盛岡地方裁判所 昭和49年(行ウ)5号 判決 1981年6月25日
盛岡市厨川一丁目九番三号
原告
小野寺和歌子
右訴訟代理人弁護士
菅原一郎
同
菅原瞳
同市本町通三丁目八番二七号
被告
盛岡税務署長
赤沼一二
右指定代理人
須藤哲郎
大森勇一
吉越満男
岡本善吾
西垣稔丸
守木英男
高橋宏
鐙利雄
主文
原告の請求を棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
事実
第一当事者間に争いのない事実と各当事者の求める裁判
原告は昭和四三年三月一二日昭和四二年分の所得税につき被告に対し次のとおり確定申告した。
これに対し、被告は昭和四四年一〇月二三日、これを次のとおり更正する処分及び過少申告加算税を賦課する処分をした(以下これを本件処分という)。
<省略>
なおこれに対し原告は次のとおり不服申立をしたが、いずれも棄却された。
(1) 昭和四四年一一月二二日異議申立
同 四五年二月四日棄却の決定
(2) 昭和四五年三月二日審査請求
同 四九年四月三〇日棄却の裁決
そこで原告は本訴において、「本件処分を取消す。訴訟費用は被告の負担とする。」旨の判決を求めている。これに対し、被告は主文同旨との判決を求めた。
第二被告の主張
一 被告は原告の確定申告書記載の所得金額に過少申告の疑いを持ったので、所属職員を原告方に度々派遣して、原告に対し、帳簿類の提出を求め、種々質問を発するなどして調査を実施しようとしたが、全く原告の協力が得られなかった。そこで被告はやむなく自ら調査したところに従い、所得税法一五六条の推計により本件処分をしたものである。右被告の質問検査権の行使に違法があったとの原告の主張は争う。
二 被告が右の調査の結果のほか、原告の異議申立や審査請求、本訴提起に伴いさらに行なった調査の結果にもとずいて推計したところによると、原告の所得金額は次のとおり九〇万四、九七四円であるから、その範囲内でなされた本件処分は適法である。
所得計算内訳表
<省略>
第三原告の主張
一 本件処分は、原告がいわゆる盛岡民商(主に盛岡市内の中小商工業者をもって組織され、団結と互助により、相互の経済的、社会的地位の向上をはかることを目的としている。その活動の一つに税負担の公平、税制、税務行政の民主化要求がある)の会員であることから、被告の露骨な民商攻撃の一環として、本来その必要がないのにあえて調査を行ない、原告の都合も考慮せず臨店し、調査の必要性や調査事項を明らかにするよう求めても一切その理由を告げず、かつ原告が調査を拒否したとの理由で一方的に過大の推計を押しつけた不法な処分である。そもそも税務調査は、納税者の申告の誤りを疑わせる客観的理由のある場合に限って許されるべきであり、質問検査権にしても、これがルーズに運用されるときには憲法の保障する基本的人権にも抵触するから、その必要がある場合に限られ、かつその必要とする理由は、事前に相手方に告知さるべきは勿論のこと右行使の日時、場所、方法及び態様等も税務職員の独断に委ねられるべきではなく、相手方の意向が十分尊重されねばならない。
すなわち、質問検査権の行使は厳にその「必要があるとき」に限られるべきであり、この要件を貫徹するためには、調査対象者たる納税者等に対し調査にあたる税務署員は調査の合理的理由および質問検査の必要性を明瞭に開示すべきである。しかるに本件処分の前提としてなされた原告に対する質問検査権の行使は、申告以外に納税義務があると認められる客観的な理由と根拠および調査の必要性を欠き不適法であるから、推計課税は許されないのである。
二、被告主張二の所得計算内訳表のうち番号1、4、5、6、8、は認めるが、その余は争う。
なお、特別経費として、原告は被告が主張している銀行に対する支払利子のほか、次の利子の支払をしているので、その計上を主張する。
(1) 沢田トヨに対し 金一万五、一二〇円
(但し借受元金一五万円に対する支払利子)
