神戸地方裁判所 平成4年(行ウ)72号 判決 1992年7月29日
兵庫県多可郡中町森本三〇九番地
原告
後藤忠
同所
原告
後藤陽子
右法定代理人親権者父
後藤正彦
同母
後藤智恵子
兵庫県西脇市西脇字後町七七一番地一一八
被告
西脇税務署長 上山邦三
主文
一 本件各訴えをいずれも却下する。
二 訴訟費用は原告らの負担とする。
事実及び理由
第一原告らの請求
一 原告後藤忠及び同後藤陽子の昭和六三年分の各贈与税について、被告がいずれも平成三年七月五日付けでした各更正処分(以下、併せて「本件処分」という。)をそれぞれ取り消す。
二 原告後藤忠及び同後藤陽子の本件処分に係る各審査請求について、国税不服審判所長がいずれも平成四年三月三日付けでした各裁決(以下、併せて「本件裁決」という。)をそれぞれ取り消す。
第二裁判所の判断
本件記録によれば、原告らが審査請求をし、かつ、本件訴えにおいて取消しを求める本件処分はいずれも当初の課税額六〇万円を零円に減額更正するものであることが認められ、当初の税額全部の減額という原告らに有利な効果をもたらす処分ということができる。
したがって、本件処分はそもそも原告らの権利を何ら侵害しない処分であって、原告らは本件処分及び本件に係る審査請求を却下した本件裁決の取消しを求める法律上の利益を有しないから、その余の点について判断するまでもなく本件訴えは不適法である。そして、この訴えの利益の欠缺は請求の内容そのものに関係するものであるから補正することはできないものである。
第三結論
よって、民訴法二〇二条により、口頭弁論を経ないで、本件各訴えを却下することにし、訴訟費用の負担について、行政事件訴訟法七条、民訴法九三条一項本文、八九条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 辻忠雄 裁判官 吉野孝義 裁判官 北川和郎)