神戸地方裁判所 平成6年(ワ)1166号 判決 1997年3月26日
原告
亀之園学
被告
ヤチヨコアシステム株式会社
ほか一名
主文
一 被告らは、原告に対し、連帯して金二四一万二四七三円及びこれに対する平成四年一一月一三日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
二 原告のその余の請求を棄却する。
三 訴訟費用はこれを八分し、その七を原告の負担とし、その余を被告らの負担とする。
四 この判決は、第一項に限り、仮に執行することができる。
事実及び理由
第一請求
被告らは、原告に対し、連帯して金二二四三万〇六二四円及びこれに対する平成四年一一月一三日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
第二事案の概要
一 本件は、後記交通事故(以下「本件事故」という。)により傷害を負つた原告が、被告ヤチヨコアシステム株式会社(以下「被告会社」という。)に対しては自動車損害賠償保障法三条に基づき、被告中野竜三(以下「被告中野」という。)に対しては民法七〇九条に基づき、損害賠償を求める事案である。
なお、付帯請求は、本件事故の発生した日から支払済みまで、民法所定の年五分の割合による遅延損害金である。
また、被告らの債務は、不真正連帯債務である。
二 争いのない事実等
1 交通事故の発生
(一) 発生日時
平成四年一一月一三日午後三時一二分ころ
(二) 発生場所
兵庫県西宮市羽衣町七番二七号先路上
(三) 争いのない範囲の事故態様
被告中野は、普通貨物自動車(なにわ四四な八〇二一。以下「被告車両」という。)を運転し、右発生場所に至る道路を西から東へ直進していたところ、道を間違えたことに気づいたため、道路左端に一時停止し、西方へ進行するため右発生場所で右方向へ転回していた。
他方、原告は、自動二輪車(一神戸の九九五〇。以下「原告車両」という。)を運転し、被告車両の後方を西から東へ直進していた。
そして、転回中の被告車両の右側面前部と、原告車両の前部とが衝突し、原告は、原告車両とともに路上に転倒した。
2 責任原因
被告中野は、本件事故に関し、転回の際の後方不注視の過失があるから、民法七〇九条により、本件事故により原告に生じた損害を賠償する責任がある。
また、被告会社は、被告車両の運行供用者であるから、自動車損害賠償保障法三条により、本件事故により原告に生じた損害を賠償する責任がある。
三 争点
本件の主要な争点は次のとおりである。
1 本件事故の態様及び過失相殺の要否、程度
2 原告の椎間板ヘルニアと本件事故との因果関係
3 原告に生じた損害額
四 争点1(本件事故の態様等)に関する当事者の主張
1 被告ら
原告は、道路左側に停止していた被告車両を認めながら前方注視義務を果たさずに漫然と走行し、被告車両の発進に気づくのに遅れた過失がある。
そして、本件事故に対する原告の過失の割合は二割とするのが相当である。
2 原告
原告は、原告車両を、法定速度内の時速約四〇キロメートルで走行させていた。
これに対し、被告中野は、右後方をまつたく確認せず、しかも何の合図もせずに被告車両の転回を始めた。そして、被告車両が発進した時には、原告車両はその後方約一〇メートルの地点にあり、原告は右にハンドルを切つてこれを避けようとしたが果たさず、被告車両に衝突したものである。
これらによると、本件事故は被告中野の一方的な過失によつて生じたもので、原告には、過失相殺の対象となるべき過失はない。
五 争点2(因果関係)に関する当事者の主張
1 原告
原告は、本件事故により、右手関節捻挫、両大腿打撲、頸椎・腰椎捻挫、第四、第五腰椎椎間板ヘルニアの傷害を負つた。
また、原告には、右椎体間固定術の骨移植による骨盤骨の変形があり、さらに、右固定術による頑固な神経症状が残存する。
そして、これらは、本件事故と因果関係がある。
2 被告ら
原告の主張する傷害のうち、第四、第五腰椎椎間板ヘルニアと本件事故との間には相当因果関係がない。
