甲府地方裁判所谷村支部 事件番号不詳〔2〕 判決
主文
被告人清水英吉、同渡辺栄を各禁錮六月に処する。
但し被告人等に対してはいずれも本裁判確定の日から五年間右刑の執行を猶予する。
理由
罪となるべき事実
第一、被告人清水英吉は山梨県南都留郡鳴沢村役場書記兼同村選挙管理委員会書記、被告人渡辺栄は同村役場書記並に右委員会嘱託書記であるところ何れも昭和二十七年十月一日施行の衆議院議員選挙に際し同日同村役場に設置された同村第一投票区投票所に於て投票のための入場者より投票所入場券を徴して選挙人名簿と照合し入場券所持者が正当投票権者なりや否やを確認し正当投票権者でないときは投票を拒否すべき事務に夫々従事中被告人両名は共謀の上別紙犯罪一覧表記載の如く渡辺喜四郎外三十七名が選挙人である渡辺義秀外六十七名の各他人名義の投票所入場券一枚乃至六枚を提出し其の各氏名を詐称して詐欺投票を行はうとするに際し其の情を知りながら渡辺喜四郎外三十七名に対し投票用紙一枚乃至六枚を夫々交付し同人等をして即時右投票用紙に夫々候補者の氏名を記載して詐欺投票せしめ以て夫々右犯行を容易ならしめて之を幇助し
第二、被告人清水英吉は前記選挙に際し同日前記投票所に於て前記投票事務担当職員渡〓栄に対し自己の家族である選挙人清水たけの名義の投票所入場券一枚を提出して其の氏名を詐称し同職員より投票用紙一枚の交付を受けた上之に候補者の氏名を記載して投票し
たものである。
証拠の標目(省略)
法律の適用
法律によると被告人清水英吉同渡辺栄の判示第一(一)乃至(三八)の各所為はいずれも公職選挙法第二百三十七条第二項刑法第六十条第六十二条第一項罰金等臨時措置法第二条第四条に被告人清水英吉の判示第二の所為は公職選挙法第二百三十七条第二項罰金等臨時措置法第二条第四条に該当するところ以上はいずれも刑法第四十五条前段の併合罪であるからいずれもその所定刑中禁錮刑を選択しよつて被告人清水英吉同渡辺栄の詐欺投票幇助の罪はいずれも従犯であるから同法第六十三条第六十八条に基き法定の減軽を為し同法第四十七条本文第十条によつて被告人清水英吉については罪の重いと認める判示第二の詐欺投票の罪の刑に被告人渡辺栄については犯情最も重いと認める判示第一(二)の詐欺投票幇助の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で主文第一項掲記のとおり量刑処断し被告人等に対しては情状に因り刑法第二十五条を適用して本裁判確定の日からいずれも五年間右刑の執行を猶予する。
よつて主文のとおり判決する。(昭和二八年二月二六日甲府地方裁判所谷村支部)
(別紙犯罪一覧表は省略する。)