神戸地方裁判所 平成7年(行ウ)16号 判決
原告
岩﨑修(X1)
同
玉田國弘(X2)
同
福井幹廣(X3)
同
村阪正五(X4)
同
三宅民子(X5)
右原告ら訴訟代理人弁護士
吉田竜一
同
増田正幸
被告
(相生市長) 藤田義明(Y1)
右被告訴訟代理人弁護士
戎正晴
右被告訴訟復代理人弁護士
太田尚成
被告
株式会社あいおいアクアポリス(Y2)
右代表者代表取締役
藤田義明
右被告訴訟代理人弁護士
上谷佳宏
同
木下卓男
同
幸寺覚
事実及び理由
第四 当裁判所の判断
一 職務専念義務を免除された職員に対する給与支給を定めた規定の有無について
1 職務専念義務を免除された職員に対する給与支給につき法令上の根拠がなければ、本件免除の違法性について判断するまでもなく、本件支給は違法ということになるから、最初にこの点について検討する。
2 地方公務員法二四条六項は、「職員の給与、勤務時間その他の勤務条件は、条例で定める。」と規定し、同法二五条一項が、「職員の給与は、前条第六項の規定による給与に関する条例に基いて支給されなければならず、又、これに基かずには、いかなる金銭又は有価物も職員に支給してはならない。」と規定していることからすると、条例に根拠がない限り、職務専念義務を免除された職員らに対し相生市が給与を支給することは違法となると解される。
3(一) そこで、条例上の根拠の有無についてみると、本件給与条例一一条が、職員が勤務しないことにつき任命権者の承認があった場合を除くほか、給与を減額して支給する旨規定していること(〔証拠略〕)からすると、勤務しないことにつき任命権者の承認があった場合には給与を支給すべきものとしていると解される。そして、相生市職員の給与に関する規則八条一項は、右承認があった場合として、本件免除条例の規定により職務専念義務を免除された場合を定めている(〔証拠略〕)。したがって、本件給与条例一一条が職務専念義務が免除された職員に対して給与の支払をすることについての根拠ということができる。
(二)(1) この点につき、原告らは、地方自治法二〇四条、地方公務員法二四条一項、本件給与条例二条を根拠に本件給与条例一一条は常勤職員ではない本件派遣職員らに適用することはできないと主張する。
しかしながら、本件給与条例一一条にいう「職員」とは、同条例一条によれば一般職に属する職員のことをいうところ、〔証拠略〕によれば、相生市役所において本件免除時には、益田は総務部参事、桶本は総務部主幹、河本は事務吏員の地位にそれぞれあったと認められ、右事実によれば本件派遣職員らは一般職に属する職員であったと推認できる(地方公務員法三条参照)のみならず、後記(2)のとおり、職務専念義務免除は常勤の免除まで含むものではないから、本件派遣職員らは本件給与条例一一条の適用対象となるというべきであり、原告らの前記主張は採用できない。
(2) また、原告らは、本件給与条例一一条が、本件派遣職員らに対する給与支給の根拠となるものと解されるのであれば、右条例は、地方自治法二〇四条、同法二五二条の一七第三項、地方公務員法二四条一項に違反すると主張する。
しかしながら、地方自治法二〇四条一項は、常勤の職員に対し給与を支払うべきことを定めているが、同条は、同法二〇三条一項で報酬の支払を求められる非常勤の職員との対比上常勤の用語を用いているにすぎないうえ、職務専念義務の免除は常時勤務に服すべきことの免除まで含んでいるわけではなく、常勤の職員に対し職務専念義務を免除したとしても右職員は常勤であるというべきであるから、本件給与条例一一条は何ら地方自治法二〇四条一項に違反しない。
また、地方自治法二五二条の一七第三項は、地方公共団体が他の地方公共団体に職員を派遣した場合に給与の支出は派遣先の地方公共団体の負担とすることを規定しているが、地方公共団体が地方公共団体以外の団体に職員を派遣した場合について規定したものではないから、本件給与条例は右条項に何ら反しない。
さらに、地方公務員法二四条一項は、給与は職務と責任に応ずるものであること、すなわち給与は地方公共団体に対する貢献度に応じて決定されなければならないとする原則を規定しているが、その属する地方公共団体以外の団体に派遣されたということのみで当該地方公共団体に貢献していないとまではいえないから、本件給与条例一一条は地方公務員法二四条一項に違反しない。
二 本件免除について
1 本件派遣に至る経緯及び本件派遣職員らの職務内容等
