知財高等裁判所 平成25年(行ケ)10322号 判決 2014年6月18日
原告
インターグッズリミテッド エー/エス
訴訟代理人弁理士
岡部讓
田中尚文
金成浩子
被告
株式会社ちぼり
訴訟代理人弁理士
涌井謙一
山本典弘
鈴木一永
工藤貴宏
三井直人
主文
原告の請求を棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
この判決に対する上告及び上告受理申立てのための付加期間を30日と定める。
事実及び理由
第1原告の求めた判決
特許庁が無効2013-680001号事件について平成25年7月23日にした審決を取り消す。
第2事案の概要
本件は,下記引用商標の商標権者である被告の請求に基づき,原告の有する下記本件商標が商標法4条1項11号(他人の先願登録商標との同一又は類似)に該当するものとしてその登録を無効とした審決の取消訴訟である。争点は,①本件商標の認定(要部,称呼)の誤りの有無,②引用商標と本件商標との類否判断(称呼,取引の実情)の誤りの有無及び③平等原則違反の有無である。
1 本件商標
原告は,次の本件商標の商標権者である。(甲1,25,26,27の1・2)
file_2.jpg① 国際登録番号 第1053405号
② 基礎出願 平成22年(2010)3月24日(デンマーク王国)
③ 国際商標登録出願 平成22年(2010)9月23日
④ 国内登録日 平成23年(2011)10月28日
⑤ 商品及び役務の区分並びに指定商品
第30類 クッキー,ビスケット (Cookies,biscuits.)
2 特許庁における手続の経緯
被告は,平成25年2月19日付けで,本件商標について,商標法4条1項8号,11号,15号及び16号に該当することを無効理由として,登録無効審判請求をした(無効2013-680001号)。被告は,引用商標の商標権者である。
特許庁は,平成25年7月23日,「国際登録第1053405号の登録を無効とする。」との審決をし,その謄本は同年8月1日に原告に送達された。
(甲2,11,25)
3 審決の理由の要点
【引用商標】
file_3.jpgFRY① 登録番号 第693011号
② 出願日 昭和39年6月1日
③ 登録日 昭和40年12月16日
④ 更新登録日 平成17年12月27日
⑤ 商品及び役務の区分並びに指定商品
第30類 菓子,パン(甲2,30,31)
(1) 本件商標について
ア 要部認定
本件商標の指定商品の「Cookies,biscuits.(クッキー,ビスケット)」との関係においては,「COOKIES」「BISCUITS」「DELICIOUS」の文字及びこれらが含まれた文字部分については,商品の内容や品質を表示するものとして理解され,識別力がないか極めて弱いものというのが相当である。
さらに,「NO PRESERVATIVES」の文字部分は,「防腐剤未使用」程の意味合いを有するものであるから,商品の品質表示として識別力がないものというのが相当である。
また,ふたに表された果物とクッキーなども,クッキーやビスケットの形状や原材料を表したものと理解されるから,これらも,識別力がないか極めて弱いものというのが相当である。
してみると,本件商標において,ふたの上部に太字で,他の文字と関係なく目立つように表された「Tivoli」の文字,及び缶容器の側面の最上部に表記された「Tivoli」の文字が,取引者,需要者に強く印象付けられ,商品の識別標識としての機能を有する要部として認識され,看取されるものというべきである。
イ 称呼・観念
「Tivoli」からは,「イタリアの観光・保養都市のティボリ(チボリ)」あるいは「デンマークのコペンハーゲンにある遊園地のティボリ(チボリ)」程の意味合いを想起し,認識されるから,本件商標は,「ティボリ(・・・)」又は「チボリ(・・・)」の称呼を生じ,「イタリアの観光・保養都市のティボリ(チボリ)」あるいは「デンマークのコペンハーゲンにある遊園地のティボリ(チボリ)」の観念を生じる。
(2) 引用商標について(称呼・観念)
