神戸地方裁判所 平成8年(行ウ)10号 判決 1998年3月18日
大阪府茨木市稲葉町八番六〇四号
原告
三好宣子
右訴訟代理人弁護士
高見廣
右訴訟復代理人弁護士
室永佳宏
兵庫県西宮市江上町三番三五号
被告
西宮税務署長 黒崎光
右指定代理人
森木田邦裕
同
長田義博
同
寺田光伸
同
山村仁司
同
岡田豊一
主文
一 原告の請求をいずれも棄却する。
二 訴訟費用は原告の負担とする。
事実
第一当事者の求めた裁判
一 請求の趣旨
1 主位的請求
被告が平成五年七月一六日付けで原告に対して行った原告の平成三年五月一四日相続開始に係る相続税の更正請求に対する更正すべき理由がない旨の通知処分のうち、課税価格一億三九四二万二〇〇〇円、納付すべき税額四〇六五万四〇〇〇円を超える部分を取り消す。
2 予備的請求
被告が平成五年七月一六日付けで原告に対して行った原告の平成三年五月一四日相続開始に係る相続税の更正請求に対する更正すべき理由がない旨の通知処分を取り消す。
3 訴訟費用は被告の負担とする。
二 請求の趣旨に対する答弁
主文同旨
第二当事者の主張
一 請求原因
1 亡亀井正己は平成三年五月一四日死亡し、原告と原告の母が相続した(以下「本件相続」という。)
2 原告は、本件相続につき法定申告期限内である平成三年一一月一二日、別表1の申告欄記載のとおり相続税の申告をした(以下「本件申告」という。)。右申告は、相続財産である別紙物件目録記録の土地(以下「本件土地」という。)の時価を、財産評価基本通達(以下「本件通達」という。)に従い、同土地の平成三年分路線価(一平方メートル当たり六〇万五〇〇〇円)に基づき四億一一三四万九七八五円と算出し、租税特別措置法六九条の三第一項(ただし、平成四年法律第一四号による改正前のもの)によったものである。
3 しかしながら、本件相続が開始されたときの本件土地の時価は、三億二六七二万八七五〇円(一平方メートル当たり四七万五〇〇〇円)であるところ、本件申告は時価を大きく上回るものである。
4 原告は、平成四年一〇月三〇日、本件申告について別表1の更正の請求欄記載のとおり更正の請求をしたところ、被告は、平成五年七月一六日、本件更正請求に対して更正すべき理由がない旨の通知処分(以下「本件原処分」という。)を行った。
5 原告は、平成五年八月三日、被告に対し、別表1の異義申立て欄記載のとおり異義申し立てをしたが、被告は、平成五年一一月二日、異義を棄却する旨の決定をした。
6 原告は、平成五年一一月二五日、国税不服審判所長に対し、別表1の審査請求欄記載のとおり審査請求をしたが、国税不服審判所長は、平成七年一一月一五日、右審査請求を棄却する旨の裁決をした。
7 よって、原告は、主位的に本件原処分のうち、課税価格一億三九四二万二〇〇〇円、納付すべき税額四〇六五万四〇〇〇円を超える部分の取消しを求めるとともに、予備的に本件原処分の取消しを求める。
二 請求原因に対する認否
1 請求原因1、2の事実は認める。
2 同3の事実は争う。
3 同4ないし6の事実は認める。
三 被告の主張
1 主張立証責任について
更正の請求においては、更正の請求をする者が、自ら記載した申告内容が真実に反することを立証すべきものであるから、本件訴訟においても、原告が自己の主張額が相続税法二二条にいう時価に該当することを主張立証すべきである。
2 本件原処分の違法性について
相続税法二二条は、特別の定めのあるものを除き、相続財産の価額は、その取得時における時価による旨規定している。本件通達は、右規定を受けて、時価とは、課税時期において、それぞれの財産の現況に応じ、不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額をいい、その価額は、この通達の定めによって評価した価額による旨定めている。そして、土地の評価方法として、納税者の便宜及び公平の観点から、簡易かつ的確に土地の評価額を算出できるよう、その基準となる路線価等の土地評価基準を規定し、原則としてこれに基づき評価算定することとしている。
