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神戸地方裁判所 昭和40年(行ウ)33号 判決 1967年12月11日

西宮市甲陽園日ノ出町四四

原告

上野喜久二

右訴訟代理人弁護士

野村清美

横林良昌

西宮市池田町

被告

西宮税務署長

植田信男

右指定代理人検事

樋口哲夫

大蔵事務官 本野昌樹

河合昭五

法務事務官 山本時男

奥田五男

主文

原告の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

事実

原告訴訟代理人は、「原告の昭和三七年度分所得税につき被告が昭和三九年一〇月二七日別表(一)の(二)記載の内容をもつてなした更正決定はこれを取消す。訴訟費用は被告の負担とする。」との判決を求め、請求の原因として、

「一、原告は、昭和三七年分の所得税につき、別表(一)の(イ)(ロ)(ハ)記載の内容の各申告書を被告に対し提出したところ、被告は昭和三九年一〇月二七日、同表(一)の(二)記載の内容をもつて更正決定をなした。右更正決定の理由は、原告申告の所得のうち「譲渡所得」について原告が昭和三七年一二月三〇日訴外井塚直人(以下井塚という)に原告所有の別紙目録(一)記載の物件(以下本件(一)の物件という)を売渡した代金二、三八八万一五〇円をもつて譲渡所得金額とする旨の申告をしたのに対し、被告は右売渡の際に同目録(二)及び(三)記載の物件(以下本件(二)、(三)の物件という)の売却も同時に行われたものと認定し、右(一)ないし(三)の各物件の譲渡価額を合計金五、八五〇万円として譲渡所得を算定したためである。そこで原告は右更正決定につき、右(二)及び(三)の物件の売却は昭和三八年一月三一日であるとして、昭和三九年一一月二五日被告に対し異議申立をなしたが、同年一二月二五日被告はこれを棄却する旨の決定をした。原告はさらに昭和四〇年一月二三日大阪国税局長に対し右決定に対する審査請求をなしたが、同年六月一五日同局長はこれを棄却する旨の裁決をした。

二、しかしながら、本件(一)の物件の売渡と本件(二)、(三)の物件の売却とは後記のとおり別時に行われたものであるから、これを一括して売渡したものと認定し、その譲渡価額の合計額をもつて原告の昭和三七年分の譲渡所得金額とした本件更正決定は違法であつて取消されるべきものである。

すなわち、原告は井塚に対し、(1)昭和三七年一二月三〇日本件(一)の物件を代金二、三八八万一五〇円(坪当金八万五、〇〇〇円)とし、手附金一、二〇〇万円を同日受領し、残金及び所有権移転並びに物件引渡日時を昭和三八年一月三一日と定めて売渡す旨約し、(2)昭和三八年一月三一日本件(二)、(三)の物件を代金三、四五四万九、九五〇円とし、手附金七〇〇万円を同日受領し、残金受び所有権移転並びに物件引渡日時を同年一二月二〇日と定めて売渡す旨約したのである。原告は右(1)の売渡契約成立後の昭和三八年一月一七日に本件(一)の物件を分筆し、約定の同月三一日に残金一、一八八万一五〇円の授受及び所有権移転登記並びに物件の引渡を了して、右(1)の売買取引を完了したのであり、右(2)の売買取引については、本件(三)の物件を原告が居住のため使用しており、かつ取引日も相当先のことであるので、本件(二)、(三)の物件につき、前記契約当日井塚のため、神戸地方法務局芦屋出張所受付第五〇九号をもつて同日付売買予約を原因とする所有権移転請求権保全仮登記を経由し、その後原告は本件(三)の物件より退去し、約定の昭和三八年一二月二〇日に残金二、七五四万九、九五〇円の授受及び本件(二)、(三)の物件の所有権移転登記並びに同物件の引渡を了して、右(2)の売買取引を完了したのである。