(2) 原亜知に対し 金二万四、〇〇〇円
(但し借受元金六〇万円に対する支払利子)
(3) 小野寺正太郎に対し 金二万八、〇〇〇円
(但し借受元金三〇万円に対する支払利子)
第四証拠
一 原告
1 甲第一ないし第六号証
2 証人小野寺正太郎及び同小野寺正三
3 北日本相互銀行材木町支店、盛岡信用金庫厨川支店及び徳陽相互銀行盛岡支店に対する各調査嘱託の結果
4 乙第八、第一〇、第一一、第一三及び第一五号証の各一、二並びに第一六号証の一ないし三の成立は、いずれも知らない。その余の乙号各証の成立は、いずれも認める。
二 被告
1 乙第一ないし第七号証、第八号証の一、二、第九号証、第一〇及び第一一号証の各一、二、第一二号証、第一三号証の一、二、第一四号証、第一五号証の一、二、第一六号証の一ないし三、第一七及び第一八号証
2 証人浅利宏及び同佐々木範三
3 甲第五号証の成立は認めるが、その余の甲号各証の成立は、いずれも知らない。
理由
一 原告が昭和四三年三月、昭和四二年分の所得金額を金三六万五、九八〇円として確定申告したことは当事者間に争いがない。
成立に争いのない甲第五号証と証人浅利宏の証言によれば、被告はすでに原告の昭和四一年度分の所得申告に対してもそれが過少申告ではないかとの疑いから昭和四二年六月以後原告方に臨宅するなどして調査中であったが、右昭和四二年分の確定申告に対しても、同年の一般市況が概ね良好で管内申告者の申告所得額も全般的に増加しているのに対比し、原告の申告所得額が依然低調であることから調査の必要があるものと判断し、まず昭和四三年八月二一日ころ、所属職員の浅利宏が外一名の国税実査官(仙台国税局所属)と共に原告方に赴き、原告と夫の正三に来意を告げたところ、「予告なしの調査には応じられない。また、調査理由のはっきりしない質問検査権の行使は不当だし、申告額の当否を検査するのは質問検査権の範囲外である。」として調査に答えてもらうことが出来なかった、その後原告から「八月二六日一一時三〇分に自宅で調査に協力する用意がある」との文書を受け取ったので、右指定日時に前記浅利外二名の被告職員が原告方に赴いた時も、原告らはそこに集まっていた十数名の民商会員らと共に質問検査権の行使に関する前記主張をくり返すのみで被告職員は何の調査に入ることも出来なかったこと、その後も同年一二月一〇日までの間に一〇回余り被告は所属職員を原告方店舗に臨場させ、原告に所得の内訳を示してほしい、関係帳簿類があれば提示してほしいと要請したが、原告は自分の申告に誤りがあるというならどこがどう悪いのか具体的に示せ、その開示のない限り調査に応じられないとの立場を固執するのみで、結局最後まで税務職員らの右要請に実質的に答えることをしなかったこと、そこで右職員らは原告において調査に応ずる意思がないものとして臨宅調査を打切らざるを得なかったことが認められるのであって、右事実によれば、被告がいわゆる推計課税の方法で原告の所得金額を認定し本件処分をしたのは、これをいちおうやむを得ないこととして是認することが出来る。
成程、所得税法二三四条によれば、税務職員は「所得税に関する調査について必要があるときは」いわゆる質問検査権を有するが、これとても収税官吏の恣意を許したものではないから、その判断行使が個人的恣意に走り徴税外の目的でなされるなど乱用にわたるときはもとより質問検査権の行使は違法であり、その結果としてなされた課税処分が場合によって取消されなければならないことがあることはこれを認めなければならない。しかし本件においては、右認定事実のほか本件全証拠によるも、未だこの場合にあたるとは認め難い。