引用商標「チボリ」からは,「イタリアの観光・保養都市のチボリ」あるいは「デンマークのコペンハーゲンにある公園(遊園地)のチボリ」程の意味合いを想起し,認識される場合があるから,本件商標は,その構成文字に相応して,「チボリ(・・・)」の称呼を生じ,「イタリアの観光・保養都市のチボリ」あるいは「デンマークのコペンハーゲンにある公園(遊園地)のチボリ」の観念を生じる。
(3) 商標の類否
ア 外観
本件商標と引用商標とは,外観において類似しない。
イ 称呼
① 本件商標の「チボリ(・・・)」と引用商標の「チボリ(・・・)」とは,称呼において共通する。
② 本件商標の「ティボリ(・・・)」と引用商標の「チボリ(・・・)」とは,称呼において類似する。
ウ 観念
本件商標と引用商標とは,観念において類似する。
エ 取引の実情
外観,称呼及び観念における商標の類似について,その判断を左右するに足りる取引の実情は見当たらない。
オ 判断
本件商標と引用商標の外観上の差異が,称呼及び観念の同一性を凌駕するものとはいえず,取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して考慮すれば,外観が相違するとしても,「チボリ(・・・)」の称呼及び「チボリ」の観念を同一にする両者は,商品の出所について誤認混同を生じさせるおそれのある類似の商標である。
(4) 商品又は役務の類否
本件商標の指定商品は,引用商標の指定商品と同一又は類似のものである。
(5) 審決判断まとめ
本件商標は,商標法4条1項11号に違反して登録されたものであるから,同法46条1項の規定に基づき,その登録を無効にすべきものである。
第3原告主張の審決取消事由
1 取消事由1-1(要部認定の誤り)
商品の包装容器を模した商標(以下「パッケージ商標」という。)にあっては,容器のデザイン全体が出所識別表示の機能や顧客吸引力あるいは宣伝広告機能を発揮するように,素材の選択,配置,構成,配色等を十分に配慮した独創的かつ特徴的なデザインとして創作される。そして,取引者,需要者は,まず全体を視認し,これにより,当該デザインが一体として有する独自性が取引者,需要者に自他商品等の識別標識として印象付けられる。したがって,デザインの中に含まれる一要素にすぎない特定の文字のみが,商品の識別標識としての機能を有する要部として認識され,又は看取されることはない。
本件商標は,文字や図案が白色を基調とした統一感を有する配色,書体,図柄となっている包装容器を模して表したパッケージ商標であり,その構成に含まれる「Tivoli」の文字が取引者,需要者に強く印象付けられ,自他商品識別機能を発揮することはないから,これが要部として認識され,又は看取されることはない。
したがって,「Tivoli」の文字を本件商標の要部とした審決の認定には,誤りがある。
2 取消事由1-2(称呼認定の誤り)
本件商標に含まれる「Tivoli」の文字は,我が国で広く知られている単語とは言い難く,そうとすると,「Tivoli」の文字に接した取引者,需要者にあっては,通常,これをローマ字読みにした「ティボリ(・・・)」の称呼を該文字より一義的に認識し,これに代替し得るような「チボリ(・・・)」との称呼もここから生じ得るとは判断しない。
したがって,「Tivoli」の文字から「チボリ(・・・)」の称呼も生じるとした審決の認定には,誤りがある。
3 取消事由2-1(称呼の類似性判断の誤り)
本件商標に含まれる「Tivoli」の称呼である「ティボリ(・・・)」と引用商標の「チボリ(・・・)」との称呼は,いずれも3音という短い音数から構成されているから,一音一音が明確に発音され,明瞭に聴取されるから,語頭音たる「ティ(・)」と「チ(・)」の差異が両称呼全体に及ぼす影響は大きく,これらの称呼を一気一連に称呼した場合,両者が称呼上相紛れることはない。
したがって,本件商標に含まれる「Tivoli」の称呼である「ティボリ(・・・)」と引用商標の称呼である「チボリ(・・・)」とが類似するとした審決の判断には,誤りがある。
