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知財高等裁判所 平成23年(行ケ)10328号 判決 2012年6月13日

原告

興和株式会社

訴訟代理人弁理士

高野登志雄

荒川桂子

内田高正

被告

特許庁長官

指定代理人

関根文昭

芦葉松美

田村正明

主文

原告の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由

第1原告の求めた判決

特許庁が不服2010-20891号事件について平成23年8月31日にした審決を取り消す。

第2事案の概要

本件は,商標登録の拒絶査定不服審判請求を不成立とした審決の取消訴訟である。争点は,引用商標との類否(商標法4条1項11号)である。

1  特許庁における手続の経緯

原告は,平成21年8月21日,「レインボー」の文字を標準文字で表してなり,第5類に属する「薬剤,食餌療法用食品,食餌療法用飲料,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,耳帯,眼帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド」を指定商品とする本願商標について,商標登録出願(商願2009-64209号)をし,平成22年4月21日,指定商品を第5類「衛生マスク」に補正する手続補正書を提出したが,同年6月15日,拒絶査定を受けたので,これに対する不服の審判請求をした(不服2010-20891号)が,特許庁は,平成23年8月31日,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決をし,その謄本は,平成23年9月12日,原告に送達された。

2  審決の理由の要点

審決の理由の要点は,本願商標と下記引用商標は類似の商標であって,指定商品も類似であるから商標法4条1項11号に該当するというものである。

【引用商標】(商標登録第5044114号)

file_2.jpg・指定商品

第10類

「化学物質を充填した患部用保温保冷具を患部に固定するための補助カバー」

・出願 平成18年7月6日

・登録 平成19年4月27日

・商標権者 A

第3原告主張の審決取消事由

審決には,商標の類否判断及び商品の類否判断に誤りがあり,これらの誤りはいずれも審決の結論に影響するから,審決は取り消されるべきである。

1  取消事由1(商標の類否判断の誤り)

(1)  外観における顕著な相違を無視して判断した誤り

本願商標は,「レインボー」の片仮名文字を標準文字で表わして構成されるものである。

他方,引用商標は,左目を閉じた男児の絵を大きく表示し,その周囲に擬人化した太陽と,「あつーい」の平仮名文字と共に汗をかいているような3匹の動物の顔の絵を配して,当該絵部の表示スペースを大きく採っている一方,当該男児の絵の右側に「百恋」の漢字及び「ひゃっこい!!」の平仮名文字を右下がりに二段に表わすと共に,これらの部分より下側に,「RAINBOW」の欧文字と「仙台」の漢字を当該絵部に比し小スペースにて二段に表わして構成されるものである。

本願商標がわずか4文字の片仮名文字(標準文字)のみから構成され,極めてシンプルな外観となっているのに対し,引用商標は周囲に動物や太陽の絵を伴なう左目を閉じた男児の絵が大きく,かつ印象的な体裁で表示されているため,文字部より先に当該絵部が取引者・需要者に対し,商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えている。

してみれば,本願商標と引用商標に,かかる男児等からなる絵部の有無という外観上特に顕著な相違が認められる以上,全体として両商標の差は一目瞭然であり,両者は商品の出所について誤認混同を生じるおそれのない非類似の商標である。

しかるに,審決は,本願商標と引用商標の外観における対比認定をすることなく,上記のような顕著な外観上の相違を無視して両商標を類似と判断したものであって,審決には商標の類否判断において誤りがある。この誤りは審決の結論に影響を及ぼすから,審決は取り消されるべきである。

(2)  称呼及び観念類似と判断した誤り

本願商標から,「レインボー」の称呼が生じ,「虹」の観念が生じるのに対し,引用商標は,その審査の過程において登録第4952559号商標「レインボー立体」及び商願2006-037646号商標「レインボーゼット」を引用した拒絶理由通知を受けたが,引用商標の出願人から,「引用商標は『RAINBOW』と『仙台』とを一体化して使用することを前提としており,『仙台』と『立体』及び『ゼット』とは全く異なる表記であるから,引用商標と『レインボー立体』及び『レインボーゼット』とは類似しない」旨の意見書を提出して登録査定を受けた経緯があり,「RAINBOW」を自他商品識別表示として使用しないことを前提として商標登録を受けたものである。