もっとも、相続税の申告に当たっては、絶対に右基準によらなければならないというものではなく、右基準により評価することが著しく不適当と認められる特別の事情があり、他の評価方法によって評価した土地の価額が時価として客観的で妥当性を有する場合には、それによることも可能である。
しかし、原告が更正の請求において本件土地の時価として主張する価額の根拠となる不動産鑑定評価書(甲二、以下「原告鑑定書」という。)は、収益事例、取引事例及び公示標準地の選択等において問題があり、到底採用できない。これに対し、原告の当初の申告における本件土地の評価額は、本件通達に従い平成三年分路線価に基づき算出したものであるところ、路線価は、毎年、売買実例価格、前年の路線価、接続地域との均衡、不動産鑑定士の意見等を参酌して定められ、実勢価格の動向をかなり正確に反映しているうえ、一年間の地価変動に耐え得るよう評価上の安全性を見込んで、平成三年分については地価公示価格水準の七〇パーセント程度に定められているから、合理的と認められるものである。したがって、原告の更正の請求に対し、更正すべき理由はないとした本件原処分に何ら違法な点はない。
四 原告の主張
1 主張立証責任について
本件訴訟は、税額算出の前提となる時価の把握に関するものであるから、課税庁である被告に主張立証責任がある。
したがって、被告は、本件申告に係る本件土地の価格が相続税法二二条の時価に該当することを主張立証すべきである。
2 本件原処分の違法性について
相続税法二二条によれば、相続財産の価額は、当該財産取得時における時価によるものとされているところ、本件相続時には、路線価が実勢価格を大きく上回っているから、路線価に基づき時価を算出することは妥当でない。すなわち、国税庁は、いわゆるバブル景気により不動産価格が高騰し実勢価格と路線価の間に開きが生じたため、路線価の引き上げを行い、いわゆるバブルの崩壊により実勢価格が急速に下落した後もこの引き上げを継続したため、本件相続時には、実勢価格が路線価を大きく下回るようになった。このような事情の下では、不動産の時価は不動産鑑定士による鑑定評価額によって算出すべきところ、本件土地の鑑定評価額は別表2<13>「本件土地の価額」の原告主張額欄記載のとおり三億二六七二万八七五〇円であるから、本件相続における課税価格は、別表1の更正の請求欄及び別表2<7>の「課税価格」の原告主張額欄記載のとおり一億三九四三万二〇〇〇円であり、原告に課せられる納付すべき税額は、別表1の更正の請求欄及び別表2<12>「納付すべき税額」の原告主張額欄記載のとおり四〇六五万四〇〇〇円である。
したがって、本件原処分は、相続税法二二条に反し違法である。
理由
一 請求原因1、2及び4ないし6の事実は当事者間に争いがない。
二 本件原処分の違法性・適法性の主張立証責任について
更正の請求においては、その請求をしようとする者が更正前の税額等、当該更正後の税額等、更正の請求をする理由、当該請求をするに至った事情の詳細その他参与となるべき事項を記載した更正請求書を税務署長に提出しなければならず(国税通則法二三条三項)、請求の理由の基礎となる事実が一定期間の取引に関するものであるときは、その取引の記録等に基づいて、その理由の基礎となる事実を証明する書類を更正請求書に添付することとされている(同法施行令六条二項)。右規定は、更正の請求が納税者による適式な申告により一旦確定した税額等を納税者に有利に変更するものであり、請求を基礎づける資料の収集も通常納税者が最も容易になし得ることから、その請求をする者に自ら記載した申告内容が真実に反し、請求に理由があることの主張立証責任を課しているものと解される。してみると、更正の請求に対してなされた更正すべき理由がない旨の通知処分の取消訴訟においても、請求を行った原告が自己の申告内容が真実に反し請求に理由があること、すなわち、右処分の違法性について主張立証すべきである。
したがって、本件訴訟においても、原告が本件申告における本件土地の評価額が相続税法二二条にいう時価に該当しないことを主張立証しなければならない。