4 取消事由2-2(取引の実情の判断の誤り)
菓子業界では,パッケージ商標が全体として商標的機能を十分に発揮し得る商標と認知されていることに伴い,パッケージ商標中に特定の文字が顕著に表されている場合であっても,該パッケージ商標が用いられた商品と前記特定の文字が付された他者の商品とに時と場所を異にして接した取引者,需要者にあっては,両商品を互いに取り違えるおそれはないという取引の実情がある。
このような菓子業界特有の取引の実情を勘案すれば,本件商標と引用商標との外観上の顕著な差異は,称呼及び観念の類似性を考慮するまでもなくこれらを遥かに凌駕するものといえ,本件商標が,引用商標との関係で商品の出所について誤認混同を生じさせるおそれは皆無である。
したがって,称呼及び観念の類似性の判断を左右する取引の実情を認めなかった審決には,誤りがある。
5 取消事由3(平等原則違反)
被告は,平仮名の「ちぼり」を縦書きして成る登録第5481897号の商標(平成23年6月17日出願)の商標権者であるが(甲15,16),本件商標の「Tivoli」の文字が要部と認定され,かつ,引用商標と類似するとされた場合,被告は,引用商標に基づき本件商標に係る商標登録を無効にすることに加え,上記結論から登録時に無効理由が存在したことになる前記平仮名の「ちぼり」を縦書きして成る商標に関して商標登録の利益を享受することとなる。このような結論は整合性を欠くものであり,平等原則に反する。
第4被告の反論
1 取消事由1-1(要部認定の誤り)に対して
被告は,菓子業界にパッケージ商標なる概念が浸透している事実を寡聞にして知らず,原告からは,パッケージ商標であるがゆえに商標が全体としてのみ把握されるとする根拠は主張されていない。
取引者,需要者が,商品の包装全体に注目することがあるとしても,商品自体が著名であったり,包装容器が特殊な色や形をしている等の特別の事情でもない限り,その商品の出所を把握するために,取引者,需要者が商品の包装全体の構成中の目立つ部分に着目することは当然である。
本件商標は,商品の包装容器と思しき缶を斜め上方から描いた図形商標であるところ,取引者,需要者は,本件商標の構成中,他の文字とは分離して記され,かつ,当該文字が目立つように「i」の文字の「・」部分が赤色で表記されている特徴を有する「Tivoli」の文字に注目し,この部分を商品出所識別機能を有する部分と認識する。
したがって,「Tivoli」の文字を本件商標の要部とした審決の認定には,誤りはない。
2 取消事由1-2(称呼認定の誤り)に対して
我が国において,「Tivoli」の文字が「チボリ(・・・)」と称呼されている例があり(乙2,3,12ないし17),通常の取引者,需要者は,「Tivoli」の文字から「チボリ(・・・)」との称呼を一義的に認識する。
したがって,「Tivoli」の文字から「チボリ(・・・)」の称呼も生じるとした審決の認定には,誤りはない。
3 取消事由2-1(称呼の類似性判断の誤り)に対して
本件商標に含まれる「Tivoli」の称呼である「ティボリ(・・・)」と引用商標の「チボリ(・・・)」とが類似することは,審決が判断したとおりである。
したがって,審決の判断には,誤りはない。
4 取消事由2-2(取引の実情の判断の誤り)に対して
原告が主張するような取引の実情は存しない。
したがって,審決の判断には,誤りはない。
5 取消事由3(平等原則違反)に対して
原告の主張に係る平仮名の「ちぼり」を縦書きして成る商標における無効事由の存否は,本件審決の認定判断の適否に何ら影響するものではない。
第5当裁判所の判断
1 取消事由1-1(要部認定の誤り)について
(1) 要部認定につき
本件商標は,扁平な円筒形の白地の缶容器を斜め上方から見下ろした図形を表したものであるところ,その缶容器のふたには,中央に洋梨や種子と思われる果物と数枚のクッキーの図柄が,図柄の上部に黒色で太い「Tivoli」の欧文字(「Ti」の「i」の上部の「・」のみが赤色)が,ふたの円形の縁に沿って「DELICIOUS COOKIES」「DELICIEUX BISCUITS」及びその他小さく書された薄い灰色の欧文字がそれぞれ表されている。また,その缶容器の側面には,上から順にふたと同様の書体の「Tivoli」,薄い黒色の「DELICIOUS」,白い中抜きの「COOKIES」及び極めて薄い赤色の「NO PRESERVATIVES」の文字が表記されるとともに,灰色線で曲線の模様が付されている。