実際の商取引の現場における引用商標権者のホームページの商品説明書には,「熱中症予防グッズ『百恋(ひゃっこい)』」,「是非『百恋』をあなたのお側で活用下さい。」,「■『百恋』のご案内」,「『百恋(ひゃっこい)』で熱中症予防」,「『百恋』(ひゃっこい)は,成形冷凍したスポーツ飲料を入れて首や頭に巻いてボタンで止めるグッズです。」と表記使用されている。かかる商取引の実情から明らかなように,引用商標は,「百恋(ひゃっこい)」の部分が赤字で独立して表記されていることとも相俟って,「百恋(ひゃっこい)」の部分が商品の出所識別標識として取引者・需用者に最も強く印象付けられ,当該部分をもって商取引されている結果,当該部分から「ヒャッコイ」の称呼が生じ,「百の恋」の如き観念あるいは東北地方の方言から「冷たい」の如き観念が生じるのが自然であり,他の部分から特定の称呼や観念が生じることはなく,「レインボー」の称呼や「虹」の観念が生じることは商取引の実情に照らしあり得ない。

審決は,引用商標から「レインボー」の称呼や「虹」の観念が生じることを前提として本願商標と引用商標を類似と判断したものであって,審決には商標の類否判断において誤りがある。この誤りは審決の結論に影響を及ぼすことから,審決は取り消されるべきである。

(3)  全体的総合的考察により本願商標と引用商標は非類似であること上記のとおり,本願商標と引用商標は外観において顕著な相違を有し,かつ引用商標が「百恋(ひゃっこい)」の部分をもって商取引されている実情に照らし,本願商標と引用商標は全体として出所混同のおそれのない非類似の商標である。

2  取消事由2(商品の類否判断の誤り)

本願商標の指定商品は「衛生マスク」である。「衛生マスク」は主に冬の風邪対策や春の花粉対策として,顔面に装着して使用されるもので,主としてOTC医療品メーカーによって生産され,薬局・薬店で販売されているものである。

これに対し,引用商標の指定商品は「化学物質を充填した患部用保温保冷具を患部に固定するための補助カバー」である。この「補助カバー」は,引用商標のホームページの商品説明書記載によれば,主に夏場の猛暑期に首を冷やすために,冷凍物を収納して首に巻き付けて使用するためのポケットを有するタオル地製のマフラー状長尺物で,主としてパイルメーカーによって生産され,メールやFAXによって注文を受ける通信販売商品である。

そうすると,本願商標の指定商品「衛生マスク」と引用商標の指定商品「補助カバー」とは,構造・形態はもとより,使用目的,装着部位,したがってまた需要者が異なるとともに,生産部門や具体的な販売方法をことごとく異にする全く別種の商品で,両商品が非類似の商品であることに疑問の余地はない。

審決は,「衛生マスク」と「補助カバー」を類似と判断したものであって,審決には商品の類否判断において誤りがある。この誤りは審決の結論に影響を及ぼすから,審決は取り消されるべきである。

第4被告の反論

1  取消事由1(商標の類否判断の誤り)に対して

(1)  結合商標の類否判断方法

引用商標は,「RAINBOW」の欧文字及び人物の図形等からなる結合商標である。

結合商標における類否判断について,判例は,商標法4条1項11号に係る商標の類否は,同一又は類似の商品又は役務に使用された商標が,その外観,観念,称呼等によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して,その商品又は役務に係る取引の実情を踏まえつつ全体的に考察すべきものであり,複数の構成部分を組み合わせた結合商標と解されるものについて,商標の構成部分の一部を抽出し,この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは,その部分が取引者,需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や,それ以外の部分から出所識別標識としての称呼,観念が生じないと認められる場合などを除き,許されないとする。

この基準によれば,①商標の構成部分の一部が,取引者,需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合,又は,②それ以外の部分から出所識別標識としての称呼,観念が生じないと認められる場合,のいずれかに該当する場合であれば,結合商標の構成部分の一部を抽出し,その部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することも許される。

審決は,引用商標中の「RAINBOW」の欧文字部分も,上記①に該当すると判断したことから,引用商標から「RAINBOW」の文字部分を抽出し,本願商標と比較して商標の類否を判断したものである。

(2)  本願商標と引用商標の類否判断

本願商標と引用商標とは,外観上は相違するものであるが,「レインボー」の称呼及び「虹」の観念を共通にする。そして,本願商標の指定商品は「衛生マスク」であり,引用商標の指定商品は「化学物質を充填した患部用保温保冷具を患部に固定するための補助カバー」であるところ,それぞれの指定商品は,日常的に使用される,いわゆる衛生関連用品に該当するものといえることから,取引者,需要者には,これらの商品を取引する専門業者のほか,広く一般の消費者も含まれるものであり,商品に対する注意力は,決して高いものということができないという取引の実情をも考慮すれば,本願商標と引用商標は,商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれのある類似の商標というべきである。

