神戸地方裁判所尼崎支部 昭和51年(ワ)483号 判決
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【判旨】
被告文治が本件各講の講会に出席したとの証拠はなく、原告本人尋問の結果によると、むしろ同被告は本件各講の講会に一度も出席したことがなく、被告美津江のみが終始出席したことが認められ、被告文治が本件各講に加入したとする直接的な証拠はない。
しかし、頼母子講は大なり小なり組合的性格を有するものであることに鑑みるとき、比較的高額の掛金を有する頼母子講に妻のみが出席して入会を申込んだ場合においても、同人には収入がなく、夫名義の不動産収益および夫の給料のみが同夫婦の収入源であるときは、特別の事情がないかぎり、右妻の入会申込みには夫婦が一体となつて掛金および掛戻金を支払う旨、したがつて夫も共同して入会する旨の意思表示を含み、この夫婦としての信頼に基づき講主がその加入を承諾するものと解するのが、当事者の意思に合致するものと思料する。
本件の場合、本件各講は一口五万円、三万円、二万円と高額であり、しかも被告美津江は合せて七口も加入しており、加入時期は昭和四九年三月((A)一〇日講)、同年九月((B)一〇日講)、同五〇年四月(一八日講)とずれているが、同年四月以降は一回の掛金合計が二五万円にもなるものであること前示のとおりであるところ、被告ら夫婦の収入は被告文治名義の不動産(賃貸店舗)収益と同人の給料のみであつて、本件各講の掛金、掛戻金は右収入から支払われてきたものであり、他方原告は被告ら夫婦を信頼して加入を認めたことからすると、被告美津江は被告文治と共同して掛金をなす旨、したがつて共同して本件各講に入会する申込みをなしたものというべきである。そして、被告文治は、前記貸店舗の改装費、子併の結婚費、家計費その他一切の出費のやりくりを全て被告美津江に任しており、同被告が頼母子講(本件各講以外の講であるが)に出席するについては同被告を自家用者で送り、高額の本件各講の落札金の使途についても同被告に尋ねることなく一切任していることなどから解すると、被告文治は被告美津江の前示本件各講への入会申込みを承認または追認していたものと認めるべきであり、これを不当とする特別事情は認められない。
そうすると、被告文治は被告美津江と共同して本件各講に加入したものというべきであるから、前項判示の被告美津江の支払債務を同被告と不可分に負うものというべきである。
(中田耕三)