知財高等裁判所 平成25年(ネ)10093号 判決 2014年2月26日
控訴人(原告)
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被控訴人(被告)
日立アプライアンス株式会社
訴訟代理人弁護士
岡部眞純
細野義治
主文
本件控訴を棄却する。
控訴費用は控訴人の負担とする。
事実及び理由
第1控訴の趣旨
原判決を取り消す。
被控訴人は,控訴人に対し,5000万円を支払え。
第2事案の概要
1 本件は,電気炊飯器に関する実用新案権(実用新案登録第3126350号,本件考案)を有する控訴人が,被控訴人による原判決別紙物件目録記載の電気炊飯器(本件電気炊飯器)の製造・販売が本件考案を無断で利用し,控訴人の権利を侵害するものであると主張して,被控訴人に対し,平成25年1月1日から同年6月30日までの侵害行為に対する実施料相当額の損害賠償として5000万円の支払を求めた事案である。
原判決は,控訴人の請求を棄却した。
2 前提となる事実
前提となる事実は,原判決3頁1行目の「おごけごはん」を「おこげごはん」と改めるほかは,原判決の「事実及び理由」欄の「第2 事案の概要」の「2 前提事実」(原判決2頁5行目から4頁21行目)に記載のとおりである。
3 争点及び当事者の主張
争点及び当事者の主張は,原判決「事実及び理由」欄の「第2 事案の概要」の「3 争点」(原判決4頁23行目から5頁1行目)及び「4 争点に関する当事者の主張」(原判決5頁3行目から6頁18行目)に記載のとおりである。
第3当裁判所の判断
1 当裁判所も,原判決の認定判断を支持するものであって,控訴人の請求は理由がないものと判断する。その理由は,原判決「事実及び理由」中の「第3 当裁判所の判断」1及び2(6頁20行目~8頁14行目)記載のとおりである。
2 なお,控訴人は,控訴理由書を提出しないが,補正依頼書兼回答書の記載からみて,「日立熱器具は千葉県柏市に存在しない」から,引用文献は採用すべきではなく,したがって,引用文献記載の考案は認定できず,被控訴人の無効の抗弁を認めた原判決は誤りである旨,控訴の理由を述べるものと解される。
しかし,上記の主張に理由がないことは,原判決において判示された(8頁9行目~14行目)とおりであり,現時点において日立熱器具が該地に存在するか否かは,引用文献の公知技術文献としての法的性質と関連するものではないから,控訴人の上記主張は失当である。
しかも,原判決は,請求原因である侵害の事実(本件電気炊飯器における可変スイッチの存在)の立証がないことを理由として,原告の請求には理由がないと判断したものであるところ,控訴人は,当審においても侵害の事実を立証しないから,控訴人の請求には理由がない。
第4結論
以上によれば,控訴人の請求を棄却した原判決は相当である。よって,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 清水節 裁判官 池下朗 裁判官 新谷貴昭)