そして,本件商標の指定商品の「クッキー」(Cookies)又は「ビスケット」(biscuits) との関係においては,ふたに表された果物とクッキーの図柄などはクッキーやビスケットの形状や原材料を表したものと理解され,出所表示の点において識別力がないか極めて弱いものといえる。また,上記の文字中の「COOKIES」「BISCUITS」「DELICIOUS」の文字及びこれらが含まれた文字部分については,薄い灰色又はこれに近い書体であって,注目されにくい上,商品の内容や品質を表示するものとして理解されるから,識別力がないか極めて弱いものといえる。さらに,「NO PRESERVATIVES」の文字部分は,極めて薄い赤色であって,「防腐剤未使用」程の意味合いを有するものであるから,商品の品質表示として識別力がないものといえる。そして,表された缶容器の形状は,クッキーやビスケットの容器としてはごくありふれた円筒形であって,色合いも普通の白地であり,曲線模様もさほど目立つものではない。
これに対し,「Tivoli」の文字は,ふたの上部には,唯一の黒色の太字で他の文字と関係なく目立つように表され,「i」の上部に点のみを赤くしたことからも,最も注目されることを意識して作字されたものと推察され,また,缶容器の側面には,同様の書体で最上部に表記されている。さらに,「Tivoli」は,「イタリアにある特定の観光・保養都市の名称」又は「デンマークのコペンハーゲンにある特定の公園の名称」を指すものであるから(甲32,33),「Tivoli」の文字からは,そのような意味合いが想起され,認識されるものと認められる。
そうすると,ごくありふれた形状・色彩で目立たない模様地が付されただけの缶容器の図柄に,他には識別力がないか極めて弱い文字しか付されていない中で,「Tivoli」との我が国ではあまり馴染みのない地名が,最も注目されやすい書体で目立つ位置に付されているのであるから,本件商標に接した取引者,需要者は,「Tivoli」との文字に強く印象付けられ,これを商品の出所識別標識としてとらえるものと認められ,本件商標の要部は,「Tivoli」との文字部分というべきである。
(2) 原告の主張に対して
原告は,「パッケージ商標」においては,商標の全体が自他商品識別機能を有する旨を主張する。
しかしながら,商品の包装又は容器の図柄を商標としたからといって,当然にその包装又は容器の図柄全体に自他商品識別機能が生じることにはならないのであり,当該商標の要部がその一部又は全体であるかは,当該商標の構成にかんがみて,取引者,需要者が当該商標のどの部分に着目するかによることである。しかるに,原告は,商品の容器又は包装のデザインが取引過程においてどのような位置付けを一般的に有するかを主張するのみであり,取引者,需要者が,商品の容器の図柄を表した本件商標それ自体について,その全体のみに着目する理由を何ら具体的に主張していない。その他上記(1)の要部認定を左右する事情はないというべきである。
したがって,原告の上記主張は,採用することができない。
(3) 小括
以上のとおりであり,「Tivoli」の文字を本件商標の要部とした審決の認定には,誤りはない。
2 取消事由1-2(称呼認定の誤り)について
原告は,「Tivoli」の文字は一義的に「ティボリ(・・・)」と称呼される旨を主張する。