なお、自動車損害賠償責任保険手続においては、原告の主張する後遺障害は、自動車損害賠償保障法施行令別表に定める後遺障害には該当しない旨の判断がされている。
六 証拠
本件訴訟記録中の書証目録及び証人等目録の記載を引用する。
七 本件の口頭弁論の終結の日は平成九年二月二六日である。
第三争点に対する判断
一 争点1(本件事故の態様等)
1 甲第一二号証、原告及び被告中野の各本人尋問の結果によると、本件事故の態様に関し、前記争いのない事実のほかに次の事実を認めることができる。
(一) 本件事故の発生場所付近の東西道路は、東行き二車線(幅員合計約六・七五メートル)、西行き一車線(幅員約五・五メートル)であり、道路中央部には白色斜線の道路標示により車両の通行の用に供しない部分であることが表示されている部分(幅員約二・九五メートル)がある。また、本件事故の発生場所付近から北へ向かう道路(幅員約三・八メートル)があり、本件事故の発生場所は、信号機による交通整理の行われていない三叉路となつている。
(二) 被告中野は被告車両を運転し、右東西道路の東行きの路端側車線を西から東へ直進していたところ、道を間違えたことに気づき、右に判示した北へ向かう道路の入口にあたる東西道路左端に一時停止した後、西方へ進行するために右方向へ転回すべく、自車を発進させた。なお、この際、被告中野は、右方向への方向指示器は出していない。
そして、約三・八メートル右前方に進行して、自車の前部が東行きの道路中央側車線に入つたあたりで、西約一五・四メートルの地点に原告車両が東進しているのを認め、直ちに自車に急制動の措置を講じたが及ばず、約二・〇メートル前進した地点で自車を原告車両に衝突させた。
なお、右衝突地点は、道路中央部の白色斜線の道路標示により車両の通行の用に供しない部分であることが表示されている部分の延長線上(衝突地点は、北へ向かう道路と東西道路の西行き車線との車両の走行のために、白色斜線は記されていない。)である。また、被告車両は、右衝突後約〇・五メートル前進した地点で停止した。
(三) 原告は原告車両を運転し、右東西道路の東行きの中央側車線を西から東へ直進していたところ、道路左端に停止している被告車両を認めた。そして、原告の認識によると原告車両が被告車両の約一〇メートル手前まで近づいたとき、被告車両が右前方に発進してきたため、原告は自車に急制動の措置を講じるとともに、空いていた対向車線に回避しようとハンドルを右に切つたが及ばず、被告車両と衝突した。
なお、原告は、被告車両の前部ボンネツトに乗り上げ、その後、衝突地点の約四・八メートル東の路上に投げ出された。
2 右認定によると、本件事故は、路端側車線の左端に停止していた被告車両が、中央側車線を経て道路中央部に至つた時に発生しており、被告車両の発進から本件事故の発生までそれなりの時間が経過していることが認められるから、前方の道路状況を充分に確認することにより、原告にも本件事故の回避可能性があつたというべきである。また、右認定によると、本件事故が発生した場所は交差点の内部というべきであるから、原告に、当該交差点の状況に応じて、できる限り安全な速度と方法で進行しなければならない義務(道路交通法三六条四項)があつたことも明らかである。
したがつて、原告にも過失相殺の対象となるべき過失が認められる。
他方、右認定によると、被告中野は、方向指示器を出すことなく転回を開始し、自車を発進させた後に初めて原告車両を認めているのであるから、原告の過失に比べて、同被告の過失の方がはるかに大きいことも明らかである。
そして、右認定事実をもとに両者の過失を対比検討すると、本件事故に対する原告の過失の割合を一割とするのが相当である。
二 争点2(因果関係)
1 原告の傷害、入通院期間、後遺障害等
原告の傷害の部位、程度、入通院期間、後遺障害の内容、程度等につき、それぞれ各項の末尾括弧内の証拠及び原告本人尋問の結果によると、次の事実を認めることができる。
