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知財高等裁判所 平成28年(ネ)10038号 判決 2016年5月16日

控訴人(一審原告)

株式会社イー・ピー・ルーム

被控訴人(一審被告)

代表者

法務大臣

主文

1  本件控訴を棄却する。

2  控訴費用は控訴人の負担とする。

事実及び理由

用語の略称及び略称の意味は,本判決で付するもののほか,原判決に従う。

第1控訴の趣旨

別紙控訴状写し及び控訴状の訂正写し記載のとおりである。

第2事案の概要

1  事案の要旨

(1)  本件の請求の趣旨及び原因は,原判決の「事実及び理由」欄1記載のとおりである。

(2)  原判決は,本件訴えに係る訴訟物は,本件訴えに先立って訴訟係属した先行訴訟の訴訟物と同一であるから,本件訴えと先行訴訟とは同一の事件に係るものと認められ,本件訴えは,訴訟の重複係属を禁止する民訴法142条により不適法であるとして,これを却下した。

(3)  控訴人は,原判決を不服として控訴したが,控訴理由は,別紙控訴状写し記載のとおりである。

第3当裁判所の判断

1  当裁判所も,本件訴えは,重複する訴えの提起を禁止する民訴法142条により不適法であると判断する。

その理由は,次のとおり付加するほか,原判決の「事実及び理由」欄2記載のとおりである。

控訴人は,本件訴えは,先行訴訟とは請求の原因が異なるから,別の「事件」(民訴法142条)であり,「更に訴えを提起」したものではない旨主張するが,本件訴えと先行訴訟とは,いずれも同一の裁判所の判断(別事件判決)に裁判を脱漏した違法があることを理由として国家賠償を請求するものであるから,その訴訟物は同一であると認められ,民訴法142条にいう「事件」は同一であるとの原判決の判断に誤りはない。

そして,先行訴訟は,本判決日現在,当庁平成28年(ネ)第10040号事件として係属中である(顕著な事実)。

2  よって,本件訴えを却下した原判決は相当であり,本件訴えはその不備を補正することができないことが明らかであるものと認められるから,口頭弁論を経ないで本件控訴を棄却することとし(最高裁昭和38年(オ)第969号同41年4月15日第2小法廷判決・裁判集民事83号191頁,最高裁昭和57年(オ)第541号同57年10月19日第3小法廷判決・裁判集民事137号391頁参照),主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 清水節 裁判官 片岡早苗 裁判官 古庄研)

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