なお、原告主張の昭和三七、三八年度分の所得税計算関係は、別紙「原告の主張」記載のとおりである。

三、そうでないとしても、本件更正決定は、租税実質主義に照して違法であるから取消されるべきものである。

すなわち、譲渡所得税の納税義務は、資産を譲渡したときに生ずるものであるが、不動産の譲渡の場合においては、租税実質主義に照して、該物件所有権の移転、もしくは該物件の売買代金の受領または売買代金債権の取得があつたときに資産の譲渡があつたものと解すべきであり、単に売買契約を締結し手附金を受領したにとどまり、未だ所有権の移転がなく、売主買主ともに手附金を放棄または倍戻することにより契約を解除できる段階において、資産の譲渡があつたものと解することはできないところ、本件においては、前記のとおり、原告が本件(一)の物件の所有権を井塚に移転し、代金を受領したのは昭和三八年一月三一日であり、同様に本件(二)、(三)の物件の所有権を移転し、代金を受領したのは昭和三八年一二月二〇日であるから、本件各物件の譲渡は昭和三八年度のものというべきであり、これを昭和三七年度の譲渡と認定してなした本件更正決定には、資産の譲渡のないところにこれありとして課税した違法がある。」と述べ、

立証として、甲第一、二号証、同第三、四号証の各一、二、同第五号証、同第六ないし第九号証の各一、二、同第一〇号証を提出し、証人井塚直人の証言(第一回)、原告本人尋問の結果を援用し、乙第四号証中、官署作成部分の成立は認めるが、その余の部分の成立は不知、乙第五号証中、原告作成部分の成立は認めるが、その余の部分の成立及び原本の存在は不知、その余の乙号各証の成立は認める、と述べた。

被告指定代理人は、主文同旨の判決を求め、答弁及び主張として、

「一、請求原因第一項の事実は認める。同第二項中、本件(一)の物件が主張の頃分筆され、主張の頃その所有権移転登記がなされたこと、本件(二)、(三)の物件につき主張の頃主張のような仮登記が経由され、主張の頃その所有権移転登記がなされたことは認めるが、その余の事実は争う。同第三項は争う。

二、原告は昭和三七年分所得税につき別表(一)の(イ)(ロ)(ハ)記載の内容の各申告書を提出したが、被告が右申告について調査した結果、原告の譲渡所得は次のとおりであることが判明した。

原告は昭和三七年一二月三〇日井塚に対し、原告所有の芦屋市平田町二九番一、山林二反八畝歩、(その後分筆して本件(一)及び(二)の物件となる)及び本件(三)の物件、並びに訴外上野二郎有の別紙目録(四)記載の物件(以下本件(四)の物件という)を合計金六、〇〇〇万円で売渡す旨約し、同日手附金一、二〇〇万円を受領したものである。

そこで被告は、右売渡のうち訴外上野二郎所有の本件(四)の物件分として金一五〇万円を除いた金五、八五〇万円をもつて原告の譲渡価額とし、別表(二)のとおりの計算根基により譲渡所得を算定したうえ、本件更正決定を行つたのである。

三、前記のごとく本件(一)ないし(三)の物件の売渡は一括してなされたのであり、しかもその所有権を移転する時期につき格別の約定もされていないのであるから、右物件の所有権は前記契約当日に買主である井塚に移転したものというべきところ、資産の譲渡により発生する譲渡所得についての収入金額の権利確定の時期は、当該資産の所有権その他の権利が相手方に移転する時であり(最判昭和四〇年九月二四日民集一九巻六号一六八八頁)、そして所得税法(昭和四〇年法律三三号改正前)第一〇条第一項の規定は、金銭収入だけでなく権利による収入をも「収入すべき金額」に含んでいることから明らかなように、譲渡の対価を現実に取得したときでなく、譲渡の対価を取得しうる権利(代金債権)を取得したときをもつて譲渡所得発生の時としているものと解されるから(福岡高判昭和四一年七月三〇日訟務月報一二巻一〇号一四五七頁)、いずれにしても本件(一)ないし(三)の物件の譲渡による所得は、昭和三七年一二月中に発生したものというべきであつて、これを昭和三七年分の譲渡所得として賦課した本件更正決定に違法の点はない。」と述べ、

立証として、乙第一、二号証、同第三号証の一ないし五、同第四ないし第六号証を提出し、証人井塚直人の証言(第二回)を援用し、甲第四号証の一、二の成立は否認する、甲第一〇号証の成立は不知、その余の甲号各証の成立は認める、と述べた。

