神戸地方裁判所 昭和37年(ワ)372号 判決 1965年3月01日
主文
被告は、原告に対し金六万円及びこれに対する昭和三六年二月一九日以降支払済まで年六分の割合による金員を支払え。
原告その余の請求を棄却する。
訴訟費用はこれを三分して、その二を被告の負担とし、その余を原告の負担とする。
事実
原告は、「被告は、原告に対し金一一万三、三五六円及びこれに対する昭和三六年二月一九日以降支払済まで年六分の割合による金員を支払え。訴訟費用は被告の負担とする」との判決を求め、請求原因として、
一、原告は、宅地建物取引業者である。
二、原告は、昭和三五年一〇月頃兵庫県から依頼されて、昭和三六年二月一四日被告から兵庫県に、被告所有の神戸市垂水区多聞町字打田山一、三四三番の一三山林四反三畝四歩を代金二三三万三、九〇〇円で売渡すに当り、その仲介をした。
三、右売買による所有権移転登記は同年二月一八日完了し、被告は同日その代金を受領した。然るに、被告は、所定の仲介報酬金(取引価額金二〇〇万円までは、取引額の五分、これを超えるものは、その超過額の四分)一一万三、三五六円の支払をしない。
なお、被告主張の特約は否認する。
四、よつて、右報酬金及び支払期日の翌日である昭和三六年二月一九日以降支払済まで商法所定の年六分の割合による損害金の支払を求める。
と述べた。
証拠(省略)
被告訴訟代理人は、原告の請求を棄却する、訴訟費用は原告の負担とする。との判決を求め、答弁及び抗弁として、
一、原告が宅地建物仲介業者であること、原告主張の日にその山林(但し、その半分は事実上畑であつた。)を兵庫県に売渡し、代金の支払を受け、登記をしたことは認める。原告の仲介の点は否認する。
二、仮に原告が仲介したことによつて右契約が成立したとしても、右土地は兵庫県の公共施設用地として提供したものであるが、用地売収予算が少なく、従つて、時価より低廉な価格でしか買収できないので、仲介業者である原告が兵庫県から報酬を受けることは格別、被告ら売主からは仲介報酬を一切支払わなくてもよいとの特約をした。
三、なお仲介報酬額の定めがあることは不知
と述べた。
証拠(省略)