原告は被告の調査や処分は被告の民商攻撃の一環としてなされたもので恣意的なものである旨主張するが、本件全証拠によるも、原告が盛岡民商の会員で、昭和四二、三年の確定申告を会員たちが集団で同時に行うという会の方針に従ってやったこと、原告が被告職員の調査を受けたのがあたかもその直後からのことであったこと、原告と同時に十人前後の盛岡民商の会員が被告の調査をうけたとみられることなどから、原告が民商の会員であったことが被告の右調査無縁でなかったのではないかとの疑いはいちおうこれを抱くことが出来るけれども、被告がたとえば徴税目的枠を超え民商そのものの壊滅を期するといった恣意から、原告ら民商会員の調査に及んだ証拠はない。たまたま或る時期に特定の集団に属するものに調査を受ける者が多数あったとしても、そのことから直ちに被告の必要性判断の恣意を論結し、調査、処分の違法をいうことが出来ないのはいうまでもない。また本件においては被告が質問検査権の行使にあたり、その必要ないし調査理由を具体的に開示しなかったことが、原告の不満の大きな原因になっているが、法の一律には要求していない要件であり、証拠にあらわれた本件諸事情のもとにおいては、この点からして被告の質問検査権の行使を違法視することも出来ない。
二 そこで次に、昭和四二年度の原告の所得金額の推計の当否を検討する。
1 被告は仕入先調査により原告の同年中の仕入金額が金九〇一万二三五円であることをつかんだが、売上原価がこの金額であることは原告の自認するところである。
2 そこで右売上原価から売上金額、所得金額を推計すべきことになるが、被告のとった推計方法は別紙被告第二準備書面記載のとおりである。これは原告の業態の把握が穏当で、従事人員一人当りの平均売上金額、平均差益率、所得率等算定の基礎になった類似同業者の選定が恣意的なものでなく適正である限り合理性のあるものとして是認することが出来る。よって右二点を見るに
(1) 成立に争いがない甲第五号証、証人浅利宏、同佐々木範三、同小野寺正三の各証言によれば、原告は昭和四二年中肩書住所に店舗を持ち夫婦二人きりで主にくつ製品の小売りを営んでいたが、店頭販売一色ではなく、岩大生協等生活協同組合や共済組合等への値引販売、日通等民間会社への値引販売のほか、外小売も一部やっていたことが認められる。これがそれぞれ右被告準備書面記載の卸売、中卸売、外売に対応するものである。
よって被告が原告の業態を右四つに細分してその収益を把握しようとしたのは正当である。但し右細分したそれぞれの原告の営業全体に対する割合は、証人小野寺正三の仕入れの大体六割が普通の小売で他が生協等組織を通じての販売だとの大まかな証言があるくらいで、詳細は証拠上明らかでない。従ってこの点も推計によるほかないわけであるが被告のこの点に関する推計方法にもいちおうの合理性があり、正当である。
(2) 成立に争いがない乙第七号証、同第九号証、同第一二号証、同第一四号証、証人佐々木範三の証言とこれによって真正に成立したものと認める乙第八号証の一、二、同第一〇、第一一号証の各一、二、同第一三号証の一、二、同第一五号証の一、二、同第一六号証の一ないし三によれば、被告は類似同業者を抽出するにあたり、原告と条件の全く同一な同業者が他にないため、くつ販売業者で原告と営業規模、立地条件等が類似する者を盛岡、花巻、山形、大曲の各税務署管内の青色申告者の中から選定することにし、原告の業態を、ゴム靴及びゴム製品の小売業者で店舗販売のほか官公庁、民間会社等への値引販売を行っている。店舗は、盛岡駅の北方、東北線一駅をへだてた国道四号線ぞい、厨川駅前通り普通商業地域にある、従事員は本人と妻の二人で仕入総額(昭和四二年度)は九〇一万円、顧客は店舗附近の新興住宅地居住者と厨川駅前通り居住者を主体とするものとして特徴ずけ、それに似た同業者(卸売又は小売業者、又はその兼業者)を七例選び、卸売、小売別に、その同年分の売上金額、差益金額、算出所得金額を調査したところ、別添被告第二準備書面、添付の別表一、二のとおりであったこと、右の数字は関係各税務署保管の青色申告決算書にもとずいているため、資料の正確性に欠けるところのないものであることが認められる。そして本件証拠によって認められる原告の営業環境、規模等もほぼ右被告の把握どおりで誤りないことが窺われるから、被告の類似同業者の抽出はその選定が右基準にそってなされている限り正当である。