理由

請求原因第一項の事実は当事者間に争いがない。

そこで、原告の昭和三七年分の譲渡所得をめぐり同年中に本件(一)の物件の譲渡のほかに本件(二)、(三)の物件の譲渡も行われたかどうかにつき争いがあるので、以下判断するに、いずれも成立に争いのない甲第八、九号証の各一、二、乙第一、二号証、同第三号証の一ないし五、井塚直人作成部分につき証人井塚直人の証言(第一回)により、その余の部分につき原告本人尋問の結果によりそれぞれ真正に成立したものと認められる甲第四号証の一、二、官署作成部分の成立につき争いがなく、その余の部分につき弁論の全趣旨により真正に成立したものと認められる乙第四号証、原告作成部分の成立につき争いがなく、その余の部分につき証人井塚直人の証言(第二回)により真正に成立したものと認められる乙第五号証、証人井塚直人の証言(第一、二回)、原告本人尋問の結果(後記措信しない部分を除く)を総合すると、

(1)原告は、昭和三七年初頃より不動産周旋業者を通じて、自己所有の芦屋市平田町二九番一、山林二反八畝歩、但し実測七〇五坪(昭和三八年一月一七日分筆されて本件(一)及び(二)の物件となつたものであることは当事者間に争いがない)を売りに出していたところ、同年一二月頃井塚が不動産周旋業者の訴外万徳商事株式会社(芦屋市山平町一四七番地所在、代表取締役菅原吾一)の仲介により買受方を申入れ、そこで両者の間で折衝が行われ、一応実測面積に基づき坪当り金八万五、〇〇〇円の線で取引の話合いがすすめられるにいたつたこと

(2)その結果、昭和三七年一二月三〇日、原告は井塚に対して、前記山林及び原告所有の本件(三)の物件並びに訴外上野二郎所有の本件(四)の物件につき、これを合計代金六、〇〇〇万円、手附金一、二〇〇万円、所有権移転登記及び残金四、八〇〇万円の支払の日は昭和三八年一二月二〇日までと定め、但し(イ)、原告は直ちに前記山林を実測したうえ、西側三〇〇坪、東側四〇五坪に分筆する。(ロ)、昭和三八年一月末日までに井塚は金二、〇〇〇万円を支払い、西側三〇〇坪の所有権移転登記を受け、残金をもつて東側土地につき売買予約の仮登記をする。(ハ)、実測の結果七〇五坪より増減あるときは坪当り金八万五、〇〇〇円の割合で清算する。(ニ)、原告は前記山林に設定された抵当権、仮登記等を昭和三八年一月末日までに抹消する等を特約のうえ、売渡す旨約し、当日手附金として、井塚より日本勧業銀行大阪支店を支払人とする額面金三〇〇万円の小切手四通(額面合計金一、二〇〇万円)の交付を受け、その頃右金額を受領していること

(3)前記特約のうち(イ)については、当時原告は本件(三)の物件に居住していたので、他に移転先を見付けるための都合を考慮し、とりあえず右居住に支障のない前記山林のうち西側三〇〇坪を分筆のうえ井塚にその所有権移転登記手続をするとしたものであること

(4)その後井塚は、前記(ロ)の特約にしたがい、昭和三八年一月三一日に残金のうち金二、〇三八万一五〇円を原告に支払つて、すでに前記日時に分筆されていた本件(一)の物件及び本件(四)の物件につき、各所有権移転登記を了し、同じく分筆されていた本件(二)の物件及び本件(三)の物件につき、同日付売買予約を原因とする各所有権移転請求権保全仮登記を経由し、そして同年一二月二〇日に残金二、七六一万九、八五〇円を原告に支払い、本件(二)及び(三)の物件につき各所有権移転登記を了したこと

(5)ところで、原告と井塚との間においては、前記売買成立時に前記(2)と同内容の約定を記載した売買契約書が作成されたのであるが、その頃原告は脱税手段を講ずることを申入れ、これに対し井塚は一旦制止したものの原告が執拗に願うのでこれに同調するにいたり、そこで坪当り金六万円の単価としたうえ、二回に亘り譲渡が行われたものとして、(イ)原告が昭和三七年一二月三〇日井塚に対し本件(一)及び(四)の物件を代金一、七九一万五、四〇〇円、手附金五〇〇万円、所有権移転登記及び残金支払の日は昭和三八年一月三一日までと定めて売渡す旨の契約書(甲第四号証の一)、(ロ)原告が昭和三八年一月三一日井塚に対し本件(二)及び(三)の物件を代金二、四三八万八、二〇〇円、手附金七〇〇万円、所有権移転登記及び残金支払の日は同年一二月二〇日までと定めて売渡す旨の契約書(甲第四号証の二)をそれぞれ作成し、右経緯を糊塗するため前記真実の契約書を焼却したものであること、しかし井塚において後日のため焼却前の右契約の原本を写真に撮つており、これが乙第五号証であること