争いのない事実及び〔証拠略〕によれば、以下の事実を認めることができる(なお後記(一)ないし(三)の事実は当事者間に争いがない。)。
(一) 相生市の経済・雇用状況等
(1) 相生市は、造船業を基幹産業として発展し、I・H・I相生事業所に税収等を依存してきたいわゆる企業城下町であったが、昭和六〇年ころからの造船不況が決定的となる中で、I・H・Iは、昭和六一年九月、相生第一工場の新造船部門の撤退を含む合理化計画を発表した。そして、右撤退等により、右相生事業所の従業員の半分以上が削減となり、相生市内の関連下請中小企業は多大な影響を受け、その結果、住民の購買力の低下、市内諸企業の商業活動の不振及び相生市の税収の減少等相生市内の経済及び雇用に関する状況が著しく悪化することとなった。
(2) 兵庫県は、昭和六二年二月二七日、特定不況地域の振興に関する条例を公布し、相生市を右条例に規定する特定不況地域に指定し、同年三月三一日、相生市が右条例に基づき提出した特定不況地域の振興に関する計画を承認した。また、国は、昭和六二年四月一日、「産業構造転換円滑化臨時措置法」を公布し、同月二八日、相生市を右法に規定する特定地域に指定した。
(二) I・H・Iによる用地提供拒否まで
(1) 昭和六一年一二月、地域活性化のための計画を策定する機関として、相生市を中心とする相生市活性化基本構想検討委員会が設置された。そして、相生市は、相生市活性化のための施策として、国・兵庫県が策定した諸施策のうち、産業構造転換円滑化臨時措置法に基づき基金から出資を受けて第三セクター方式の新会社(以下「新会社」という。)を設立することが、最も効果的かつ早急に利用することができる施策であると判断し、昭和六二年三月、右委員会は、公共事業と共に新会社による事業としてなされることを前提とした「Aioi構想」という地域活性化計画を策定した。
(2) Aioi構想のリーディング・プロジェクトは、I・H・Iから用地の提供を受けて、「相生ブラジル村(仮称)」を建設することであったが、昭和六三年九月、I・H・Iがその所有する土地を提供することを拒否したため、相生市は、「相生ブラジル村(仮称)」の建設を断念することとしたが、相生市活性化のための兵庫県・国及び地元の支援体制に変わりはなかったことから、「Aioi構想」を進めることとした。
(三) 被告会社設立まで
(1) 相生市は、昭和六三年一二月も市有地を中心に「Aioi構想」実現のための基本構想の策定作業を開始し、平成元年四月、「AIOIアクアポリス基本構想」(以下「本件旧構想」という。)を公表し、これに基づき同年七月、「AIOIアクアポリス第一期基本計画」(以下「本件基本計画」という。)を策定した。しかしながら、新会社の中核企業が決まらなかったため、通産省は、平成元年一二月、平成二年三月末までとされていた新会社の設立期限を一年延長し平成三年三月末までとした。
(2) 相生市は、平成二年九月、兵庫県を介して三菱商事の紹介を受け、同社は、本件基本計画の再検討を条件にして、同年一一月、新会社の中核企業となることを了承した。そして、相生市と三菱商事は、平成三年二月、基金からの出資を受けるために、新会社の事業計画(以下「本件事業計画」という。)をとりまとめ、基金は、平成三年三月、新会社への出資を決定し、兵庫県は、同月、「特定不況地域の振興に関する条例」に基づき、相生市が新会社に出資する金額の二分の一の額を助成することを決定した。
また、右出資を受けるにあたり、基金との間で、新会社の経営基盤の安定を図るため、相生市においては積極的な助成措置を講じるとともに、新会社の事業内容についても、公共的性格を持ち合わせた事業を導入する旨の協議がなされた。
(3) 平成三年四月八日、新会社として、被告会社が設立されたが、臨時の職員を除いた三名の職員はいずれも相生市からの派遣職員であり、設立後の当面の活動内容としては、株式会社としての実質的事業を開始することができるだけの具体的事業計画の策定が予定されていた。
(四) 被告会社設立から平成五年三月三一日まで
(1) 相生市を含む被告会社への出資株主(ただし、基金は除く。)は、平成三年九月二六日、「株式会社あいおいアクアポリス設立に関する協定」を締結し、実質的事業実施の事前準備作業として、必要な各種認可等の目途をつけること、右準備作業の期間を二年間とすることなどが取り決められた。
