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知財高等裁判所 平成28年(ネ)10045号 判決 2016年7月13日

控訴人(一審原告)

株式会社イー・ピー・ルーム

被控訴人(一審被告)

代表者法務大臣

主文

1  本件控訴を棄却する。

2  控訴費用は控訴人の負担とする。

事実及び理由

用語の略称及び略称の意味は,本判決で付するもののほか,原判決に従う。

第1控訴の趣旨

控訴の趣旨は,本判決添付別紙「控訴状写し」記載のとおりであるが,その要旨は以下のとおりと解される。

1  原判決を取り消す。

2  被控訴人は,控訴人に対し,30万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

第2事案の概要

1  本件は,控訴人が有していた特許第2640694号の特許につき特許庁が平成13年7月4日付でした異議の決定(本件決定)が違法であり,これに関する東京地裁平成16年(ワ)第19959号損害賠償請求事件の平成16年12月10日判決(別件判決)にも違法があるとして,控訴人が,被控訴人に対し,損害賠償金30万円及び遅延損害金の支払を求める事案である。

原審は,平成28年1月28日,本件訴えは,訴権の濫用に当たり,訴訟上の信義則に反し違法であるとして,口頭弁論を経ないでこれを却下する旨の判決(以下「本件一審判決」という。)を言い渡した。

これに対し,控訴人は,控訴期間経過後である同年2月16日,本件一審判決が口頭弁論を経ずにされたもので無効である,又は裁判の脱漏があるとして,「被控訴人は控訴人に対し,30万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。」との追加判決を求めるとともに口頭弁論期日指定を申し立てた。

原審は,原判決により,本事件は,本件一審判決の確定により全て終了した旨宣言した。

控訴人は,原判決に対して控訴した。

2  控訴理由は,本判決添付別紙「控訴理由書写し」記載のとおりであるが,要するに,確定した本件一審判決は,①控訴人の請求,②特許庁と住友石炭鉱業との結託(民法719条)及び③本件決定に関し,本件特許が特許法29条2項に違反してなされたものではないことについて,裁判を脱漏した,というものと解される。

第3当裁判所の判断

当裁判所も,本件一審判決において裁判の脱漏がないことは明らかであり,本事件は同判決の確定により終了したものと判断する。その理由は,原判決の「事実及び理由」欄の2項に判示のとおりである。

よって,本事件について訴訟終了宣言をした原判決は相当であるから,口頭弁論を経ないで本件控訴を棄却することとし(最高裁第3小法廷昭和57年10月19日判決・裁判集民事137号391頁),主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 清水節 裁判官 片岡早苗 裁判官 古庄研)

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