大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

神戸地方裁判所 平成9年(ワ)1291号 判決 1998年11月16日

神戸市中央区栄町通一丁目一番二四号

原告

株式会社キンキ

右代表者代表取締役

和田直哉

兵庫県三木市別所町巴二〇番地

原告

近畿工業株式会社

右代表者代表取締役

和田直哉

右二名訴訟代理人弁護士

奥村孝

石丸鐵太郎

堺充廣

堀岩夫

右二名輔佐人弁理士

西谷俊男

角田嘉宏

高石郷

古川安航

岡憲吾

兵庫県尼崎市潮江四丁目二番三〇号

被告

日本スピンドル製造株式会社

右代表者代表取締役

宮崎文雄

右訴訟代理人弁護士

露木脩二

鈴木達郎

右輔佐人弁理士

林清明

森治

主文

一  原告らの請求をいずれも棄却する。

二  訴訟費用は原告らの負担とする。

事実

第一  当事者の求めた裁判

一  請求の趣旨

1  被告は、別紙イ号製品目録並びにイ号図面第一図ないし第七図記載のシュレッダー用切断刃、別紙ロ号製品目録並びにロ号図面第一図ないし第七図記載のシュレッダー用切断刃及びこれらを使用した破砕機並びに別紙イ号製品目録並びにイ号図面第一図ないし第七図並びに別紙ロ号製品目録並びにロ号図面第一図ないし第七図記載の各破砕機用剪断刃を、それぞれ製造し、販売し、販売のための展示等販売の申出をしてはならない。

2  被告は、前項記載のシュレッダー用切断刃及びこれらを使用した破砕機並びに前項記載の破砕機用剪断刃の完成品及び半完成品を廃棄せよ。

3  被告は、原告株式会社キンキ(以下「原告キンキ」という。)に対し、金四九五万円及びこれに対する平成九年七月一五日から支払済みに至るまで年五分の割合による金員を支払え。

4  被告は、原告近畿工業株式会社(以下「原告近畿工業」という。)に対し、金二二五万円及びこれに対する平成九年七月一五日から支払済みに至るまで年五分の割合による金員を支払え。

5  訴訟費用は被告の負担とする。

6  仮執行宣言

二  請求の趣旨に対する答弁

主文同旨

第二  当事者の主張

一  請求原因

1  (原告キンキの実用新案権及び意匠権)

(一) 実用新案権

登録番号 第二一三七一八〇号

考案の名称 シュレッダー用切断刃

出願日 平成三年六月一四日

出願番号 〇三-四四八六六号

出願公告日 平成七年一二月一三日

出願公告番号 〇七-〇五三七一二号

登録日 平成八年八月一二日

(以下「本件実用新案権」といい、その考案を「本件考案」という。)

(二) 意匠権

(1) 出願日 平成六年三月二三日

出願番号 〇六-〇〇七七八五号

登録日 平成七年九月二二日

登録番号 第〇九四一三七八号

意匠に係る物品 破砕機用剪断刃

登録意匠 別紙第九四一三七八号意匠公報記載のとおり

(以下「第一意匠権」といい、その意匠を「第一意匠」という。)

(2) 出願日 平成六年三月二三日

出願番号 〇六-〇〇七七八七号

登録日 平成七年九月二二日

登録番号 第九四一三七八号の類似第一号

意匠に係る物品 破砕機用剪断刃

登録意匠 別紙第九四一三七八号の類似第一号意匠公報記載のとおり

(以下「第二意匠権」、その意匠を「第二意匠」といい、第一意匠権及び第一意匠と合わせてそれぞれ「本件各意匠権」、「本件各意匠」という。)

2  (原告近畿工業の専用実施権)

原告近畿工業は、平成八年八月一二日、原告キンキとの間で、本件実用新案権についての専用実施権設定契約を締結し、平成九年七月二八日その登録を受けた。

3  (本件実用新案権の権利範囲等)

(一) 本件実用新案権の実用新案公報(以下「本件公報」という。)に記載された実用新案登録請求の範囲は、次のとおりである。

「シュレッダーのケーシングに軸支された軸にスペーサを挟んで切断刃を装着し、この切断刃を該軸に嵌着される取付台部分とこれを取り囲む刃先部分で分割形成し、しかもこの刃先部分を周方向に分割して複数個の刃先片で形成し、各刃先片を該取付台に接離可能に構成すると共に、該刃先部分で該取付台の外周が表面に露出しないよう囲繞したシュレッダーにおいて、切断刃の両側に密着してスペーサを配装し、このスペーサの外径を取付台外径より大きくとって該スペーサに該取付台の側面をほぼ覆うようなはみ出し部分を形成し、このスペーサーのはみ出し部分により各刃先片の幅方向の位置決め及び固定を行うようにしたことを特徴とするシュレッダー用切断刃。」

(二) 本件考案の構成要件を分説すれば、次のとおりとなる。

A シュレッダーのケーシングに軸支された軸にスペーサを挟んで切断刃を装着し、この切断刃を該軸に嵌着される取付台部分とこれを取り囲む刃先部分に分割形成し、しかもこの刃先部分を周方向に分割して複数個の刃先片で形成し、各刃先片を該取付台に接離可能に構成すると共に、該刃先部分で該取付台の外周が表面に露出しないよう囲繞したシュレッダーにおいて、

B 切断刃の両側に密着してスペーサを配装し、

C このスペーサの外径を取付台外径より大きくとって該スペーサに該取付台の側面をほぼ覆うようなはみ出し部分を形成し、

D このスペーサのはみ出し部分により各刃先片の幅方向の位置決め及び固定を行うようにした

ことを特徴とするシュレッダー用切断刃。

(以下、右の各構成要件を「構成要件A」などという。)

(三) 本件考案の作用効果

本件考案の作用効果は、次のとおりである。

(1) 本件考案に係る切断刃は、使用の結果、その刃先部分だけが摩耗することになるが、従来の一体物の切断刃の場合と異なり、ケーシングや軸受をばらすことなく、ボルト等を外すことによって簡単に摩耗した刃先部分の取り替えを行えるため、取替作業が大幅に省力化され、保守管理が非常にやり易くなる。

(2) 本件考案は、切断刃の両側に密着したスペーサ外径を取付台外径より大きく形成したことで、そのスペーサのはみ出し部分により、各刃先片が取付台外周面上に固定され、幅方向のズレを生じないため、長期間の使用にも狂いを生じず、その機能が損なわれない。

4  (被告製品)

(一) 被告は、別紙イ号製品目録記載のシュレッダー用切断刃(以下「イ号切断刃」という。)及び別紙ロ号製品目録記載のシュレッダー用切断刃(以下「ロ号切断刃」といい、イ号切断刃と合わせて「被告切断刃」という。)並びにこれらを装着した破砕機(以下、イ号切断刃を用いた製品を「イ号製品」、ロ号切断刃を用いた製品を「ロ号製品」といい、両者を合わせて「被告製品」という。)を製造し、販売し、販売の申出行為を行っている。

(二) 被告切断刃の構成を分説すれば、次のとおりである。

(1) イ号切断刃の構成

a シュレッダーのケーシングに軸支される軸に取付台を一体に形成し、取付台に保護カバーを挟んで切断刃を装着し、この切断刃を、取付台を取り囲み、しかも周方向に分割した複数個の刃先片で形成し、各刃先片を該取付台に接離可能に構成すると共に、該切断刃で該取付台の外周が表面に露出しないように囲繞し、

b 切断刃の両側に隙間(より具体的には、コンマ数ミリメートル程度の隙間)を設けて保護カバーを配装し、

c この保護カバーの外径を取付台外径より大きくとって該保護カバーに該取付台の側面をほぼ覆うようなはみ出し部分を形成し、

d 軸の取付台に形成した切込部分により構成された端面及びボルトにより各刃先片の幅方向の位置決め、固定を行うようにしたことを特徴とするシュレッダー用切断刃。

(2) ロ号切断刃の構成

a イ号切断刃の構成aと同じ

b イ号切断刃の構成bと同じ

c イ号切断刃の構成cと同じ

e 軸の取付台と各刃先片間に配設したノックピン及びボルトにより各刃先片の幅方向の位置決め、固定を行うようにした

ことを特徴としたシュレッダー用切断刃。

(以下、右の各構成を「構成a」などという。)

(三) 被告切断刃の作用効果上の特徴

(1) 被告切断刃は、その刃先部分のみが磨耗するだけとなるが、磨耗した切断刃の取り替えが、ケーシングや軸受をばらすことなく、ボルト等を外すことにより簡単に行えるため、取替作業が大幅に省力化され、保守管理が非常にやり易くなる。

(2) 被告製品は、切断刃の両側に密着した保護カバー外径を取付台外径より大きく形成しているので、そのはみ出し部分により、各刃先片の幅方向の固定が可能となり、長期間の使用にも狂いを生じず、その機能が損なわれない。

(四) 被告切断刃と本件考案の対比

(1) 被告切断刃と本件考案を対比すると、次のとおり、本件考案の構成要件と被告切断刃の構成には多少の差異は見られるものの、実質的には両者は同一のものであるといってよく、かつ、本件考案の効果と被告切断刃の効果は全く同一である。

<1> 構成要件A関係

ア 本件考案が構成要件Aで「切断刃を該軸に嵌着される取付台とこれを取り囲む刃先部分に分割形成し」としているのに対し、被告切断刃(構成a)は軸と取付台を一体に形成したものである。