(3)  原告の主張について

原告は,引用商標は「RAINBOW」を自他商品識別表示として使用しないことを前提として商標登録を受けたものである旨主張する。

しかし,引用商標は,「RAINBOW」の文字を使用しないことを前提として登録されたものではない。商標法には,いわゆる権利不要求制度は存在せず,また,商標に接する取引者,需要者は,必ずしも出願人の商標採択の意図に沿って商標を認識し,把握するものではないから,商標の審査においては,出願人の主張のままに,商標中の一部分を使用しないことを前提とした判断をすることはできない。引用商標は,審査におけるその引用商標との類否判断において,個別具体的に判断された結果,登録されたものである。また,営業主の引用商標に係る事業活動が継続している以上,商標権者が将来にわたって出願時の意見書のとおりに商標を使用すると断定することもできないのであるから,原告の主張は,その前提において失当である。

原告は,「引用商標は当該『百恋(ひやっこい)』の部分が赤字で独立して表記されていることとも相俟って,当該『百恋(ひやっこい)』の部分が商品の出所識別標識として取引者・需用者に最も強く印象付けられ,当該部分を以って商取引されている結果,当該部分から『ヒャッコイ』の称呼が生じ,『百の恋』の如き観念あるいは東北地方の方言から『冷たい』の如き観念が生じるのが自然であり,他の部分から特定の称呼や観念,就中『レインボー』の称呼や『虹』の観念が生じることは商取引の実情に徴しあり得ない。」旨主張する。

しかし,引用商標権者が,同人のホームページにおいて使用する「百恋(ひゃっこい)」の文字は,商品名として使用されているものであって,引用商標の使用ではないから,このことをもって引用商標から「レインボー」の称呼及び「虹」の観念が生じないということはできない。そして,引用商標については,その構成中の「RAINBOW」の文字部分が,取引者,需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えることから,これより「レインボー」の称呼及び「虹」の観念を生ずるものである。

したがって,原告の主張は,失当である。

2  取消事由2(商品の類否判断の誤り)に対して

判例によれば,指定商品が類似のものであるかどうかは,商品自体が取引上互いに誤認混同を生ずるおそれがあるかどうかだけにより判定すべきものではなく,それらの商品に同一又は類似の商標を使用するとき同一営業主の製造又は販売に係る商品と誤認されるおそれがあると認められる関係がある場合には,たとえ,商品自体が互いに誤認混同を生じるおそれがないものであっても,類似の商品に当たると解するのが相当である。

したがって,本願商標の指定商品「衛生マスク」と引用商標の指定商品「化学物質を充填した患部用保温保冷具を患部に固定するための補助カバー」とに同一又は類似の商標を使用した場合,同一の者の製造又は販売に係る商品と誤認混同されるおそれがあるか否かという観点から判断すべきであり,その際には,現時点における引用商標権者の取扱いに係る商品のみに限定して判断すべきではなく,両商品の一般的な取引の実情を踏まえて判断すべきである。

本願商標の指定商品である「衛生マスク」は,風邪,インフルエンザなどのウィルス対策や花粉症予防のために使用されるマスクである。

引用商標の指定商品である「化学物質を充填した患部用保温保冷具を患部に固定するための補助カバー」は,ひざなどの患部を包み込むように温めて血流改善し痛みをやわらげるための化学物質を充填した保温具や,肩やひじ,ひざなどの痛みに対し急冷することによって患部の回復を図るために化学物質を充填した保冷具などを用い,これらを患部に固定するための補助カバーであって,当該保温具や保冷具と密接に関連する商品ということができる。

花粉やウィルスを防御するためのマスクと,ゲル状の保冷剤とそれを患部に固定するための専用カバーがセットになった商品が,同一カテゴリーに属する商品として同一の企業において製造されている事実がある。

してみれば,花粉やウィルスを防御する「衛生マスク」と「化学物質を充填した患部用保温保冷具を患部に固定するための補助カバー」とは,商品のカテゴリーが同一であって,かつ,生産部門,販売部門及び需要者を共通にする商品ということができ,それぞれの効果である「風邪・花粉・ウィルスの防除」及び「患部の治癒」が,最終的には「健康な体の維持」という目的を共通にする互いに密接に関連した商品であるから,両商品に同一又は類似の商標を使用するときは,同一営業主の製造又は販売に係る商品と誤認されるおそれがある類似の商品というべきである。

第5当裁判所の判断

1  取消事由1(商標の類否判断の誤り)について

(1)  引用商標について

引用商標は,正方形をなす全体が上4分の3の位置を水平に横断する直線によって截然と2分されてなるものである。上部には,中央左寄りに支配的に大きく片目をつぶった人物の上半身像が描かれ,その左側にクマらしき動物の顔が右上がりに表され,人物像の右側には,上から順に,擬人化した太陽,ウサギらしき動物の顔,カエルらしき動物の顔が,いずれも右下がりに表され,動物の顔は,それぞれ「あつーい」の文字と各顔の左右に各3つの水滴様のものとを伴い,ウサギの下,カエルの左には「百恋」及び「ひゃっこい!!」の文字が,右下がりに2段に表されてなるものである。下部には「RAINBOW」の欧文字及び「仙台」の文字が二段に配されてなるものである。上部と下部との間には,視覚上何らの関連も認められない。