(一) 原告は、平成四年一一月一三日、本件事故の直後、救急車で笹生病院に搬入された。そして、同病院では右手関節捻挫、両大腿打撲の診断を受けた。また、骨盤骨折の疑いによりレントゲン検査を受けたが、右疑いは否定された。なお、原告は同病院には、翌一四日にも通院している。(甲第二号証の一、二、乙第二号証)
(二) 原告は、笹生病院の紹介で山戸外科医院に転院し、同月一六日から平成五年一月一二日まで、同医院に通院した(実通院日数一八日)。なお、同病院による診断傷病名は、頸椎・腰椎捻挫、右手関節挫傷であり、右通院期間中、数度にわたつてブロツク注射がされている。(甲第三ないし第五号証の各一、二、乙第三号証)
(三) ところが、平成五年一月に入つて、原告には坐骨神経痛が出現し、歩行障害にまで至つたので、原告は、同月一六日に医療法人高明会西宮渡辺病院(以下「西宮渡辺病院」という。に、同月一八日に兵庫県立西宮病院(以下「県立西宮病院」という。)に、それぞれ通院した。
その後、原告は、西宮渡辺病院に、同月二二日から三月六日まで(四四日間)入院し、同月八日から同年三月二七日まで通院した(同年一月一六日の通院も含め、実通院日数一二日)。なお、県立西宮病院における診断傷病名は腰椎椎間板ヘルニアであり、西宮渡辺病院における診断傷病名は、腰痛症、第四、第五腰椎椎間板ヘルニアである。また、同病院でも数度にわたつてブロツク注射がされている。
この間、原告は、同年一月一六日からは休業のやむなきに至つている。(甲第六、第七号証の各一、二、第一〇号証、乙第四号証の一、二、第五号証)
(四) 原告は、西宮渡辺病院の紹介で関西労災病院に転院し、同年三月二五日から平成六年二月二一日まで(実通院日数一三日)、通院した。また、この間、平成五年四月五日から六月二七日まで(八四日間)、同病院に入院し、四月二三日には経皮的髄核摘出の手術を、五月一四日には腰椎椎体間固定、骨移植の手術を、それぞれ受けた。なお、同病院における診断傷病名は、腰椎椎間板ヘルニアである。(甲第八号証の一、二、乙第六号証の一、二)
(五) 関西労災病院の医師は、平成六年二月二一日に、腰椎部の運動障害、腰痛を残して、原告の症状が固定した旨の後遺障害診断書を発行した(甲第九号証)。なお、同病院の医師は、平成五年一一月四日症状固定の後遺障害診断書を発行しているが(乙第七号証)、その後の原告の同病院への通院、治療状況(乙第六号証の一)に照らすと、平成六年二月二一日症状固定とするのが相当である。
2 甲第六号証の一(西宮渡辺病院の医師作成の診断書)、証人裏辻雅章の証言は、本件において、原告の椎間板ヘルニアと本件事故による外傷との医学的因果関係は不明であることを明言し、鑑定の結果も「(原告の椎間板ヘルニアが)本件事故を契機にして発症したものと考えることに矛盾はない。」とするにとどまる。
ところで、椎間板ヘルニアの存在については画像検査等により客観的な異常所見が得られること、椎間板ヘルニアは加齢的変化によつても発症することがあるが、その発生原因は医学的には未だ解明されていないこと、交通事故の後に椎間板ヘルニアが発症することがあること、この場合にも、椎間板ヘルニアと交通事故による外傷との医学的因果関係は不明であるとの診断が下されるのが一般であることは、いずれも当裁判所に顕著である。
そして、不法行為による損害賠償請求にあたつては、被害者である原告が、加害者の加害行為と自らの被つた損害との間に相当性を有する因果関係があることを主張・立証する必要があるところ、右に述べたように、椎間板ヘルニアは加齢的変化によつても発症することがあつて、その発生原因は医学的には未だ解明されていないのであるから、原告が主張するように、本件事故前には原告には椎間板ヘルニアが発症していなかつたとの一事をもつて、これと本件事故との間に相当因果関係があるとすることはできない。
