調書二通及び大蔵事務官に対する供述調書(質問てん末書)一〇通
一、 福原戒禅の検察官及び大蔵事務官に対する供述調書(質問てん末書)二通
一、 坂本幸子、臼井子、深沢安次郎、水上智晴、坂本昌幸、坂本美恵子、坂本降喜、千野昭造、深沢譲二、鈴木昭二郎(三通)、遠藤文男、山丸久(二通)、土屋貴永、雨宮正、長田和雄、中山武の大蔵事務官に対する各供述調書(質問てん末書)
一、 大蔵事務官作成の法人税額計算書三通、売上除外額調査書(合計表)、売上入金除外額調査書二通、売上照会に対する解答調査書、たな卸資産調査書、簿外仕入調査書、不明入出金調査書、簿外普通貯金の受取利息調査書、簿外定期預金及び簿外通知預金の受取り利息調査書、事業税認定損調査書、簿外現金調査書、簿外預金調査書、売掛金調査書、簿外仮払金調査書、買掛金調査書、未払金調査書、坂本尚光からの簿外借入金調査書立替金調査書
一、 坂本尚光(七通)、久保田貞男、勝原武、宮崎玲子、竹内千武(三通)、若林国雄、井口芳、宮川雅晴、長田和雄(二通)作成の各申述書
一、 今井弘夫、辻正己作成の各上申書
一、 田中正純(一五通)、飯室賢三(一一通)、長坂武、赤塚隆(二通)、浜芳介、中村貞夫、望月俊彦、宇佐美右郷、松村芳平、田草川孝茂、三浦宏行(二通)作成の各証明書
一、 望月昭吾、上田和泉、河西冨夫、一柳七志、本沢啓作、鈴木正広、女川伝一郎、渡辺勉、内田君枝、川崎イクヨ、前野清吉、浅利光子、櫓木猛雄、坂口泓、角田重幸、斉藤嘉勝、佐藤興志郎、内山真、奈良靖彦、甲府税務署長、中部県税務所(二通)作成の各回答書
一、 大蔵事務官作成の個人収支調査書、鈴木昭二郎からの仕入調査書、たな卸高明細調査書、写真撮影報告書
一、 押収してある代金受領日計表三枚(昭和五二年押第八一号の1)、彫刻依頼書等一綴(同号の2)、仕入台帳一冊(同号号の3)、売上代金日計表一綴(同押号の4)、未収代金明細書一綴(同押号の5)、棚卸資産調査集計表九枚(同押号の6)、仕入明細書一綴(同押号の7)、試算明細簿一冊(同押号の8)、未収金関係綴一綴(同押号の9)、右同一綴(同押号の10)、右同一綴(同押号の11)、右同一綴 (同押号の12)、請求書戻り書抜帳一綴(同押号の13)、仕入明細書三枚(同押号の14)、棚卸資産集計表等二枚(同押号の15)「別枠在庫数量」と題する書面五枚(同押号の16)、代金受領書一枚(同押号の17)、一覧式総勘定元帳一綴(同押号の18)、開運吉相印鑑申込書等一綴(同押号の19)、右同一綴(同押号の20)、右同一綴(同押号の21)、売上台帳一綴(同押号の22)
(法令の適用)
被告人株式会社宗家日本印相協会の判示各所為は、法人税法一六四条一項、一五九条一項、二項に、被告人坂本尚光の判示各所為は、同法一五九条一項二項に各該当するが、被告人坂本については所定刑中懲役刑を選択し、被告人両名の以上の各罪はいずれも刑法四五条前段、の併合罪であるから、被告人株式会社宗家日本印相協会については、同法四八条二項により各罪所定の罰金の合算額の範囲内で、被告人坂本については同法四七条本文、一〇条により犯情の重い判示第一の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で、被告人株式会社宗家日本印相協会を罰金六〇〇万円に、被告人坂本を懲役八月に処し、被告人坂本に対しては情状により同法二五条一項一号を適用して、本裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予することとする。
よって主文のとおり判決する。
(裁判官 杉山修)