イ しかし、右の差異は、軸と取付台を形成する設計技術上の微差にすぎず、この点での被告切断刃と本件考案との同一性は肯定されるべきである。

すなわち、軸に対して取付台をどのように形成するかという観点からは、本件考案の場合も取付台は嵌着することにより軸上に一体的に形成されているものであり、軸と取付台を別々に製作したか、また別々に製作してボルト止めしたか、あるいは溶接したか、更には削り出しによって一体的に形成したかは、本件考案の解決すべき課題及び作用効果等に何ら影響を与えるものではない。

そもそも、考案の技術的範囲を解釈するに際して、登録請求の範囲の文言のみに拘泥するときは、実質的権利侵害の横行を防止することができないのであって、このような観点から、登録請求の範囲の記載文言をとおして本来出願人が意図した意味そのもの、すなわち文言の意味する裏の意味を探究して補充的に解釈することは許される。

そこで、ここにいう「嵌着」とは、必ずしも字義どおりに解する必要はないのであって、軸上に取付台を形成する手段として「嵌着に似た慣用手段」を用いている場合も包含した趣旨に解するのが相当であって、本件考案にいう「嵌着」の真の意味は、「軸の回転力が取付台を介して刃先片に伝達できるよう軸に定着形成すること」にあるというべきであり、取付台を嵌めることで軸に定着形成するのか、削り出しによって一体形成するのかを問わないと解すべきである。

したがって、本件考案の「嵌着」と被告切断刃の「一体形成」(削り出し)は、実質的には同一である。

<2> 構成要件B関係

ア 本件考案が構成要件Bで「切断刃の両側に密着してスペーサを配装し」としているのに対し、被告切断刃(構成b)は、切断刃と保護カバーとの間にコンマ数ミリ(〇・一ないし〇・五ミリメートル)程度の隙間が開いている。

イ しかし、本件考案の対象とするような装置としての巨大な二軸剪断式破砕機の場合、コンマ数ミリメートル程度の「隙間」は「密着」の範囲内ということに何らの妨げもなく、〇・一ないし〇・五ミリメートルの隙間はJIS規格で定められる公差の範囲内でもあるのであって、右隙間の存在をもって被告切断刃の切断刃と保護カバーが密着していないとは到底いえない。

また、被告切断刃の保護カバーが切断刃の横ズレ防止を目的としたものではないとすれば、右保護カバーは軸の損傷、汚濁等の防止を目的としたものと考えられるが、それでは、なぜ〇・一ないし〇・五ミリメートルの隙間をあえて生じさせているのか不可解であり、この程度の隙間であれば、切断刃の位置決め及び固定に影響するとは考えられないことからすれば、被告切断刃の切断刃と保護カバーは密着しているといえる。

<3> 本件考案の「スペーサ」と被告切断刃の「保護カバー」

ア 本件考案が構成要件AないしDで「スペーサ」としているのに対し、被告切断刃(構成aないしc)では「保護カバー」と称している。

イ しかし、右「スペーサ」と「保護カバー」は、構造が全く同一であるだけでなく、効用も全く同一であるから、右は用語の相違に過ぎない。

さらに、被告製品には、単なる保護カバーであるとすれば存在しなくてよいはずの「はみ出し部分」(構成c)が形成されており、その結果、被告切断刃も「刃先片の両側に密着した保護カバーのはみ出し部分で挟持固定」することによって各刃先片の位置決め及び固定を行っているのであるから、被告切断刃の「保護カバー」は本件考案の「スペーサ」にほかならない。

<4> 構成要件D関係

ア 本件考案は構成要件Dで「このスペーサのはみ出し部分により各刃先片の幅方向の位置決め及び固定を行うようにした」としているのに対し、イ号切断刃(構成d)は「軸の取付台に形成した切込部分により構成されだ端面及びボルトにより各刃先片の幅方向の位置決め、固定を行うようにした」とし、ロ号切断刃(構成e)は「軸の取付台と各刃先片間に配設したノックピン及びボルトにより各刃先片の位置決め、固定を行うようにした」ものである。

イ しかし、ボルトについては、被告切断刃のいずれも、ボルト径よりもボルト穴が大径であるため、ボルトをボルト穴に螺入したときもその間に多少の隙間(ガタ)が存在する。

したがって、ボルト締めしても、破砕時の大きな衝撃や振動によりガタが大きくなり、ボルトのみでは各刃先片の幅方向の位置決め及び固定ができない。

そして、イ号切断刃の切込部分は取付台の頂面の一側部にのみ形成されているにすぎず、右切込部分の端面が幅方向の位置決め及び固定に多少寄与するものであったとしても、切込部分を中心として各刃先片は時計方向や逆時計方向に回動(変位)して保護カバーのはみ出し部分に密着し、これによってその動きが規制されることになるのであるから、イ号切断刃においても実質は保護カバーのはみ出し部分によって各刃先片の幅方向の位置決め及び固定が行われているのである(甲第一六号証の取付台に形成した切込部分により構成された端面と、保護カバーのはみ出し部分による刃先片との重なり部分とを比較すれば一目瞭然であるが、破砕中に刃先片が受ける幅方向の衝撃力は、固定ボルト以外に保護カバーのはみ出し部分(刃先片との重なり部分)によって受け止められ、端面によって支持されるとの期待は、その受け止め面積の弱小さからしてほとんどあり得ない。したがって、イ号切断刃は、現実には「はみ出し部分」で刃先片の位置決め固定しているのである)。

そうすると、イ号切断刃の右切込部分によって形成された端面は、本件考案に対する付加的構成にすぎない。

また、ロ号切断刃のノックピンについても、同様にノックピンが幅方向の位置決め及び固定に多少寄与するものであったとしても、ノックピンを中心として各刃先片は時計方向や逆時計方向に回動(変位)して保護カバーのはみ出し部分に密着し、これによってその動きが規制されることになるのであるから、ロ号切断刃においても実質は保護カバーのはみ出し部分によって各刃先片の幅方向の位置決め及び固定が行われているのである。

そうすると、ノックピンも同様に本件考案に対する付加的構成にすぎない。

したがって、イ号切断刃に構成dが、ロ号切断刃に構成eが含まれているとしても、それらは本件考案の構成要件を全て備えた上での付加的構成であり、かつ、その付加により本件考案の課題解決及び作用効果の達成を損なうものではないから、右各構成を有するからといって、被告切断刃が本件考案の技術的範囲に属しないということはできない。

(2) (均等)

仮に、被告切断刃が本件考案の構成要件Aに直接該当しないとしても、いわゆる均等論により、被告切断刃の構成aは本件考案の技術的範囲に属するものといえる。

すなわち、実用新案と対象製品等の間に異なる構成部分が存する場合であっても、<1> 右相違部分が実用新案の本質的部分ではなく、<2> 右部分を対象製品等に置き換えても、実用新案権の目的を達することができ、同一の作用効果を奏するものであって(置換可能性)、<3> 右のように置き換えることに、当該考案の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が、対象製品等の製造等の時点において容易に想到することができ(置換容易性)、<4> 対象製品等が、実用新案出願時における公知技術と同一又は当業者がこれから右出願時に容易に推考できたものでない(推考困難性)ような場合には、対象製品等は実用新案権の登録請求に記載された構成と均等なものとして、実用新案の技術的範囲に属するものと解される(最高裁第三小法廷平成一〇年二月二四日判決参照・以下「均等論」といい、その右<1>ないし<4>の適用要件を「均等要件」という。)。

しかるところ、被告切断刃の構成aは、本件考案の構成要件Aとの関係において、以下のとおり右均等要件を充足する。

<1> 均等要件<1>(実用新案と対象製品等の相違部分が実用新案の本質的部分でないこと)について

実用新案の考案の中に公知技術に相当する部分が含まれている場合には、その部分が考案の本質的部分となり得ないことは明らかであるから、考案の本質的部分は、公知技術との関連を考慮しつつ、真に考案された技術的事項は何であるかによって定められるべきものである。

本件考案の場合、「おいて」書き部分に記載された構成要件Aの嵌着方式による取付台の軸への固定方法は、本件考案の出願前に出願公告されている実用新案公報(甲第一二号証)に記載されており、公知技術であって、非本質的部分に該当し、「おいて」書き部分以降の特徴部分(構成要件BないしD)が真に考案した事項(軸に固定の取付台に装着された刃先片が稼働中にガタを生じないようスペーサによってその幅方向の位置決め、固定する思想)、すなわち本件考案の本質的部分であることは、疑問の余地がない。

そもそも、本件考案の対象であるシュレッダーの切断刃は、稼働中に金属片等の硬い被破砕物によって大きな衝撃力を種々の方向から受ける性質を有し、特に横方向からの衝撃には弱いので、これに対して切断刃をきちんと固定していなければならず、特に二軸剪断式シュレッダーの場合、切断刃の位置決め及び固定がしっかりされていないと対向する切断刃同士が衝突して運転不可能となってしまうのであり、この点がこのような形式のシュレッダーの本質的重要課題となるのである。

ところが、右のような軸に対して取付台をどのように形成するかという点は、切断刃の位置決め及び固定とは直接関係がないのであるから、本件考案の本質的部分ではないというべきである。

なお、本件考案の「考案の詳細な説明」の欄における目的課題、構成、効果などの記載の全趣旨を考察すれば、本件考案は組立製作時の問題に限局することなく、むしろ製作後のシュレッダー稼働過程で生じる問題に着目して、その内容を把握すべきものである。

