神戸地方裁判所 昭和53年(わ)963号 判決 1978年12月25日
本店の所在地
兵庫県尼崎市塚口町四丁目二六番地の七
法人の名称
市隆建設株式会社
代表者の氏名
森本顕壽
本籍
大阪市北区梅田一丁目四番地
住居
兵庫県尼崎市武庫之荘西二丁目四一番一八号
会社役員
森本顕壽
昭和九年一二月一五日生
右両名に対する法人税法違反各被告事件について、当裁判所は検察官松尾司出席のうえ審理して次のとおり判決する。
主文
被告人市隆建設株式会社を罰金二、〇〇〇万円に、被告人森本顕壽を懲役一〇月に各処する。
被告人森本顕壽に対しこの裁判の確定した日から三年間右刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人市隆建設株式会社は、兵庫県尼崎市塚口町四丁目二六番地の七に本店を置き、建売業及び不動産賃貸業等を営むもの、被告人森本顕壽は、同社の代表取締役として業務全般を統轄しているものであるが、被告人森本顕壽は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て
第一 昭和四九年八月一日から同五〇年七月三一日までの事業年度における実際の所得金額は一億四、八四九万六、七七三円、これに対する法人税額は土地譲渡の特別税率による税額を含め七、四四〇万七、三〇〇円であるにもかかわらず、公表経理上、たな卸土地及び未成工事支出金を過少に評価して売上原価を過大に計上するほか、売上金額の一部を除外するなどの不正の方法によつて所得を秘匿したうえ、同五〇年九月三〇日、同市西難波町一丁目八番一号所在の尼崎税務署において、同署長に対し、所得金額が四〇万四、四四六円、これに対する法人税額が土地譲渡の特別税率による税額を含めて四三〇万七、六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により同事業年度の法人税七、〇〇九万九、七〇〇円を免れ
第二 同五〇年八月一日から同五一年七月三一日までの事業年度における実際の所得金額は一億九、七四四万四、五二二円、これに対する法人税額は土地譲渡の特別税率による税額を含め九、七七〇万七、七〇〇円であるにもかかわらず、前同様の不正手段を講じたうえ、同五一年九月二九日、同税務署において、同署長に対し、所得金額が一億三、五七七万四、八三一円、これに対する法人税額が土地譲渡の特別税率による税額を含めて五、六一六万七、一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により同事業年度の法人税四、一五四万六〇〇円を免れ
第三 同五一年八月一日から同五二年七月三一日までの事業年度における実際の所得金額は二億一、四二八万五八四円、これに対する法人税額は土地譲渡の特別税率による税額を含め、九、六六九万七、二〇〇円であるにもかかわらず、前同様の不正手段を講じたうえ、同五二年九月二九日、同税務署において、同署長に対し、所得金額が一億九、二四〇万八〇三円、これに対する法人税額が土地譲渡の特別税率による税額を含めて七、二七二万一、一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により同事業年度の法人税二、三九七万六、一〇〇円を免れ
たものである。
(証拠)
判示事実全部につき
一、被告人の大蔵事務官に対する昭和五三年二月二三日付、同年三月二日付、同月一三日付、同月二三日付、同年五月三一日付、同年六月三日付、同月二八日付(検甲四七号)各質問てん末書及び検察官に対する同年九月一九日付、同月二一日付、同月二二日付(二通)に対する各供述調書
一、被告人作成の同年四月六日付、同月二八日付(二通、検甲一八号、一九号)、同年六月二八日付(検甲二四号)、同年四月二八日付(検甲二九号)、同年六月一五日付各確認書
一、大蔵事務官作成の同年三月二二日付(検甲三三号)、同年四月二八日付(検甲四七号)、同年六月一五日付、同月二八日付、同年三月三日付、同年四月二四日付、同月二七日付(検甲六一号)、同年六月二三日付各査察官調査書
一、福地親孝の大蔵事務官に対する同年二月一四日付質問てん末書
一、森本良子の大蔵事務官に対する質問てん末書
一、商業登記簿謄本
判示第二及び第三の事実につき
一、大蔵事務官作成の同年六月一日付(検甲四九号)、同年三月二日付、同年四月二〇日付各査察官調査書
一、福地親孝の大蔵事務官に対する同年二月二一日付質問てん末書
一、建部好治の大蔵事務官に対する同年四月二一日付質問てん末書
判示第一及び第三の事実につき
一、被告人の大蔵事務官に対する同月二七日付、同年六月一五日付各質問てん末書
一、被告人作成の同年四月二八日付確認書(検甲二〇号)
一、大蔵事務官作成の同年六月一日付査察官調査書(検甲六五号)
一、福地親孝の大蔵事務官に対する同年三月一日付質問てん末書
判示第一事実につき
一、被告人作成の同年六月二八日付確認書(検甲二六号)
一、法人税確定申告書謄本(検甲四号)
一、大蔵事務官作成の同月二〇日付脱税額計算書(検甲七号)
一、大蔵事務官作成の同年三月二三日付、同年六月三日付(検甲五〇号)、同年三月一三日付各査察官調査書
判示第二事実につき
一、被告人作成の同年五月一日付確認書
一、法人税確定申告書謄本(検甲八号)
一、大蔵事務官作成の同月二〇日付脱税額計算書(検甲九号)
一、大蔵事務官作成の同年四月二八日付査察官調査書(検甲六四号)
判示第三事実につき
一、被告人作成の同年同月二七日付確認書四通(検甲一四号、一五号、一六号、一七号)
一、法人税確定申告書謄本(検甲一一号)
一、大蔵事務官作成の同月二〇日付脱税額計算書(検甲一二号)
一、大蔵事務官作成の同年三月二二日付(二通、検甲三一号、三二号)、同年四月二七日付(検甲六〇号)各査察官調査書
(法令)
一、被告人市隆建設株式会社につき
判示第一ないし第三の所為 各法人税法一六四条一項、一五九条一項、二項
刑法四五条前段、四八条二項
二、被告人森本顕寿につき
判示第一ないし第三の所為 各法人税法一五九条一項、二項(各懲役刑選択)
刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(判示第一の罪の刑に加重)、二五条一項
(裁判官 小河巌)