神戸地方裁判所 昭和45年(わ)230号・昭45年(わ)231号 判決
判決主文
被告人中津重太郎を懲役一〇月および罰金六〇〇万円に、被告人中津なつを懲役一年二月および罰金九〇〇万円にそれぞれ処する。
被告人らにおいて右各罰金を完納することができないときは、金二万円を一日に換算した期間当該被告人を労役場に留置する。
被告人両名に対し、いずれも本裁判確定の日から三年間右各懲役刑の執行を猶予する。
訴訟費用は、その二分の一ずつを各被告人の負担とする。
罪となるべき事実の要旨
第一、被告人中津重太郎は、神戸市生田区山本通一丁目一の九に居住し、同市兵庫区西上橋通二丁目一番地において、特殊浴場(個室付浴場)ニユートルコ「いろは」を経営するほか、ホテルの経営、建物の賃貸等をしているものであるが、
一、昭和四一年一月一日から同年一二月三一日までの間における総所得金額は五一、八七五、四一八円で、これに対する所得税額は二九、五三四、九〇〇円であるのにかかわらず、収入金額の一部を除外し、これを架空名義の預金にする等して所得の一部を秘匿するとともに、所得の一部を他人名義に分割して申告する等の不正の方法により、昭和四二年三月一二日、同市生田区中山手通三丁目二一番地神戸税務署において、同税務署長に対し、金斗竜名義を用いて中津なつと共同経営にかかるホテル白浜分の所得金額を二、〇六二、五〇〇円、これに対する所得税額は三二一、四二〇円(但し、被告人負担分は四九、九〇〇円)である旨の虚偽の確定申告書を提出し、更に、同月一五日、同市兵庫区水木通二丁目五番地兵庫税務署において、同税務署長に対し、自己の所得金額は四、六九〇、〇七三円で、これに対する所得税額は一、〇三九、五四〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もって、不正の行為により正当税額と申告税額との差額二八、四四五、四〇〇円をほ脱し、
二、昭和四二年一月一日から同年一二月三一日までの間における総所得金額は三六、一八七、七六二円で、これに対する所得税額は一八、七九五、三〇〇円であるのにかかわらず、前同様の不正の方法により、昭和四三年三月一五日、前記兵庫税務署において、同税務署長に対し、自己の所得金額は五、七九二、一二二円で、これに対する所得税額は一、三〇一、八〇〇円、大西スミ子名義の所得金額が五八七、六〇〇円で、これに対する所得税額は四九、五〇〇円(但し、被告人負担分は四六、四〇〇円)である旨の各名義の虚偽の確定申告書を提出し、もって、不正の行為により正当税額と申告税額との差額一七、四四七、一〇〇円をほ脱し、
三、昭和四三年一月一日から同年一二年三一日までの間における総所得金額は三三、四一一、三四五円で、これに対する所得税額は一七、〇五二、〇〇〇円であるのにかかわらず、前同様の不正の方法により昭和四四年三月一三日および同月一五日の二回にわたり、前記兵庫税務署において、同税務署長に対し、大西スミ子名義の所得金額は五四七、六〇〇円で、これに対する所得税額四二、八〇〇円、自己の所得金額は五、六二六、九七四円で、これに対する所得税額は一、二九九、六〇〇円である旨の各名義の虚偽の確定申告書を提出し、更に、同月一五日、前記神戸税務署において、同税務署長に対し、自己の妻中津須成子名義で、所得金額は一、七九四、〇八〇円で、これに対する所得税額は二四五、二〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もって、不正の行為により正当税額と申告税額との差額一五、四六四、四〇〇円をほ脱し、
第二、被告人中津なつは、神戸市兵庫区西上橋通二丁目六番地において、特殊浴場(個室付浴場)本家玉家を、同所二丁目八番地において、特殊浴場(個室付浴場)新神戸を、同市生田区下山手通三丁目三六番地において、旅館業ホテル白浜(昭和四一年八月一五日までは中津重太郎と共同経営)を、同区中山手通二丁目八番地において、旅館業ホテルリーベを各経営しているものであるが、
一、昭和四一年一月一日から同年一二月三一日までの間における実業所得金額は五三、二七五、九三八円で、これに対する所得税額は三〇、七一〇、三〇〇円であったのにかかわらず、収入金額の一部を除外し、これを架空名義の預金として所得を秘匿するとともに、各事業にかかる所得の一部を他人名義に分割して申告する等の不正の方法により、自己および従業員等の名義を用いて昭和四二年三月一五日、同市兵庫区水木通二丁目五番地兵庫税務署において、同税務署長に対し、自己の所得金額は二、六六〇、〇一〇円で、これに対する所得税額は四四三、一九〇円(但し、右所得に対する正当税額は四四九、五二〇円)、川上静子の所得金額は二、一六〇、〇八〇円で、これに対する所得税額は三一七、一三〇円である旨の各名義(自己の所得については長男中津孝名義を使用)の虚偽の確定申告書を提出し、かつ、同月一二日、同市生田区中山手通三丁目二一番地神戸税務署において、同税務署長に対し、金斗竜の所得金額は二、〇六二、五〇〇円でこれに対する所得税額は三二一、四二〇円である旨の同人名義の虚偽の確定申告書をそれぞれ提出し、もって偽りその他不正の行為により正当税額と申告税額(金斗竜名義の申告中被告人の負担すべき税額は二七一、五二〇円)合計一、〇三八、一七〇円との差額二九、六七二、一〇〇円をほ脱し、
二、同四二年一月一日から同年一二月三一日までの間における実際所得金額は六四、〇八一、二九六円で、これに対する所得税額は三八、三四三、三〇〇円であったのにかかわらず、前同様の不正の方法により、昭和四三年三月一五日、前記兵庫税務署において、同税務署長に対し、自己の所得金額は五、五六二、八〇〇円で、これに対する所得税額は一、六一一、一〇〇円、中津幸子の所得金額は一、〇五三、一五〇円で、これに対する所得税額は七五、〇〇〇円である旨の各名義の虚偽の確定申告書を提出し、もって偽りその他不正の行為により正当税額と申告税額合計一、六八六、一〇〇円との差額三六、六五七、二〇〇円をほ脱し、
三、同四三年一月一日から同年一二月三一日までの間における実際所得金額は六六、一三六、〇七七円で、これに対する所得税額は三九、八一四、五〇〇円であったのにかかわらず、前同様の不正の方法により、昭和四四年三月一五日、前記兵庫税務署において、同税務署長に対し、自己の所得金額は五、八三六、一六〇円で、これに対する所得税額は一、七一一、五〇〇円、中津幸子の所得金額は一、二四九、八〇〇円で、これに対する所得税額は一〇九、三〇〇円である旨の各名義の虚偽の確定申告書を提出し、もって偽りその他の行為により正当税額と申告税額合計一、八二〇、八〇〇円との差額三七、九九三、七〇〇円をほ脱し
たものである。
適用した法令
判示各所為につき、所得税法二三八条(懲役と罰金を併科)。
懲役刑の併合罪加重につき、刑法四七条本文、一〇条(いずれも最も犯情の重い被告人中津重太郎につき判示第一の罪、被告人中津なつにつき判示第三の罪)。
罰金額の合算につき、同法四八条二項。
労役場留置につき、同法一八条。
懲役刑の執行猶予につき、同法二五条一項。
訴訟費用につき、刑事訴訟法一八一条一項本文。
(裁判長裁判官 山下鉄雄 裁判官 大須賀欣一 裁判官 林豊)