すなわち、本件考案は、刃先部分の摩耗に備えて刃先部分のみを取り替え可能になるよう構成することを基本としつつ、本件考案の構成要件Dの「スペーサのはみ出し部分により各刃先片の幅方向の位置決め及び固定を行う」の意義(作用効果)として、「そのスペーサのはみ出し部分により各刃先片が幅方向にズレを生じないよう取付台外周面上に固定される。」(甲第一号証の二の公報第四欄一三行目ないし一四行目)、「軸方向(即ち、刃先の幅方向)は刃先片13aの両側に密着したスペーサ11のはみ出し部分によって挟持固定されることから、長時間の使用にガタを生じることがなく、その引き込み及び破断機能に支障を来さない。」(同第六欄一行目ないし五行目)及び考案の効果の欄の「そのはみ出し部分により各刃先片の幅方向の固定が可能となり、長時間の使用にもガタが生じず、その機能が損なわれない。」(同第六欄三四行目ないし三七行目)ことを期待するものである。

このような作用効果を重要とする理由は、前述のように、種々雑多な被破砕物を破砕するシュレッダーにおいて取付台と分割する方式の刃先片を採用した場合、刃先片の動き(特に幅方向の動き)を規制すべくその位置決め及び固定をしつかりしておかないと、例えばボルトのみで固定していれば運転回数が進むと稼働中に段々とガタを生じて、破砕中の大きな衝撃力によって刃先片が飛んでしまうおそれがあり、そうでなくとも、衝撃力により刃先片の横方向の位置がずれると、対向する刃先片と衝突して機械が停止する事故にもつながるおそれがあるからである。

そこで、このような製作後のシュレッダー稼働過程で生じる問題に着目して本件考案が開発されている以上、その組立製作時のみに着目して、「切断刃は、軸方向に相対的に移動可能である」はずであるなどということは、本件考案の本質とは全く無関係のことである。したがって、被告切断刃は、均等要件<1>を充たす。

<2> 均等要件<2>(置換可能性)について

本件考案の取付台も、被告切断刃の取付台も、軸の回転力を取付台を介して確実に刃先片に伝達することができるという作用効果(機能)は同一で、かつ、嵌着方式によって取付台を軸に固定しても、切断刃を軸に対して安定して固定することができるものであるから、切断刃を軸に対して安定して固定することができるという点では、本件考案も被告切断刃も同一である。

したがって、本件考案に比べて被告切断刃の取付台が格別の作用効を奏するものとはいえない。

また、本件考案の本質的部分は、前述のとおり、軸に固定した取付台に装着された刃先片が、稼働中にガタが生じないよう、スペーサによってその幅方向の位置決め固定する思想であって、右のように、取付台を軸に固定する方法のみを置き換えても、取付台に装着された刃先片の稼働中に生じるガタをスペーサ(保護カバー)によって阻止するという本件考案の目的を達することができるものである。

したがって、本件考案の構成要件Aと被告切断刃の構成aは置換可能であり、被告切断刃は均等要件<2>も充たす。

<3> 均等要件<3>(置換容易性)について

刃先片を装着する取付台を軸に「嵌着」して形成したり、あるいは軸と一体(削り出し)に形成したりすることは、被告切断刃の製造販売時点で、すでに当業者の間で普通に行われていたことである。

したがって、被告切断刃の製造販売開始当時、右の置き換えも当業者であれば容易に想到できたことであり、被告切断刃は均等要件<3>も充たす。

<4> 均等要件<4>(推考困難性)について

分割形式の刃先片を備えた被告切断刃において保譲カバーの大きさをいかに設定するかは、設計上の事項であるとはたやすくいえない。けだし、当該保護カバーによって、分割された各刃先片の幅方向における位置決め固定するという重要な役割を果たしているからである。

したがって、被告切断刃はいずれも保護カバーに「はみ出し部分」を設けて本件考案と同様な位置決め、固定機能を得ている以上、そのような構成は本件考案の出願時において当業者が容易に推考できたものではないと考えるべきである。

したがって、被告切断刃は均等要件<4>も充たす。

<5> 以上のとおり、「嵌着」(本件考案)と「一体形成(削り出し)」(被告切断刃)は均等技術であり、被告切断刃は本件考案の技術的範囲に属する。

5  (本件各意匠の構成)

本件各意匠は、破砕機用剪断刃の形状に係るものであり、その構成は別紙登録第九四一三七八号意匠公報(以下「第一意匠公報」という。)及び別紙登録第九四一三七八号の類似第一号意匠公報(以下、第一意匠公報と合わせて「各意匠公報」という。)記載のとおりであり、これを分説すれば次のとおりである。

(一) その正面図より見て、平板の底面を持ち、底面右側は、取付台と噛合する角鉤状に切り欠かれた噛合部が形成されており、この噛合部の左肩上方に爪先が位置し、上面は、爪先から左は緩やかな曲面をもって削り取られており、爪先から右は次第に急角度になる複数の直面をもって削り取られており、横方向に対する高さが略二対一の比率からなる全体形状が概略楔状をなし、

(二) 平面図よりすると、爪先の左と右にそれぞれボルト穴が一つずつ穿たれており、横方向に対する幅が略三対一の比率からなる全体形状が長方形の剪断刃である。

6  (被告切断刃の構成)

(一) イ号切断刃(切断刃は剪断刃である。以下同じ。)の意匠(以下「イ号意匠」という。)

別紙イ号図面第一図ないし第七図に表されたとおりであり、分説すれば次のとおりである。

a その正面図より見て、平板の底面を持ち、底面右側は、取付台と噛合する角鉤状に切り欠かれた噛合部が形成されており、この噛合部のほぼ直上に爪先が位置し、爪先から左は半円弧の曲面とそれに続く直面をもって削り取られており、爪先から右は次第に急角度になる複数の直面をもって削り取られており、横方向に対する高さが略二対一の比率からなる全体形状が概略楔状をなし、

b 平面図よりすると、爪先の左に二つのボルト穴が穿たれており、横方向に対する幅が略三対一の比率からなる全体形状が長方形の切断刃である。

(二) ロ号切断刃の意匠(以下「ロ号意匠」といい、イ号意匠と合わせて「被告意匠」という。)

別紙ロ号図面第一図ないし第七図に表されたとおりであるが、ロ号意匠には、その断面図、底面図からノックピン挿入用穴が存在することが確認できる外は、イ号意匠と全く同一である。

7  (本件各意匠と被告意匠の対比)

(一) 本件各意匠の基本的構成態様は、平坦な底面と、これに続く底面右端部に形成した噛合段部と、噛合段部の上に突き出した三角状の角部と、この角部から複数の直線部を形成して先端に形成した爪部と、この爪部から延びる緩やかな傾斜面とからなるところにあるところ、右の基本的構成態様に本件各意匠の要部が存在し、その基本的構成態様を構成する具体的構成態様に差異があったとしても、その差異は、本件各意匠の意匠的まとまりの中に吸収されてしまう程度のものであり、本件各意匠の共通の美感を凌駕して看者に別異な美的印象を与えるものではない。

(二) イ号意匠と本件各意匠の類似性

(1) イ号意匠と本件各意匠は、ボルト穴の位置、爪や噛合部の位置や形状は多少相違するものの、刃の幅はほぼ同一であり、また、ボルト穴の数は同数であるなど、意匠の要部において共通している。

(2) ところで、第一意匠と第二意匠は、刃の厚さの横幅に対する割合及びそれによって生じるボルト穴の数の相違はなく、爪や噛合部の位置や形状に相違があるところ、第二意匠は第一意匠の類似意匠として登録されている。

他方、原告キンキは、左記の第九四八一一二号意匠権(以下、同意匠権に係る意匠を「第三意匠」という。)も所有している。

出願日 平成六年三月二三日(意願平六-七七八六号)

登録日 平成七年一二月八日

登録番号 第九四八一一二号

意匠に係る物品 破砕機用剪断刃

登録意匠 別紙第九四八一一二号意匠登録公報記載のとおり第一意匠と第三意匠を比較すると、爪や噛合部の位置や形状に相違はないものの、刃の厚さの横幅に対する割合及びそれによって生じるボルト穴の数に顕著な相違があるところ、第三意匠は第一意匠と別意匠として登録されている。

したがって、刃の厚さの横幅に対する割合及びそれによって生じるボルト穴の数が異なれば別意匠と認められるが、爪や噛合部の位置や形状が相違するだけでは類似の意匠と認められる。

(3) 右のとおり、イ号意匠と本件各意匠は意匠の要部において共通している上、ボルト穴の位置、爪や噛合部の位置や形状は多少相違するものの、刃の厚さの横幅に対する割合及びそれによって生じるボルト穴の数は同数である。

したがって、第二意匠が第一意匠の類似意匠として登録されているのと同様に、イ号意匠は本件各意匠に類似している。

(三) ロ号意匠と本件各意匠の類似性

イ号意匠とロ号意匠も、ほとんど相違はない。

強いていえば、ロ号意匠にはその断面図、底面図からノックピン挿入用穴が存在することが確認できる。

ところが、ノックピン挿入用穴は、シュレッダーのユーザーは見ることがない位置に存在し、意匠の比較においてはその存在は無視しえるものである。

そうすると、イ号意匠とロ号意匠は意匠的には同一のものであり、したがって、ロ号意匠も本件各意匠に類似している。

8  (被告の侵害行為)

(一) 被告は、平成八年一〇月開催のインテックス大阪での廃棄物処理展において、イ号切断刃を「ブロックカッター」という商品名で、イ号製品を「VEGA」の商品名で販売のために展示し、平成九年五月開催の東京国際見本市有明会場での廃棄物処理展において、ロ号切断刃を「ブロックカッター」という商品名で、ロ号製品を「VEGA」の商品名で販売のために展示した。