引用商標の上部は,面積的には大きいが,多数の要素からなり散漫な印象を与える。上部の記載中の絵の部分は,著名なキャラクターとは認められず,その意味するところが不明であるため,特定の観念も称呼も生じない。「百恋」の文字は,下段に並行して表された「ひゃっこい!!」の文字からの連想によって「ひゃっこい」の称呼を生じるが,文字だけであれば生じうる「百の恋」の観念が「ひゃっこい!!」の文字からの連想によって妨げられ,結局その意味は不明であり,商品識別力を有する特定の観念を生じない。「ひゃっこい!!」の文字は,「ひゃっこい」の称呼を生じ,この称呼は「冷たい」を意味する「ひやっこい」との単語の音に似ているから,これ単独であれば連想により「冷たい」との観念を生じ得るが,上段に並行して表された「百恋」の文字があるために「冷たい」という意味を連想することが妨げられ,商品識別力を有する特定の観念を生じない。動物の顔に伴う「あつーい」の文字からは,「あつーい」の称呼と「暑い」又は「熱い」との観念を生じ得るが,非常に小さく表されていることから判読し難く,看る者の印象に残らず,称呼観念を生じさせるものではない。「百恋」,「ひゃっこい!!」の文字は,それ自体から上記の称呼を生じさせるものの,これら文字が引用商標に占める面積割合に照らして引用商標としての称呼まで生じさせるものではない。以上を総合すると,上部の構成全体からは,特定の称呼も観念も生じることがない。

これに対し,引用商標の下部には,その上段に,手書き風の肉太の書体で両端を大きく,中心に向けてやや小さく,「RAINBOW」の欧文字を構成の横幅一杯に顕著に表し,下段に,やや小さく,やや細いゴシック体で「仙台」の文字を表したものであり,看る者にはっきりとした印象を与える。そして,「RAINBOW」の欧文字と「仙台」の文字は,文字の種類,大きさ及び書体を異にし,二段に表されていることから,一体性が弱く,視覚上分離して把握されるものである。

そうすると,引用商標は,「RAINBOW」の文字部分が,需要者及び取引者にとって最も強く注意を惹く部分であり,この部分をもって引用商標の要部と認めることができる。

(2)  対比

引用商標は図形部分を有することから,文字商標である本願商標とは外観において類似しないが,本願商標は,「レインボー」の文字を標準文字で表してなり,「レインボー」の称呼及び「虹」の観念を生じるものであって,引用商標の要部と認められる「RAINBOW」と称呼及び観念において同一であるから,外観が非類似であっても,両商標は類似するものというべきである。したがって,両商標が類似するとした審決の判断に誤りはない。

2  取消事由2(商品の類否判断の誤り)について

本願商標の指定商品である「衛生マスク」は,風邪,インフルエンザなどのウィルス対策や花粉症予防のために使用されるマスクであり,引用商標の指定商品である「化学物質を充填した患部用保温保冷具を患部に固定するための補助カバー」は,ひざなどの患部を包み込むように温めて血流改善し痛みをやわらげるための化学物質を充填した保温具や,肩やひじ,ひざなどの痛みに対し急冷することによって患部の回復を図るために化学物質を充填した保冷具などを用い,これらを患部に固定するための補助カバーであり,ともに布ないし不織布等の布様のものからなり,人間の健康の維持や患部の治癒を目的として身体に密着させて使用される衛生関連商品であって,同一の企業において製造される場合があり,薬局,薬店,通信販売等で広く販売され,一般消費者が家庭で使用するものであるから,両商品の用法において共通する部分がある。

したがって,本願商標と引用商標の指定商品が類似するとした審決の判断に誤りはない。

3  取引の実情その他原告の主張について

上記商標類似及び商品類似の判断を左右すべき具体的な取引の実情を認めるべき証拠はない。

原告は引用商標が登録された経緯を述べるが,この経緯は,引用商標と本願商標との上記類否判断を左右しない。すなわち,原告は,引用商標の出願人が引用商標の「RAINBOW」と「仙台」を一体化して使用することを前提としているとした登録出願時の意見書の記載を援用するが,上記類否判断は,取引者,需要者からみたものであるから,引用商標の出願人の意図によって左右されるものではない。

第6結論

以上によれば,原告主張の取消事由はいずれも理由がない。よって,原告の請求を棄却することとし,主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 塩月秀平 裁判官 池下朗 裁判官 古谷健二郎)

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