甲府家庭裁判所 昭和37年(少ハ)2号 決定 1962年7月26日
少年 M(昭一六・一二・一一生)
主文
少年を昭和三八年四月二六日まで特別少年院に収容する。
理由
少年は、
一、昭和三四年三月一八日甲府家庭裁判所において住居侵入、業務上横領、窃盗保護事件により、保護観察処分決定を受け、甲府保護観察所の保護観察に付された。
二、昭和三四年九月一六日同裁判所において虞犯保護事件により中等少年院送致決定を受け新潟少年院に収容され、
昭和三六年一月三十日同少年院を仮退院した。
三、昭和三六年四月二八日同裁判所において、関東地方更生保護委員会より犯罪者予防更生法による戻収容申請事件により、昭和三八年四月二六日まで特別少年院に収容する旨の決定を受け、小田原少年院に収容され、昭和三七年六月二八日同少年院を仮退院し
たものである。
少年は、仮退院に際して犯罪者予防更生法第三四条第二項所定の遵守事項の第一号乃至第四号、並びに同法第三一条第三項による地方更生保護委員会所定の特別遵守事項の遵守を誓約したにも拘らず保護者及び担当保護司の保護指導監督に服さないで、
第一、甲府保護観察所において本人の希望をいれ斡旋した甲府市○○町所在の電気商会電工の職を正当な理由なく放棄し、就職した即日である昭和三七年○月○日前記商会を退去し、所在不明となり、以来甲府市内の簡易宿泊所に止宿し、盛り場徘徊、飲酒、パチンコ、映画見物に耽溺、不良交遊等放縦な生活を続け、更に同月○日頃小田原市内を彷徨し、
第二、同年○月○日頃実兄○水○夫方留守宅の旋錠を破壊し、同人所有の現金五〇〇円と背広一着を窃取し、遊興に耽り
第三、同年同月○日頃実姉○水○子方留守宅の旋錠を破壊し侵入し、同女が他人より保管を依頼されていた背広一着、ダスターコート一着、ズボン一本を窃取し入質して消費し
たものである。
少年はすでに満二〇歳を超過しているが、上記行為は、前記遵守事項に違反したもので、このままでは少年の更生は望み難く将来犯罪をなす虞れ顕著であり、保護者の保護能力についても両親なく、皆無の状態であるから、少年を再度特別少年院に戻して収容し矯正教育を受けさせた上将来更に相当期間保護観察をなすことが必要であると認められるので、犯罪者予防更生法第四三条により主文のとおり決定する。
(裁判官 降矢艮)