さらに、被告は、業として、「VEGA」の商品名で二軸切断式破砕機を製造、販売しているところ、「VEGA」は、イ号切断刃及びロ号切断刃を「ブロックカッター」という名称でオプションとして装着可能としているが、「VEGA」は被告切断刃を装着させることが主力の商品であり、「VEGA」の製造、販売は、すなわち被告切断刃の製造、販売といえるものである。

したがって、被告は、業として、被告切断刃並びにこれらを使用した被告製品を製造、販売している。

(二) また、被告は、被告切断刃が本件考案の技術的範囲に属すること及び本件意匠に類似することを知りながら、もしくは、これを認識すべきであつたにもかかわらず、これを怠って、少なくとも、平成八年一月ごろに一台、平成九年五月ごろに一台の合計二台の被告製品を製造し、販売した。

9  (原告らの損害)

(一) 右のとおり、被告は、被告切断刃を装着した被告製品を二台販売したところ、被告製品の販売価格は一台当たり四五〇〇万円を下らない。

(二) 考案の実施料相当額は販売価格の五パーセントを、意匠の実施料相当額は販売価格の三パーセントをそれぞれ下らない。

(三) したがって、本件実用新案権及び本件各意匠権を侵害して平成八年一月に被告製品が一台販売されたことによる原告キンキの損害は、本件実用新案権につき二二五万円、本件各意匠権につき一三五万円を下らない。

また、平成九年五月ころに一台販売されたことによる損害は、原告キンキの本件各意匠権につき一三五万円、原告近畿工業の本件実用新案権の専用実施権につき二二五万円を下らない。

(四) したがって、原告キンキは少なくとも合計金四九五万円の、原告近畿工業は少なくとも金二二五万円の損害を被った。

10  よって、被告に対し、原告キンキは、本件実用新案権及び本件各意匠権に基づき、原告近畿工業は本件実用新案権の専用実施権に基づき、右各侵害行為の差止と被告製品の完成品及び半完成品の廃棄を求めるとともに、いずれも民法七〇九条に基づき、原告キンキは四九五万円、原告近畿工業は二二五万円、及び右各金員に対する訴状送達の日の翌日である平成九年七月一五日から各支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

二  請求の原因に対する認否及び被告の主張

1  請求原因1の事実は認める。

2  同2の事実は知らない。

3  同3の事実について

(一) 同(一)は認める。

(二) 同(二)は認める。

(三) 同(三)の(2)は認め、(1)は否認する。

(1)の効果は、シュレッダーの切断刃を、一体物でなく数個の部分に分割していること(これは公知の技術である)にそれなりの効果があることを述べているに過ぎず、本件考案に特有の効果ではない。

4  同4の事実について

(一) 同(一)は認める。

(二) 同(二)は認める。

(三) 同(三)の(1)は認め、(2)は否認する。

(四) 同(四)について

(1) 同(1)は争う。

<1> 被告切断刃が本件考案の構成要件Aに該当しないことは、以下のことから明らかである

右構成要件Aは、「切断刃を該軸に嵌着される取付台部分とこれを取り囲む刃先部分に分割形成し」としているのに対し、被告切断刃においては、シュレッダーのケーシングに軸支される軸は、軸に一体に形成する取付台の部分の径により大径の円柱形状の鋼材を、順次削り出すことにより作成されるものであって、シュレッダーのケーシングに軸支される軸に取付台を一体に形成している(切断刃は取付台部分を備えていない。)。

したがって、被告製品は、切断刃を取付台部分とこれを取り囲む刃先部分で「分割形成」するという構成としていないし、切断刃の取付台部分を該軸に「嵌着する」構成ともなっていない。

本件考案において、切断刃の取付台部分が、軸とは別体の単体の部品で構成され、軸に取付台部分を備えた切断刃を嵌めた状態では、取付台部分は、軸に対して、軸方向に相対的に移動可能とされるものであって、本件考案が、軸に取付台を(削り出しにより)一体に形成する構成を包含するものではないこと、さらに、本件考案の本質は、取付台部分と刃先部分とで形成した切断刃を軸にどのようにして装着するかということにあることは、原告キンキが特許庁における審査の過程において提出した平成七年四月一〇日付意見書(甲第一三号証の一)からも明らかである。

これに対して、被告製品は、軸に取付台を(削り出しにより)一体に形成するようにしているため、取付台は、軸に対して、軸方向に相対的に移動しないものであることから、本件考案と被告切断刃とは、切断刃を軸にどのようにして装着するかという本質的な点で、その構成を異にするものである。

したがって、被告切断刃は本件考案の技術的範囲に属さない。

<2> また、本件考案においては、「切断刃の両側に密着してスペーサを配装」しているのに対し、被告製品は切断刃の両側に隙間を設けて保護カバーを配装している。

そして、本件考案が、「スペーサのはみ出し部分により各刃先片の幅方向の位置決め及び固定を行う」ようにしているのに対し、被告切断刃の保護カバーは、軸の表面(切断刃を取り付けた部分を除く。)を保護することのみを目的として配装したものである。

さらに、本件考案のように、スペーサのはみ出し部分により各刃先片の幅方向の位置決め及び固定を行うようにするためには、文字どおり切断刃の両側に「密着」(「隙間なく付けること。くっつくこと。」の意味)してスペーサを配装する必要があるものであって、この構成要件が、被告切断刃の切断刃の両側に隙間(より具体的には、〇・一ないし〇・五ミリメートルの隙間であつて、「密着」はしていない。)を設けて保護カバーを配装する構成を包含するものでないことは明白である。

<3> 被告製品は、軸に(削り出しにより)一体に形成した取付台に、複数個の刃先片で形成した切断刃を直接取り付けることにより、より具体的には、軸の取付台に形成した切込部分により構成された端面(イ号切断刃の構成d)又は軸の取付台と各刃先片間に配設したノックピン(ロ号切断刃の構成e)により、各刃先片の幅方向の位置決め及び固定を行うようにすることにより、軸に対する刃先片の固定位置が、保護カバーとは全く無関係に、軸に一体に形成した取付台の位置によって決定されることになることから、被告切断刃においては、各刃先片の幅方向の位置決め及び固定を行うために本件考案が採用している構成要件D「スペーサのはみ出し部分により各刃先片の幅方向の位置決め及び固定を行うように」する構成を採用する必要はなく、この意味において、被告製品において、各刃先片の幅方向の位置決め及び固定を行うために採用している前記手段は、本件考案の付加的な構成に該当するものではない。

(2) 同(2)は争う。

<1> 均等要件<1>(実用新案と対象製品等の相違部分が実用新案の本質的部分でないこと)について

本件考案の構成要件Aは、取付台は軸に「嵌着」するものとしており、「嵌着」とは、文字どおり「嵌めることによって部材を取り付けること」を意味し、本件考案の構成要件B(切断刃の両側に密着してスペーサを配装する)、構成要件C(スペーサのはみ出し部分の形成)及び構成要件D(スペーサのはみ出し部分により各刃先片の幅方向の位置決め及び固定を行う)の各構成は、構成要件A、すなわち切断刃の取付台部分を軸に嵌着することにより、切断刃及びスペーサを軸に対して軸方向に相対的に移動可能に構成することによって初めて成立するものである。

このように、本件考案の「おいて」書き部分の構成要件Aは、「おいて」書き以下の構成要件BないしDの必須の前提要件をなしているものであって、本件考案の本質的部分であることは明らかである。

したがって、本件考案の構成要件Aと被告切断刃の構成aとは、均等要件<1>を欠く。

なお、考案を構成する特定部分が、本質的部分であるか非本質的部分であるかの判断基準は、公知技術であるか否かに置くのではなく、むしろ考案の全体構成との関係から判断すべきものであると考えられる。

<2> 均等要件<2>(置換可能性)及び均等要件<3>(置換容易性)について

被告切断刃が採用している構成aは、「シユレッダーのケーシングに軸支される軸に取付台を(削り出しにより)一体に形成」することにより、複数個の刃先片で形成した切断刃を軸に対して安定して固定することができるという格別の作用効果を奏するものであり、また、被告切断刃は切断刃及び保護カバーの軸方向の位置が隣接する各部材の幅方向の寸法によって相互に影響し合うことがないので、これら各部材の幅方向の寸法精度を高める必要がなく、二軸剪断式のシュレッダーを組み立てる際、シュレッダーのケーシングに平行に対向して軸支する二本のシュレッダー用切断刃の各部材の軸方向の位置調整を簡単に行うことができるという、本件考案によっては得られない格段の作用効果を奏することができる。

このことからして、被告切断刃の構成aは、本件考案と同一の作用効果を奏するものでないだけでなく、本件考案の構成要件Aと被告切断刃の構成aが、均等要件<2><3>をも欠くものであることも明らかである。

<3> 均等要件<4>(推考困難性)について

被告製品の保護カバーについて、前記の軸の表面を保護するという目的及び被破砕物が切断刃の間に詰まることを防止するという付随的な機能は、本件考案の軸に切断刃を嵌着する場合に用いるスペーサにおいても共通するものであるが、この種のシユレッダー用切断刃において、スペーサ又は保護カバーの高さを、被破砕物が切断刃の間に詰まることを防止することができる高さに設定することは、当業者が、通常配慮する設計上の事項に過ぎないものである(例えば、乙第九号証〔昭和五一年公開に係る公開実用新案公報〕参照)。