しかし、他方、相当因果関係の存否は、専門家による科学的な所見をも参考にしつつ、最終的には、法的な評価の問題として、裁判所による自由で、かつ、合理的な心証形成に委ねられているのであるから、被告らが主張するように、原告の椎間板ヘルニアと本件事故との因果関係は不明であるとの診断が下されているとの一事をもつて、相当因果関係が認められないとすることもできない。
結局、原告の椎間板ヘルニアと本件事故との間の因果関係の存否は、右の点を念頭において、本件事故が原告に与えた衝撃の程度、受傷後の原告の症状、治療経過等一切の事情を総合的に判断して決するのが相当である。
3(一) 争点1に対する判断で判示した本件事故の態様、特に、原告が被告車両の前部ボンネツトに乗り上げ、その後、衝突地点の約四・八メートル東の路上に投げ出されたことに照らすと、本件事故が原告に与えた物理的な衝撃度は相当激しかつたものであることを優に推認することができる。
また、右に認定したとおり、本件事故の直後から、原告は一貫して腰痛を訴え、笹生病院では骨盤骨折の疑いによる検査をも受けており、事故後約二か月がたつた平成五年一月一八日の県立西宮病院における検査において、腰椎椎間板ヘルニアの診断を受けているのであるから、原告の椎間板ヘルニアは、本件事故の直後から発症したということができる。
(二) 他方、甲第一〇号証、原告本人尋問の結果、弁論の全趣旨によると、本件事故当時、原告は、フランス料理店で調理師として働いていたこと、年末の繁忙期であつたため、本件事故後も原告はほとんど休まずに仕事をしていたこと、原告の仕事は、平均でも一日に一二時間以上、繁忙期には一日に一五時間程度稼働するもので、立ち仕事である上に、重量のあるものを持ち運ぶ機会も多いなど、肉体的な負荷が大きいものであることが認められる。
(三) (一)で認定した事実によると、原告の椎間板ヘルニアは、本件事故が発症機転となつて出現したものであり、本件事故との間に相当因果関係が存在すると解するのが相当である。
他方、2で述べたように、椎間板ヘルニアの発生原因は医学的には未だ解明されておらず、(二)で認定した事実と平成五年一月に入つて原告の症状が急激に悪化したことなどの1で認定した事実とを併せ考えると、本件事故後、原告が安静をせずに調理師の仕事を続けたことや原告の身体的素因が、椎間板ヘルニアの増悪の一要因となつたことを推認することができる。
そして、このような場合には、いわゆる割合的因果関係があるものとして、民法七二二条二項の過失相殺の規定を類推適用するのが相当であり、右認定の一切の事実を前提にすると、原告に生じた損害の九割を本件事故に基づく損害として被告らに負担させるのが相当である(次に争点3に対する判断で判示するとおり、原告の損害の多くが椎間板ヘルニアによるものであり、これを考慮して全損害に対する九割を被告らに負担させるのが相当であると判断した。)。
三 争点3(原告に生じた損害額)
争点3に関し、原告は、別表の請求欄記載のとおり主張する。
これに対し、当裁判所は、以下述べるとおり、同表の認容欄記載の金額を、原告の損害として認める。
1 損害
(一) 治療費
甲第二号証ないし第八号証の各二によると、治療費合計金二七万六五九八円を認めることができる。
そして、これは、平成五年一一月四日までの治療費であることが明らかであるところ、被告らが治療費金三四万三九五八円を支払つたことを当初主張していたことを弁論の全趣旨として勘案すると、原告主張の治療費金三四万三九五八円を認めることができる。
(二) 付添看護費
乙第六号証の二、原告本人尋問の結果によると、原告は、平成五年五月一四日に受けた関西労災病院における二度目の手術の後、しばらく床を離れることができなかつたこと、五月二六日からは車椅子を使つた移動ができるようになつたこと、この間は、原告の母親が原告に付き添つたことが認められる。
そして、これらによると、手術日から五月二六日までの一三日間の近親者の付添看護は本件事故と相当因果関係があるというべきである。
そして、付添看護費は、一日当たり金四五〇〇円の割合によるのが相当であるから、次の計算式により、金五万八五〇〇円である。
計算式 4,500×13=58,500
