神戸地方裁判所 平成2年(わ)882号 判決 1991年5月30日
本店の所在地
兵庫県伊丹市北伊丹二丁目三四番地
法人の名称
株式会社富士熔工所
代表者の住所
同県西宮市甲陽園山王町三番一四号
代表者の氏名
脇水信雄
本籍
愛媛県八幡浜市大字国木一三〇二番地
住居
兵庫県西宮市甲陽園山王町三番一四号
会社役員
脇水信雄
昭和一〇年四月二一日生
本籍
同県伊丹市大鹿六丁目四〇番地の二
住居
同右
会社役員
下道正一
大正三年一〇月一五日生
右の者らに対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は検察官大森礼子出席の上審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人株式会社富士熔工所を罰金一六〇〇万円に、被告人脇水信雄、同下道正一をいずれも懲役一年にそれぞれ処する。被告人脇水信雄、同下道正一に対し、この裁判確定の日からいずれも三年間右刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人株式会社富士熔工所は、兵庫県伊丹市北伊丹二丁目三四番地に本店を置き、室内収納庫用扉の製造業を営むもの、被告人脇水信雄は、被告会社の代表取締役として、同下道正一は、同会社の取締役として、共同して、その業務全般を統括しているものであるが、被告人脇水信雄及び同下道正一は、共謀の上、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、
第一 昭和六二年八月一日から同六三年七月三一日までの事業年度における実際の所得金額は、一億二八〇四万四六九二円で、これに対する法人税額は五一六八万七五〇〇円であるにもかかわらず、公表経理上架空の材料仕入を計上するなどの行為により、その所得金額のうち六四八五万九二一八円を秘匿した上、昭和六三年九月二八日、同市千僧一丁目四七番地三所在の伊丹税務署において、同税務署長に対し、同事業年度の所得金額が六三一八万五四七四円で、これに対する法人税額が二四四四万八二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により同事業年度の法人税二七二三万九三〇〇円を免れ
第二 昭和六三年八月一日から平成元年七月三一日までの事業年度における実際の所得金額は、一億八五〇九万二〇五円で、これに対する法人税額は七五八六万二八〇〇円であるにもかかわらず、前同様の行為により、その所得金額のうち九五五一万五七六二円を秘匿した上、平成元年九月二八日、前記伊丹税務署において、同税務署長に対し、同事業年度の所得金額が八九五七万四四四三円で、これに対する法人税額が三五七四万七二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により同事業年度の法人税四〇一一万五六〇〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目)
一 被告人兼被告会社代表者脇水信雄の公判廷の供述
一 被告人下道正一の公判廷の供述
一 被告人脇水信雄の大蔵事務官に対する各質問てんまつ書(検甲五九ないし八〇号)
一 被告人脇水信雄の検察官に対する各供述調書(同八一、八二号)
一 被告人下道正一の大蔵事務官に対する各質問てんまつ書(同八四ないし八八号)
一 被告人下道正一の検察官に対する各供述調書(同八九、九〇号)
一 大蔵事務官作成の各証明書(同二、四号)
一 同作成の各脱税額計算書(同三、五号)
一 登記官作成の登記簿謄本(同六号)
一 大蔵事務官作成の各査察官調査書(同一〇ないし二七号)
一 中通敏文、脇水勝馬、岡部隆光、森里啓二、尾崎功一、長谷川公洋、大道幸吉、立野一郎、桑田恒雄、高橋達夫、畑中秀規、中村三郎、栗原寛、洪淳吉、脇水照彦、山村明弘、関谷勉、関谷乃婦子、砂田比佐子、砂田典紀、管善彦、脇水雅彦、脇水盈恵の大蔵事務官に対する各質問てんまつ書(同二八ないし四一、四三ないし五七号)
一 中村三郎、脇水盈恵の検察官に対する各供述調書(同四二、五八号)
(法令の適用)
被告人らの判示第一、第二の各所為は、いずれも法人税法一五九条、一六四条一項、刑法六〇条に該当するので、被告人脇水、同下道につき所定刑中懲役刑を選択し、以上は各被告人につき刑法四五条前段の併合罪であるから、被告人株式会社富士熔工所の罰金刑につき刑法四八条二項により罰金を合算した金額の範囲内で同被告人を罰金一六〇〇万円に処し、被告人脇水、同下道の懲役刑につき同法四七条本文、一〇条により、それぞれ犯情の重い判示第二の罪の懲役刑に法定の加重をした刑期の範囲内で右被告人両名をいずれも懲役一年に処し、情状により刑法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予することとする。
よって、主文のとおり判決する。
(裁判官 加藤光康)