知財高等裁判所 平成17年(ネ)10074号 判決 2005年10月13日
控訴人(被告)
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訴訟代理人弁護士
妹尾修一朗
被控訴人(原告)
株式会社五分利屋
訴訟代理人弁護士
岡田暢雄
今西一男
山本正
遠藤憲子
岡田尚人
主文
本件控訴を棄却する。
控訴費用は控訴人の負担とする。
事実及び理由
第1控訴人の求めた裁判
1 原判決を取り消す。
2 被控訴人の請求を棄却する。
3 訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。
第2事案の概要
事案の概要は,原判決の「事実及び理由」中の「第2 事案の概要」に記載のとおりであるから,これを引用する。
第3当裁判所の判断
1 当裁判所も,被控訴人の請求には理由があるものと考えるが,その理由は,後記2のとおり付け加えるほか,原判決の「事実及び理由」中の「第3 当裁判所の判断」に記載のとおりであるから,これを引用する。
2 控訴人は,本件確定判決が証人の偽証により騙取されたものであることが具体的に主張されているにもかかわらず,原審において,騙取の事実について審理を尽くすことなく判決をしたことは違法であると主張する。
しかし,証拠(甲10の1ないし3)によれば,本件確定判決は,取締役会議事録及び臨時株主総会議事録が偽造文書であるとの認定を,控訴人が偽証であると指摘する証言に基づいてしたものではなく,①鑑定書(筆跡鑑定書,印鑑鑑定書及びその補充書を含む。)によれば,前記株主総会議事録中の特定の文字については,別の株主総会議事録中の文字を複写して作成されたものと推認され,また,前記株主総会議事録中の署名部分についても,既存の書類中の署名の文字を複写して作成されたものと推認されること,②病院の入院記録に照らしても,控訴人主張の日に取締役会及び臨時株主総会が開催されたとは認め難いこと,③前記各議事録の記載内容にも不自然な点があることなどを総合考慮した結果,前記各議事録は偽造文書であると推認できるとしたものであるから,本件訴訟において,控訴人の指摘する偽証行為の有無について審理するまでもなく,本件確定判決が騙取されたとの控訴人の主張事実を認める余地がないことは明らかである。
3 結論
以上によれば,原判決には審理不尽の違法はなく,原判決は相当であり,本件控訴は理由がないので,これを棄却することとして,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 塚原朋一 裁判官 田中昌利 裁判官 清水知恵子)