3 右調査にかかる同業者の売上金額、差益金額、算出所得金額、従事人員数等を基礎に、従事人員一人当りの平均売上金額、同業者の平均差益率、平均算出所得率等を算出し、平均差益率から平均原価率を求め、これらを使って被告の手法に従い原告の算出所得金額を推計していくと別添被告準備書面第三項(三)に記載されているような数値が得られることは計算上明らかである。
以上被告の推計はその方法、計算共正当である。
因みに、甲第五号証中の小野寺正三の供述記載及び当法廷における同人の証言によれば、同人は原告の往年の営業成績を大まかに仕入れの一二五パーセント掛け位が総売上げ額と踏んでいる。これが昭和四二年度についてもあてはまるとすれば、昭和四二年分の売上金額は一、一二六万二、七九三円となる。また大まかに普通の小売は仕入れの六割位で他は生協等への値引販売であるとも述べる。いま試みにこれに従って原告の仕入金額を二分し、小売分につき二四・一六パーセント、値引販売分につき一三・八七パーセントの前同同業者の平均差益率を用いて計算すると、売上金額は一、一三一万二、八三一円となる(尤も小野寺正三は値引販売分のもうけはせいぜい一〇パーセント止りだと述べる。甲第五号証参照。右の計算で値引販売分の差益率を一〇パーセントと置くと、一、一一三万二、八三八円となる)。これらの数値がいずれも右被告の推計額と大差ないことからも、右推計の相当なことが明らかである。
4 特別経費として金六九万三、三四三円を計上すべきことは当事者間に争いがない。
原告は更に個人からの借金に対する支払利子を経費として認むべきであると主張するので、検討するに、証人小野寺正三の証言とこれによって成立を認める甲第一号証、同第四号証から、右原告主張分のうち、訴外沢田トヨに対する支払、一万五、一二〇円、同原亜知に対する支払、二万四、〇〇〇円は他に反証もないのでこれを認めることが出来るが、訴外小野寺正太郎に対する利子支払は、甲第六号証、証人小野寺正三、同小野寺正太郎の各証言よりするもにわかにこれを認め難い。
そこで都合七三万二、四六三円の特別経費を控除すべきである。
5 更に一五万円の専従者控除をなす必要のあること当事者間に争いがない。
6 以上によれば結局原告の総所得金額は金八六万五、八五四円と推計さるべきことになる。
三 そうすると、本件処分は原告の昭和四二年分の所得金額の範囲内でなされたことが明らかであるから、結局適法なものということができる。
よって原告の請求は理由がないので棄却し、民訴八九条を適用して主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 海老澤美廣 裁判官 長門栄吉 裁判官 堀滿美)
(別紙)
第二準備書面(被告)
被告は、原告の本件年分の所得金額及びその認定根基を次のとおり主張する。
一 売上原価について
(一) 被告は、原告の仕入先を調査し、本件年分の仕入金額をは握したが、本件年分の期首及び期末のたな卸高が明らかでないので、たな卸高に変動がないものと認定して、本件年分の仕入金額の総合計額九、〇一〇、二三五円をもって売上原価とした。
右仕入先別の仕入金額は次表のとおりである。
仕入金額の内訳
<省略>
(二) 売上原価の配分について
被告は、原告の営業形態が小売(店頭及び外売)中卸売(同業者及び民間会社への値引販売)及び卸売(職場、団体等の共済組合及び生活協同組合への値引販売)の販売形態をとっているが、右、小売、中卸売及び卸売別の売上原価が明らかでないので一の(一)による売上原価の総合計額を販売形態別に次の方法により推計のうえ区分した。
1 まず、原告の店頭小売金額を原告と類似する同業者の事業従事人員一人当りの年間売上金額を基に推計し、右売上金額に右類似同業者の平均差益率から求められる原価率を乗じて店頭小売金額に対応する売上原価を算定した。
