神戸地方裁判所 昭和29年(ワ)678号 判決
原告 久内森太郎 外二名
被告 西川清 外一名
一、主 文
本件請求を却下する。
訴訟費用は原告等の負担とする。
二、事実及び理由
本訴請求は、原告等に於て、「原告等と被告西川との間の神戸簡易裁判所、昭和二八年(ハ)第一六二号請求異議事件の訴状却下命令は確定せず、申立人久内森太郎、同久内あさ乃、同東貢、相手方西川清間の神戸地方裁判所昭和二八年(ソ)第一号即時抗告事件につき、神戸地方裁判所書記官小谷四郎が為した確定証明の無効を確認する。訴訟費用は被告等の負担とする。」との判決を求め、その請求の原因として、
原告等は、被告西川に対し、神戸簡易裁判所昭和二七年(イ)第三六号和解申立事件の執行力ある和解調書正本に基く、強制執行に対し、請求に関する異議の訴を提起し、(神戸簡易裁判所昭和二八年(ハ)第一六二号)同裁判所は訴状貼用印紙不足の理由で訴状を却下した。原告等は之に対し、神戸地方裁判所へ即時抗告をなしたが(昭和二八年(ソ)第一号)同裁判所は昭和二九年四月一三日付で抗告棄却の決定をなし、その正本は同月一五日抗告代理人に送達された。原告等は之に対し、同月一九日更に即時抗告をなした。右申立は表題は特別抗告申立書となつてゐるが、その申立は即時抗告である再抗告の申立をも併せ含むものであつて、右は即時抗告期間内である同月一九日になされた適法な申立であるから、前記訴状却下命令は確定せず、従つて前記強制執行は停止されてゐるものと思つてゐた。(右請求異議事件に於ては強制執行停止決定がなされてゐた――原告提出甲第一号証参照)然るに被告小谷は軽率にも右即時抗告の棄却決定は確定し、従つて又原告等の請求異議事件の訴状却下命令も確定したとして被告西川の請求に基きその確定証明書を与へた為同被告は執行吏に対し之を呈示して前記強制執行の続行を求め、執行吏は将に執行を続行せんとしてゐるので、申立趣旨記載の判決を求める為本訴請求に及ぶ次第である。と云ふに在る。
凡そ特定人間の訴訟の終局裁判の未確定につき、当該当事者間に争のある場合はその事件の続行を求めることにより、その判決を求め得べく別訴による確認の請求は之を許さないものと解すべきこと、両判決の結論が異つた場合を想へば明白であるから、本訴に於て原告等が被告西川に対し、前記事件の訴状却下命令の未確定の確認を求める部分はその権利保護の要件を欠くものとして不適法である。又確認の訴は原則として権利又は法律関係の存否に付て認められるところ、裁判所書記官のなす確定証明自体は裁判確定の事実自体を認証する事実行為に過ぎず、之により当該事件当事者との間に何等の権利又は法律関係をも生ずるわけではないから、原告等は被告小谷書記官のなした確定証明の無効の確認を求める本訴請求は確認の訴の要件を欠くのみならず、原告が若し右を以て小谷書記官の前記証明処分を違法としその是正を求める趣旨であるとするならば、之に付ては特に民事訴訟法第二〇六条による異議申立の道が開かれてゐるのであり、而もこの違法を主張するには同法条による異議申立のみが認められ、他の方法によることを許さないものであるから、之の点でも不適法である。而して右の不適法は補正の見込の無いものであるから民事訴訟法第二〇二条により却下を免れないものである。仍て訴訟費用の負担につき同法第八九条第九三条により主文の通り判決する。
(裁判官 石井末一 大野千里 林義一)