したがって、被告切断刃の保護カバーの構成は、当業者が公知技術から容易に推考できたものにすぎないものであり、均等要件<4>を欠くものである。

5  同5の事実のうち、本件各意匠がそれぞれ各意匠公報記載のとおりであることは認め、その余は否認する。

6  同6の事実について

(一) 同(一)のうち、イ号意匠が別紙イ号図面第一図ないし第七図に表されたとおりであることを認め、その余は否認する。

(二) 同(二)のうち、ロ号意匠が別紙ロ号図面第一図ないし第七図に表されたとおりであることを認め、その余は否認する。

7  同7の事実、主張は争う。

(一) 本件意匠の構成態様について

第一意匠の構成態様は、次の基本的構成態様及び具体的構成態様からなるものである(第一意匠の各部の名称については、別紙参考図〔以下「参考図」という。〕1参照)。

すなわち、第一意匠は、参考図2に示すように、全体の基本形状を、爪部、爪部前側部分、爪部反対側部分、噛合段部及びボルト孔部からなるブロック状に構成し、正面視して、頂辺から鋭角状に屈折した爪部の下方曲線に続いて左側に傾斜した爪部前側部分を形成し、該爪部の反対側部分を下方に屈折させ、その先端から内側に傾斜させ、更に右側下端に噛合段部を直角に切り欠き、底辺を水平状にするとともに、平面側から底面側にかけてボルト孔部二個を垂直状に設けた態様としたものである。

その各部の具体的構成態様は、次のとおりである。

(1) 爪部の部位と形状

爪部は、全体の横幅の略中央からやや左側までの部位を水平な頂辺とし、その先端から内側下方に鋭角に屈折した態様としている。

(2) 爪部前側部分の部位と形状

爪部前側部分は、内側に傾斜した爪部下端に統き、上方約二分の一の高さの部位から下方に傾斜した斜線(斜面)を形成した態様としている。

(3) 爪部反対側部分の形状

爪部反対側部分は、横幅の約二分の一の長さで二段階に屈折下降させ、下方約三分の一の高さまで突出した角部先端から更に鋭角状に内側に傾斜させた態様としている。

(4) 噛合段部の部位と形状

噛合段部は、全体の長さの右側約四分の一の部位の下方約四分の一の部位に長方形状に切り欠いた態様としている。

(5) ボルト孔部の部位

一方のボルト孔部は爪部前側部分の斜面に設けたものとし、他方は、爪部反対側部分の上方斜面に設けた態様としている。

(二) イ号意匠の構成態様について

イ号意匠の構成態様は、次の基本的構成態様及び具体的構成態様からなるものである。

すなわち、イ号意匠は、参考図2に示すように、全体の基本形状を、爪部、爪部前側部分、爪部反対側部分、噛合段部及びボルト孔部からなるブロック状に構成し、正面視して、頂辺から鋭角状に屈折した爪部の下方曲線に続いて左側に傾斜した爪部前側部分を形成し、該爪部の反対側部分を下方に屈折させ、その先端から内側に傾斜させ、更に右側下端に噛合段部を切り欠き、底辺を水平状にするとともに、平面側から底面側にかけてボルト孔部二個を垂直状に設けた態様としたものである。

その各部の具体的構成態様は、次のとおりである。

(1) 爪部の部位と形状

爪部は、右端から全体の横幅の約四分の一の部位までの傾斜した頂辺の先端から下方に鋭角状に屈折した態様としている。

(2) 爪部前側部分の部位と形状

爪部前側部分は、爪部下方の曲線に続いて上方約三分の一の高さの部位に爪部前側水平段部を設け、そこから左側下方に向かって下方約三分の一の部位まで傾斜した斜面を形成し、その先端から内側に鋭角に屈折した態様としている。

(3) 爪部反対側部分の形状

爪部反対側部分は、やや傾斜した頂辺に続いて二段階に屈折した斜面を形成し、上方三分の二の高さまで突出した先端から内側に鈍角で傾斜させた態様としている。

(4) 噛合段部の部位と形状

噛合段部は、全体の横幅の右端約四分の一の部位の下方から約三分の一の高さまで正方形状に切り欠き、更にその下端角部を小さく切り欠いた態様としている。

(5) ボルト孔部の部位

一方のボルト孔部は爪部前側部分の上方斜面に設け、他方のボルト孔部は中央右側の爪部前側水平段部の部位に設けた態様としている。

(三) 第一意匠とイ号意匠との対比

第一意匠とイ号意匠とを対比すると、両意匠は、基本的構成態様においては一致するものの、各部の具体的構成態様において、次の点で大きく相違する。

(1) 爪部の部位と形状

第一意匠では、水平な爪部頂辺の部位を全体の横幅の中央からやや左側までとしているのに対して、イ号意匠では、やや傾斜した爪部頂辺の部位を右端から全体の横幅の約四分の一の部位までとしている点

(2) 爪部前側部分の部位と形状

第一意匠では、爪部下端の曲線部に続き、上方約二分の一の部位から下方約三分の一の部位までとしているのに対して、イ号意匠では、爪部下端の曲線部に続き、上方約三分の一の部位に爪部前側水平段部を設け、そこから下方三分の一の部位までとしている点

(3) 爪部反対側部分の部位と形状

第一意匠では、頂辺から下方三分の一の部位まで二段階に屈折させ、横幅の約二分の一の長さとしているのに対して、イ号意匠では、やや傾斜した頂辺から更に屈折した斜面を右端四分の一の部位に形成している点

(4) 噛合段部の部位と形状

第一意匠では、下方約四分の一の部位で切り欠いているのに対して、イ号意匠では、下方約三分の一の部位で切り欠いている点

(5) ボルト孔部の部位

第一意匠では、一方のボルト孔部は爪部前側部分の斜面に設け、他方のボルト孔部は爪部反対側の上方斜面に設けているのに対して、イ号意匠では、一方のボルト孔部は爪部前側部分の斜面上方に設け、他方のボルト孔部は爪部前側水平段部に設けている点。

このように第一意匠とイ号意匠とは、基本的構成態様においては一致するものの、各部の具体的構成態様において大きく相違する。

特に、第一意匠の全体形状は、正面視して略中央に爪部を配置し、中心から左側に爪部前側部分を配し、右側に爪部反対側部分を配した点及び二個のボルト孔部を爪部前側部分及び爪部反対側にそれぞれ一個ずつ設けている点に形態的特徴点を有しているのに対して、イ号意匠の全体形状は、正面視して右端に爪部を配置し、その左側に長い爪部前側部分を設けた点及び二個のボルト孔部を爪部前側部分に設けている点に形態的特徴点を有しているものである。

したがって、これらの点を総合して考察すると、第一意匠とイ号意匠とは、各部の具体的構成態様において大きく相違するものであつて、イ号意匠は第一意匠に類似しないものである。

(四) ロ号意匠の構成態様について

ロ号意匠の基本的構成態様は、前記(二)のイ号意匠の基本的構成態様と一致するものであり、かつ、ロ号意匠の各部の具体的構成態様は、正面視した右端下方の正方形状切り欠きに続く噛合段部の下端角を隅切り状に小さく斜めに切り欠いた態様とした点及び底面視した噛合段にノツクピン孔を形成した態様とした点の差異を除き、前記(二)のイ号意匠の具体的構成態様と一致するものである。

(五) 第一意匠とロ号意匠との類否について

イ号意匠と同様、第一意匠とロ号意匠とは、基本的構成態様においては一致するものの、各部の具体的構成態様において大きく相違するものであり、ロ号意匠は第一意匠に類似しないものである.

(六) 第二意匠(類似一号意匠)について

第一意匠については、第二意匠(類似第一号意匠)が付帯している。

この第二意匠は、参考図2に示すように、第一意匠と同様、正面視して略中央に爪部を配置し、中心から左側に爪部前側部分を配し、右側に爪部反対側部分を配した点及び二個のボルト孔部を爪部前側部分及び爪部反対側にそれぞれ一個ずつ設けている点に形態的特徴点を有しているものと認められ、被告各意匠とは、各部の具体的構成態様において大きく相違するものである。

なお、類似意匠登録制度は、本意匠に類似する意匠の範囲を単に確認する効果を有するに過ぎない。

8  同8の事実について

(一) 同(一)は認める。

(二) 同(二)の事実のうち、被告が平成八年一月ころに一台、平成九年五月ころに一台の被告製品を製造販売したことは認め、その余は否認する。

9  同9の事実は争う。

10  同10は争う。

第三  証拠

本件記録中の書証目録の記載を引用する。

理由

第一  原告らの権利について

一  原告キンキの実用新案権及び意匠権について

請求原因1の事実は、当事者間に争いがない。

二  原告近畿工業の本件実用新案権の専用実施権について

証拠(甲第九号証)及び弁論の全趣旨によれば、請求原因2の事実が認められる。

第二  被告による本件実用新案権侵害の有無について

一  本件実用新案権の登録請求の範囲・構成要件について

請求原因3(一)、(二)の事実は、当事者間に争いがない。

二  被告製品について

請求原因4(一)、(二)の事実は、当事者間に争いがない。

三  本件考案と被告切断刃の対比について

1  本件実用新案権の構成Aと被告切断刃構成aについて

(一) 本件実用新案権の構成要件Aにおいては、「シュレッダーのケーシングに軸支された軸にスペーサを挟んで切断刃を装着し、この切断刃を該軸に嵌着される取付台部分とこれを取り囲む刃先部分に分割形成」するものとされている。

右構成要件は、軸に装着される切断刃は取付台部分と刃先部分からなり(分割形成する。)、その取付台部分は軸に「嵌着」されるべきものと想定されている。そして、右「嵌着」という文言の意味が「嵌めて部材を取り付けること」であることは明らかで、一義的に確定できるから、右構成要件においては、切断刃の取付台部分と軸とは、当然、それぞれが単体の、別個独立のものが想定されていると認められる。

