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神戸地方裁判所 昭和49年(ワ)175号 判決 1974年6月28日

神戸市北区八多町下小名田六二九番地

原告

森武一

同市兵庫区水木通一丁目

被告

兵庫税務署

右代表者署長

嵯峨時重

右指定代理人検事

岡準三

右同法務事務官

金原義憲

右同大蔵事務官

岡崎成胤

右同

黒川曻

右同

丸明義

主文

本件訴を却下する。

訴訟費用は原告の負担とする。

事実

第一当事者の求めた裁判

一、原告

1  被告は原告に対し金四八万三、五〇〇円およびこれに対する昭和四九年四月一日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

2  訴訟費用は被告の負担とする。

二、被告

主文同旨の判決

第二当事者の主張

1  請求の原因

別紙請求の原因記載のとおり。

2  被告の本案前の主張

原告の訴えは、不当利得返還請求もしくは損害賠償請求と考えられるので、兵庫税務署を被告とする本件訴は被告適格を欠き、不適法なものとして却下さるべきである。

理由

本件訴状中の当事者の表示、請求の趣旨および請求原因等の記載を客観的に考察すれば、原告は、兵庫税務署を被告として損害賠償請求をしていることが明らかである。ところで、国に納付した税金に関する損害賠償やその返還を求める訴については、国を被告とすべく、税務署は被告適格を欠くものである。

なぜならば、税務署は国の機関に過ぎず、国の機関は実体法上権利能力を有しないからである。したがつて、兵庫税務署を被告とする本件訴は不適法として却下を免れない。

よつて訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八九条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 広岡保)

請求の原因

被告は原告に対して昭和四七年分の所得税の申告にあたりて原告は所得の申告は一切八多農協の指導に従つて納税の義務を果した旨の趣意書を提出して延滞利息金一一万四〇〇〇円也及び加算税金三六万九五〇〇円也を返却して載く様懇願したが却へつて被告は八多農協と慣れ合つて八多農協は兵庫税務署の出先機関でないとの逃げ口上に代へ更らに八多農協は其の責任上前記の趣意を回避して何等原告の如き組合員に対して所得税の申告の一切の指導をなした事実がなかつたかの如き支持をふり代えさして迄して原告の所得税の申告の実体を全面的に不利な立場に追いこませて迄して被告の有利な立場に置き換えた幾多の証拠が見られるが故に原告は被告に対して損害賠償の請求に及びたる次第である。仍ち原告は昭和四七年分の所得税の申告は昭和四五年度に於いて原告が八多農協の指導の下に於いて申告を済ませたとの考へ同様の所得税の申告が実際の事実であつて何等の偽はりでもなければ昭和四七年度の所得の申告も昭和四五年度の所得の申告と全く同様であるとの見解を以つて対処したのが当然の事であると主張しても比の前例を無視して無理無体に八多農協の体面を支持して原告の主張を全面的に落し入れたるを以つて原告としては実に残念至極であるを以つて本訴を以つて損害賠償の請求に代へたる次第である。

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