(三) 入院雑費
争点2に対する判断で判示したとおり、原告が合計一二八日間入院していたことが認められる。
そして、入院雑費は入院一日当たり金一三〇〇円の割合で認めるのが相当であるから、次の計算式により、金一六万六四〇〇円となる。
計算式 1,300×128=166,400
(四) 休業損害
甲第一〇号証によると、本件事故後の期間も含む平成四年一〇月から一二月までの九二日間に、原告が合計金四八万〇〇四八円の収入を得ていたことが認められる(原告は、この間の収入を金四四万二二四八円である旨主張するが、甲第一〇号証の付加給合計金四万二〇〇〇円を金四二〇〇円とした誤算であると考えられる。)。
また、先に認定したとおり、原告は平成五年一月一六日から休業のやむなきに至つており、先に認定した原告の傷害の部位、程度によると、原告の症状固定日である平成六年二月二一日までの四〇二日間の休業損害が、本件事故と相当因果関係のある損害であることが認められる。
したがつて、休業損害は、次の計算式により、金二〇九万七六〇一円となるが(円未満切捨て。以下同様。)、原告の主張がこれを下回つているため、原告の主張する金一九七万五三七四円の限りで認めることとする。
計算式 480,048÷92×402=2,097,601
(五) 後遺障害による逸失利益
甲第一〇、第一一号証、原告本人尋問の結果によると、原告は高校卒業後、調理師専門学校に一年通つた後、調理師になつたこと、原告は、調理師免許はとつていないこと、本件事故当時の月収は約一六万円(税込み)であつたこと、平成六年一一月からは宏栄紙工という会社に勤務を始め、月収約一八万円(手取り)を得ていることが認められる。
また、本件全証拠によつても、原告が本件事故当時転職することを考えていたことを窺わせる事情は認められず、賃金センサス平成六年度第一巻第一表の産業計、企業規模計、男子労働者、旧中・新高卒、二〇~二四歳に記載された金額(これが年間金三二九万七五〇〇円であることは当裁判所に顕著である。)に照らすと、原告に残存する後遺障害のために、原告が将来にわたつて、得べかりし収入を喪失したとまでは認められない。
(六) 慰謝料
前記認定の本件事故の態様、原告の傷害の部位、程度、入通院期間、後遺障害の内容、程度、その他本件に現れた一切の事情を考慮すると、本件事故により生じた原告の精神的苦痛を慰謝するには、金三〇〇万円をもつてするのが相当である(うち後遺障害に対応する分は金一四〇万円。)。
(七) 小計
(一)ないし(六)の合計は金五五四万四二三二円である。
2 過失相殺、割合的因果関係による減額
争点1に対する判断で判示したとおり、本件事故に対する原告の過失の割合を一割とするのが相当であるから、過失相殺として、原告の損害から右割合を控除する。
また、争点2に対する判断で判示したとおり、原告の損害についてはいわゆる割合的因果関係があるものとして、その九割を被告らに負担させるのが相当である。
したがつて、右控除後の金額は、次の計算式により、金四四九万〇八二七円となる。
計算式 5,544,232×(1-0.1)×0.9=4,490,827
3 損害の填補
原告の損害のうち、金二三二万八三五四円がすでに填補されていることは当事者間に争いがない。
したがつて、右金額を原告の損害から控除すると、金二一六万二四七三円となる。
4 弁護士費用
原告が本訴訟遂行のために弁護士を依頼したことは当裁判所に顕著であり、右認容額、本件事案の内容、訴訟の審理経過等一切の事情を勘案すると、被告らが負担すべき弁護士費用を金二五万円とするのが相当である。
第四結論
よつて、原告の請求は、主文第一項記載の限度で理由があるからこの範囲で認容し、その余は理由がないから棄却し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法八九条、九二条本文、九三条一項本文を、仮執行宣言につき同法一九六条一項をそれぞれ適用して、主文のとおり判決する。
(裁判官 永吉孝夫)
別表