大判例

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神戸地方裁判所 平成6年(わ)763号 判決

主文

被告人株式会社池田組を罰金一三〇〇万円に、被告人北村豊志を懲役一年に処する。

被告人北村に対し、この裁判の確定した日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(犯罪事実)

被告人株式会社池田組(以下「被告人会社」という。)は、神戸市東灘区甲南町二丁目六番一八号に本店を置き、土木建築業を営むもの、被告人北村豊志は、被告人会社の代表取締役として業務全般を統括しているものであるが、被告人北村豊志は、被告人会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、

第一  昭和六三年一〇月一日から平成元年九月三〇日までの事業年度における実際の所得金額が七五二一万三五五一円で、これに対する法人税額が三〇五九万九二〇〇円であるにもかかわらず、架空日雇賃金を計上するなどの行為により、右所得の一部を秘匿した上、同年一一月二八日、兵庫県芦屋市公光町六番二号所在の所轄芦屋税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が八二四万二二〇四円で、これに対する法人税額が二四七万一四〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、右事業年度の法人税二八一二万七八〇〇円を免れた

第二  平成元年一〇月一日から同二年九月三〇日までの事業年度における実際の所得金額が一億二二六六万九〇九一円で、これに対する法人税額が四八一三万九八〇〇円であるにもかかわらず、前同様の行為により、右所得の一部を秘匿した上、同年一一月一六日、前記芦屋税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が二三二八万九八三八円で、これに対する法人税額が八三八万七八〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、右事業年度の法人税三九七五万二〇〇〇円を免れた

第三  平成二年一〇月一日から同三年九月三〇日までの事業年度における実際の所得金額が五二六九万二〇〇一円で、これに対する法人税額が一八八八万五〇〇〇円であるにもかかわらず、前同様の行為により、右所得の一部を秘匿した上、同年一二月二日、前記芦屋税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が二三〇五万九七二五円で、これに対する法人税額が七七七万二六〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、右事業年度の法人税一一一一万二四〇〇円を免れた

ものである。

(証拠)

事実全部について

1  被告人北村の

(1)  公判供述

(2)  検察官調書

2  谷口伸子(二通)、重濱郁子、細田潤、大場法次、渡邉敏夫、辻岡克昌、宮田義見、吉田幸二、山本英司、池嶋章三、毛戸伸悟、左吉宏の大蔵事務官調書

3  捜査報告書(検察官請求番号8)

4  査察官調査書九通

第一の事実について

5  脱税額計算書(前記番号2)

6  証明書(前記番号5)

第二の事実について

7  脱税額計算書(前記番号3)

8  証明書(前記番号6)

第三の事実について

9  脱税額計算書(前記番号4)

証明書(前記番号7)

(法令の適用)

罰条 被告人会社につき、事業年度ごとに法人税法一六四条一項(一五九条一項)

被告人北村につき、事業年度ごとに同法一五九条一項

刑種の選択 被告人会社につき、いずれも同法一五九条二項

被告人北村につき、いずれも懲役刑

併合罪加重 刑法四五条前段

被告人会社につき、さらに同法四八条二項

被告人北村につき、さらに同法四七条本文、一〇条

(犯情の最も重い判示第二の罪の刑に法定の加重)

刑の執行猶予 被告人北村につき、刑法二五条一項

(量刑の事情)

本件は、被告人北村が被告人会社の経営者として、帳簿に記帳できない現場経費や経営不振に陥った際の経営資金などに備えるために、経営利益のかなりの部分を裏金として貯えることを企図して、架空の臨時労務費や外注費を計上するなどして、三年間で合計一億九千万円を越える所得を秘匿し、合計七九〇〇万円近い法人税を脱税した事案である。脱税金額がかなりの高額に上っているうえ、その方法も臨時労務費については架空の源泉徴収額を徴収する形をとったり、外注費についても架空の領収書を徴収するなど巧妙である。被告人らの刑事責任を軽視することはできない。

他方で、被告人北村は、本件発覚後は素直に犯行を認め、捜査に協力し反省している上、本件の脱税額については、延滞税、重加算税と共に既に納付済である。被告人北村には、罰金前科が一回あるのみであることに加え、不況の影響もあり、被告人会社の経営が危機に陥っていることなどの情状をも考慮し、主文のとおり量定した。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 伊東武是)

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