しかしながら,そもそも国語辞典にすら「Tivoli」が「チボリ(・・・)」と称呼されることが記載されているほか(甲33),「Tibet(チベット(・・・))」「ticket(チケット(...))」「Timor(チモール(...))」「tin(チン(..)〔すず〕)」「tip(チップ(..))」など一々枚挙するまでもなく,外来語において「Ti」又は「ti」を「チ(.)」と読む例は多数あるのであり,我が国において,「Ti」又は「ti」を「ティ(.)」と発音するか,「チ(.)」と発音するか,いずれかを断定すべき合理的な根拠はない。したがって,少なくとも,「Tivoli」の文字が,一義的に「ティボリ(...)」とのみ称呼されるといい得ないことは明らかである。
したがって,原告の上記主張は,採用することができない。
以上から,「Tivoli」の文字から「チボリ(...)」の称呼も生じるとした審決の認定には,誤りはない。
3 取消事由2-1(称呼の類似性判断の誤り)について
原告は,「Tivoli」の称呼である「ティボリ(....)」と引用商標の「チボリ(...)」との称呼が類似しない旨を主張する。
上記2に認定のとおり,「Tivoli」が「チボリ(...)」と称呼され得る以上,本件商標の要部である「Tivoli」と引用商標の「チボリ」は称呼を同一にするものであるから,上記主張は,両商標が称呼上類似するとの審決の結論を左右するものではないが,いずれにせよ,「ティ(.)」の音は一音で発音され,かつ,「チ(.)」と母音(イ)を同じくする近似音であるために,「ティボリ(...)」と「チボリ(...)」をそれぞれ一連に称呼するときは,その語調語感が互いに近似し,発音上は3文字分しかないごく短いものであるから,これらを互いに聴き誤るおそれがあることは明らかである。
したがって,原告の上記主張は,採用することができない。
以上から,「Tivoli」の称呼である「ティボリ(...)」と引用商標の「チボリ(...)」との称呼が類似するとした審決の判断には,誤りはない。
4 取消事由2-2(取引の実情の判断の誤り)
原告は,菓子業界には,特定の文字を使用する「パッケージ商標」を付された商品と当該特定の文字を使用する商品とに出所の誤認混同を生じさせるおそれがないとの取引の実情がある旨を主張するが,何らこれを裏付けるに足りる証拠を提出せず(他の登録商標を例示して登録の実情を指摘しただけでは,本件商標に関する取引の実情についての立証になるものではない。),そのような取引の実情を認めることはできない。
したがって,原告の上記主張は,失当である。
以上のとおりであり,称呼及び観念の類似性の判断を左右する取引の実情を認めなかった審決には,誤りはない。
なお,登録商標(甲52ないし99)に係る原告の主張は,文字標章として登録された商標の文字又はこの文字標章の発音を想起させる文字を含む図形商標が,当該文字標章として登録された商標とは別途登録されていることを指摘するだけであり,当該文字標章の自他商品識別能力の程度や当該図形商標の構成の要部検討がなされない以上,「Tivoli」の文字部分のみに圧倒的な自他商品識別機能を有する本件商標と「チボリ」という文字標章を商標とした引用商標との類否判断の参考となるものではない。
5 取消事由3(平等原則違反)について
原告は,被告が平成23年6月17日出願に係る平仮名の「ちぼり」を縦書きして成る登録第5481897号の商標について商標登録を得ていることから,本件商標が引用商標に基づき無効とされることが平等原則違反に帰する旨を主張する。原告が主張する「平等原則」が商標法等のどのような規定に基づくものであるかはさておき,上記商標と引用商標とは,全く別途の手続によって登録されたものであって,これらの商標権者がたまたま被告1名に帰して共通するからといって,違法となるものではない。
原告の上記主張は,失当である。
6 まとめ
以上のとおり,本件商標と引用商標とは,称呼及び観念が少なくとも類似するものであり,本件商標と引用商標の外観上の差異を考慮するとしても,上記類似点を凌駕するにはほど遠いから,両商標は,類似する商標である。この点についても,審決の判断に誤りはない。
第6結論
よって,原告の請求を棄却することとして,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 清水節 裁判官 中村恭 裁判官 中武由紀)