知財高等裁判所 平成23年(行ケ)10357号 判決 2012年6月27日
原告
ファミリー株式会社
訴訟代理人弁護士
三山峻司
井上周一
木村広行
松田誠司
弁理士
角田嘉宏
古川安航
浦利之
下村裕昭
山田久就
高田聰
被告
株式会社フジ医療器
訴訟代理人弁護士
畑郁夫
重冨貴光
高田真司
黒田佑輝
辻本希世士
辻本良知
笠鳥智敬
松田さとみ
弁理士
辻本一義
神吉出
大本久美
丸山英之
金澤美奈子
坂元孝之
主文
特許庁が無効2009-800219号事件について平成23年9月28日にした審決を取り消す。
訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
第1原告が求めた判決
主文第1項と同旨
第2手続の経緯
原告は,発明の名称を「椅子型マッサージ機」とする特許(第3727648号,平成14年3月11日基礎となる特許出願,平成17年4月7日分割出願,平成17年10月7日特許権設定登録,請求項の数8)の特許権者である。
被告は,平成21年10月19日,進歩性欠如等を理由にして請求項1ないし8につき特許無効審判請求をしたところ(無効2009-800219号),特許庁は,平成22年8月26日,「本件審判の請求は,成り立たない。」との第一次審決をしたが,第一次審決は平成23年4月26日,知的財産高等裁判所の判決により取り消された(平成22年(行ケ)第10312号)。
原告は,再開後の審判における平成23年5月13日及び6月1日,特許請求の範囲の記載等の一部について訂正請求をしたが,拒絶理由通知を受けたので,平成23年7月22日,特許請求の範囲の記載等の一部をさらに改める手続補正をしたところ,特許庁は,平成23年9月28日,訂正は特許法所定の要件を充足するが,訂正後の発明は進歩性を欠くとして,「訂正を認める。特許第3727648号の請求項1~8に係る発明についての特許を無効とする。」との第二次審決をした。
本件は第二次審決の取消訴訟である。
他方,原告は,訴え提起後の平成24年1月27日,一部の請求項を削除し,特許請求の範囲の記載の一部を改める本件訂正審判請求をした(訂正2012-390007号)。特許庁は,この請求に基づき,平成24年4月24日,「特許第3727648号に係る明細書を本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおり訂正することを認める。」との本件訂正審決をし,確定した。
第3当裁判所の判断
本件訂正審判請求に係る訂正は,①請求項1の特許請求の範囲を減縮し,②請求項2の特許請求の範囲の記載を減縮された請求項1の特許請求の範囲の記載に整合させ(明瞭でない記載の釈明),③請求項3,5を削除して訂正前の請求項4,6ないし8をそれぞれ繰り上げ(特許請求の範囲の減縮),④訂正前の請求項4の特許請求の範囲を減縮し,⑤訂正前の請求項6ないし8の特許請求の範囲の記載を上記請求項の削除に整合させる(明瞭でない記載の釈明)ものであるところ,特許請求の範囲を減縮する訂正審決が確定した場合には,当初から,減縮後の特許請求の範囲で特許査定,設定登録がされたものとみなされ(平成14年法律第24号「特許法等の一部を改正する法律」附則3条1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法128条),したがって,本件訂正審決前の特許請求の範囲に基づいてされた第二次審決は,結果的に発明の要旨認定を誤ったことになる。
当裁判所は,この要旨認定の誤りにもかかわらず進んで本件特許に係る発明の無効理由の有無について本件訴訟で審理判断するのは相当でないと認め,本件無効審判請求の審理のため,第二次審決を取り消すこととする。訴訟費用負担につき,行政事件訴訟法7条,民訴法62条を適用。
(裁判長裁判官 塩月秀平 裁判官 真辺朋子 裁判官 田邉実)