(2) 被告会社は、平成三年一一月、「AIOIアクアポリス計画基本構想」(以下「本件基本構想」という。)を策定し、その実現に向けての作業に着手した。本件基本構想は、海洋性リゾートの街と国際交流の街を中心に位置づけ、マリーナをベースにした街作りを展開しようとするものであり、相生市に隣接する播磨丘陵地域において兵庫県が進めていた播磨科学公園都市に関連づけられた計画であった。
(3) 被告会社及び相生市は、本件基本構想の実現に向け、主に大規模開発の許可・港湾埋立の許可等の各種許認可の取得について兵庫県との協議に入ったが、右協議は順調には進展せず、被告会社は、本件基本構想の一部見直し等をし、平成四年一一月、「AIOIアクアポリス計画基本構想(その2)」を策定した。
(五) 平成五年四月一日から平成七年三月三一日まで
(1) 当初の事前準備作業の期間内に右作業が終了しなかったために、被告会社は、事前準備作業の期間をさらに二年間延長することとした。しかし、各種許認可を取得する目途は立たず、被告会社の民間株主は経済情勢からみて本件基本構想の先行きに不安を感じ、他方国からは相生市及び被告会社に対して早期に実質的に事業に着手するよう強い指導があったため、平成五年六月、相生市を含む株主の間で、今後の事業推進に当たっては、三菱商事に代わって相生市が中核となり、現在の事業計画を白紙に戻し、事業計画案の再構築を行っていく旨の協議がなされた。
(2) 相生市は、平成五年七月、事業計画案のとりまとめのため、「アクアポリス構想推進本部」を設置し、被告会社は、具体的実施に向けての事業計画案の策定に着手し、平成六年三月、「AIOIアクアポリス事業計画・那波南地区」「同壼根地区」「同那波南地区資料編」をとりまとめたが、株主全員の同意を得ることができず、当初から被告会社の株主であった民間企業六社が撤退することとなり、これを受けて同年一〇月には、資本金一九億円を一二億円に減資した。その結果、被告会社の出資構成のうち相生市及び産業基盤整備基金が占める割合はそれぞれ約三三パーセントとなった。そして、同年一一月には、被告藤田が、被告会社の代表取締役社長に就任した。
(3) 被告会社は、平成六年一一月、「AIOIアクアポリス計画・那波南地区事業化基本計画」を策定し、同年一二月二一日開催の被告会社取締役会において右計画の推進が決定された。右計画は、ペーロン船の艇庫兼展示場、天然温泉による浴場施設、中華料理店、中国物産品の販売店舗等の施設の建設等を内容とするものであった。
(六) 平成七年四月一日以降
相生市は、平成七年度から被告会社において実質的な事業が実施される見込みとなったため、平成七年度から被告会社への派遣職員の給与負担を中止し、派遣職員を休職の扱いとした。
(七) 本件派遣職員らの被告会社における職務内容
益田は、被告会社の業務の全般的な業務の監督にあたり、株主総会・取締役会等の会議の開催及び通産省・兵庫県・相生市・各株主との協議等の対外交渉を主として担当していた。
桶本は、益田の補佐的な役割のほか、経理事務の総括、各種会議の設営等の業務を担当していた。
河本は、被告会社の庶務、伝票処理等の経理事務、臨時職員の監督・指導及び物品の調達等の業務を担当していた。
2 本件免除条例二条一号に基づく職務専念義務免除の可否
前提となる事実2(三)のとおり、本件免除措置は本件条例二条一号に基づいて行われているが、前記(七)のとおりの本件派遣職員らの職務内容、当初から派遣期間は二年間と予定されていたこと、臨時の職員を除いた被告会社の職員は本件派遣職員らだけであったことを考え合わせると、本件派遣により本件派遣職員らの能力開発に役立ち、右能力を今後の相生市の仕事に生かすことが可能な面があることは否定できないものの、このような場合まで本件免除条例二条一号すなわち研修を受ける場合に該当するというのは困難であるといわざるを得ない。
3 本件免除条例二条三号に基づく職務専念義務の免除の可否
(一) 本件免除条例二条三号について
本件条例二条三号に基づき職員に対しいかなる場合に職務専念義務を免除できるのかについては、地方公務員法三五条は、法律又は条例が特別の定めをすることができる場合について具体的な要件を規定していないこと、本件条例二条三号が、「市長が定める場合」について格別の限定をしていないことによれば、相生市長の政策的合理的裁量にゆだねられていると解するのが相当であり、相生市長の裁量権の行使としての職務専念義務免除の措置が、裁量権の範囲を超え又は裁量権を濫用してされたと認められる場合に限り、違法となるというべきである。