(二) 原告らは、軸に対して取付台をどのように形成するかという観点からは、本件考案の場合も取付台は嵌着することにより軸上に一体的に形成されているものであり、この点の相違は、本件考案の解決すべき課題及び作用効果に何ら影響を与えないから、設計上の微差にすぎないとか、ここにいう「嵌着」とは、必ずしも字義どおりに解する必要はなく、軸上に取付台を形成する手段として「嵌着に似た慣用手段」を用いる場合も包含した趣旨に解するのが相当であって、「嵌着」の真の意味は、「軸の回転力が取付台を介して刃先片に伝達できるよう軸に定着形成すること」にあるというべきであるなどと主張する。

しかし、実用新案権の登録請求の範囲の確定、すなわちその構成要件の意味内容の確定は、登録請求の範囲の記載に基づいてしなければならないのであり(実用新案法二六条、特許法七〇条)、それによって実用新案権の構成要件の意味内容が一義的に確定できるのであれば、均等論の適用が認められるような特別な場合を除き、原則としてそれのみによって構成要件の意味内容は確定され、実用新案権の技術的範囲もまた確定される。

そして、本件考案については、登録請求の範囲の記載において「嵌着」という文言が使われており、それが「嵌めて部材を取り付けること」の意味のものとして、その記載のみによって一義的に確定できることは前述のとおりであるから、それ以上に、原告らが主張するように、作用効果の同一性等を考慮して右「嵌着」の文言の意味内容を実質的に解釈する必要はない。

したがって、原告らの右主張は採用できない。

(三) そうすると、被告切断刃の構成aは、「シュレッダーのケーシングに軸支される軸に取付台を一体に形成」するもので、切断刃の取付台部分と軸とは一体で、別個独立のものとはされていないものと認められるから、本件考案の構成要件Aとは異なるものであることは明らかである。

したがって、被告切断刃の構成aは、本件考案の構成要件Aに直接は該当しないというべきである。

2  被告切断刃構成aの本件考案の構成要件Aとの均等について

(一) ところで、実用新案権侵害訴訟において、相手方が製造等をする製品又は用いる方法(以下「対象製品等」という。)の中に実用新案権の登録請求の範囲に記載された構成と異なる部分が存する場合であっても、<1>右部分が実用新案の本質的部分ではなく(均等要件<1>)、<2>右部分を対象製品等に置き換えても、実用新案権の目的を達することができ、同一の作用効果を奏するものであって(均等要件<2>)、<3>右のように置き換えることに、当業者が、対象製品等の製造等の時点において容易に想到することができたものであり(均等要件<3>)、<4>対象製品等が、実用新案の出願時における公知技術と同一又は当業者がこれから右出願時に容易に推考できたものではなく(均等要件<4>)、かつ、<5>対象製品等が実用新案の出願手続において実用新案の登録請求の範囲から意識的に除外されたものに当たるなどの特段の事情のないとき(均等要件<5>)は、実用新案の登録請求の範囲に記載された構成と均等なものとして、右登録請求の範囲に属するものと解するのが相当である(最高裁第三小法廷平成一〇年二月二四日判決・裁判所時報第一二一四号一頁以下参照・右判決は特許発明の技術的範囲に関するものであるが、実用新案の技術的範囲についても同様に解することができる。)。

(二) そこで、被告切断刃の構成aが、本件考案の構成要件Aの技術的範囲に属するか、すなわち均等要件<1>(被告切断刃aの前記相違部分が本件考案の本質的部分でないこと)を充たすか否かについて検討する。

(1) 証拠(甲第一号証の二、第一〇号証の一・二、第一一ないし第一四号証)によれば、次の事実が認められる。

<1> 本件公報には、考案の詳細な説明として、ⅰ 一般にシユレッダーにおいては、機能上、切断刃が最も磨耗し易く、一定の使用期間を経過すると、切断刃を新しいものに取り替える必要があり、それも、使用頻度、処理物によってはかなり短期間のうちに取り替えなければならないが、その取り替えには相当の労力を要し、保守管理は容易ではない、ⅱ 本件考案は、切断刃を軸に装着する取付台の部分と磨耗し易い刃先部分とに分割して、刃先部分を取付台に接離可能に構成して、刃先部分のみを取り替えればよいように分割タイプのシュレッダーの刃を提供することを目的とするものである、ⅲ 右目的を達成するために本件考案はその構成のようにしたものであり、これにより、使用によって磨耗するのは刃先部分だけとなり、その取り替えは刃先部分を取付台から取り外すだけでできることになり(刃先部分を取付台と分割形成することによる。)、簡単に刃先の取り替え作業が行え、また、切断刃の両側に密着したスペーサを取付台より大きく形成したことにより、そのスペーサのはみ出し部分により各刃先片が幅方向のズレを生じないように取付台外周面上に固定される旨記載されている。

<2> ところで、原告キンキが本件実用新案権出願の際特許庁に提出した明細書(甲第一〇号証の二、以下「本件明細書」という。)においては、登録請求の範囲を、「請求項1」として、「シユレッダーのケーシングに軸支された軸にスペーサを挟んで装着される切断刃において、この切断刃を該軸に嵌着される取付台部分とこれを取り囲む刃先部分とで分割形成し、しかもこの刃先部分を周方向に分割して複数個の刃先片で形成し、各刃先片を該取付台に接離可能に構成すると共に、該刃先部分で該取付台の外周が表面に露出しないよう囲繞したことを特徴とするシュレッダー用切断刃」とし、「請求項2」として、「切断刃の両側に密着してスペーサを配装し、このスペーサの外形を取付台外径より大きく形成して該取付台からはみ出す部分を形成し、このスペーサのはみ出し部分により各刃先片の幅方向の固定を行うようにしたことを特徴とする請求項1のシュレッダー用切断刃」と記載されていた。

また、本件明細書には、考案が解決しようとする課題として、「円盤状の切断刃は一体物であるから、これを取り替える場合には、ケーシングと軸受をばらして取り外した後、軸からスペーサと共に切断刃を引き抜く必要があり、非常に煩雑で手間のかかる作業を強いられることとなる。」(本件明細書二頁【0005】)との記載や、実施例の説明として、「(磨耗した刃先部分を交換する際には)ケーシングや軸受をばらした後軸から切断刃全体を引き抜く作業は不要である。」(同六頁【0022】)との記載がされ、実施例の説明図面でも、取付台はその中央部分が軸の嵌入個所として正方形に近い矩形にくりぬかれた形態のものとされている。

他方、本件明細書のどこにも、取付台を軸にボルト固定することを想定したような記載はなされていない(この点は、本件公報でも同じである。)。

<3> 原告キンキの右出願に対し、特許庁の審査官から、ⅰ 請求項1については、引用例の切断刃の取付台を覆う部材を全て刃を有するものとすることに困難性は認められないし、取付台の形状は当業者が適宜設定し得るものと認められる、ⅱ 請求項2については、基材となる部材に別の部材を取り付ける際に、その別の部材を基材によって挟み込む構造とすることは、本件出願前における常套手段であり、切断刃が取り付けられる部分の幅方向の両側に、常套手段である刃を挟み込む構造を採用することに、困難性は認められず、右考案に進歩性は認められないとして、拒絶通知がなされた。

これに対し、原告キンキは、右請求項2についての判断は承服できないとして、引用例は、分割形成された刃体(本件考案の「刃先片」に相当する。)側に凸部を形成し、母台(本件考案の「取付台」に相当する。)に凹溝を設け(凹凸が逆であっても同じ)、両者を凹凸嵌合して刃体を母台に取り付けることによって、各刃体との厚さ方向の移動またはズレを拘束、つまり、刃体を母台側に位置決め・固定しているが、このような凹凸嵌合形態による場合、凹凸の加工精度、この精度には母台側の溝の幅の精度、溝の厚さ方向の位置の精度、溝の深さの精度、さらに凹形状の精度が要求され、同時に刃体側においても突起の幅の精度、突起の位置の精度、突起の高さ、さらに形状面の精度が要求され、結局、凹凸嵌合による刃体位置決め・固定機能としたがゆえに、かえって多面の精度を要求されることとなり、加工に多大の手間が必要となり、この精度を確保するために製作上の困難を招来してしまい、これが結局、製品コストの面に跳ね返ってくるのに対し、本件考案はスペーサを取付台より大きく形成したことにより、刃先片の厚さの精度さえ高く確保すれば、必然的に両側のスペーサに挟装された形で刃先片の位置決め・固定が可能となり、右のような刃先片と取付台の凹凸嵌合のような、刃先片及び取付台の接合面の精度確保という問題の生じない、簡素な手段で、刃体を母台に高い精度で位置決め・固定できるようになったのであり、さらに、本件考案の場合、スペーサも一つの組立体の中に含めて構成していることから、組み立てた後の組立体としての精度を問題にすればよく、部品単体の精度は、取付台の厚さについては必要なくなるといったメリットを生じる旨の内容の意見書を特許庁審査官に提出するとともに、実用新案登録請求の範囲を本件実用新案権の登録請求の範囲のものに補正する手続補正書を特許庁に提出し、これに基づいて本件実用新案権の出願公告がなされ、これが登録された。

(2) 右認定の本件実用新案権登録の経過及びその内容に照らせば、本件考案は、切断刃の刃先片の幅方向の位置決め・固定は、スペーサのはみ出し部分によってするとしたものであって、それ以外に、刃先片の位置決めのために、刃先片を固定するべき取付台を軸と一体に形成するという方法を併用することは予定していないものと認められる。

