神戸地方裁判所 平成6年(わ)770号 判決 1995年5月29日
被告人
氏名
西村順栄こと金順栄
年令
一九五四年一月一四日生
国籍
韓国(慶尚南道泗川郡洞面培春里)
住居
神戸市長田区御屋敷通四丁目二番一号
職業
婦人靴製造販売業
検察官
崎坂誠司
弁護人
谷宜憲
主文
被告人を懲役一年六月及び罰金二五〇〇万円に処する。
右罰金を完納することができないときは、金二〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。
理由
(犯罪事実)
被告人は、神戸市須磨区戎町一丁目二番五号において、「シューズセラー」の名称で婦人靴製造販売業を営んでいたものであるが、自己の所得税を免れようと企て、
第一 平成二年分の総所得金額が一億一二二万三二一円で、これに対する所得税額が四五七五万四〇〇〇円であるのに、実際の所得金額とは関係なく、ことさら過少な所得金額を記載した所得税確定申告書を作成するなどして、右所得の一部を秘匿したうえ、平成三年三月一二日、神戸市長田区御船通一丁目四所在の所轄長田税務署において、同税務署長に対し、平成二年分の総所得金額が四六五万円で、これに対する所得税額が二七万九七〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、平成二年分の所得税四五四七万四三〇〇円を免れ
第二 平成三年分の総所得金額が一億二六六一万一四八八円で、これに対する所得税額が五八四〇万六五〇〇円であるのに、前同様の方法により、右所得の一部を秘匿したうえ、平成四年三月一二日、前記長田税務署において、同税務署長に対し、平成三年分の総所得金額が二二五万円で、これに対する所得税額が二万八二〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、平成三年分の所得税五八三七万八三〇〇円を免れ
第三 平成四年分の総所得金額が五三八七万一四五一円で、これに対する所得税額が二二〇三万九〇〇〇円であるのに、前同様の方法により、右所得の一部を秘匿したうえ、平成五年三月一一日、前記長田税務署において、同税務署長に対し、平成四年分の総所得金額が四七五万円で、これに対する所得税額が二七万五七〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、平成四年分の所得税二一七六万三三〇〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目)
括弧内の数字は検察官請求の証拠等関係カードの番号を示す。
判示事実全部について
一 被告人の公判供述及び検察官調書
一 被告人の大蔵事務官に対する質問てん末書(三七~五三)
一 大西由希子の大蔵事務官に対する質問てん末書(三一~三三)
一 大蔵事務官作成の査察官調査書(七~二九、五七~五九)
判示第一の事実について
一 大蔵事務官作成の脱税額計算書(一)
一 大蔵事務官作成の証明書(四)
判示第二の事実について
一 大蔵事務官作成の脱税額計算書(二)
一 大蔵事務官作成の証明書(五)
判示第三の事実について
一 大蔵事務官作成の脱税額計算書(三)
一 大蔵事務官作成の証明書(六)
(法令の適用)
罰条 所得税法二三八条一項(懲役と罰金を併科)、二項
併合罪加重 懲役刑につき刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の最も重い第二の罪の刑に加重)
罰金刑につき刑法四五条前段、四八条二項
労役場留置 罰金刑につき刑法一八条
執行猶予 懲役刑につき刑法二五条一項
(裁判官 阿部功)