等の事実を認めることができ、右認定に反する原告本人尋問の結果部分はたやすく措信できず、ほかに右認定を左右するに足る証拠はない。

しかして叙上認定事実に徴すると、本件(一)ないし(三)の物件は昭和三七年一二月三〇日に原告から井塚に対し一括して譲渡されたものであることが明らかであり、したがつて本件(二)、(三)の物件の譲渡が本件(一)の物件の譲渡とは別個に昭和三八年に入つてから行われたものとする原告の主張は理由がない。

ところで、原告は本件(一)ないし(三)の物件の所有権を移転し、譲渡代金を受領したのは昭和三八年に入つてからであるから、右資産の譲渡があつたのは昭和三八年度とすべきである旨主張するけれども、本件(一)ないし(三)の物件の所有権移転時期の点はともかくとして、所得税法(昭和四〇年法律三三号改正前)第一〇条第一項によれば、譲渡所得における収入金額は「収入すべき金額」をいい、それは「収入する権利の確定した金額」をいうものと解されるところ(税務基本通達一―一九四)、本件についてこれをみると前叙認定事実に徴して原告は昭和三七年一二月三〇日井塚に対し本件(一)ないし(三)の物件の譲渡代金債権を確定的に取得したものと認められ、しかして右資産の譲渡があつたのは昭和三七年度であるといわなければならないから、原告の前記主張も理由がない。

そうすると、原告の昭和三七年分の譲渡所得につき、本件(一)ないし(三)の物件の譲渡代金を金五、八五〇万円(前記譲渡代金六、〇〇〇万円より訴外上野二郎所有の本件(四)の物件の譲渡代金分として金一五〇万円を差引いたもの)として、これを別表(二)のとおりの計算根基により譲渡所得を算定したうえ為されたことが、本件弁論の全趣旨により明らかである本件更正決定には、他の瑕疵事由の存在につき主張立証のない本件においては、違法の点は存しないものといわなければならない。

よつて、原告の本訴請求は、理由がないから、これを棄却することとし、訴訟資用の負担につき民事訴訟法第八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 山田常雄 裁判官 仲西二郎 裁判官 中山善房)

物件目録

(一) 芦屋市平田町二九番二

一、山林 一反一畝二五歩

(二) 同市同町二九番

一、山林 一反六畝五歩

(三) 同市同町二九番地上

家屋番号芦屋七三九番二

一、木造瓦葺二階建地下一階付居宅 一棟

床面積一階三三坪一八、二階一八坪五三

(四) 同市同町二九番地上

家屋番号芦屋七三九番三

一、木造瓦葺平家建居宅 一棟

床面積一八坪二七 以上

原告の主張

一、原告の昭和三七年度の所得税計算は次の通りである。

(一) 売却物件 芦屋市平田町二九番二

一、山林 一反一畝二五歩(実測坪数二九八坪五九)

契約年月日 昭和三七年一二月三〇日

譲渡価格 金 二三、八八〇、一五〇円

取引日 昭和三八年一月三一日

取得価格 金 七一六、六一六円

譲渡経費 金 七五七、六五〇円

譲渡所得額 金 二二、四〇五、八八四円

(二) 右の譲渡所得額の二分の一は所得税の申告から控除せられ、原告の昭和三七年度の譲渡所得申告額は金一一、一二七、九四二円である。

右の譲渡所得を加算した原告の昭和三七年度の所得税の計算は次の通りである。

所得金額合計金 金 一四、二三一、二五一円

所得から差引かれる金額の合計金 金 三〇二、二一六円

課税される所得金額 金 一三、九二九、〇〇〇円

税額 金 六、三〇八、九五〇円

税金から差引かれる金額 金 六九、〇一六円

差引所得税額 金 六、二三九、九三四円

源泉徴収額 金 二七四、九六三円

差引申告納税額 金 五、九六四、九七一円

予定納税額 金 三八五、六六〇円

第三期分の税額 金 五、五七九、三一一円

右のうち納付済額 金 三、五八三、二一一円

未納税額 金 一、九九六、一〇〇円

二、原告主張の昭和三八年度の所得税計算は次の通りである。

(一) 売却物件 芦屋市平田町二九番地

山林一反六畝五歩(実測坪四〇六坪四七)

