大判例

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神戸家庭裁判所 平成3年(少)2975号

主文

少年を中等少年院に送致する。

理由

(非行事実)

少年は、平成3年5月18日、言葉巧みに誘いかけて少年らの乗車する普通乗用自動車に同乗させていたA子(当時18歳)及びB子(当時17歳)の両名を強いて強姦しようと企て、C、D、E、F、G及びHと共謀の上、同日午前4時ころ、同女らを伴って普通乗用自動車3台に分乗して神戸市○○区○○町×丁目地先の○○運輸株式会社資材置場に赴き、同所において、Cが、「ここまで来たら分かっとるやろ。ガタガタやかましいわい。」などと申し向けるなどして同女らを脅迫し、その反抗を抑圧した上、同日午前4時30分ころ、同区○○町×番×所在の神戸市○○下水処理場に同女らを連行し、同女らが畏怖していることに乗じて右A子を同所に設置された無人の現場事務所に連れ込み、同時刻ころ、同所において、同女の衣類を剥ぎ取って全裸にした上、C、F、少年、Eらが順次同女を強いて姦淫し、次いで、同所空地内に駐車中の上記自動車内において、D、E、及びCらが、上記B子に対し、順次口淫をさせるなどし、もって同女にわいせつの行為をしたのである。

(法令の適用)

強姦の点につき刑法60条、177条前段、強制わいせつの点につき同法60条、176条前段

(処遇の理由)

本件は、少年が年長の共犯者6名と共に、深夜の繁華街で未成年の女性2名を言葉巧みに誘いかけ、半ば強引に自分らが乗車する自動車に乗り込ませた上、人気のない現場事務所に連れ込み、1名を輪姦し、両名に対して口淫を強要などしたもので、女性の人格を全く無視し、己の欲望の赴くままに被害者を毒牙にかけたものであって、その態様は悪質窮まりないというほかはなく、歳若くしてこのような凶行に身を晒さざるをえなかった被害者2名の恐怖、戦慄は察するにあまりあるものがある。

少年は、他の共犯者6名(内3名は20歳、他の3名は19歳)よりも年少であり、グループの中では従属的立場であったこと、本件においても、当初から輪姦を企図して被害者らに声をかけたわけではなことは認められるものの、途中から共犯者が被害者の強姦を企図していることを察しながら、自身の劣情を満たすため安易にかつ積極的に犯行に加担し、自らも他の共犯者と順番を決めた上、被害者1名に対して、口淫を強要し、姦淫行為に及んでいることからすれば、少年の本件における役割、責任は他の共犯者に比して何ら劣後するものではなく、何のためらいもなく本件のごとき凶行を敢行し得た少年の要保護性、問題性が極めて重大かつ深刻であることもまた多言を要しない。

少年の資質、環境等は、家庭裁判所調査官○○作成の少年調査票のとおりである。

少年の問題点は、このような凶悪な犯罪を躊躇なく敢行する規範意識、性的モラルの欠如のほか、刺激を求めて年長者との不良交友を深めたり、集団に安易に流されやすい行動傾向や考えの甘さ、最近の夜遊び等に見られる生活の崩れなどを指摘することができる。そして、自らも既に高校生であり、かつ、被害者と同年配の姉を持ちながら、被害者の心情を全く理解することなく本件のごとき凶悪な犯罪をいとも簡単に敢行し得た少年の問題性の根深さに鑑みると(家庭的にも特段の問題は認められず、過去にそれほど大きな非行性を有していたわけではない少年が、さほどのためらいもなく本件のごとき凶悪な非行を行ない得たことに、却って少年の内面の問題の深刻さが窺われる。また、被害者が深夜の繁華街を徘徊していた少女達であり、姦淫行為の最中にも悲鳴をあげ、泣き時ぶなどしなかったため、少年の抵抗感が撲殺されたとの指摘もあるが、もしそうとすれば、それこそが少年の社会性、他者への共感性の不足を如実に示すものであって、少年の要保護性が小さいことの根拠にならないことも論を俟たないところである。)、その非行傾向を改善し、健全な社会人として少年を立ち直らせるためには、施設に収容して不良交友から強制的に隔絶させるとともに、一定の期間にわたる規律正しい生活と指導の専門家による熱心な働きかけにより事件の重大性と自らの問題点を十分に反省自覚させ、規範意識、性的モラルや社会性を身につけさせることが不可欠である。

よって、少年法24条1項3号、少年審判規則37条1項を適用して少年を中等少年院へ送致することとし、主文のとおり決定する。(なお、少年の問題点、特に本件においてはこの際少年に事件の重大性を十分に認識させ、内省を深めさせることが処遇上の最重要課題であることは調査官の少年調査票に指摘するとおりであり、右課題を十分に達成し、少年の非行傾向、問題点を完全に矯正するためには、上述の問題性から見て相当の期間を必要とし、短期間の処遇によっては右処遇目標の達成が不十分に終るおそれがあると認められ、そうなれば将来に向けての少年の健全育成の見地からみて却って不幸な結果となること、更には事案の重大性や他の共犯者との処遇の均衡などから、本件は到底短期処遇の動告を付すべき事案とは認められないので、念のため付言しておく。)

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