すなわち、本件考案のように、スペーサを取付台より大きく形成し、そのはみ出し部分で刃先片を挟装する構成によっても、仮に刃先片を固定するべき取付台を軸と一体に形成するという方法を併用するとすれば、取付台の位置は、軸と一体に形成された、その軸上の位置で完全に固定されることになるのであるから、取付台と接合する刃先片の位置も必然的にその取付台の位置によって決定されることにならざるを得ないのであって、刃先片の両側をスペーサで挟装したところで、それによって前記原告キンキの意見書がいうように必然的に刃先片の位置決めが可能になるとは到底いえない。

また、前記原告キンキの意見書によれば、本件考案の場合、スペーサも一つの組立体の中に含めて構成しているところから、組み立てた後の組立体としての精度を問題にすればよく、部品単体の精度は、取付台の厚さについては必要なくなるといったメリットを生じるとしているが、それはすなわち、刃先片とスペーサの厚さの精度さえ確保すれば、組立体としての精度は保たれるということを意味するものである。そして、そのようなメリットを生じさせるためには、軸、スペーサ、取付台、刃先片が一体となった組立体となった場合に、刃先片の位置決めの役割を果たすのは、刃先片とスペーサの厚さのみであって、取付台の影響は受けないとしなければならないはずである。

しかし、取付台と軸とを一体に形成するとすれば、例えば取付台の軸上の位置が設計上の位置よりも一ミリメートルずれれば、取付台と接合する刃先片の位置も必然的にそれによって一ミリメートルずれることになるから、刃先片とスペーサの厚さの精度をいかに確保したとしても、それだけで組立体としての精度が確保されるわけではないことは明らかである(それが、本件考案のような二軸勇断式のシュレッダーにおいては、対向するもう一方の切断刃との位置関係で致命的な欠陥となることも明らかである。)。

したがって、右取付台部分を軸と一体に形成し、その取付台に刃先片をボルト等で固定することによる刃先片の位置決めの方法を採用すると、仮にスペーサ等による刃先片の位置決めの方法を併用したとしても、軸に取付台を一体に形成するための設計、加工の段階で、各取付台の軸上での位置自体や各取付台間の間隔について、高度な精度が要求され、それらの加工次第で、刃先片の位置決めに、スペーサのはみ出し部分による位置決めの方法では修正できない、根本的な影響があることは明白である。

本件考案は、右のような問題点を解決する手段として、スペーサのはみ出し部分のみによって刃先片の位置決め・固定を可能とするようにし、それによってそれぞれの部品を組み立てた後の組立体としての精度を確保し得るとしたものであり(その点に進歩性が認められたものと認められる。)、その作用効果を実現するために、シュレッダーの軸とは別個に形成された、軸の周囲の形に沿って中央部をくりぬいた取付台を、右軸に沿って相対的に、すなわち軸に沿って平行に、スペーサと交互に嵌め込むという構成を採り、取付台が軸に沿って相対的に移動可能とすることによって、刃先片の位置決め・固定に取付台の軸上の位置が直接影響を及ぼさないようにしたものにほかならず、そのために本件考案の構成要件Aの、取付台を軸に「嵌着」するという構成が採用されたものと認められる。

そうであれば、本件考案の構成要件Aは、他の構成要件と一体となっているものであり、本件考案の本質的部分であるというべきである。

(3) 他方、被告切断刃の構成に照らせば、被告切断刃の取付台は軸に一体に形成する(削り出し)というものであって(構成a)、これによって軸に対する刃先片の位置決め・固定を実現しようとするものであり、そのような構成を採る以上、被告切断刃の刃先片の位置決め・固定は、直接的には軸に形成された取付台の軸上の位置によるのであって、保護力バー自体は、基本的には刃先部分の位置決め・固定のための構成とされてはいないものと認められる。

(4) 以上によれば、右被告切断刃の構成aと本件考案の構成要件Aとの相違部分は、本件考案の本質的部分に関するものであると認められるから、右の相違部分について均等要件<1>は認められず、被告切断刃の構成aは、本件実用新案権の構成要件Aの技術的範囲に属さないというべきである。

3  したがって、その余の構成について検討するまでもなく、被告切断刃は、いずれも、本件実用新案権を侵害するものとは認められない。

第四  意匠権侵害の点について

一  本件各意匠の構成について

本件各意匠がそれぞれ各意匠公報記載のとおりであること、イ号意匠が別紙イ号図面第一図ないし第七図に表されたとおりのものであること及びロ号意匠が別紙ロ号図面第一図ないし第七図に表されたとおりのものであることは、当事者間に争いがない。

二  本件各意匠権の関係等について

1  本件においては、第一意匠権の他に、類似意匠として第二意匠権が登録されているが、類似意匠制度は登録意匠の意匠権の及ぶ範囲を明確にしようとする趣旨のものであるから、意匠法二二条にいう類似意匠意匠権の本意匠意匠権との合体は、本意匠の権利範囲を確認する意味をもつものにすぎず、本意匠の類似範囲(効力の及ぶ範囲)が拡張される効力を生じるものではないと解される。

したがって、被告意匠の本件各意匠権侵害の有無については、第一意匠との類否のみを検討すれば足りる。

2  また、証拠(甲第二号証の二、第二〇号証の五ないし一〇)及び弁論の全趣旨によれば、第一意匠に係る破砕機用切断刃は、それのみ独立して単体で取引の対象とされることが予定されているものであり、この点は、被告意匠についても同様であると認められる。

そして、右のような取引態様や、物品(破砕機用切断刃)の種類、機能等を考慮すると、底面部分を含む意匠全体が看者の注意を引くものと考えられる。

なお、第一意匠及び被告意匠のいずれも、その背面部分は正面部分の裏返しにすぎないから、右部分については以下正面図をもって検討することとする(以下、意匠の各部の名称は、別紙参考図1による。)。

三  第一意匠の構成態様について

第一意匠公報(甲第二号証の二)記載の正面図によると、第一意匠の基本的構成態様は、全体の基本形状を、爪部、爪部前側部分、爪部反対側部分、噛合段部、底辺部及びボルト孔部からなるブロック状に構成し、頂辺から鋭角状に屈折した爪部の下方曲線に続いて左側に傾斜した爪部前側部分を形成し、該爪部の反対側部分を下方に屈折させ、その先端から内側に傾斜させ、更に右側下端に噛合段部を直角に切り欠き、底辺を水平状にしたものであり、その各部位の具体的構成態様は、次のとおりであることが認められる。

1  爪部の部位と形状

爪部は、全体の横幅の略中央からやや左側までの部位を水平な頂辺とし、その先端から内側下方に鋭角に屈折している。右頂辺の長さは、全体の横幅の七分の一余りのものである。

2  爪部前側部分の部位と形状

爪部前側部分は、内側に傾斜した爪部下端に続き、左端から約四分の一、上方約二分の一の高さの部位から下方に傾斜線を形成している。

3  爪部反対側部分の形状

爪部反対側部分は、全体の横幅の約二分の一の長さで二段階に屈折下降し、下方約三分の一の高さまで突出した角部先端から、更に鋭角状に内側に傾斜している。

4  噛合段部の部位と形状

噛合段部は、全体の横幅の右側約四分の一の、下方約四分の一の部位に、長方形状に切り欠いている。

5  底辺部の長さ

底辺は、左端から横幅の約四分の三の長さで形成されている。

6  ボルト孔部の部位

ボルト孔部は、一方は爪部前側部分の斜面に設け、他方は爪部反対側部分の上方斜面に設けてある。

四  イ号意匠め構成態様について

証拠(甲第二〇号証の六、八及び乙第一号証)によれば、イ号意匠の基本的構成態様は、第一意匠の基本的構成態様と同じであるが、その各部位の具体的構成態様は、次のとおりであることが認められる。

1  爪部の部位と形状

爪部は、右端から全体の横幅の約四分の一の部位までの傾斜した頂辺の先端から、下方に鋭角状に屈折している。

2  爪部前側部分の部位と形状

爪部前側部分は、爪部下方の曲線に続いて上方約三分の一の高さの部位に爪部前側水平段部を設け、そこから左側下方に向かって下方約三分の一の部位まで傾斜した斜面を形成し、その先端から内側に鋭角に屈折している。

