大判例

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神戸地方裁判所 事件番号不詳〔3〕 判決

主文

被告人を罰金七万円に処する。

右罰金を完納することができないときは金五百円を壱日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は土木建築請負業を目的とする松本建設株式会社取締役社長であるが、神戸市施行工事の指名競争入札が行われた際つぎの通りその入札の談合行為をしたものである。

第一、昭和二十四年四月十五日神戸市施行の同市長田区役所新築工事の指名競争入札が行われるに際し、前記会社もその競争入札人に指名されたが、同月十二日頃同市兵庫区福原町所在神戸市建設工業倶楽部において右工事の競争入札人に指名された業者の会合があり、被告人も出席してその席上同工事は長田区内の業者に譲ることに話合いがつき、更に同月十三日頃同市長田区四番町二丁目富士土建株式会社に被告人をはじめ長田区内の指名入札人たる業者が集つた際、中山鶴松より右工事を譲つて貰いたい旨依頼され、これに応ずれば同人が落札の場合従来の慣例上若干の談合金を入手しうべきことを知りながら、右工事を同人に落札させることを承諾し、翌日頃被告人の会社の記名捺印はあるが請負金額は中山において適宜記入の上入札させる趣旨で空白のままの入札書を中山に交付し同人をして適宜入札金額を記入して入札せしめ、同月十五日開札の結果予期の通り中山鶴松に落札させた上同人から右談合の謝礼金二万円の交付を受け、もつて公の入札に関し不正の利益を得る目的で談合した。

第二、同年五月十七日神戸市施行の夢野中学校校舎新築工事の指名競争入札が行われるに際し、被告人の会社もその競争入札人に指名されたが、被告人は当時取掛つていた春日野小学校増築工事が間もなく終了しその後にまとまつた仕事のあてもないので、右工事を是非請負たいと思い談合によつてこれを落札しようと企て、入札期日の数日前から神戸市建設工業組合事務員西尾浅吉を通じ或いは被告人自ら、同工事の競争入札人に指名されていた株式会社平錦組(代表者安元虎治)、同大本組(代表者坂田悦司)、同戸田組(代表者中島謙)、同若松組(代表者若松甫)、同神崎組(代表者竜本誠一)、同間組(代表者小谷金馬)、大成建設株式会社(代表者森島豊人)、大日本土木株式会社(代表者菅原徹郎)及び藤本工務店(代表者藤本吟左衛門)を神戸市内の各営業所に訪ねて右工事を譲つて貰いたい旨懇請して平錦組を除きいずれもその承諾を得、そのうち若松組、戸田組等数名の業者からはその記名捺印はあるが請負金額は被告人において適宜記入の上入札させる趣旨で空白のままの各入札書の交付を受けて被告人において適宜入札金額を記入し、その他の業者及び他の者が皆被告人に譲つたことを知つてやむなく工事を譲ることを承諾した平錦組に対しては、同月十七日入札の直前神戸市役所内の神戸市建設工業組合事務所で口頭又は紙片により被告人方の入札予定金額より高額の請負金額を指示してそれぞれ入札書に記入して入札せしめ、被告人自らは入札予定金額の三分を談合金に充当する予定で、談合によらず自由競争により入札すれば少くとも談合金を控除した額で入札しうることを十分認識しながら右談合金二十五万円を加算した八百六十六万三千円で入札し、同日開札の結果予期の通り被告人の会社に落札し、右談合の謝礼金として前記各入札人に二万五千円宛を交付し、もつて公の入札に関し公正な価格を害する目的で談合した。

第三、同年九月一日神戸市施行の垂水小学校増築工事の指名競争入札が行われるに際し、被告人の会社もその競争入札人に指名されたが、入札期日の数日前同市兵庫区上沢通六丁目の事務所で同じく右工事の競争入札人に指名されていた西口工務店代表者西口光雄より同人は垂水小学校育友会の役員をしており地元の工事でもあるから是非譲つて貰いたい旨依頼され、これに応ずれば同人が落札の場合従来の慣例上若干の談合金を入手しうべきことを知りながら同工事を同人に譲ることを承諾し、その後被告人会社の記名捺印はあるが請負金額未記入の同工事入札書を西口に交付し同人をして適宜入札金額を記入して入札せしめ、同年九月一日開札の結果予期の通り西口光雄に落札させた上同日同人より右談合の謝礼金一万六千円を受取り、もつて公の入札に関し不正の利益を得る目的で談合した。

(証拠)(省略)

(法令の適用)

被告人の判示所為は各刑法第九十六条ノ三第二項第一項罰金等臨時措置法第二条第一項第三条第一項に該当するので、所定刑中罰金刑を選択した上刑法第四十五条前段の併合罪であるから同法第四十八条第二項により各罰金の合算額の範囲内で被告人を罰金七万円に処し、右罰金を完納することができないときは同法第十八条により金五百円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置すべきものである。

よつて主文の通り判決する。(昭和二八年一一月二八日神戸地方裁判所第三刑事部)

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