神戸地方裁判所 昭和48年(わ)231号 判決 1973年9月12日
本籍
中国山東省蓬莱県第八区泊子村
住居
神戸市生田区北野町三丁目九一-一
中華料理店業
梁信昌
一九〇一年八月三日生
右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は検察官中尾勇出席の上審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人を懲役一年六月および罰金三〇〇〇万円に処する。
右罰金を完納しないときは、金一〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
本裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は、大阪市北区曾根崎上四丁目二〇番地において、中華料理店「北京」、神戸市生田区下山手通二丁目二一番地において、中華料理店「神仙閣」、を経営しているもの(北京店は昭和四六年四月二八日以降大都株式会社が経営)であるが、所得税を免れようと企て、宋賢功ほか八名と共謀のうえ、
第一、昭和四四年分の実際所得金額は一六三、五七三、四〇六円、これに対する所得税額は一〇二、二八一、六〇〇円であるのにかかわらず、売上の一部を除外し、これによって得た資金で仮名の普通預金等を設定するなどのほか、「北京」の営業は、宋賢功ほか四名との共同事業で被告人の利益分配率は六分の一であり、「神仙閣」の営業は、揚玉蘭ほか四名の共同事業で被告人には関係がない旨それぞれ仮装して、その所得の一部を秘匿したうえ、同四五年三月一四日、所轄北税務署において、同署長に対し、所得金額が二一、三二四、五〇九円、これに対する所得税額が二、九七四、一〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により所得税九九、三〇七、五〇〇円を免れ、
第二、同四五年分の実際所得金額は二一四、五一六、九九六円、これに対する所得税額は一一二、六二五、二〇〇円であるにもかかわらず、前同様の不正の手段を弄したほか架空仕入れを計上してその所得の一部を秘匿したうえ、同四六年三月一五日、同税務署において、同署長に対し、所得金額が六一、八〇三、三二七円、これに対する所得税額が六、九六七、〇〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により所得税一〇五、六五八、二〇〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目)
検察官請求証拠目録1ないし265のとおり
(法令の適用)
一 該当法案 第一および第二、所得税法二三八条、一二〇条一項三号、刑法六〇条
二 併合加重 刑法四五条前段、懲役刑について、同法四七条本文、一〇条(犯情の重い第二の罪の刑に法定の加重をなす。)罰金刑について、同法四八条二項
三 換刑処分 刑法一八条
四 執行猶予 懲役刑について、刑法二五条一項
よって主文のとおり判決する。
(裁判官 上野智)
右謄本なり
即日於同庁
裁判所書記官 土居旦空