三 本件原処分の違法性について
1 相続税法二二条は、相続税の課税価格となる相続財産の価額は、特別の定めのある場合を除き、当該財産取得時における時価によるべき旨を規定している。この時価とは、それぞれの財産の現況に応じ、不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額をいうものと解するのが相当である。しかし、対象財産の客観的な交換価値は必ずしも一義的に確定されるものではないから、個々の事案ごとに評価方式を異にすると、その方式や基礎資料の選択の仕方によりその評価額に差異が生じたり、課税庁の事務負担が増加し、課税事務の迅速な処理を害するおそれがある。そこで、課税実務上は、財産評価の一般的基準を本件通達に定め、これに定められた評価方法により、相続財産の評価を画一的に行っている。この課税実務上の取扱いは、納税者間の公平、納税者の便宜、徴税費用の節減という見地から合理的なものである。
しかし、本件通達による画一的な評価の趣旨が右のようなものである以上、この評価方法を形式的、画一的に適用することによって、かえって相続税法や本件通達自体の趣旨に反する結果を招き、実質的な租税負担の公平を著しく害することが明らかであるというような特段の事情があり、かつ、本通達によらない評価方法が客観的で合理性を有する場合には、本件通達によらない評価方法によることが許されるものと解すべきである。このことは、本件通達自体が「この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する。」と規定し、例外的に本件通達に定める評価方法以外の方法を採り得るものとしていることからも明かである。
そこで、以下、原告の主張する本件土地の評価方法が客観的で合理性を有するかにつきまず検討する。
2 証拠(甲二、三、乙二、四、六、七、証人小川哲男、同濱本満)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。
(一) 原告鑑定書は、本件と地につき積算価格を求めることが困難であるとしたうえ、<1>本件土地の同一需給圏内の取引事例のうち、A、B、Cの三事例を採用し、事情補正、時点修正、標準化補正を施し、地域要因、個別的要因の比較をして本件土地の一平方メートル当たりの比準価格を査定し、<2>採用した収益事例から、前記と同様の補正や要因の比較をして純収益を求め、適正な還元利回りで資本還元した一平方メートル当たりの収益価格を査定し、<3>公示地を採択して、公示価格に前記補正、要因の比較を行った公示価格を基準とした一平方メートル当たりの価格を査定し、収益価格が賃料の遅行性を反映して低めに査定しているとして、<1>の比準価格を中心に<2>の収益価格を比較考慮するとともに、<3>の公示価格との均衡性にも留意して、本件土地の相続開始時の評価額を一平方メートル当たり四七万五〇〇〇円(総額三億二六七〇万円)と鑑定している。
(二) 原告鑑定書が採用した収益事例は、本件土地とは河川である仁川を挟んで約一〇〇〇メートルも離れているうえ、本件土地とは行政区及び行政的条件を異にしている。すなわち、本件土地は、宝塚市に位置し、第一種住居専用地域、容積率二〇〇パーセント、建蔽率五〇パーセント、第一種高度地区という行政的条件にある。他方、右収益事例は、西宮市に位置し、第二種住居専用地域、容積率二〇〇パーセント、建蔽率六〇パーセントという行政的条件にある。また、本件土地は、その容積率、建蔽率及び一〇メートルという建築物の高さ制限から、賃貸用の収益物件を建築しても採算が採れずその建築に適さない土地である。