(二) 株式会社への職員派遣のための職務専念義務の免除について
営利法人たる株式会社に相生市の職員を派遣するために、本件条例二条三号に基づき職務専念義務を免除する場合、株式会社といってもその活動内容等は様々なものがありうるのであって、株式会社の営利性とその事業の公益性とは必ずしも両立しないわけではないこと、地方公共団体における的確な行政遂行のためにはその事務に関連する株式会社に職員を派遣する必要がある場合があることは否定できないことに照らすと、派遣先が株式会社であるという一事をもって前記裁量権の範囲を超え又は裁量権を濫用してされたものと判断すべきではなく、派遣の必要性、合理性及び期間、派遣先の性格、派遣の前提として職員の職務専念義務免除の方法によった目的及び必要性などを総合考慮したうえで裁量権行使の適法性を判断するのが相当である。
(三) 被告会社の性格について
前記認定のとおり、経済及び雇用に関する状況が悪化していた相生市において、I・H・Iへの過度の依存から脱却して新たな産業を興して産業構造の転換をすることにより、右状況を好転させることが強く要請され、そのための各種措置が国及び兵庫県から相生市に対しなされていたという状況の中で、相生市(半分は兵庫県からの補助金)及び国(具体的には基金)から出資する一方で、民間からの出資及びノウハウなどを得て、右要請実現の中心となるべく設立されたのが被告会社である。このような被告会社設立の経緯に加えて、被告会社の定款において「当会社は、相生市の活性化を図り、地域振興のため、次の事業を行うことを目的とする。」と規定されていること(〔証拠略〕)、被告会社の出資構成のうち相生市及び基金が占める割合、被告会社が実施する事業計画の策定に相生市が深く関与していることなどを考え合わせれば、被告会社は少なくとも設立当時から平成六年度までの間においては相当程度公益的性格を有する会社であったということができる。
(四) 本件派遣の必要性について
前記認定したところによれば、相生市の職員が職務専念義務を免除されたうえで被告会社に派遣されていた期間(平成四年四月から平成七年三月)における被告会社の業務は、相生市の活性化、地域の振興に資する具体的な事業計画の策定であったと認められる。そして、<1>被告会社の事業が成功するか否か、その前提となる具体的な事業計画がいかなる内容となるかは、産業の進行に関する事務を担い(地方自治法二条三項一三号参照)、産業構造転換円滑化臨時措置法二条二項により産業構造転換の円滑化のための国の施策に協力するように努めなければならないとされている相生市にとって重大な関心事であったと認められること、<2>具体的な事業計画の策定に当たっては事業開始に必要な各種許認可の取得などの各種行政上の規制等との調整が不可欠であり、一方で右計画の策定が早急になされる必要があったことからすると、右のような作業を担当する者としては、民間企業の社員よりも相生市職員の方が適当であったと認められること、<3>被告会社が平成三年度から平成六年度にかけて行ってきた事務は、本来はその設立前に相生市等が中心となって済ませておく事業着手に向けての準備作業であったことを考え合わせると、被告会社において具体的事業計画を策定する段階でその策定作業に従事させるために相生市の職員を派遣する必要性、合理性があったということができる。
(五) 小括
以上のとおりの被告会社の性格、本件派遣の必要性及び合理性に加えて、〔証拠略〕によれば、本件派遣が行われた当時においては本件派遣職員らの身分・処遇の保障の観点から<1>及び<2>の各方法では右職員らに不利益となり必ずしも適当ではなく、相生市において被告会社に職員を派遣することの問題点を検討したうえで<3>の方法を採用したと認められること、被告会社設立時における相生市職員の派遣期間は被告会社設立当時は二年間とされていたのであって、本件派遣は設立当初から予定されたものではなく、前記認定の事実の流れに即してみると本件覚書により派遣期間の二年間の延長をしたことにはやむを得ない部分があることを総合考慮すると、本件派遣の前提として本件免除条例二条三号に基づき本件派遣職員らの職務専念義務を免除したとしても、それにつき相生市長の前記裁量権の範囲を超え又は裁量権の濫用となるということはできない。