右地上

一、木造瓦葺二階建地下一階附居宅

延坪 五一坪七一

契約年月日 昭和三八年一月三一日

譲渡価額 金 三四、五四九、九五〇円

取引日 昭和三八年一二月二〇日

取得価額 土地 金 九七五、五二八円

家屋 金一、二五〇、〇〇〇円

譲渡経費 金 一、〇三六、四〇〇円

(二) 買入物件 西宮市甲陽園日之出町四六番地

一、宅地 二六四坪

右地上

一、木造瓦葺二階建居宅

延坪 六四坪

取得年月日 昭和三八年一二月二〇日

取得価額 金 二〇、〇〇〇、〇〇〇円

取得経費 金 二三五、八六〇円

(買換申請ずみ措置法第三五条適用)

(三) 右(一)の譲渡価額金三四、五四九、九五〇円から右(二)の買入物件の取得価額、同取得経費の合計金二〇、二三五、八六〇円を差引いた金一四、三一四、〇九〇円から右(一)の取得価額と取得経費の合計金一、三五一、四二五円を差引いた金一二、九六二、六六五円が譲渡所得となり、昭和三八年度の譲度所得申告額は右の金員から二分の一を控除した金六、四八一、三三二円である。

右の譲渡所得を加算した原告の昭和三八年度の所得税の計算は次のとおりである。

所得金額合計金 金 七、九六九、三八二円

所得から差引かれる金額 金 三二一、五二六円

課税される所得金額 金 七、六四七、八〇〇円

税額 金 二、九七一、九〇〇円

税金から差引かれる金額 金 八、七〇七円

差引所得税額 金 二、九六三、一九三円

源泉徴収税額 金 六三、五〇三円

差引申告納税額 金 二、八九九、六九〇円

右のうち納付済額 金 七七二、三五〇円

三、原告主張の税額と被告の更正決定額。

(一) 原告の昭和三七年度分の課税される所得金額金一三、九二九、〇〇〇円、税額金六、三〇八、九五〇円、昭和三八年度分の課税される所得金額七、六四七、八〇〇円、税額金二、九七一、九〇〇円、この税額の合計は金九、二八〇、八五〇円である。

(二) 右に対する被告の更正決定額は、前記一、の(一)の物件売却及び前記二の、(一)の物件売却を昭和三七年度中の一括売却となし、前記二、の(二)買入物件の買入を否認し、かつ前記二、(一)の物件売却の申告を昭和三七年度分として申告しなかつたとして、昭和三七年度分の課税される所得金額金二九、六〇六、八〇〇円(前記一、の(一)、二、の(一)の売却物件の譲渡価額の合計額の約二分の一)税額金一五、四一九、五八〇円、過少申告加算税四五五、一五〇円合計金一五、八七四、七三〇円である。

(三) 右(一)(二)の税額の差額は、昭和三七年度分については、訴状請求の趣旨記載の通り増加する納付税額が金九、一〇三、一三〇円と過少申告加算税金四五五、一五〇円の合計金九、五五八、二八〇円となり、昭和三八年度分については、原告の譲渡所得申告額金六、四八一、三三二円に対する税額約金三、二四〇、〇〇〇円(五〇パーセント)が後日返還される。

右の昭和三七年度分の増加税額金九、五五八、二八〇円から昭和三八年度分の返還分金三、二四〇、〇〇〇円を差引くと約金六、三一八、二八〇円が被告の本件課税処分によつて原告が負担する金額となる。

(四) なお被告の本件課税処分によつて、原告の負担する昭和三七年度分及び昭和三八年度分の県民税、市民税等が差引約三二〇万円増徴となる。

別表一

<省略>

別表二

<省略>

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