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神戸地方裁判所 平成8年(ワ)2214号 判決 1997年7月22日

原告

株式会社モモタロー

被告

株式会社合田建機舶用

ほか一名

主文

一  被告らは、原告に対し、各自金二六六万四〇〇〇円及び内金二四六万四〇〇〇円に対する平成七年一一月二七日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

二  原告のその余の請求をいずれも棄却する。

三  訴訟費用はこれを三分し、その二を原告の負担とし、その余を被告らの負担とする。

四  この判決の第一項は仮に執行することができる。

事実及び理由

第一請求

被告らは、原告に対し、各自七〇五万円及び内金六三五万円に対する平成七年一一月二七日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

第二事案の概要

一  争いのない事実等

1  本件事故の発生

(一) 日時 平成七年一一月二七日午後二時四五分頃

(二) 場所 兵庫県西宮市津門川町一二番二二号先路上

(三) 加害車 被告株式会社合田建機舶用(以下「被告会社」という。)所有、被告北畑博(以下「被告北畑」という。)運転の普通貨物自動車(車両番号なにわ四五す六〇三三)

(四) 被害車 原告所有の普通乗用自動車(車両番号神戸三四ち二〇三六)

(五) 事故態様 加害車が被害車に追突した。

2  責任原因

(一) 被告北畑は、前方を注視し、安全確認をして加害車を運転する義務があるのにこれを怠り、漫然と進行した過失により本件事故を発生させたものであるから、民法七〇九条に基づき、原告が本件事故により受けた後記損害を賠償する責任がある。

(二) 本件事故当時、被告北畑は被告会社の業務に従事中であったから、被告会社は、民法七一五条に基づき、原告が本件事故により受けた後記損害を賠償する責任がある。

3  被害車の修理費用及びその支払

本件事故により、被害車は、後部バンパー、トランク、右前部バンパー、右ヘンダー及びボンネットが破損し、内部のラジエーターのステーが曲がる損害を受け、その修理費用として三八四万三七五四円を要した。原告は、被告らから右修理費用の支払を受けた。

二  争点

損害額

第三裁判所の判断

一  損害額について

1  格落損(請求額・二七五万円) 一三〇万円

証拠(甲二、五、証人角岡修、原告代表者本人、弁論の全趣旨)によると、被害車は、初度登録が平成七年一〇月であり、原告は、同車を一二八〇万円で購入したこと、同車は、外見的には完全に修理がなされたが、本件事故で損傷したシャーシは完全には元どおりにはならず、ハンドルが多少右にとられる状態になったことがうかがわれる。

原告は、本件事故により、被害車は大修理を余儀なくされ、三二〇万円程度評価が下がった旨主張し、甲五の記載及び原告代表者本人の供述中には右にそう部分がある。他方、被告らは、被害車の格落損は六九万七〇〇〇円にすぎない旨主張し、乙一の記載には右にそう部分がある。しかしながら、右各記載及び供述部分には右各主張金額を裏づける合理的な根拠が見当たらないから、直ちに採用することはできない。

事故歴のある車両は、そのこと自体で交換価値が下落するのがわが国の実体であることは顕著であり、前記のとおり、被害車は、修理によっても完全には元どおりにはならず、ハンドルが多少右にとられる状態になったこと、被害車の車種、年数、損傷の内容、程度、修理費用額等諸般の事情を総合考慮のうえ、前記修理費用の三分の一強である一三〇万円をもって被害車の格落損とみることとする。

2  代車費(請求額・三六〇万円) 一一六万四〇〇〇円

証拠(甲六、証人角岡修、原告代表者本人、弁論の全趣旨)を総合すると、原告は、屋外広告物の制作販売等を業としていること、原告代表者が被害車を専属的に使用していたが、原告のお客の接待にも使用していたこと、原告は、被害車の修理期間である九七日間、ベンツを代車として借り、一日当たり三万円、合計二九一万円の代車費を請求されているが、未だ完済してはいないことが認められる。

ところで、代車費は、車両が使用不能の期間に代替車両を使用する必要があり、かつ現実に使用したとき、相当な範囲内で認められると解するのが相当である。

日本車に比して外国車の代車費が格別に高額であることは顕著な事実であるから、外国車の借上費用をそのまま相当な代車費とみることは相当ではない。そこで、被害車の車種、その修理期間、原告の業務内容等本件に現れた諸般の事情を総合考慮のうえ、一日当たりの相当な代車費としては、三〇〇〇CCクラスのクラウン・グロリア等の一日当たり代車料金一万二〇〇〇円程度(損害保険会社代車料金表・乙二)とみるのが相当である。

すると、相当な代車費は一一六万四〇〇〇円となる。

3  弁護士費用(請求額・七〇万円) 二〇万円

本件事案の内容、審理経過及び認容額等の諸事情に鑑みると、相当な弁護士費用は二〇万円が相当である。

二  結論

以上の次第で、原告の本訴請求は、被告らに対し、各自損害金二六六万四〇〇〇円及び弁護士費用を除いた損害金二四六万四〇〇〇円に対する不法行為の日である平成七年一一月二七日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるからこれを認容し、その余は理由がないからこれを棄却することとする。

(裁判官 横田勝年)

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