3  爪部反対側部分の形状

爪部反対側部分は、やや傾斜した頂辺に続いて二段階に屈折した斜面を形成し、上方三分の二の高さまで突出した先端から内側に鈍角で傾斜している。

4  噛合段部の部位と形状

噛合段部は、全体の横幅の右端約四分の一の部位の下方から約三分の一の高さまで正方形状に切り欠き、更にその下端角部を小さく切り欠いている。

5  底辺部の長さ

底辺は、全体の横幅の左端から約五分の一の位置から、同約三分の二の位置まで(全体の横幅の九分の四の長さ)で形成されている。

6  ボルト孔部の位置

ボルト孔部は、一方は爪部前側部分の斜面に設け、他方は中央右側の爪部前側水平段部の部位に設けてある。

五  第一意匠とイ号意匠の対比

1  右第一意匠及びイ号意匠の各構成態様を対比すると、両意匠は、基本的構成態様は同じであるが、具体的構成態様において、<1>爪部は、第一意匠では、水平な頂辺の部位を全体の横幅の中央からやや左側までとし、その水平な頂辺の存在が明瞭であるのに対し、イ号意匠では、爪部頂辺がやや傾斜し、右端から全体の横幅の約四分の一の部位までとなっている、<2>爪部前側部分は、第一意匠では、爪部下端の曲線部に続き、上方約二分一の部位から下方約三分の一の部位までとなっているのに対し、イ号意匠では、爪部下端の曲線部に続き、上方約三分の一の部位に水平段部を設け、そこから下方三分の一の部位までとなっている、<3>爪部反対側部分は、第一意匠では、頂辺から下方三分の一の部位まで二段階に屈折し、横幅の約二分の一の長さとなっているのに対し、イ号意匠では、やや傾斜した頂辺から更に屈折した斜面を右端四分の一の部位に形成している、<4>噛合段部は、第一意匠では、下方約四分の一の部位で切り欠いているのに対し、イ号意匠では、下方約三分の一の部位で切り欠いている、<5>底辺は、第一意匠では、左端から横幅の約四分の三の長さであるのに対し、イ号意匠では、左端から約五分の一の位置から横幅の約九分の四の長さである、<6>ボルト孔部は、第一意匠では、一方は爪部前側部分の斜面に、他方は爪部反対側の上方斜面に設けてあるのに対し、イ号意匠では、一方は爪部前側部分の斜面上方に、他方は爪部前側水平段部に設けてある点にそれぞれ特徴があり、特に、第一意匠の全体形状は、略中央に爪部を配置し、中心から左側に爪部前側部分を配し、右側に爪部反対側部分を配した点、二個のボルト孔部を爪部前側部分及び爪部反対側部分にそれぞれ一個ずつ設けている点及び底辺が長くとってある(安定感がある)点に形態的特徴があり、イ号意匠の全体形状は、右端に爪部を配置し、その左側に長い爪部前側部分を設けた点、二個のボルト孔部を爪部前側部分に設けている点及び底辺がそれほど長くない(やや安定感に欠ける)点に形態的特徴があり、それが右各意匠の相違点となっている。

そして、右各意匠を構成する形態要素の本質的部分(要部)は、右の各特徴部分にあるものと認められるところ、これを対比すれば、第一意匠とイ号意匠とはその美的印象を大きく異にしていることは明らかであり、イ号意匠は第一意匠に類似しないというべきである。

したがって、イ号意匠は本件各意匠を侵害するとは認められない。

2  原告らは、第一意匠と第三意匠を比較すると、爪や噛合部の位置や形状に相違はないが、刃の厚さの横幅に対する割合及びそれによって生じるボルト孔部の数に顕著な相違があるところ、第三意匠は第一意匠と別意匠として登録されているので、刃の厚さ及びそれによって生じるボルト孔部の数が異なれば別意匠と認められるが、爪や噛合部の位置や形状が相違するだけでは、第二意匠と同様、類似の意匠と認められるべきであると主張する。

なるほど、証拠(甲第二号証の二及び第三号証の二)によれば、第一意匠と第三意匠とでは、爪や噛合部の位置や形状に相違はないが、刃の厚さの横幅に対する割合及びボルト孔部の個数(第一意匠では二個、第三意匠では四個)が異なるところ、第三意匠は第一意匠とは別意匠として登録されていることが認められる。

しかし、右証拠によれば、第三意匠は、右の差異から第一意匠とは(第二意匠とも)全体として美観を異にするものとなっていることが認められ、そのような第三意匠が登録されたからといって、刃の厚さの横幅に対する割合やボルト孔部の個数に差異がなければ、その他の構成部分に差異があることによって全体的な美的印象を異にする場合にも別意匠と認められないとすべき理由は全くないから、原告らの右主張は採用できない。

六  ロ号意匠の構成態様について

証拠(乙第一号証)及び弁論の全趣旨によれば、ロ号意匠の基本的構成態様は、前記イ号意匠の基本的構成態様と一致するものであり、かつ、ロ号意匠の各部の具体的構成態様は、右端下方の正方形状切り欠きに続く噛合段部の下端角を隅切り状に小さく斜めに切り欠いた態様とした点及び底面視した噛合段部にノックピン孔を形成した態様とした点の差異を除き、前記イ号意匠の具体的構成態様と一致するものである。

したがって、ロ号意匠は、要部をイ号意匠と同じくするものと認められるから、イ号意匠同様、第一意匠と美観を異にし、類似しないものであるので、本件各意匠権を侵害するとは認められない。

第五  結語

以上の次第で、原告らの本訴請求は、その余の点につき判断するまでもなく、いずれも理由がないからこれを棄却し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法六一条、六五条一項を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 竹中省吾 裁判官 橋詰均 裁判官 鳥飼晃嗣)

イ号製品目録

一 イ号製品の説明

シュレッダーのケーシングに軸支される軸1に取付台1aを一体に形成し、取付台1aに保護カバー11を挟んで切断刃10を装着し、この切断刃10を、取付台1aを取り囲み、しかも周方向に分割した複数個の刃先片13aで形成し、各刃先片13aを該取付台1aに接離可能に構成すると共に、該切断刃10で該取付台1aの外周が表面に露出しないよう囲続し、切断刃10の両側に隙間(より具体的には、コンマ数ミリメートル程度の隙間)を設けて保護カバー11を配装し、この保護カバー11の外径を取付台外径より大きくとつて該保護カバー11に該取付台1aの側面をほぼ覆うようなはみ出し部分11aを形成し、軸1の取付台1aに形成した切込部分22により構成された端面23及びボルト16を有するシュレッダー用切断刃。

二 イ号図面の説明

第一図はシュレッダー用切断刃の斜視図、第二図は軸の正面図、第三図は軸の取付大部分の正面図、第四図は軸の取付台部分の断面図、第五図は軸の保護カバーの配装部の断面図、第六図は保護カバーの側面断面図及びそのB-B線断面図、第七図は刃先片の正面図、背面図、平面図、底面図、左側面図、右側面図及び断面図である。

第一図

<省略>

第二図

<省略>

第三図

<省略>

第四図

<省略>

第五図

<省略>

第六図

<省略>

第七図

<省略>

ロ号製品目録

一 ロ号製品の説明

シュレッダーのケーシングに軸支される軸1に取付台1aを一体に形成し、取付台1aに保護カバー11を挟んで切断刃10を装着し、この切断刃10を、取付台1aを取り囲み、しかも周方向に分割した複数個の刃先片13aで形成し、各刃先片13aを該取付台1aに接離可能に構成すると共に、該切断刃10で該取付台1aの外周が表面に露出しないよう囲続し、切断刃10の両側に隙間(より具体的には、コンマ数ミリメートル程度の隙間)を設けて保護カバー11を配装し、この保護カバー11の外径を取付台外径より大きくとつて該保護カバー11に該取付台1aの側面をほぼ覆うようなはみ出し部分11aを形成し、軸1の取付台1aと各刃先片13a間に配設したノックピン20及びボルト16を有するシュレッダー用切断刃。

二 ロ号図面の説明

第一図はシュレッダー用切断刃の斜視図、第二図は軸の正面図、第三図は軸の取付大部分の正面図、第四図は軸の取付台部分の断面図、第五図は軸の保護カバーの配装部の断面図、第六図は保護カバーの側面断面図及びそのB-B線断面図、第七図は刃先片の正面図、背面図、平面図、底面図、左側面図、右側面図及び断面図である。

第一図

<省略>

第二図

<省略>

第三図

<省略>

第四図

<省略>

第五図

<省略>

第六図

<省略>

第七図

<省略>

(19)日本国特許庁 (11)登録意匠番号

(45)平成7年(1995)12月19日発行 (12)意匠公報(S) 941378の類似1

(52)K3-491類似

(21)意願 平6-7787 (22)出願 平6(1994)3月23日

(24)登録 平7(1995)9月22日

(72)創作者 和田直哉 兵庫県神戸市中央区栄町通1丁目1番24号 株式会社キンキ内

(73)意匠権者 株式会社キンキ 兵庫県神戸市中央区栄町通1丁目1番24号

(74)代理人 弁理士 角田嘉宏

審査官 内野雅子

(54)意匠に係る物品 破砕機用剪断刃

(56)参考文献 なし。

<省略>

(19)日本国特許庁 (11)登録意匠番号

(45)平成7年(1995)12月11日発行 (12)意匠公報(S) 941378

(52)K3-491

(21)意願 平6-7785 (22)出願 平6(1994)3月23日

(24)登録 平7(1995)9月22日

(72)創作者 和田直哉 兵庫県神戸市中央区栄町通1丁目1番24号 株式会社キンキ内

(73)意匠権者 株式会社キンキ 兵庫県神戸市中央区栄町通1丁目1番24号

(74)代理人 弁理士 角田嘉宏

審査官 内野雅子

(54)意匠に係る物品 破砕機用剪断刃

<省略>

(19)日本国特許庁 (11)登録意匠番号

(45)平成8年(1996)2月28日発行 (12)意匠公報(S) 948112

(52)K3-491

(21)意願 平6-7786 (22)出願 平6(1994)3月23日

(24)登録 平7(1995)12月8日

(72)創作者 和田直哉 兵庫県神戸市中央区栄町通1丁目1番24号 株式会社キンキ内

(73)意匠権者 株式会社キンキ 兵庫県神戸市中央区栄町通1丁目1番24号

(74)代理人 弁理士 角田嘉宏

審査官 鍋田和宣

(54)意匠に係る物品 破砕機用剪断刃

<省略>

参考図1

<省略>

参考図2

<省略>

参考図3

<省略>

参考図4

<省略>

意匠公報

<省略>

意匠公報

<省略>

意匠公報

<省略>

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例