(1) 店頭小売金額の計算
店頭小売金額は次表「類似同業者の従事状況及び従事人員一人当り売上金額の表」の番号6から9までの従事人員一人当り売上金額の平均(合計九、二五二、九六〇円を件数四で除して求めた額)二、三一三、二四〇円に原告における従事人員一、五人を乗じて三、四六九、八六〇円と算定した。
(類似同業者の従事員の従事状況及び従事人員一人当り売上金額の表)
<省略>
<省略>
(2) 平均差益率から求められる店頭小売金額に対応する原価
別表二(類似同業者の販売差益率及び算出所得率の表)の番号6から9までの類似同業者の平均差益率二四・一六%をもって、次の算式により原価率と店頭小売金額に対応する原価を算定した。
店頭小売金額×原価率=店頭小売金額に対応する売上原価
<省略>
2 次いで、外売小売・中卸売及び卸売の原価については、売上原価の総合計額から前記1による店頭小売金額に対応する原価を差引いた残額について、それぞれ同一割合で構成されているものと認定した。
(算式)
(売上原価総額-店頭小売対応原価)÷3 (外売小売・中卸売・卸売ごとの原価)
(九、〇一〇、二三五円-二、六三一、五四〇円)÷3=二、一二六、二三一円
(三) 従って、原告の販売形態別の対応原価は次表のとおりとなる。
<省略>
二 売上金額について
(一) 売上金額は、前記一の(一)の売上原価九、〇一〇、二三五円をもとに計算された前記一の(三)の販売形態別の対応原価額を類似同業者の販売形態別の平均原価率(100-平均差益率)でそれぞれ除して推計したものである。
1 卸売及び小売別の平均差益率は、別表一及び二(類似同業者の販売差益率及び算出所得率表)の一三、八七%及び二四、一六%である。
2 中卸売の差益率については、右の小売差益率から値引率(差益率の約一〇%の率)及び販売手数料五%を差引いた一六、七五%である。
(計算)
<省略>
(二) 従って、原告の販売形態別売上金額及び総売上金額は次表のとおりとなる。
<省略>
三 算出所得金額について
(一) 算出所得金額は、前記二の(二)の販売形態別売上金額に別表一及び二の「類似同業者の平均算出所得率」を乗じて計算した。
(二) 中卸売の算出所得率は、中卸売が卸売形態を有し、一般経費の点では、卸売と差がないと認められるので、前記二の(一)の2により計算した中卸売の差益率一六、七五%から卸売の一般経費率四、〇七%(注)を控除した一二、六八%によって計算した。
(計算方法)
中卸差益率-卸売一般経費率=中卸売の所得率 一六、七五%-四、〇七%=一二、六八%
(注) 卸売分の一般経費率は、卸売分差益率(一三、八七%)-卸売分算出所得率(九、八〇%)=卸売分一般経費率(四、〇七%)として算出される。(別表一参照)
(三) 従って原告の算出所得金額は次表のとおり一、七四八、三一七円となる。
<省略>
四 借入金利子について
借入金に対する支払利息の明細は次表のとおりである。
<省略>
五 減価償却費について
減価償却費は、建物及び車両について所得税法四九条により定額法をもって次表のとおり計算した。なお、建物については、取得価額が明らかでないので、被告は、盛岡市役所備付けの家屋名寄帳及び木造家屋調査票兼課税(補充)台帳により原告所有の建物の取得年月、構造及び面積を調査し、この面積に盛岡税務署管内の原告と同年次に建築された同種建物の三、三平方米当り平均建築価額二万円を乗じた金額を原告の所有建物の取得価額と認定した。
<省略>
<省略>
六 被告の主張
右により原告の昭和四二年分の事業所得の金額を計算すると次表のとおりとなり、原告は、原処分額を上回る所得金額を得ていることが明らかであるから、被告の本件更正処分は適法である。
(昭和四二年分事業所得収支計算内訳表)
<省略>
別表一
類似同業者の販売差益率及び算出所得率表
<省略>
別表二
類似同業者の販売差益率及び算出所得率の表
<省略>