大判例

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神戸地方裁判所 平成9年(行ウ)34号 判決

原告

早田保夫

右訴訟代理人弁護士

清水孝雄

被告

兵庫県豊岡土木事務所長 渡辺行雄

右指定代理人

河合裕行

太田義弘

嶋田昌和

田畑和廣

中之薗善明

川崎成己

竹田安広

中野篤久

門間博通

石倉昭徳

加藤宥

事実及び理由

第三 当裁判所の判断

一  〔証拠略〕によれば、次の事実が認められる。

1  台風一九号の際、八代川流域の豊岡市佐野地区では左岸堤防から溢水するおそれが生じ、土のうを積むなどの水防活動により住宅地への溢水は防がれたが、同地区及び同市上佐野地区の田畑等が冠水し、河川区域外の土地を含む豊岡市域の八代川右岸地域の大部分も冠水した。なお、八代川放水路は、右台風当時、既に存在していた。

2  台風一九号の後、本件土地付近から上流にかけての八代川左岸堤防上にパラペットが設置され、河川断面を更に大きくする工事が行われた。また、豊岡市域の河川区域外の八代川の右岸の地域等においては、埋立てが行われるなどし、農地が減少した。そして、豊岡市議会は、建設大臣に対し、平成七年六月二九日付けで意見書を提出し、八代川流域の地域開発等のために同川流域の遊水機能がなくなることから生じる内水問題を処理するため八代川に排水ポンプを設置することを要望したが、現在に至るまで八代川に排水ポンプは設置されていない。

3  沢田三郎らが受けた盛土の許可に係る土地の一部は本件土地の一部と重なっているが、右許可は堤内地の盛土に伴って行う堤防の裏法面の盛土に関するものであったのに対し、本件申請は堤防の表法面及び堤外地に盛土をしようとするものである。また、右許可に係る盛土は、本件申請に係る盛土に比してかなり小規模なものであった。

二  前記争いのない事実及び右認定事実に基づき検討する。

1  本件土地は、八代川の最下流に位置しており、佐野樋門が閉鎖されると最初に貯留が始まる河道部分であることからすると、遊水機能を果たすべき土地という観点からは非常に重要である。

2  台風一九号の際に八代川流域では堤防からの溢水の危険があったこと、同川右岸の田畑等については広く冠水したこと、右台風の後、事実上遊水機能を果たしたともいえる右田畑等は造成等により減少していること、パラペットの設置がなされたが、排水ポンプの設置等はなされていないことなどからすると、台風一九号があった当時に比して、八代川の流域周辺の土地の保水機能が減退し水害発生の危険生が増大しているということはできても、右危険性が減少しているということはできず、河川区域が果たさなければならない遊水機能の重要性はむしろ高まっている。

3  原告は、以前に本件土地の一部につき盛土の許可がなされていることからすると本件盛土を許可しても治水上著しい支障は生じない旨主張するが、前記認定の右許可の場所及び規模等の違いに照らせば、本件申請に係る盛土を許可しなければならないということにはならない。

4  また、原告は、遊水機能を有する場所として本件土地よりも上流に位置する土地(河川区域外の土地)がふさわしい旨主張するが、河川区域外の土地については河川法の規制を受けることなく盛土等をすることができることからすると、河川管理者は、河川区域外の土地の遊水機能を考慮に入れなくとも洪水等による災害の発生を防止できるように当該河川を管理すべきであると解される。

5  さらに、原告は、本件土地の面積が八代川流域全体の面積に比して少ないから、本件盛土により治水上著しい支障は生じない旨主張するが、河川の安全性の評価は、堤防の構造や管理状態、河道内整備の有無といった諸要因のみならず、当該河川の流域特性や降雨特性等を総合的に判断してなされるものであること、治水ないし河川管理が自然現象である降雨を対象としていることを併せ考えれば、本件においても、本件土地の面積が少ないからといって本件盛土が治水上著しい支障を生じさせるものではないということはできない。

6  以上を総合して判断すると、本件土地に盛土をすることが、洪水等による災害の発生の危険を高め、治水上著しい支障を生じさせるものであるとした被告の判断は首肯することができる。したがって、本件処分は適法である。

三  結論

以上のとおりであり、原告の請求は理由がないから棄却することとし、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 將積良子 裁判官 田口直樹 大竹貴)

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