(三) 原告鑑定書が公示標準地として採用した公示地宝―22は、本件土地と約一〇〇〇メートルも離れた場所に位置するうえ、阪急電鉄今津線仁川駅(以下「仁川駅」という。)からの接近状況、標高等において本件土地と大きく異なっている。すなわち、本件土地は、仁川駅から約六〇〇メートルの距離で徒歩で通うことも可能であり、標高約三〇メートルの平地に位置するのに対して、公示地宝―22は、仁川駅から約一二〇〇メートル余りも離れており徒歩で通うことは不可能であるのに、同駅からの交通機関としてバス等もないうえ、勾配のある坂を上った標高約一一〇メートルの高台に位置する。他方、被告の鑑定評価書(乙四、以下「被告鑑定書」という。)が公示標準地として採用した公示地宝―9は、本件土地と約二五〇メートルしか離れてないうえ、仁川駅から約二五〇メートルの標高約三〇メートルの平地に位置し、仁川駅からの接近状況、標高等において公示地宝―22より本件土地と類似している。
(四) 原告鑑定書が採用した取引事例三件のうち二件(A、C)は本件土地と行政区の異なる西宮市に存在する。また、本件土地が第一種住居専用地域に属するのに対して、原告鑑定書が採用した取引事例Cは第二種住居専用地域に属する。他方、被告鑑定書が採用した取引事例四件はいずれも本件土地と同じ行政区の宝塚市に位置するうえ、いずれも本件土地と同様に第一種住居専用地域に属する。
(五) 原告鑑定書は、取引事例Bの地域要因につき、本件土地と比べて接近条件マイナス六パーセント、環境条件プラス四パーセントと評価しているところ、本件土地と取引事例Bは、仁川駅、商業施設、公共施設への接近状況及び環境条件において以下のような相違が認められる。本件土地は、仁川駅及び同駅周辺のマーケットコープ仁川を中心とする商業施設から約六〇〇メートル、仁川小学校及び仁川診療所から約二五〇メートル離れた場所に位置している。これに対して、取引事例Bは、仁川駅及び前記商業施設から約九〇〇メートル、仁川小学校及び仁川診療所から約六〇〇メートル離れた場所に位置している。また、本件土地は、社宅、寮、邸宅等が多く見られる地域に位置し、街並みも整然として良好であるうえ、東側において弁天池に面していることから景観、日照、通風に優れているが、湿気が多いという難点がある。これに対して、取引事例Bは、ミニ開発地域に位置する細かく区画された土地であり、行き止まりの道路が多く街並みが不整然であるうえ、その土地上には低層長屋風の建物が建築されている。そして、谷間に位置するため日照が悪く、土地が盛土であることから地盤が軟弱である。被告鑑定書は、取引事例B(被告鑑定書では取引事例b)の地域要因について、本件土地と比べて接近条件マイナス一〇パーセント、環境条件マイナス一四パーセントと評価している。
(なお、原告は、本件土地と取引事例Bとの地域要因について縷々と主張するが、証拠(乙八ないし一〇、証人小川哲男、同濱本満)によれば、右主張は、取引事例Bと個別の土地との誤解を前提としたものであることが認められるから採用できない。)
3 以下、右で認定した事実を前提に原告鑑定書の合理性につき検討する。
(一) 不動産鑑定士が不動産の鑑定評価を行う際の基準となる不動産鑑定評価基準(以下「本件基準」という。)によれば、収益還元法の適用における収益事例の選択は、近隣地域又は同一需給圏内の類似地若しくは必要やむを得ない場合には近隣の周辺の地域に存する不動産から行わなければならないものとされる。
ところが前記2(二)で認定したように原告鑑定書が採用した収益事例は、本件土地とは河川である仁川を挟んで約一〇〇〇メートルも離れているうえ、行政区、行政的条件及び収益物件を建築した場合の採算性を異にしている。更に収益還元法は、対象不動産が将来生み出すであろうと期待される純収益からその価額を算出するものであるから、収益物件を建築した場合の採算性は、収益事例の選択において重要な要素である。本件基準が、やむを得ない場合には収益還元法を採用しないことも認めていることからすれば、本件土地が収益物件の建築に適さない以上、右方法を採用したこと自体に疑問があるうえ、本件土地と右収益事例との距離、行政区、行政的条件及び収益物件を建築した場合の採算性の相違に鑑みると、原告鑑定書が採用した右収益事例は、本件土地の近隣地域に存するとはいえないし、本件土地との類似性も認められない。よって、原告鑑定書の収益事例の選択は妥当でない。