(六)(1) 原告らは、相生市主導のもとに具体的な事業計画を策定し、そのために必要な許認可等を相生市において取得していれば、職員を派遣する必要はなかったのに、基金からの出資を受けるため、まず被告会社を設立した旨主張するが、前記二1で認定のとおり、相生市は、産業構造を転換し、相生市活性化のため、基金からの出資を受けて第三セクターによる新会社を設立することがその当時選択しうる最も効果的な施策であると判断して事業計画を策定したが、I・H・Iが用地提供を拒否したため、当初の計画を断念し、新しい事業の中核企業の選定に時間を要したため、設立時期を一年延期して準備会社的な実体しか有しない被告会社が設立されたものであって、かかる事情に鑑みると、被告会社設立後に具体的な事業計画の策定等の業務に本件派遣職員らが従事したからといって、職員を派遣する必要性がなかったとは認められない。
(2) また原告らは、平成六年三月の段階又は遅くとも同年一一月の段階で、被告会社は相生市の産業構造の転換、雇用の創出を被告会社の事業で担うという性格を喪失したと主張している。
たしかに、右段階で予定されている事業規模は、それ以前に検討されていた計画と比べると相当小さくなっているのは前記認定のとおりであり、それだけ相生市の経済及び雇用に与える影響力も小さくなったことは否めない。しかしながら、平成六年三月の段階に策定された「AIOIアクアポリス事業計画・那波南地区」においては、産業形成に寄与する仕組みの導入が開発方針として、地域振興に対する貢献策の検討が課題としてそれぞれ掲げられており(〔証拠略〕)、平成六年一一月の段階に策定された「那波南地区事業化基本計画書」(〔証拠略〕)においても、相生に伝わるペーロンを中心とした事業開発により地域活性化の起爆剤となることを目指すとされ、開発基本理念として事業開発による地域開発により地域の振興と地元経済への長期的かつ安定的貢献が掲げられていること、事業規模が小さくなったからといって相生市の経済雇用に資することがなくなったとまでは認められないことからすると、平成六年三月又は一一月の段階で前記のような被告会社の性格が失われていたと認めることはできない。
(3) 原告らは、平成六年一一月に前記白龍城構想が策定された段階では、採算性のみが検討されるに至っているから、被告会社の公共性が失われたことが明らかであると主張している。しかしながら、前記(2)のとおり、採算性のみを検討しているものではないから、原告の右主張は採用できない。
(4) 原告らは、派遣職員に不利とならないように条例を改正するなどの措置を採ったうえで<4>の方法による派遣が可能であったから、裁量権の逸脱又は濫用があったと主張するが、右の方法による派遣が可能としても、<3>の方法ではなく<4>の方法によるべきであったとまではいえないから、原告らの右主張は採用できない。
三 本件支給の違法性についての判断
以上のとおり、本件免除措置は、その根拠として本件免除条例二条三号によらず本件免除条例二条一号によっているが、前記のとおり、本件派遣が職員らの能力開発に役立ち、右能力を今後の相生市の仕事に生かすことが可能な面があること、本件派遣を実施する必要性及び合理性があったこと、本件派遣職員らに対しては本件免除条例二条三号に基づき職務専念義務を免除することができたと認められること、本件免除条例二条一号により免除した場合と同条例二条三号によった場合とで給与の支給の取扱いを異にすべきことを本件給与条例は規定しているわけではないことを考え合わせると、本件免除措置について、相生市の予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵があるということはできない。したがって、本件支給について違法は認められない。
四 本件協定及び本件覚書の効力について
前記三で述べたとおり、本件支給を違法ということはできないから、本件支給を行うことを内容とする本件協定及び本件覚書が公序良俗に反して無効なものではないことは明らかである。
五 まとめ
以上のとおり、本件支給は違法なものとはいえず、本件協定も無効なものとはいえない。よって、原告らの請求はその余の点を判断するまでもなく理由がないから棄却することとして、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 將積良子 裁判官 徳田園恵 西野吾一)