神戸地方裁判所 昭和52年(ワ)587号 判決
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【判旨】
二<証拠>によると、
1 原告は昭和五一年一二月一六日午後八時過ぎころ、原告の実父の経営するスーパーマーケットの手伝いを終えて自転車で帰路につき、本件事故現場の北方約二〇メートル付近に存する南北道路を北進して来て本件道路に進入し、本件道路を横断して右折し、本件道路左側端に沿つて東進を開始したこと、
2 原告は、本件道路を横断する際、本件道路の西方から車両が接近しつつあることをその前照灯により認識していたが、右折後約一三メートル進行した地点で後方をふり返り、右車両が大型トラックで既に後方一五ないし一六メートルに接近して来ているのを知り、危険を感じ、本件道路前方約八メートルの路肩の左側に草が繁茂している状態が見えたため、本件溜池が草の繁茂する空地と思い込み、同地に進入して避難しようと考え、自転車の速度を増して本件事故現場に至りハンドルを左に切つたため、本件溜池に転落したこと。
が認められ、右認定に反する証拠はない。
三<証拠>によると、
1 本件道路は、本件事故現場付近において幅員が6.58メートル存するが、両側端に各約五〇センチメートル幅の路側帯が設けられているため、車道幅員は5.66メートルしかなく、これが、センターラインにより二車線に区分されているのであるから、車輻2.5メートルに近い大型トラックが制限速度である時速四〇キロメートルのスピードで直近を通過していく場合を想像すると、路側帯を通行することが予定されている歩行者及び自転車搭乗者にとつては、かなりの不安感、危機感を覚え、特に自転車搭乗者にとつてこれが大であると予測されること、また路側帯が、車道部分と同一平面をなす幅約二〇センチメートルのアスファルト部分と路肩部分としての幅約三〇センチメートルのコンクリート部分とから成つているため、その間に微妙な段差があり、後方からの車両の接近を控えた自転車搭乗者としては、自動車のハンドル部分の長さを考えると、右約三〇センチメートル幅の路肩部分に両車輪を乗せた状態で進行せざるを得ず、原告が大型トラックの接近を知つた地点での路肩の外側はそのまま側溝になつているから、その場に停止して車両をやりすごすことは極めて困難であること、
2 本件溜池は、本件道路に沿つて約七メートルにわたつて存在し、前記コンクリートの路肩からわずか五〇センチメートル程の比較的平坦なのり面を経てそのまますぐ溜池底部に落ち込んでいるもので、その深さは二メートル位に及んでいること、
3 本件道路沿いの家並みは、住宅が建て込んでいるといつた状態ではなく、ブロック塀を構えた住宅や、車両の出入を予定した工場や店舗も存在し、空地も存していたうえ、右の比較的平坦なのり面部分には、本件事故当時一面に枯草が繁茂し、その一部はコンクリート製の路肩部分の一部をおおうようにはみ出して来ており、原告が大型トラックの接近を知つた地点から見る限り、その直前のブロック塀によつて溜池部分の奥行の視野を妨げられるから、原告が前記のとおりうしろをふり返つた地点で、とつさに本件溜池部分を草の繁茂した空地であると判断したことには無理からぬものがあること、
が認められ、右認定に反する証拠はない。
以上認定の事実によれば、本件事故現場直近部分の本件道路は、その路側帯を通行することが予定されている自転車にとつて、車道部分を通過する自動車との関係で、本件溜池への転落の危険を内包していたというべきであるから、右道路部分は通常有すべき安全性を欠くものと評価せざるを得ない。しかも、右の危険性は、右路肩部分に、防護柵やフェンスを設置することにより、容易にこれを除去し得たものである。
(森脇勝)