知財高等裁判所 平成18年(ラ許)10007号 決定 2007年1月31日
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別紙当事者目録記載のとおり
当裁判所平成18年(ラ)第10012号著作隣接権仮処分命令申立却下決定に対する抗告事件において、当裁判所が平成18年12月22日にした決定(以下「本件決定」という。)に対し、申立人から許可抗告の申立てがあったので、当裁判所は、次のとおり決定する。
主文
1 本件抗告を許可しない。
2 申立費用は申立人の負担とする。
理由
1 申立人は、本件抗告の許可をすべき事由として、本件決定が最高裁判所及び抗告裁判所としての高等裁判所の判例に違背し、著作権法112条1項、99条の2及び2条1項9号の5の解釈に重大な誤りがあり、請求の基礎の同一性の判断に関する重大な誤りがあると主張する。
2 しかし、申立人の挙げる判例(最高裁判所昭和59年(オ)第1204号同63年3月15日第三小法廷判決・民集42巻3号199頁[クラブ・キャッツアイ事件]、知的財産高等裁判所平成17年(ラ)第10007号等同年11月15日決定[録画ネット事件])は、本件と事案を異にするものであって(特に、後者の判例との事案の相違は、本件決定の理由から明らかである。)、本件決定の判断は、法令の解釈についてこれらの判例と相反するものではなく、異なる事実関係の下において法令を適用した結果が異なるにすぎない。
また、請求の基礎の同一性についての本件決定の判断についても、本件決定に、民事訴訟法331条、297条、143条の解釈自体において従来の判例と相反する点はなく、単に、異なる事実関係の下において法令を適用した結果の差異にすぎない。
3 本件において、申立人が主張する事由は、その余の点も含め、いずれも民事訴訟法337条2項所定の事項を含むとは認められない。よって、本件抗告を許可しないこととし、主文のとおり決定する。
平成19年1月31日
(裁判長裁判官 三村量一 裁判官 古閑裕二 裁判官 嶋末和秀)