神戸家庭裁判所 昭和27年(家イ)125号 調停
一、相手方は申立人に対し申立人主張の不貞行為のあることを認めること。
二、上記不貞行為に基き申立人と相手方とは本日調停離婚をする。
上記の調書は前同所に於て通事を通じて関係人に読聞かせたところ之を承諾した。
申立の趣旨
申立人と相手方とを離婚する。
事件の実情
一、申立人は一九四六年(昭和二一年)八月○○日オランダ国○○○○○○市に於て相手方と結婚し同日相手方の妻として正式に入籍手続を済ませ爾来今日迄夫婦として同棲し一九五〇年(昭和二五年)七月○日夫婦で日本に渡来して来た。
二、相手方は神戸市○○区○○○番地○○○○○ビル内○○○○○○○○会社の支配人として勤務しているから夫として妻たる申立人に忠実ではなく最近では事務所の退庁後真直ぐ自宅に帰らず申立人にその行動を秘して無断で他に遊びに行き深夜帰宅することが度重なる様になつたし又申立人の事前の承認も得ないで秘密の場所に外泊することもあつた。
三、申立人は最近申立人に対して急に冷淡な態度と秘密の外出行動を採る様になつた相手方の挙動を怪んで之を詰問したところ、相手方はその不貞行為を告白したし又申立人に対する夫としての愛情も既に冷めてしまつていることを認めたので申立人としても之以上その侮辱を堪え忍んでまで相手方との婚姻関係を継続して行くことが出来なくなつたのでやむなく離婚を決意し夫たる相手方の本国法であるオランダ国民法第二百六十四条第一号及び日本国民法第七百七十条第一項第一号を原因として離婚の調停申立をした次第である。
オランダ人の離婚調停について(昭二八・三・一八付家庭局長あて神戸家庭裁判所長回答)
本日御照会(ハガキ)のありました標記の件につき、申立書、調停調書写を添え左の通り御回答申上げます。
昭和二十七年六月五日オランダ国人、エリゼ・デーカ・ヒンメルはその夫ぺーテル・セドクツク・ヒンメルを相手方として不貞を原因とする離婚調停申立あり且つ代理人弁護士江上一郎は本件については既に当事者間に離婚については協議成立しているが、オランダ民法は協議離婚の制度を認めないので本申立をした次第であり、申立人は六月末出帆の汽船で帰国することになつているので至急御処理願いたい旨申添へた。当庁の調査したところによると、日本国民法及オランダ国民法も共に配偶者の不貞行為は法定離婚原因として定められていたが只、吾国の調停離婚がオランダ国の離婚判決に準用せらるるか否かが疑問であつたが、オランダ国大使より申立人に宛てた書面に依ると、別に離婚判決を受けないでも、この離婚に裁判所が関与したことが判明すればよいとの書面もあつたので、昭和二十七年六月十九日調停委員会を開催し、その結果当事者は調停離婚をした次第であります。
右のような次第で本件については別に討論会のようなことは開催しなかつたが、昭和二十八年三月五日開催した、大阪高等裁判所管内家事審判官会同に協議問題として提出したところ、右記のような当事者の本国法に規定があれば、よいとの説でありました。