(二) 不動産鑑定における公示標準地の選択に当たっては、対象土地に近接、類似し、比較対象しやすい土地を選択すべきところ、前期2(三)で認定したように公示地宝―22及び公示地宝―9とを比較すると、公示地宝―9の方が、本件土地に近接し、仁川駅からの近接状況、標高等において類似しており、公示標準地として相当である。
この点、原告鑑定書の作成者である証人小川哲男は、公示地宝―9は近隣商業地域に隣接しており商業地の影響を受けているため公示標準地として不適切である旨供述する。しかし、公示地宝―9は、あくまで第一種住居専用地域に属し、その周囲は住宅地であるから、近隣商業地に近いというだけで商業地の影響を受けているとはいえないし、公示地宝―22は右証人が地域の特性として重視する駅からの距離において本件土地と大きく異なるから、右供述は採用できない。
(三) 本件基準によれば、取引事例法の適用における取引事例の選択は、近隣地域又は同一需給圏内の類似地若しくは必要やむを得ない場合には近隣の周辺の地域に存する不動産から行わなければならないものとされている。
ところが前記2(四)で認定したように原告鑑定書が採用した取引事例三件のうち二件は本件土地とは行政区を異にし、うち一件は行政的条件まで異にしているから、原告鑑定書が採用した右取引事例は、本件土地との類似性が認められない。そして、被告鑑定書が採用した取引事例四件がいずれも本件土地と行政区、行政的条件を同じくしていることに鑑みると、原告鑑定書が採用した取引事例の外に適切な取引事例が存在しなかったというような事情も認められない。よって、原告鑑定書の取引事例の選択は、妥当でない。
なお、原告鑑定書の作成者である証人小川哲男は、取引事例の選択において重視すべき地域の特性は、その行政区ではなく駅からの距離である旨供述する。しかし、甲二によれば、原告鑑定書が採用した取引事例三件はいずれも本件土地と仁川駅からの距離を異にしている事実が認められるから、右供述によっても原告鑑定書の取引事例の選択は妥当とはいえない。
(四) 本件土地と原告鑑定書の取引事例Bを比較すると、前記2(五)で認定したように、取引事例Bは、本件土地より仁川駅及び商業施設から三〇〇メートル、公共施設から三五〇メートル離れており、その接近状況において劣ると評価できる。また、取引事例Bは、本件土地よりその地上建物、道路の状況、周辺の街並み、景観、日照、通風、地盤等において劣ることから、本件土地が湿気が多いことに鑑みても、環境条件全体として大きく劣ると評価できる。したがって、取引事例Bが本件土地と比較して環境条件において四パーセント優れ、地域要因全体としても四パーセント劣るに過ぎないとした原告鑑定書に合理性は認められない。
(五) 以上を総合すれば、原告鑑定書が客観的で合理性を有するものとは認められない。
4 そうすると、原告の主張する本件土地の評価方法が客観的で合理性を有するということはできず、その他本件申告における本件土地の評価額が相続税法二二条の時価に該当しないことを認めるに足りる証拠はない。
なお原告は、本件原処分のうち、主位的に課税価格一億三九四二万二〇〇〇円、納付すべき税額四〇六五万四〇〇〇円を超える部分の取消しを、予備的に本件原処分全部の取消しを求めているが、右請求はいずれも更正の請求をした額を超える部分について租税債務の存在しないことを主張しているものであるから、首位的請求と予備的請求の訴訟物は実質的には同一であると認められる。
四 よって、本件原処分の違法性を主張する原告の請求は、いずれも理由がないからこれらを棄却することとし、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 將積良子 裁判官 徳田園恵 裁判官 桃崎剛)
物件目録
一 所在 兵庫県宝塚市仁川月見が丘
地番 五番
地目 宅地
地積 三九六・六五平方メートル
二 所在 兵庫県宝塚市仁川月見が丘
地番 八番
地目 宅地
地積 二九一・二〇平方メートル
別表1
課税の経過及び内容
<省略>
別表2
課税価格及び納付すべき税額の計算
<省略>