神戸地方裁判所 昭和56年(わ)149号 判決 1981年7月14日
本籍
兵庫県加古川市別府町西脇二丁目二五二番地
住居
姫路市菅生台一九五番地
会社役員
近藤良三
昭和一四年四月二日生
右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は検察官東巖出席のうえ審理して次のとおり判決する。
主文
被告人を懲役一年六月及び罰金一、二〇〇万円に処する。
被告人において右罰金を完納することができないときには金二万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
この裁判の確定した日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は、兵庫県姫路市菅生台一九五番地において、近藤商店の名称で製鋼副原料の販売業を営んでいるものであるが、自己の所得税を免れようと企て
第一 昭和五二年分の実際の総所得金額が、三、二五九万六、五五六円で、これに対する所得税額が一、三四五万四、五〇〇円であるのにかかわらず、収支に関する記帳を行わず、右所得の一部を仮名及び無記名の定期預金等として秘匿した上、昭和五三年三月一五日、姫路市北条字中道二五〇番地所在の姫路税務署において、同税務署長に対し、昭和五二年分の総所得金額が、五二二万二、七〇二円で、これに対する所得税額が、五八万九、〇〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、同年分の所得税一、二八六万五、五〇〇円を免れ
第二 昭和五三年分の実際の総所得金額が、七、二五九万五、二九四円で、これに対する所得税額が、三、九三八万六、六〇〇円であるのにかかわらず、前同様の不正行為により、右所得の一部を秘匿した上、昭和五四年三月一五日、前記姫路税務署において、同税務署長に対し、昭和五三年分の総所得金額が、七七三万二、一二〇円で、これに対する所得税額が、一二二万二、八〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、同年分の所得税三、八一六万三、八〇〇円を免れ
第三 昭和五四年分の実際の総所得金額が、九、六九七万一、六三五円で、これに対する所得税額が、五、七一九万七、三〇〇円であるにもかかわらず、前同様の不正行為により、右所得の一部を秘匿した上、昭和五五年三月四日、前記姫路税務署において、同税務署長に対し、昭和五四年分の総所得金額が、九八五万七、八〇〇円で、これに対する所得税額が、一九〇万九、九〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、同年分の所得税五、五二八万七、四〇〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目)
判示全事実
一、被告人の当公判廷における供述
一、被告人の検察官および大蔵事務官に対する各供述調書
判示第一事実
一、大蔵事務官作成の脱税額計算書(検甲2号)
一、大蔵事務官作成の証明書(検甲5号)
判示第二事実
一、大蔵事務官作成の脱税額計算書(検甲3号)
一、大蔵事務官作成の証明書(検甲6号)
判示第三事実
一、大蔵事務官作成の脱税額計算書(検甲4,号)
一、大蔵事務官作成の証明書(検甲7号)
(法令の適用)
判示第一乃至第三の各所為につき、いずれも所得税法二三九条一項(懲役刑と罰金刑併科)
併合罪につき、刑法四五条前段、四七条本文、一〇条、四八条二項
労役場留置につき、刑法一八条
懲役刑の執行猶予につき、刑法二五条一項
(裁判官 高橋通延)