神戸地方裁判所 昭和44年(行ウ)29号 判決 1974年7月17日
原告 鍵岡重明
被告 洲本税務署長
訴訟代理人 陶山博生 外五名
主文
一 本件訴を却下する。
二 訴訟費用は原告の負担とする。
事実
第一当事者の求めた裁判
一 請求の趣旨
1 被告が原告の昭和三七年分所得税について昭和四三年二月一九日付でなした再更正処分、および過少申告加算税、重加算税各賦課決定処分を取消す。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
二 請求の趣旨に対する答弁
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
第二当事者の主張<省略>
第三証拠<省略>
理由
一 原告が昭和三八年三月一五日、被告に対し昭和三七年分所得税として課税所得金額一、三八六、三〇〇〇円(不動産所得二九三、四三六円、給与所得一、二四〇、〇〇〇円、譲渡所得一五二、七三八円、雑所得一七八、〇〇〇円)、申告納税額一二六、六四〇円と確定申告したところ、被告が昭和三九年一〇月三一日付で課税所得金額四、三三七、四〇〇円、申告納税額一、二五〇、五八〇円と更正し、過少申告加算税五六、一五〇円の賦課決定(第一次処分)したこと、原告が第一次処分について被告に異議の申立てをしたところ(異議申立て日付が昭和三九年一一月二八日であることは、<証拠省略>により認められる。)、昭和四〇年三月二七日付で棄却され、さらに同年四月二七日、大阪国税局長に対し審査請求をしたところ、同年八月二五日課税所得金額四、二四八、五〇〇円、過少申告加算税五四、一五〇円とする旨の第一次処分一部取消し裁決がなされたこと(申告納税額が一、〇八三、九三〇円とされたことは、<証拠省略>により認められる。)、続いて被告が昭和四三年二月一九日付で課税所得金額五、〇九〇、〇〇〇円、申告納税額一、五八九、二〇〇円と更正し、過少申告加算税五四、一五〇円、重加算税一一三、四〇〇円の各賦課決定(第二次処分)をしたこと、原告が被告に対し第二次処分について異議の申立てをなしたところ(異議申立て日付が昭和四三年三月一七日であることは、<証拠省略>により認められる。)、昭和四三年六月一九日棄却され、さらに同年七月一八日、大阪国税局長に対し審査請求したところ、昭和四四年五月二一日棄却の裁決がなされ、同月二三日右裁決書謄本の送達を受けたことは当事者間に争いがない。
二 職権をもつて判断するに、本訴は被告の原告に対する第二次処分の取消しを求めるものであるから、原告の昭和四三年七月一八日、大阪国税局長に対する第二次処分審査請求について、昭和四四年五月二一日棄却の裁決がなされたことを原告が知つた日から起算して三箇月以内に本訴を提起しなければならないことは、行政事件訴訟法一四条一項、四項により明らかであり、この場合、期間は初日を算入すべきであると解せられる。しかして右裁決書謄本の原告に対する送達が同月二三日であることは当事者間に争いがなく、右事実により原告が右棄却の裁決を知つたのは同月二三日であつたことが推認されるから、本訴は遅くとも同年八月二二日までこれを提起すべきであるのに、本訴が同月二三日はじめて当裁判所に提起されたことは訴状に押捺された受付印によつて明白である。
三 よつて本訴は行政事件訴訟法所定の出訴期間を徒過した不適法な訴として却下を免れず、訴訟費用の負担について民事訴訟法八九条を適用して主文のとおり判決する。
(裁判官 松浦豊久 篠原勝美 則光春樹)
別紙目録及び別表<省略>