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知財高等裁判所 平成29年(ネ)10067号 判決 2017年9月05日

参加人

控訴人

被控訴人

株式会社幻戯書房

主文

1  本件独立当事者参加の申出を却下する。

2  訴訟費用は参加人の負担とする。

事実及び理由

第1参加の趣旨及び理由

参加の趣旨及び理由は,参加人作成に係る別紙「独立当事者参加申出書」,「再審訴状」,「再審訴状訂正申立書」及び「再審訴状再訂正申立書」のとおりであり,要するに,本件は,控訴人及び被控訴人間の当庁平成27年(ネ)第10022号損害賠償等請求控訴事件(以下「基本事件」という。)について,当庁が平成28年1月27日に言い渡した確定判決(以下「本件判決」という。)に対し,参加人が,再審の訴えを提起するとともに,再審開始の決定が確定した場合の訴訟に独立当事者参加をする旨申し出た事案である。

第2当裁判所の判断

1  確定判決の存在及び再審の訴えの提起等

一件記録によれば,以下の事実が認められる。

(1)  控訴人は,控訴人を原告,被控訴人を被告として,東京地方裁判所平成25年(ワ)第22541号損害賠償等請求事件を提起したが,同裁判所は,平成27年1月22日,控訴人の請求をいずれも棄却する旨の判決を言い渡した。

(2)  控訴人は,上記判決を不服として控訴を提起したが(当庁平成27年(ネ)第10022号損害賠償等請求控訴事件。基本事件),当庁は,平成28年1月27日,控訴人の控訴を棄却する旨の判決(本件判決)を言い渡し,同判決の正本は,同月29日,控訴人に送達された。

(3)  控訴人は,上記判決を不服として上告及び上告受理の申立てをしたが(最高裁判所平成28年(オ)第645号,同年(受)第810号),最高裁判所は,平成28年6月23日,上告を棄却し,上告審として受理しない旨の決定をし,同日,本件判決は確定した。

(4)  参加人は,平成29年5月12日,当庁に対し,本件判決について,再審の訴えを提起し(当庁平成29年(ム)第10002号。以下「本件再審の訴え」という。),同日,基本事件について,民事訴訟法47条により独立当事者として参加する旨の本件独立当事者参加の申出をした。

(5)  本件再審の訴えについて,裁判長は,平成29年7月7日,参加人に対し,補正命令を発し,同命令送達の日から10日以内に民事訴訟法338条1項所定の再審の事由を記載した書面を提出することを命じた。同命令の謄本は,同月8日,参加人に送達された。しかし,参加人は,上記期間内に上記事由を記載した書面を提出しなかったので,裁判長は,同月27日,本件再審訴状を却下する命令をした。

同命令の謄本は,同年8月7日,参加人に送達され,同日,同命令は確定した。

2  独立当事者参加申出の適法性について

独立当事者参加の申出は,参加人が参加を申し出た訴訟が係属していることが必要であると解すべきである。また,再審開始の決定が確定すれば本案の再審理が行われることからすれば(民訴法348条1項),再審の訴えを提起するとともに独立当事者参加の申出がされた場合には,参加を申し出た訴訟について潜在的な訴訟係属があると解することができるが,かかる申出後に,再審の訴えを却下する決定,再審請求を棄却する決定等が確定した場合には,もはや上記訴訟について潜在的な訴訟係属があるということはできなくなり,同申出は不適法なものとなる。

本件独立当事者参加の申出は,参加人が,本件再審の訴えを提起するとともに,再審開始の決定が確定した場合の訴訟に独立当事者参加をする旨申し出た事案であるところ,前記1(5)のとおり,本件再審訴状を却下する命令が発せられ,同命令が確定したことにより,もはや上記訴訟について潜在的な訴訟係属があるということはできなくなったものである。

したがって,参加人の本件独立当事者参加の申出は不適法である。

3  結論

よって,参加人の本件独立当事者参加の申出は不適法であるから却下することとし,主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 髙部眞規子 裁判官 山門優 裁判官 片瀬亮)

知的財産高等裁判所第4部

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