大判例

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神戸地方裁判所伊丹支部 昭和42年(タ)2号・昭42年(タ)3号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕一、(婚姻費用分担請求権に基づく損害賠償)

原告は、被告との婚姻中、実家に帰されていた昭和四〇年七月一五日から昭和四二年二月一四日までの別居期間における原告の生活費を、月額一五、〇〇〇円の割合により、損害賠償として被告に請求している。

けれども、右請求は、民法七六〇条に規定する婚姻費用の分担請求権を前提として、その不履行に基づく損害の賠償を求めているものと解されるところ、婚姻費用の分担額は、当事者の協議ないし家庭裁判所の審判によつてのみ決定されるべきものであるから、たとえ過去の婚姻費用であつても、右分担額が決められていないかぎり、通常裁判所が判決手続によつて右分担額の存否ないし範囲を判定し、これを前提とする不履行に基づく損害賠償請求権の存否につき審判することはできないものと解すべく、右協議ないし審判により分担額が決められた点につき、主張および立証のない本訴請求は、その余の争点について審理するまでもなく失当であるから、棄却すべきである。

二、(離婚後再婚禁止期間の生活費負担に基づく損害賠償)

原告は、本件離婚判決確定後六ケ月間のいわゆる再婚禁止期間における原告の生活費を損害賠償として請求している。

けれども、人は婚姻するしないにかかわらず、生活費の負担を免れないものであつて、離婚した婦女といえども、育児、出産、病弱などの理由により稼働して生活費を得ることができないなど特段の事情がないかぎり、自己の生活費の負担能力を有するのが通常であるから、離婚婦女が再婚しなければ生活費を捻出することができないとは言えず、従つて右特段の事情のないかぎり再婚禁止期間中における生活費相当額の負担をもつて、離婚に起因して必然的に発生する損害と断ずることはできない。

本件についてこれをみるに、右特段の事情も認められないのみならず、原告本人の供述によれば、原告はすでに昭和四一年一一月ごろ就職して自活の道を歩んでいることが認められるから、離婚後の生活に窮することがあるとに思われず、結局右損害の発生につき立証がないことに帰し、右請求は失当として棄却を免れない。

三、(保管衣類の盗難に基づく損害賠償)

原告は、原被告が別居中、被告保管の原告所有衣類が紛失したとして、被告に対し損害の賠償を求めている。

原告本人の供述によれば、原告が被告と別居中被告宅に盗難(盗難事件の発生した事実は、当事者間に争いがない)があり、その直後原告が調べたところ、タンスの鍵がこわされており、原告主張のとうり衣類(価格三五、八〇〇円相当)が紛失していたことが認められ、これに反する被告本人の供述は採用できない。

被告は、原告の同居を拒否し、原告の保管を不能にしていたものであるから、自ら紛失しないように保管すべき義務があるものというべく、これが不履行により返還不能となつたのであるから、よつて原告に生じた損害を賠償すべき責任がある(なお、本請求も、訴の原因たる事実すなわち同居拒否に因りて生じた損害賠償請求と解すべきであるから、(離婚請求と)併合禁止にふれないものと考える。) (安田実)

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